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ODAメールマガジンバックナンバー


□●□ ODAメールマガジン □●□ 2005年1月19日発行 第59号
 ODAメールマガジンは第50号からODA民間モニターに参加した方のお話も含めた3話をご紹介しています。今回は、平成16年ODA民間モニター・インド班から「生命力に満ちた国、インドの視察」、エジプトから「エジプトで農民水利組織作り」と、インドネシアから「『grapyak(グラッピヤッ)“気さくな“』心」をお届けします。

 ODAメールマガジンは、ODA政策や様々な情報をタイムリーにお届けします。また、外務省ホームページODAコーナーでは、新着情報を次々と更新しておりますので、是非ご覧下さい。

 なお、このODAメールマガジンでは、ODAの現場で働いている人々や実際にODAを視察した民間モニターの方々の生の声をお伝えしておりますので、本メルマガに掲載されている意見は執筆者個人の意見であり、政府の立場を示すものではありません。


 ◆ODAホームページ
  http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index.html

 また、このODAメールマガジンの内容について改善していきたいと考えておりますのでご意見・ご要望がありましたら、こちらからどうぞ。

 ◆ご意見・ご要望 E-mail:ご意見メール


 ○● トピックス ●○

 ○生命力に満ちた国、インドの視察
  (原稿執筆:平成16年度ODA民間モニター・インド班
   奥山 訓子さん)
 ○エジプトで農民水利組織作り
  (原稿執筆:在エジプト日本大使館
   橋本 晃さん)
 ○『grapyak(グラッピヤッ)“気さくな“』心
  (原稿執筆:在インドネシア青年海外協力隊
   東ジャワ州ルマジャン県保健衛生事務所
   福山 知子さん(助産師))
 ○[New!!]ODAホームページ新着情報




 ◇◆ 生命力に満ちた国、インドの視察  
(原稿執筆:平成16年ODA民間モニター・インド班
 奥山 訓子さん) ◆◇ 


 インドは脆弱ではない。パワーに圧倒されそうである。

 プロジェクトを遂行する人達は言うに及ばず、最貧層の病める人々ですら自分が日常接するホームレスや生活保護受給者に比べ生命力に満ちて見えた。それが援助の行く末明るく見せる反面、難しくしている様でもあった。何しろODA供与国を逆指名し、借金はするが人手は自前でと注文をつけるのだ。

 上等ではないか。ODAに対しては実際に目にするまでは手放しの礼賛にも容赦ない批判にも与することはできないと思っていた。

 視察を終えて思うことも結局同じであった。考慮すべき事情は山とあり、どの案件も総論賛成(概ね)各論反対(少しだけ)が正直なところである。大体、現地はモニターご一行様を待ち構えていて通常の姿を見せてはくれない。

 感謝の意は素直に嬉しく頂戴したが、各地での歓迎会に若干違和感を覚えたのも事実だ。私達に見せるべく貼られた(?)真新しいODAステッカーを確認したかったのでも、感謝の言葉や成功を強調するプレゼンテーションに満足したかったのでもない。

子供との交流
子供との交流
インド小児病院
インド小児病院

 主体は自分達という意識なら、こちらも自立を期待しているのだから、批判や提言も聞きたい。普段役立っているのか否か、何が問題なのかという現実を知りたかったのだ。

 そうは言っても数時間通過するだけの我々に見えることは少ない。
 そのような状況で見るべきは、今成功しているか無駄がないかではなく、どんな人達に資金を委ねているのかということであろう。その点現地の方々は充分真摯であり、適当に楽天的で前向きで、今難航している案件があっても挽回を期待するに足ると思えた。

 受け手が援助を供与している側を個人として捉えるか、"日本"として認識するかは不明である。しかし供与側の顔は見えずともよいのではないか。車窓から眺める町は活気に溢れ、60年代の日本と同じ勢いを今のインドに感じると大使は述べられた。

インド植林計画
インド植林計画
インド養蚕
インド養蚕

 世界銀行の融資で新幹線や東名道が造られたその頃生まれた私達は、援助されたとの認識はないまま豊かさを享受し育ち、今は自分達ができることを考えている。

 援助の意義はnoblesse obligeや「情けは人のためならず」という理屈や実利ではない。傍らを歩く人が自ら上手に歩けるよう手を貸すことをせずに自分だけ先に歩き去ることができようか、という単純なことである。

 人に手を貸す余裕が出た時、かつて手を貸してもらったことに気づくくらいでよいのではないか・・・格好よすぎますか(笑)

