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□●□ ODAメールマガジン □●□ 2004年9月24日発行 第51号
 ODAメールマガジンは第50号からODA民間モニターに参加した方のお話も含めた3話をご紹介しています。今回は、平成16年ODA民間モニター・中国班から「日中関係について深く考える」、パナマから「パナマにて」と、ジャマイカから「ジャマイカに於ける日本の経済協力」をお届けします。

 ODAメールマガジンは、ODA政策や様々な情報をタイムリーにお届けし ます。また、外務省ホームページODAコーナーでは、新着情報を次々と更新 しておりますので、是非ご覧下さい。

 なお、このODAメールマガジンでは、ODAの現場で働いている人々や実際にODAを視察した民間モニターの方々の生の声をお伝えしておりますので、本メルマガに掲載されている意見は執筆者個人の意見であり、政府の立場を示すものではありません。


 ◆ODAホームページ
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 ○● トピックス ●○

 ○日中関係について深く考える
  (原稿執筆:平成16年度ODA民間モニター 中国班 後藤 裕子さん)
 ○パナマにて
  (原稿執筆:在パナマ共和国 
   JICAシニアボランティア(建築構造) 小島 雅樹さん)
 ○ジャマイカに於ける日本の経済協力
  (原稿執筆:在ジャマイカ日本大使館 経済協力担当 倭島 岳彦さん)
 ○[New!!]ODAホームページ新着情報




 ◇◆ 日中関係について深く考える  
原稿執筆:平成16年度ODA民間モニター 中国班 
 後藤 裕子さん) ◆◇ 


 視察前の私は、ODAの重要性については認識しながらも、対中ODAに関しては世論や新聞を中心とした媒体の報道に感化され、マイナスイメージが強くありました。開発途上国として分類されてはいるものの、沿海部については2008年の北京五輪や2010年の上海万博に向けて日本のオリンピック景気やバブルと同様の現象が到来するといわれ、GDPの伸び率を見ても飛躍的な発展を遂げている中国に対して、経済的援助の必要性を感じることができず、LLDC(後発開発途上国)への援助こそ優先すべきという立場でした。
 しかし、中国での各プロジェクトに真摯な態度で臨む日本人関係者からレクチャーを受けながら現地での案件視察を終え、日本で生活しているだけでは得られなかった情報を入手し、国益という観点から広く検討すべきであることや、戦後の賠償として対中ODAが開始されたことに鑑み、国家としての贖罪意識から継続せざるを得ないのだと再認識しました。
 日本は現在、経済面では世界でもトップクラスの地位に立ちますが、限られたリソース(物的・人的共に)しか持ち合わせておらず、狭い日本では建設できない工場を広い中国の用地で、合弁会社としてスペースや比較的安価な人手を借りながら、数々の製品を製造しています。ここでは、互恵関係が成立しているといえるし、日本経済の回復は対中直接投資による利益に牽引される面もあり、中国経済の成長が鈍化すれば、日本経済にも少なからず影響が出ると考えられます。長い歴史の中で、たまたま現在は経済大国・日本という位置付けにありますが、ロングスパンで考えれば日本の産業力が弱体化しないとも限り ません。
 こうしたことからもアジアのみならず、世界の平和と繁栄のためにも、自国の国益だけでなく相手国の有益性にも配慮し、共存共栄という意識を持ちながら行われる対中ODAが必要不可欠であると感じました。勿論、その前提として中国は、急速な近代化による躍進を遂げている国であること、核保有の軍事大国であり、反日感情を持つ国民が圧倒的に多いこと、我国の領土である尖閣諸島に対し挑発的な言動を繰り返しているという事実にも目を背けてはならないでしょう。
 視察を終え強く感じた事は、現在は中国全土にわたり実施されている援助ですが、今後は沿海部のインフラ整備などは中国の自助努力に任せ、格差是正に重点を置き、環境保全、内陸部の貧困対策、生活水準向上、保健・衛生、人材育成、技術協力など、人間を主体としたソフトをより重視すべきであるということです。
 民間モニターとして中国視察をしたことで、対中ODAについて認識を新たにしただけでなく、日中関係について深く考える機会を与えていただいたことを感謝します。今後も一国民としてODAの動向に関心を持ち続けると共に、学生らにもその意義を伝えていきたいです。


