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□●□ ODAメールマガジン □●□ 2004年8月18日発行 第49号
 八月も残すところあと2週間足らずとなり、暑さもようやく一段落しそうな関東です。さて、今回のメルマガは、エストニアから「EU新規加盟候補国への支援」と、グアテマラから「グアテマラの先住民族支援最前線」の2話をお届けします。

 ODAメールマガジンは、ODA政策や様々な情報をタイムリーにお届けします。また、外務省ホームページODAコーナーでは、新着情報を続々と更新しておりますので、是非ご覧下さい。

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 ○● トピックス ●○

 ○EU新規加盟候補国への支援
  (原稿執筆: 在エストニア大使館 ODA担当 長谷川 恵一さん)
 ○グアテマラの先住民族支援最前線
  (原稿執筆: 在グアテマラ 企画調査員 松井 恒さん)
 ○[New!!]ODAホームページ新着情報




 ◇◆ EU新規加盟候補国への支援  
原稿執筆:在エストニア大使館 ODA担当 
 長谷川 恵一さん) ◆◇ 


皆様、ご存知ですか。
1.バルト海を挟んでフィンランドの南に位置する面積4.5万平方キロ、人口130万人の国はどこでしょう。言語で分けると、ハンガリーやフィランドと同じフィン・ウゴル語族に属します。
2.ちょうど100年前に勃発した日本海海戦に遙か欧州から駆けつけたロシア帝国の艦隊に、この国の港からも数隻の艦船が参加しています。

 そのとおりです。2.の答えは、バルティック艦隊です。バルティック艦隊の日本航きにはここエストニアの港からも数隻の艦船が艦隊に加わりました。タリンの旧市街トンペアに建つアレクサンドルネフスキー寺院にはそれを示す碑板が掲げられています。質問1.の答えはエストニアです。エストニアは日本海海戦が行われた数年後にロシアから独立を果たしました。第2次世界大戦中にソ連邦に併合されましたが、13年前に(エストニアの言う不法占拠から)独立を回復、以降西側の一員になるために市場経済化と民主化を遮二無二押し進め、本年5月に念願のEU加盟を果たしました。

 しかし、共産主義から資本主義体制への移行は決して容易いものではありませんでした。EU加盟方針決定後、エストニア政府はEUが要求する法的・制度的な基準をクリアーするために、膨大な数の法律を改正・新規立法し、また制度を改革してきました。そのために費やした人材と資金は、小国エストニアにとって決して少ないものではありません。共産主義時代に活躍した優秀な人々はそれがために体制移行後はかえって疎んじられることとなり、人材不足も否めませんでした。今では均衡財政と目覚ましい経済発展を遂げつつある優等生ですが、独立回復直後は外貨準備も払底していました。

 日本大使館では、体制移行がスムーズに運ぶことを願って、開館後直ちに人材育成のために各種研修コースを提供、毎年10人弱の人々が日本での研修に参加しています。橋や道路の建設とか漁船の提供といった無償資金協力については、エストニアが中進国で1人当たりの国民所得が基準を超えていたことから適用対象にはなりませんでしたが、幸いなことに文化無償資金協力というスキームを利用することができました。一般大衆の日常生活の中に深くとけ込んで、それなくしてエストニアの人々の生活は考えられないまでになっている音楽や演劇、しかし、独立回復間もないエストニア政府にとって文化にまで予算を回す余裕はありません。大使館では国民が高く評価するこれら劇場用機材の供与にも力を入れました。国立音楽大学へのミキシング用電子音響機器や国立オペラ劇場への音響・視聴覚機材の提供です。2003年3月、国立音楽大学への音響機器寄贈式が執り行われました。式典にはリューテル大統領ご夫妻のご臨席の下、寄贈機器を使った演奏会が催され、マスコミでも大きく取り上げられるところとなりました。日本政府・国民への謝意が伝わってきました。