インド診療所
インド診療所


 ◇◆ エジプトで農民水利組織作り  
(原稿執筆:在エジプト JICA専門家(チーフアドバイザー
橋本 晃さん) ◆◇ 



 エジプトというとピラミッドと砂漠の国という印象が強いと思います。しかし、ナイル川の流域では7000年も前から農業が行われていたと言われ、農業は国の基となっています。

 首都カイロから北に扇状に広がるデルタ地帯がその中心で、1970年にアスワン・ハイダムが完成してからは二毛作が可能になりました。

 夏作は水稲、綿花など、冬作は小麦、クローバー、テンサイなどが栽培されています。
 年間降水量が100ミリメートル程度と極端に少なく、農業はナイルの水に頼らざるを得ないのですが、灌漑用水が確保されていることと日照に恵まれていることから農業生産性は大変高く、例えば水稲については9トン/ヘクタールの収量に達し、年間約600万トンが主に国内向けに生産されています。

 砂漠を開拓して農地に変える取り組みもエジプト政府により行われています。エジプトでは人口が年率約2%で増加していて、これに対応した食料の安定供給と雇用機会の創出が国家的な課題となっており、開拓地に新卒者を受け入れ、併せて食料増産を図ろうという一石二鳥の計画です。

 この開拓事業には新たな水資源が必要となりますが、アスワン・ハイダムに確保された555億立方メートルに及ぶ年間利用可能水量は既に100%近くまで利用されており、新たな水資源開発も難しい状況です。

 一方、水利用の大半を占める農業用水においては、公の水路に農家が違法にポンプを設置して過剰取水する例が至るところで見受けられるなど、その利用効率を高めることが課題です。

 こうした課題を解決するため、エジプト政府は、既存の灌漑用水の合理化(用水の効率的利用により余剰水を生み出す)と更なる農業生産性の向上を目的として、灌漑施設を改修するとともに、農民水利組織を設立、育成して農民組織に水管理を委ねるという灌漑改善事業を推進中です。

JICA専門家・橋本晃氏
JICA専門家・橋本晃氏

 この事業は1990代初頭から実施されてきていますが、既存の農民水利組織がないこともあり、農民間での合意形成が十分なされないままに事業が実施され、その結果、用水の効率的利用は思うようには進んでいません。改修された灌漑施設が有効に利用されないケースもあります。

 このため、エジプト政府から、灌漑改善事業において、日本の農民水利組織(土地改良区)を手本として農民参加型水管理の改善を進めたいとの技術協力の要請があり、「ナイルデルタ水管理改善プロジェクト」が2000年3月に開始されました。

 カイロ市から北へ約150キロメートル、東南アジアの景色と見間違うほど水と緑が豊かなカフェルシェイク県バハル・ヌール地区をモデル地域として、日本人専門家5人が技術協力を進めています。対象モデル地域の広さは約1600ヘクタール、対象農家数は約2700戸です。

 協力は事業の調査から施設の設計、建設、そして完成後の維持管理にまでわたります。
 プロジェクトでは、その各段階において「農民間の合意形成の重視」、「公正な水配分の実現」、「現場条件への配慮」、「関係機関との連携」などの視点から改善手法を提案しています。

 従来の灌漑改善事業が施設建設というハード面に重点を置いていたのに対し、例えば、工事の計画内容を事前に十分農家に説明して農家の同意を得ます。

 その後に工事を開始すること、施設計画に当たっては農家の意向も取り入れること、施設の完成後には農家が適切に使いこなせるよう維持管理の研修を実施することなど、農家の視点に立ったソフト面を重視した改善策が多くなっています。

 これらにより農家が事業によるメリットを十分享受できるようになり、灌漑施設に対する農家のオーナーシップも醸成されると考えるからです。

 こうした改善方法に最初は戸惑っていたエジプト人カウンターパートも我々の趣旨を良く理解するようになり、彼らと一緒に農家の指導に当たっています。

 農家は総じて非常に好意的で、将来の自分たちの施設に関心が高く、熱心にワークショップに参加してきます。

 現在、農家同意を取得して農民水利組織を設立し、開水路をパイプライン化する改修工事を実施中で、完成した施設から逐次農家研修を行って農家に引き渡しているところです。

 今後も農家の理解の下で公平な水配分を実現し、農家が自らの手で適切に水利組織を運営していくことを目標として協力を続けていく計画です。

 日本の稲作の歴史は農民間の水争い、水利調整の歴史でもありました。その知恵と経験が少しでも多くエジプトの地で生かされればうれしく思います。


 ◇◆ 『grapyak(グラッピヤッ)“気さくな“』心  
(原稿執筆:青年海外協力隊
東ジャワ州ルマジャン県保健衛生事務所
福山 知子さん(助産師)) ◆◇ 



 私が協力隊員になって思った事は、『grapyak(グラッピヤッ=地方語:ジャワ語)意味:“気さくな“』という心がけがあれば、全てがゆっくり動き出す』、という事です。

