広報・資料 ODAメールマガジン

ODAメールマガジン/2007年5月9日発行 第114号

 ODAメールマガジン第114号は、ボスニア・ヘルツェゴビナからの「たくさんの可能性を秘めたボスニア・ヘルツェゴビナの観光開発」と、「エコ・ツーリズムを中心とした持続可能な地域振興プロジェクト」をお届けします。

ボスニア・ヘルツェゴビナ地図

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たくさんの可能性を秘めたボスニア・ヘルツェゴビナの観光開発 原稿執筆:在ボスニア・ヘルツェゴビナ日本国大使館 室谷 龍太郎 一等書記官

 「ボスニア・ヘルツェゴビナ」と聞くとまだ紛争のイメージが残っている人も多いかも知れませんが、今、ボスニアの観光開発が注目を集めています。隣国クロアチアは海岸のリゾートで成功を収めていますが、ボスニアもオリンピック都市サラエボだけでなく、緑豊かな自然と多様な文化が共生する豊かな文化を持つ魅力的な国です。日本は、JICAによるエコ・ツーリズムの開発支援を2003年に開始し、ドナーの中でも先駆的な存在になっています。

ボスニア唯一の世界遺産・モスタル旧市街の「スターリ・モスト」
ボスニア唯一の世界遺産・
モスタル旧市街の
「スターリ・モスト」
ボスニアの豊かな自然の一つ、南部のクラヴィッツァ滝
ボスニアの豊かな自然の一つ、
南部のクラヴィッツァ滝

 JICAのエコ・ツーリズム支援は、地域住民が民族の別なく協力し合って自然を守りながら観光開発を実現しようという趣旨で始められました。エコ・ツーリズム開発には、観光ガイド、民宿、食材を提供する農家、お土産の手工芸品を作る住民等いろいろな人々の協力が必要です。紛争後は他民族との交流がなかなか進まなかったボスニアで、エコ・ツーリズム開発は民族の別なく地域住民が一丸となる貴重な機会を提供しています。このプロジェクトをきっかけに紛争後初めて他民族の住民と話した人もいるほどです。

エコ・ツーリズム開発の一環でお土産用のパスタ製造機が支援された。
エコ・ツーリズム開発の一環で
お土産用のパスタ製造機が支援された。
ボスニアにはこのような豊かな自然が溢れている。
ボスニアにはこのような
豊かな自然が溢れている。

 ボスニアへの日本人専門家の派遣で始まったエコ・ツーリズム開発支援は、その後いろいろな発展を遂げます。まずは、ボスニア人の観光関係者を日本でのJICA研修コースに招待し、日本で行われているエコ・ツーリズム開発を直接見て学ぶ機会が提供されました。草の根・人間の安全保障無償資金協力による機材供与も行われています。

 国連開発計画(UNDP)からも同じ手法で他地域の観光開発を進めたいとの提案があり、日本政府の信託基金により他地域への拡大も進みました。エコ・ツーリズムは地域住民が自然環境を保護しながら所得を得られる一石二鳥の手法として注目されています。

UNDPのプロジェクトでは山の中の洞窟につながる散策路が整備された
UNDPのプロジェクトでは山の中の
洞窟につながる散策路が整備された。
同じくUNDPのプロジェクトでストラッツ市に 観光案内所が整備された。
同じくUNDPのプロジェクトで
ストラッツ市に観光案内所が整備された。

 2005年11月には、日本政府、ボスニア政府及びUNDPの共催で「第2回西バルカン観光開発地域会合」がサラエボで開催されました。200人以上が参加し、域内各国の参加者がこれまでの経験と今後の課題を議論しました。ボスニアにとっては、周辺国のクロアチアやトルコの成功体験を学ぶ機会にもなり、JICAのエコ・ツーリズム開発支援も紹介されました。この会議以降、ボスニアの観光開発に取り組む動きはますます活発化しています。

 今では日本に加えて、フランス、アメリカ、イギリス等たくさんのドナーがボスニアの観光開発に取り組んでおり、観光開発のためのドナー間調整会合も定期的に開かれるようになりました。ボスニア政府も真剣な取り組みを進めており、CNNに「Enjoy BOSNIA」というCMを流し始めています。その中で、日本はこれまでの経験を活かして、地域住民の生活の向上につながること、多民族の共同作業が進むことを2つの目標に、支援を続けています。

