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□●□ ODAメールマガジン □●□ 2004年8月5日発行 第48号
 夏休みが始まり、先月31日には海外へ出掛ける人達の出国ラッシュがピークを迎えたそうですが、皆さんはどのような夏休みを過ごしていますか?さて、今回のメルマガは、ニカラグアから「私の願いを受けとめてくれた自閉症児たち」と、キューバから「国民の真のニーズのための協力」の2話をお届けします。

 ODAメールマガジンは、ODA政策や様々な情報をタイムリーにお届けします。また、外務省ホームページODAコーナーでは、新着情報を続々と更新しておりますので、是非ご覧下さい。

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 ○● トピックス ●○

 ○私の願いを受けとめてくれた自閉症児たち
  (原稿執筆: 在ニカラグア シニア海外ボランティア(養護)
         福伝 美知子さん)
 ○国民の真のニーズのための協力
  (原稿執筆: 在キューバ日本大使館 一等書記官
         山倉 良輔さん)
 ○[New!!]ODAホームページ新着情報




 ◇◆ 私の願いを受けとめてくれた自閉症児たち  
原稿執筆:在ニカラグア シニア海外ボランテイア(養護) 
 福伝 美知子さん) ◆◇ 


派遣先は孤児の障害児・者の施設

 2003年4月、ニカラグアの首都マナグアに到着。木々の花の鮮やかさに見とれ、舗装された立派な道路を、堂々と馬や牛が引く荷馬車が通る風景に郷愁を感じながら、4月21日から、職場での仕事が始まりました。
 「パハリートアスル養護施設」には、すべての障害種の子供達がいました。肢体不自由、知的障害、視覚・聴覚障害、自閉症、精神疾患、そして、重度心身障害児。始めの2か月の観察で、全入所児97名のうち20名ほどが重度の知的障害と自閉的傾向を併せもつ子供であり、その子供達の指導に手がとられて施設全体への指導が困難になっている事が分かったところで、一番手のかかる自閉症児3人の指導と、1人の重症心身障害児の食事介助から始める事にしました。そして6か月後、この子供達それぞれに大きな変化が現れ始めると、施設側から「20名の重度の子供達のグループ指導にも、私の作ったマッチング教材を使って指導して欲しい」との要求が出てきました。これは窮地、毎日一対一で、30分から1時間半もの時間を費やして6か月間やってきたから変化が現れたものを、20名に一度にできる訳がありません。しかし、ボランティアの私は、相手の要求に従って黙々とやることを決心しました。日本ではして来なかった、知的障害の重度の子供達20人相手のグループ指導に臨みました。

3週間のデモンストレーションでカウンターパートが変わった

 毎朝8時40分から9時50分まで、3週間指導しました。私についてくれていたのは、担当の寮母とカウンターパートの4人だけでした。4人で20人の子供を見るというのは大変なことで、毎日終わったあとの教材直し、パーツ補充、明日の皮膚刺激の学習になる手作り紙粘土の用意と、寝る暇もないほどの忙しさでした。当初、どの教材がどの子に適しているか分からず、2色弁別が出来ない子にその教材を渡したり、洗濯バサミをつまめない子にそれを渡して捨てられたりと数々の失敗があった後、やっと3週間目にいくらか落ち着いてきました。しかし、私もカウンターパートも疲労困憊。カウンターパートが悲鳴をあげたのをきっかけに、この指導を週2回に減らし、他の曜日に一対一で指導する効果的な方法と見比べることを提案したのでした。こうして私は、カウンターパートに指導の見本を示しながら、4月、5月、6月と過ごし、今、この大変なグループ指導も次の段階に入っています。「一つのことを覚えるのに3か月」「ルーテインで教える」を念頭におきながら指導していると、少しずつ、少しずつ子供は変化していくのです。私は先生達に「忍耐」を教えています。

個人指導を継続してきた自閉症児は確実に変化

 事務室に入り込んでは食べ物探しをしていた子、目が見えなくて臭いだけしか反応を示さず、寮のドアに登ってはペンキの臭いをかいでいた子、寮に戻るのが嫌で、手足をもって引きずらなくては戻せなかった子、どの子も、あんなにひどかった問題行動がなくなりました。そして、個人指導の時間になると飛ぶように部屋にやってくる子供達。ありがとう子供達。私の願いを受けとめてくれた自閉症児たち、私は幸福です。


 ◇◆ 国民の真のニーズのための協力  
(原稿執筆:在キューバ日本大使館 一等書記官 山倉 良輔さん) ◆◇ 


屋上に設置した貯水タンク
屋上に設置した貯水タンク
 かつてコロンブスが、「カリブ海の真珠」と呼んだ、美しい国キューバ。今は、日本の野球チームがアテネオリンピックで金メダルを取るための最大のライバルと言った方が日本人にはわかりやすいかもしれません。キューバのもう一つの顔は、カストロ議長と社会主義。この社会主義体制の下、医療費、教育費及び住宅費は、基本的には政府負担で全て無料、食糧も配給で賄われています。医療費負担額の増加、教育費の高騰、住宅ローン等、我々日本の普通のサラリーマンにとっては非常に頭の痛い問題が存在しない夢のような国。キューバ政府は、社会主義体制に誇りを持ち、この国には貧困は存在しないと宣言しています。