 ジャワ語を話す私の村では、この『grapyak(グラッピヤッ)“気さくな“』心を、皆大切にしています。

 しかし万事「気さく」過ぎて、日本人として苛立つ事も多々あるのですが、
 「私という外国人をどうしてこんなに優しく受け止めてくれるのか?」
 「どうして村人同士の絆が深いのか?」
 「どうしてこの音楽を好むのか?」等色々考えると、結論は『grapyak(グラッピヤッ)“気さくな“』となるのです。

 そして私も温かく、清清しい気持ちになるのです。

 ここで『grapyak(グラッピヤッ)』を持つ為のポイント。
 それは、『常時自分の心を「腹八分」にコントロールする事』、『「自分の器」「出来ない自分」を知り、人に伝える事が出きる様になる事』です。

 日本にいる時は便利な“もの”が多すぎて、「全て自分独りで出来る様な気」がし、毎日「腹12分」の心でした。これでは自分の事で精一杯で、自分以外に対し「気さく」になる余白スペースは存在しません。

 この「自分以外」とは、森・空気・犬・人間、等全ての事です。

 この「腹八分」の心の自己管理は、この「森、人間等」全てを尊敬する心を生みます。
 その結果、偶然「自己責任」「協力」の現象になっているだけだと思います。自分の器次第なので、自分が出来る時、出来る事をすれば充分だと思います。無理に沢山する必要はないでしょう。

 この心構えは、日本人―インドネシア人だけでなく、自分の親や恋人・上司等、大小のコミュニティーを超えた、人として大切な事の1つだと思います。

 今回、『grapyak(グラッピヤッ)“気さくな“』を、優しさで私に教えてくれた村の人達と一緒に、楽しい事をしたいな、と考え、「健康」をテーマに、以下の企画を行いました。

写真 写真

 内容は、「栄養お菓子コンテスト」、「ヤマハオーケストラ生演奏」、「ワヤン(影絵芝居)で健康教育」です。
 村ではこの様なお楽しみイベントは珍しく、オーケストラ生演奏を聴く事も初めてだった事もあり、道路事情が悪い中にもかかわらず1000人以上の村人が参加しました。

 この企画終了後、良い結果が出ました。
 日頃いつもみ放されていた村が、突然県から注目されるようになり、村人が突然忙しくなったのです。

 「忙しい、また県からお客さんが来るんだ!」が、村の保健所・学校スタッフの最近の口癖です。表情は笑顔で活き活きしています。「生き生き」ではなく「活き活き」というのがポイントです。

 村人がそうなれば、私はもう必要ありません。具体的な「健康行動(手洗い・バランスの良い食事等)」は、ゆっくり5、10年後と変化していくでしょう。

 これからも『grapyak(グラッピヤッ)“気さくな“の心』と『日本人のいい点(時間厳守等)』をミックスして、インドネシアで生きていこうと思います。


 ◇◆ [New!!] ODAホームページ新着情報 ◆◇ 

◆IT分野におけるODAの制度及び運用の改善について

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/seisaku/bunya/it/kaizen.html

◆平成17年度政府予算(政府案)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/yosan/seifu17/index.html

◆開発分野の日英協力(バングラデシュへの共同訪問)
 (プレスリリース・概要と評価)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/doukou/dac/bangla_pr.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/doukou/dac/bangla_gh.html

◆スマトラ沖大地震およびインド洋津波被害に関する国際機関を経由した支援について(2.5億ドル)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2005/0559_1.html

◆スリランカおよびモルディブにおける津波災害に対する国際緊急援助隊・専門家チームの派遣について

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2005/0559_2.html

◆スマトラ沖大地震およびインド洋津波被害に関するわが国の支援について(二国間の国別支援額の再調整)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2005/0559_3.html

◆日本NGO支援無償資金協力(平成16年度の交換公文締結日別)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou/ngo_m16_12.html

◆スマトラ島沖大地震および インド洋津波被害によるタイに対する緊急援助について

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2005/0559_4.html

◆スマトラ沖大地震およびインド洋津波被害に対する 国際緊急援助隊・医療チーム第二次隊の派遣について (インドネシア)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2005/0559_5.html

◆アジアで拾った“ちょっといい話”
 「大津波からモルディブの首都住民を守った日本の防波堤」

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2005/0559_6.html





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