 これと並んで当館が力を入れてきたのが、日本との結びつきを強化するための支援です。日本語習得用ランゲージ・ラボラトリー(L・L)機材の提供、それと日本の伝統的なスポーツ、柔道や相撲を振興するものです。LL機材は400年の歴史を誇るタルト大学に、またスポーツ振興ではエストニア柔道連盟に対して柔道用具をそれぞれ支給しました。日本ではまだ知られていませんが、エストニアの柔道はオリンピックや国際大会でメダルを獲得するほどの力を持っています。独断で言わせて頂きますと、世界で最も身長の高い人種は、アフリカについては承知しませんが、北欧諸国とポリネシアの人々かと思います。しかし、エストニア人もそれに劣りません。私ども日本人も椅子に座って話している分には不都合を感じないのですが、レセプション等立って会話する段になると首が痛くなるほど見上げないと話が通じません。私も身長170センチありますので、日本人の壮年としては小さい方ではないのですが、かなわんといった状態。そんなわけで格闘技は言うに及ばず、一般的な身体能力にも並はずれたものがあります。アマチュア相撲でも徐々にその片鱗を覗かせつつありますし、今年5月には2人のエストニア人が日本の角界に入りました。数年以内に2人の名前が新聞紙上を賑わすことを心密かに願っております。そんな次第もあり、当館では今、相撲用具の購入資金を東京にお願いしています。

 我が国の人口はこの数年のうちに減少に向かいます。女性と老齢者(個人保有資産を含む)の労働力を巧くGDPに組み込む方途を工夫しない限り、当然GDP成長率の低下も避けられません。その場合には、経済協力の規模も当然減少していきましょう。私は、勿論GDP成長率を上げるべきと言っているのではありません。国民がGDPの規模に見合った援助をすればよい、日本はそれよりも豊かで質の高い生活、言い換えればGDP成長率よりも1人当たり国民所得を高く維持することに留意すべしというのであれば、それも一つの選択肢です。外国人を入れて成長率を高め、年金財政を破綻させないようにしようといった短絡的な議論よりもずっとましかも知れません。経済協力を担当する者として、従前にも 増して我が国民がどんな経済援助を望んでいるのか、エストニアがこの10年に大きく変わったように、これからの10年は我が国を取り巻く経済・政治情勢にも大きな変化が予想されます。時代の変化を読みながら迅速に対応・任務に当たっていくことが求められていることを痛感します。


 ◇◆ グアテマラの先住民族支援最前線  
(原稿執筆:在グアテマラ 企画調査員 松井 恒さん)
派遣期間 2004年5月27日~2006年5月26日) ◆◇ 


グアテマラってどんな国:
 みなさんグアテマラという国名を聞いて何を連想されるでしょうか、コーヒー、マヤ文明の遺跡あるいはグアテマラ織りという方もいるでしょう。しかしながら国民の約60%をマヤ系先住民族が占めており、スペイン語を含めた公用語は実に24言語!という多文化、多言語、多民族国家というのが最大の特徴かと思います。
 ここではそんなグアテマラにおけるわれわれJICAの様々なアプローチの中でも先住民族支援というテーマの中での様々なトピックスを紹介していきたいと思います。

先住民族支援についての具体的なアプローチ:
 グアテマラのマヤ系先住民族の最大の特色としては、長年培ってきた伝統・文化への執着があげられると思います。これは特に1996年まで30年以上に渡って続いた内戦で自分たちのふるさとが戦場になったことが拍車をかけました。
 この状況の中で1988年の青年海外協力隊の派遣開始以来わが国は無償資金協力、開発調査、専門家の派遣等様々なスキームで事業を実施しており、特に青年海外協力隊派遣は1997年には120名の派遣数となり派遣対象国中最大の派遣数となりました。
 ここでは、先住民族支援についての具体的なアプローチとしていくつかの事例を紹介したいと思います。

(1)開発調査の事例
 2001年から2003年まで開発調査案件「中部高原地域貧困緩和持続的農村開発計画調査」を先住民族居住地域の4サイト(4コミュニティー)に対し実施しました。同調査ではマスタープランを策定した後、旧来の農業というセクターにとどまらない保健や教育分野を加えた13のモデル事業を先住民族居住地域で実施しました。例をあげると煙が少なく健康にも良い改良カマドの設置に始まり、民芸品としても価値が高く、現在なおマヤ系先住民族が日常的に着用しているウィピルの糸の共同購入や販売システムの確立と販売店の設置、コーヒー収穫地域における女性の労働軽減のための脱粒機械の設置、薬品を市中価格より安価に販売する薬局の設置等多岐にわたっています。
 プロジェクト終了後4サイトに対しては3か月に1度くらいの頻度でモニタリングを実施していますが、それぞれのコミュニティーは現在でも自分たちで事業を継続しており、また、わが国の協力に対する深い感謝のあらわれとしてわれわれが少し恥ずかしくなるくらいの歓迎をしてくれています。