 ◇◆ パナマにて   
(原稿執筆:在パナマ共和国 JICAシニアボランティア
(建築構造)小島 雅樹さん) ◆◇ 


 今は2004年9月中旬、パナマは雨期で毎日大量の雨が降っています。季節は夏と冬しかなくこの時期は冬ということらしいのですが、温度は30度を、湿度は80%を超えています。
 私はパナマ工科大学の中央実験センターに所属し、パナマの新築ビルに現在配置されつつある地震計(建物の地震に対する設計の基礎資料となる)と、建築の構造物実験システムに関するアドバイスを行うことになりました。特にアクチュエータ(コンピュータ制御の油圧ジャッキシステムで、細かく制御ができるので地震波などの複雑な現象が表現できる。日本の大学・企業では既に導入済み)が導入の段階にあり、パナマには経験者が皆無なことから技術者の要請があったのです。
 大型構造物実験施設に反力壁と呼ばれる大きな壁があります。この壁にアクチュエータを取り付けます。大学の敷地の奥の方にある熱帯林を切り開いて数年前に建設が行われました。整備がほとんどされていないので、ドライバー・ペンチ・釘を買うことから仕事が始まりました。若いエンジニア2名を預かり、構造実験の初歩をアドバイスすることになりましたが、当初は先が見えずイライラするときがあり、登校拒否のように来なくなることもありました。「プラスのねじにはマイナスドライバーを使わないように」、「ボルトは頭を締めるのではなく、ナットを締めましょう」など、工具の使い方の指導も必要でした。
 しかしうまい具合に、今年10月末に中央実験センターの創立記念日があるので、それに合わせて新構造実験施設のお披露目を行おうではないか、という提案をしました。具体的には鉄筋コンクリートで柱の構造実験用模型2体を作り、1体はもろい壊れ方をする悪い設計、もう1体は粘りのある耐震設計をして、両者の壊れ方を来賓に実際に見ていただき、耐震設計の重要性をアピールして寄付を募るというものです。具体的な目標ができたこと、呼び水予算も確保しやすくなったことなどで5月の中旬から具体的な作業が始まりました。
 試験体を作るということは、基本計画、構造計算、鉄筋加工、型枠設計、材料試験、行程表、施工法、安全管理、測定など多くの分野の知識が必要です。たった2本の柱を設計するだけですが、数ヶ月はかかっています。エンジニア達は、図面もどきは描けてもしっかりした図面は書けないので原寸図を書くように指導しています。工程表も書き方を教えましたが、これは失敗しました。そういう概念を持っていないようです。
 昨年の11月にパナマに来て早10か月。後2か月で1年間の任期が終わります。たった1年間で何ができるか悩んだこともありましたが、最終的にはエンジニア達と具体的な目的を共有し、それなりの成果を上げて帰りたいと思っています。

反力壁
反力壁
アクチュエータ
アクチュエータ
 アクチュエータは、数万ドルする精密機械でパナマ工科大学が独自に購入しました。高温多湿のパナマ仕様になっていないので、暑さに耐えられるかとても心配です。また、アクチュエータを動かすための電源(動力)が当初の計画から抜けていたため、電源を引き込むためにかかる膨大な費用の予算のめどが立たず、使用できない状態です。それなら展示して来訪者に寄付をお願いしようか、という魂胆で、現在机の上に飾られています。当面、実験時は電源車を借りるということで対処します。