 キューバは世界各国へ数千人の医師をボランティアで派遣していることに見られるように各分野での技術レベルは非常に高い。キューバの更なる発展のために、我が国の青年海外協力隊などを受け入れる気はないかと聞くと、「いらない。逆にキューバが日本へ医者を派遣することができます」と回答してきます。確かに貧富の格差はない平等の世界。しかし二重為替制度で国民の平均月収は実質的には10ドル程度。配給品も基礎食糧が中心で、肉類や魚は何か月も食べていない人が結構います。住居も1959年の革命以前に建てられたものがほとんどで、雨漏りやトイレの排水の逆流などは日常茶飯事です。しかしキューバ政府からは援助要請はほとんどありません。政府のプライドと国民の現実のギャップに苦しめられます。キューバに経済協力が必要なのかと思うこともありますが、こちらが案件を発掘すれば話はトントンと進む。そのため我が大使館では館員全員がそれぞれの職務の中で、キューバ国民を支援するための優良案件を発掘しています。貧富の格差はないが、国民の多くは最低限の生活をしており、実は国民の間には、経済協力に対するニーズは幅広くあるのです。

孤児達と交流する三原議員一行
孤児達と交流する三原議員一行
 キューバに対し我が国は、1965年より研修員の受入という形で技術協力を開始し、97年には現在の草の根・人間の安全保障無償協力の前身である草の根無償を、99年には文化無償といった資金協力も開始しました。特に草の根・人間の安全保障無償資金協力は、直接キューバ国民に裨益するものとして、キューバ国民より高く評価されています。そこで今回は2003年に実施した「ハバナ市三孤児院設備改善計画」について紹介したいと思います。

 「ハバナ市三孤児院設備改善計画」が要請された2002年のキューバ政府の統計では、全国で522名が孤児院に収容されているという数字(ここまで把握するとは、さすが社会主義と言った感じですが)が出ていました。人口1,100万人の国ですから、本当に孤児数は少数です。孤児院収容者の両親は何らかの理由で既に死亡しているか、エイズのような回復の見通しが立たない病気にかかっている者の子供に加え、離婚による親権者の家庭や仕事の関係で預けられる子供も多いのです(週末には親権者が自宅につれて帰る場合もあります)。通常のラテン・アメリカ諸国の場合は、カトリック教徒が多く、離婚率も低いのですが、キューバの場合は、ほとんどが離婚経験者。三度目の結婚が一番良いなんて言う人もいます。我が大使館の某館員が聞いてきた話に寄れば、サマースクールのある日、とあるクラスで、先生が生徒に両親に離婚経験があるかどうかを聞いたところ、20人(キューバは教育レベルも高く、義務教育15年間の1クラスの生徒数は最大で20名)のクラス中、両親が双方ともに初婚だったのは、たった1名ということでした。そのため、唯一離婚経験を有さない両親を有する生徒は両親に離婚してくれと頼んだとか頼まなかったとか。その理由は、水曜日と土曜日の家族面会日に、離婚している親は交互に2回面接に来てくれるが、彼の場合は両親が揃って土曜日にしか面会に来ないからという、いかにも子供らしいもの。しかし、離婚が日常茶飯事である社会事情を端的に示す一つの例 とも言えるものです。

寝られるベッドでくつろぐ孤児たち
寝られるベッドでくつろぐ孤児たち
 「ハバナ市三孤児院設備改善計画」は、3件の孤児院の改修から成る案件で、このうち5歳までの乳幼児を預かる「私の小さな家」という意味の「ミ・カシータ孤児院」には、先日当地を訪問された衆議院外交・防衛委員会委員長を務めたこともある三原朝彦衆議院議員と我が国のキューバ研究の第一人者である加茂青山学院大学名誉教授を初めとする日本人視察団25名に訪問して頂いた。訪問時には孤児院の院長よりは、日本国民からの支援がなければ、ここの孤児はこのようなすばらしい施設で過ごせなかったと感謝の意が表明され、子供達も差し入れを感謝していました。

 改修前の孤児院は老朽化で天井からの雨漏り、配管の腐食で水道は使用できず、窓にはガラスもなく木の板が風雨除けに打ち付けられていた状態でした。これらを改修するとともに、寝られないベッド及び調理できない調理器具を更新しました。また、海に近いこの孤児院の水道水は水源が海に近いので塩水であり飲料水には適しません。そこで、貯水タンクを屋上に設置し、週3回の給水車の給水で子供の飲料水を確保しました。また、ソーラー温水器の設置で乳児の入浴も可能となり衛生状態が改善し、疾病率も減少しました。

 また、孤児との交流で広報文化班及び館員夫人が日本の紙芝居をスペイン語で演じたりと、正に草の根レベルの交流もこの案件を通じて行っています。我が国はこれまでキューバで、孤児院改修だけでなく、救急車供与、農業灌漑建設、給水施設改修等様々な案件を実施してきました。これらは、政府の手当てが届かない国民を救うものとして高い評価を受けています。今後も、キューバ国民に直接裨益する案件を発掘し、この協力が日本・キューバ両国民の相互理解の一助となるよう努力していきたいと思っております。


 ◇◆ [New!!] ODAホームページ新着情報 ◆◇ 

◆無償資金協力審査ガイドライン(暫定版)に対するご意見募集の結果とガイドラインの適用について

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0448_1.html

◆月刊広報誌「国際協力プラザ」2004年 7月号

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0448_2.html

◆開発教育/国際理解教育コンクール募集要項

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/edu/contest.html

◆有償資金協力(平成16年度の交換公文締結日別)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou/siryo_5_23.html

◆無償資金協力(平成16年度の交換公文締結日別)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou/siryo_5_21.html

◆政策評価法に基づく事前評価書(無償資金協力)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0448_3.html

◆経済協力評価報告書 2003

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/hyoka03/index.html

◆沖縄感染症対策イニシアティブ(IDI)中間評価(概要)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/report/idi.html

◆ボリビア 基礎生活分野協力評価(概要・全文)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0448_4.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0448_5.html

◆無償資金協力(入札結果等の公表)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0448_6.html

◆アフガニスタンの「選挙実施計画」のための国連開発計画(UNDP)に対する緊急無償資金協力について

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0448_7.html





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