(2)隊員の活動事例1
 A隊員はグアテマラ国の東北部に位置し、中部高原地域と同様に先住民族居住地域であるバハベラパス県の村落で活動を始めて2年以上になります。A隊員の職種は栄養士なので村のこどもたちの身体測定の実施、小学校での栄養の授業や調理実習の実施が主な活動となるのですが、同じ村落に村落開発普及員の隊員も配属されていることから、野菜を食べる習慣のあまりない村での家庭菜園の立ち上げと収穫した野菜による調理実習の実施、村で収穫できるものの大きな流通経路を持たないコーヒーの販売活動の促進、パン焼き釜を設置したパン屋立ち上げ、保健分野の隊員が中心となり自主的に運営されている保健分科会と協調した村民への歯磨き促進活動等々幅広くユニークな活動を実施しています。

(3)隊員の活動事例2
 B隊員はグアテマラの西北部地域に位置するトトニカパン県を任地とする森林経営の隊員です。当初の要請内容は前任隊員が作成した県内の森林データベースの整備でしたが、着任時に森林データベースは使用されておらず、かつGISについてもカウンターパートが十分な認識を持っていなかったことから、B隊員はデータベースの整備という本来の目標を軌道修正し、GIS運用のための下地を作るためにGISの運用のためのソフトであるArc Viewの講習会を実施しました。と、ここまでは普通の隊員ですが、日ごろから森林資源の有効活用について知見を有していたB隊員は県内の村落の住民に対する日本式炭焼き及び炭、木酢液の普及に関する活動を開始、今では立派な日本式炭焼きの指導者として県内はもとより近隣県であるケツァルテナンゴ県、ソロラ県、チマルテナンゴ県からも引く手あまたな状況です。日本式の炭焼きにより村落の住民の炭販売による農外所得の向上、炭・木酢液の普及に伴う農業、環境、医療分野での生活水準の向上につながり環境に配慮した農村開発を実現することとなりました。

(4)隊員の活動事例3
 グアテマラ県から約50キロメートルに位置し、先住民族が多く居住する中部高地地域の入り口であるチマルテナンゴ県の国際植林協会(AIRES)というNGOを配属先として活動しているC隊員ですが、2年間の任期をこの4月に終了し、この6月には一般短期隊員として派遣されました。
 職種は植林ということで環境保護を目的とした植林が当初の活動内容でしたが、好奇心旺盛なマルチ人間のC隊員は配属先の活動が多岐にわたっていることに目をつけ、アグロフォレストリーと関連のある土壌流出の防止、有機肥料への転換の促進、前項のB隊員と協調した日本式炭焼き・木酢液の使用促進、学校のビオトープ(動植物の生息所)の設置、アロエ入りシャンプー、薬草入り石鹸、薬草入り液体石鹸の販売促進等旺盛な活動を展開し、NGOの農村開発に係る活動を成功に導いています。

今後の取り組み:
 これらの事例でわかることは、グアテマラの先住民族支援、つまり農村開発の進展を考えた場合、地域密着型の活動展開、複数セクターでのアプローチ実施、JICAの複数スキームの連携等がキーワードかと思います。
 この考え方をもとに現在JICAグアテマラ事務所は在グアテマラ日本国大使館と密接に連携し、2つの無償資金協力、教育、保健・衛生、農業の3つの技術協力プロジェクト及び青年海外協力隊の活動を組み合わせた先住民族支援のプログラム展開を進めています。  5年後、あるいは10年後のグアテマラがすばらしい国になることを信じながら・・・。


 ◇◆ [New!!] ODAホームページ新着情報 ◆◇ 

◆無償資金協力(入札結果等の公表)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0449_1.html

◆対インドネシア円借款ロングリスト

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0449_2.html

◆無償資金協力(平成16年度の交換文締結日別)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou/siryo_5_21.html

◆ベネズエラ・ボリバル共和国大統領罷免国民投票に対する投票監視要員の派遣及び緊急無償資金協力について

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0449_3.html

◆バングラデシュ人民共和国における洪水被害に対する緊急援助について

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0449_4.html

◆パラグアイ共和国における火災被害に対する緊急援助について

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0449_5.html

◆セネガル環境分野協力評価(プログラムレベル評価)(概要・全文)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0449_6.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0449_7.html

◆沖縄感染症対策イニシアティブ(IDI)中間評価(概要・全文)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/report/idi.html http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0449_8.html

◆日本NGO支援無償資金協力(平成16年度の交換文締結日別)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou/ngo_m16_07.html





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