 近い将来、ボスニアの観光開発が成功し、豊かな自然と文化を楽しみに多くの観光客がボスニアを訪れてくれることを願ってやみません。



エコ・ツーリズムを中心とした持続可能な地域振興プロジェクト 原稿執筆:JICA専門家チーム 総括 伊藤 金雄 さん

 今、ボスニア・ヘルツェゴビナ(BiH国)はヨーロッパの新しい観光地として注目を受け始めております。「危ない国」の印象も薄れ、サラエボにはヨーロッパ各地からの直行便も増え、アクセスも良くなってきております。町並みや衣服、食べ物、音楽等には、イスラム、セルビア、クロアチアの各民族の特徴ある多様な生活文化が反映し、欧州人から見てもエキゾチックな国です。

 また、自然系の観光資源にも恵まれスキー、スポーツ・フィッシング、ラフティング、トレッキング、パラセーリング等では外国人客が増え始めています。豊富な水と緑に恵まれた美しい山河。しかもまだあまり知られていないことで、返って「穴場」的な人気を呼んでいます。

BiH国の観光資源はきれいな自然。保全しながら観光活用を図ってほしいものだ。
BiH国の観光資源はきれいな自然。
保全しながら観光活用を図ってほしいものだ。

 しかし何故、日本のODA資金でBiH国の観光振興を支援するのでしょうか。この国では、共産主義体制の崩壊と共に産業と経済も崩壊し、1992年以降の独立戦争・民族対立によって社会・経済の基盤までが破壊されてしまいました。戦争終結後、国際社会の支援を受けて基盤の復興は進みましたが、経済・産業の再生と活性化には未だ道のりがあり、多くの町や村では帰還した難民が経済難民としての再び流失する状況が続いています。

 そこで初期投資の軽微なエコ・ツーリズムを地方部で振興することで雇用機会を創出し、帰還難民や若者等の定着を図ろうというのが、今回の技術協力プロジェクトの趣旨です。さらに「観光は平和の産業」と言われるように安全でなければ観光客は来ません。かつての独立戦争で戦った3つの民族の融和をめざし、協同でエコ・ツーリズムを中心とする村おこしを行うのに、観光はうってつけの分野です。

 私たちは8人の専門家で構成されたチームです。モデル地域の関係者が、先のJICA開発調査で提案したマスタープランをもとに、現状を分析し、将来ビジョンを話し合い、振興組織を立ち上げ・拡充し、必要な人材開発を進め、モデルプロジェクトを実施して行くのを、専門的見地から支援します。村おこしの対象は、エコ・ツーリズムだけでなくスポーツ観光、歴史観光、農村観光に加えて、農産物・手工芸品などの地場産品の開発などによって、村おこし、まちづくりをとおして、住民の生きがい探しを助けています。

 BiH国およびモデル地域では、観光のポテンシャルが高い一方、課題も山積しております。観光政策の立案に着手したところ。観光協会は観光税を徴収しているが機能的でない。外国人観光客に対応できるインバウンドの旅行業者が極端に少ない。地方では外国語を話す人がまれ。社会主義の影響でサービスやマーケティングへの理解が低い。観光資源の保護が十分でない。広範な地域住民を観光産業に巻き込む仕組みが無い。関係者間、組織間の連携・調整がない。

専門家のミニ講義も入れて、地元の関係者とワークショップを繰り返す。
専門家のミニ講義も入れて、
地元の関係者とワークショップを繰り返す。

 無い無いづくしでも、モデル地域の関係者が民族を超えて協同することでエコ・ツーリズムや地場産振興によって生活の糧や社会の安定を求めようとする強い意識を持っているのが救いです。地元リーダーと日本人専門家とは「援助側、受益者側」と言うよりは、「村おこしの同志」の関係です。ワークショップの後、農家に泊り込んで手作りの焼酎を勧められながら村おこし談義に夜が更けることも度々です。



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