 ◇◆ ジャマイカに於ける日本の経済協力  
(原稿執筆:在ジャマイカ日本大使館 経済協力担当 倭島 岳彦さん) ◆◇ 


 ジャマイカという国の名前を聞いて直ぐにピンとくる日本人の方は必ずしも多くないと思いますが、思いつくとすれば、レゲエ音楽や美しいカリブ海のある陽気で開放的な国、あるいはリゾート・ホテルの立ち並ぶ常夏の観光地等ではないかと思います。ジャマイカは確かにそうした一面を持つ国ですが、同時に観光業以外にはめぼしい産業もなく、高い失業率、貧困、低い教育水準などから祖国を捨ててアメリカやカナダ、イギリスなどへ移り住む人があとを絶えません。現在、ジャマイカの人口は約250万人ですが、少なくともその40%にあたる約100万人が海外に住んでいると推定されています。また、エイズの感染率がアフリカに次いで高く深刻な問題となっているほか、ハリケーンなどの自然災害を受けやすい環境にあること、観光開発による環境破壊なども問題となっています。
 ジャマイカは国民一人あたりの所得が2800ドル程度という発展途上国の中では比較的水準が高い国として位置づけられるため、資金を無償で提供するいわゆる無償資金協力は実施されていません。日本からの主な経済協力は国際協力銀行(JBIC)が低利で資金を融資する有償資金協力、国際協力機構(JICA)が実施する技術協力、ユニセフや国際開発銀行(IDB)の日本基金を活用した支援、大使館が実施する一千万円未満の比較的規模の小さい草の根・人間の安全保障無償資金協力が中心となっています。
 その中でも草の根・人間の安全保障無償資金協力は対象がNGO等地元の人々の自主的活動を支援することを主な目的としていますので、最も地元密着型の経済協力と言えると思います。在ジャマイカ大使館では年間で少なくとも100通近い支援要請レターを受け取りますが、計画が未成熟で、とにかく困っているので助けて欲しいという内容のもの少なくなく、中にはきちんと文章も書けない団体からの手紙もあります。経済協力の中では小規模とはいえ、日本の税金を原資とした資金を一千万円近く無償供与するわけですから、きちんと計画され、その効果が見極められるプロジェクトにしか供与できないのは最なことですが、教育を受けていないために計画が立てられずに困っている人たちをそのままにしておくのでは経済協力の意味がありませんし、「人間の安全保障」という名前にも悖ります。そこで、在ジャマイカ大使館では、ジャマイカのNGOの元締め的な存在であるNGOと協力して、草の根・人間の安全保障無償資金を利用して、NGO関係者を教育するプログラムを実施してきています。ここでは、プロジェクト計画の作り方・資金計画、実際のプロジェクト運営・管理から、草の根無償等の無償資金プログラムへの申請方法、申請書の書き方などを2週間にわたって、ジャマイカ全国のNGO関係者を対象に教え、彼らの基礎能力の向上に努めています。過去2回実施し、述べ400名近いNGO関係者 が受講し、中にはその後日本の草の根無償資金の供与を受けた団体もありました。無論、一度や二度の受講で直ぐに彼らの能力が向上するわけではありませんので、今後も粘り強く続けていく予定で現在は3回目の計画を練っているところです。経済協力は援助する側のニーズが満たされるよう様々な書類やプロセスが要求されていますが、それが援助される側にとっては大きな負担となり、本当に援助が必要な人たちに支援の手をさしのべることが出来ない場合が少なくありません。こうしたギャップを埋めることが現地で経済協力に携わる人間の大きな仕事の一つだと感じています。
 最後に最近の援助の話として、今月10日から12日にかけてジャマイカをおそった超大型ハリケーン・アイヴァンに対する緊急援助のことを紹介したいと思います。このハリケーンの被害によって農作物が大きな被害を受けた他、家屋の全壊、損壊、洪水等の被害があり、水道、電気の供給も一部の地域を除いて全国的に未だに停止したままです(17日現在)。その復旧には一ヶ月から数年かかると思われ、この原稿を読者の方が読まれる時点でも多くの人が避難所での、また、水や電気のない生活を強いられていることでしょう。緊急援助で大切なのは被援助国が必要とする物資を必要とするタイミングに提供できるかどうかということですが、今回はジャマイカ側からの希望をきちんと確認できたこともあって、彼らが最も必要としているテントや毛布、発電機などを空港再開とほぼ同じタイミングで提供することが出来ました。空港で物資の引き渡しを行いましたが、空港の滑走路に並ぶ日本の支援物資を見た時には、非常にうれしい、誇らしい気持ちになれました。ジャマイカから最も遠いところに位置する日本からの物資が、最寄りに位置するアメリカの物資と同じタイミングで到着するということにジャマイカ側の担当者も感激しており、とても感謝され、こちらも更にうれしい気持ちになりました。こうした物資が、家を無くして避難所や屋外で生活を強いられている人に一日も早く届き、彼らのこわばった顔 が少しでも和んでくれるのを切に願っています。日本は島国で台風被害が多いという共通点を持つことから、こうした支援物資だけでなく、事前の防災面での支援も行っており感謝されています。


 ◇◆ [New!!] ODAホームページ新着情報 ◆◇ 

◆国際協力50周年記念テレビスポットCM広報について

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/annai/50/cm.html

◆平成17年度ODA予算要求

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/yosan/seifu17/index.html

◆国際協力50周年記念事業・関連事業カレンダー(更新)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/annai/50/calendar.html

◆50周年ソング「50th Anniversary ODA」に寄せて

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/annai/50/odasong.html

◆無償資金協力(入札結果等の公表)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0451_1.html





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