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□●□ ODAメールマガジン □●□ 2004年7月7日発行 第46号
 各地で海開きのニュースが伝えられました。天気の良い日には家族や友達とビーチに出掛けたいですね。さて、今回のメルマガは、エクアドルから「スペイン語で「赤道」という名の国、エクアドル」と、ウクライナから「新しい国造りのための支援」の2話をお届けします。

 ODAメールマガジンは、ODA政策や様々な情報をタイムリーにお届けします。また、外務省ホームページODAコーナーでは、新着情報を続々と更新しておりますので、是非ご覧下さい。

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 ○● トピックス ●○

 ○スペイン語で「赤道」という名の国、エクアドル
  (原稿執筆: 在エクアドル 青年海外協力隊
         平成14年度2次隊 村落開発普及員
         温井 音也さん)
 ○新しい国造りのための支援
  (原稿執筆: 在ウクライナ日本大使館 二等書記官
         南野 大介さん)
 ○[New!!]ODAホームページ新着情報




 ◇◆ スペイン語で「赤道」という名の国、エクアドル  
(原稿執筆:在エクアドル 青年海外協力隊 
 平成14年度2次隊 村落開発普及員 
 温井 音也(ぬくい おとや)さん) ◆◇ 


 アンデス山脈が南北に走るため、シエラ(高山地域)、コスタ(海岸地域)、オリエンテ(森林地域)と様々な気候が混在する中で、私の任地はキトからバスで約6時間、標高差にして約2000メートル下ったケベドという内陸部の町にあります。海も山もないケベドは、雨季になると内陸性の湿った暑さと湿気に見舞われます。そのような気候を生かして、周辺には莫大なバナナのプランテーションが広がっています。その小さな地方都市の農業技術大学(UTEQ)に勤めてはや1年半、私のオフィス「DETTEC」(DETTEC:Departamento de Extensiony Transferencia Tecnologica Ecuatoriano, 日本語名:エクアドル農村開発普及センター)には、6人の農業技術者が働いており、地域周辺農村の巡回と農業技術の改良による農村の生活改善を趣旨と掲げています。
 さて、今回はそんなオフィスで働く同僚の活動と、現在の仕事の流れについて紹介していきたいと思います。
 まず、はじめに私の仕事を紹介する上で、外せない存在となるカウンターパート、エクアドル人農業技術者のヘルマン技師(以下敬称略)のことを簡単に紹介しておきます。彼はJICAの研修生として日本の岩手県に1年間住んでいたこともあり、日本文化にかなりの理解があります。彼は、大学の技術者となった今も山中の竹の家(農民の家)に住んでおり、大学で働く傍ら地域農民のリーダー的存在として農民の生活と地位向上のため様々な社会的活動を行っています。休日は自宅で農民学校を開き、日本で学んだ炭焼き技術や木酢液の用途、堆肥の作り方など様々な日本の技術をエクアドルの農業に組み込んで、訪れた農民たちに教えています。

そんな力強い同僚へルマンとの仕事について

 大学の仕事として、私とヘルマンの作った生活改善プロジェクトがあります。それは、教育と農業と医療の3つを生活改善の基盤としたもので、具体的には以下の3つです。
(1)大学生への教育
(2)農村での予防医療の講義と定期的な検診
(3)農業技術改良と推進
 まずは大学生への教育においては教室内での開発学講義のみにとどまらず、周辺農村や貧困地域への訪問を定期的に行い、プランテーションやゴミ問題など、この国の社会的システムを含めた視点から、今後技術者や社会的上層階級となるべき人々にこの国の現状や第三世界の問題を考えさせていくことを目的としています。
 次に、農村の予防医療についてですが、巡回農村においてはゲベド医療隊員の協力のもと、予防医療による支出減少に力を入れることにしました。これは農業の技術改良による収入の向上があまりにも望めないため、逆に医療費にかかる支出の削減を考えたプロジェクトです。この国の農作物価格(原価)はあまりに安く、そのうえ下落傾向にあるため、それほど大きな土地を持たない一般農民にとっては、労力のわりには大した収入向上には結びつかないといった農村の現実を考慮した結果です。
 農業技術の改良と推進については、大学農場の技術が農民の農業には適さないため、大学外の仕事として土曜日、日曜日を利用し、ヘルマンが自分の畑を使って教えています。簡単にはこのような仕事内容ですが、実際のところ私もヘルマンも大学の仕事によって貧困層にいる農民の生活を容易に改善できるとは考えていません。というのも農民を取り巻く社会的な構造の問題があまりにも大きすぎるからです。
 簡単に触れておくと、農作物の買収価格はあまりにも安く不慮の災いに対して銀行から返す当てのない借金をしなければなりません。その借金返済として土地を取られ、プランテーション農園に売られます。土地なしとなった農民が、プランテーション農園で働く。このような負のサイクルへ陥る大きな流れを、技術者が行う農業技術の観点のみで観察しても全体の問題は見えてきません。
 地域農民のリーダー的存在でもあるヘルマンは、休日を利用して農民学校を開き、農業技術的な指導にとどまらず、弱い立場にある農民の団結と組織化を目的としています。弱者である農民同士の自立的団結がない限りは、この社会的構造の中で農民の生活向上は難しいと考えているからです。今後、このヘルマンの試みがどのように実を結んでいくのかわかりませんが、日々増えつつある農民参加者に未来への希望を託したいです。

最後に

 今にして思い返すと、活動初期からの1年間は農民の生活と途上国の現実を知るためだけに費やしたように思います。村落開発という漠然とした職種においては、自分が何をしたいかではなく、まず彼らが何を欲しているのかを感じ取れなければ、独りよがりな押し付けだけで終わってしまう気がしたからです。
 貧困者になればなるほど、われわれ大学関係者への口数は少なくなる、という現実の中で如何に彼らのデリケートな気持ちを察するかが重要となっていくのではないでしょうか。農民の気持ちを汲み取れるようにとヘルマンの家へ通い始めてはや1年が過ぎた。慣れないマチューテ(山刀)や農民の文化にもいつの間にかすっかり馴染んできた気がしますが、その一方で今まで見えなかった農村を取り巻く大きな問題が具現化しはじめてきた気がします。もちろん、それらの問題はすぐに解決できるものではないのですが、私の周りで働くすばらしいエクアドル人たちを見ているとそんな日も遠くはない気がします。
 宮沢賢治とチェ・ゲバラを尊敬し、農民のために働くことこそ自分の生きがいなのだというヘルマン。そして、そんなヘルマンを尊敬する私にとって、失敗も成功も含め、日々の試行錯誤が喜びと希望となるよう、残り半年をがんばりたいと思います。私にとってODAの世界は、人生を左右する貴重な人々との出会いを与えた場所です。


 ◇◆ 新しい国造りのための支援  
(原稿執筆:在ウクライナ大 二等書記官 南野 大介さん) ◆◇ 


スミ州立身体障害児リハビリセンターに医療機材を供与
スミ州立身体障害児リハビリセンターに医療機材を供与
 5月26日、スミ州立身体障害児リハビリセンターにおいて、「草の根・人間の安全保障無償資金協力」による医療・リハビリ機材(超音波診断装置、呼吸マッサージ機など約300万円相当)の引渡式が行われ、天江大使が出席しました。同リハビリセンターでは年間延べ3万人の子供たちがリハビリを受けており、センター長から「日本から供与された機材を大切に使い続けたい」と感謝の言葉が述べられました。当日はセンターの祭りも開催されており、工芸・絵画など子供たちの作品と共に日本からの新しい機材にも訪問者たちの関心を惹きました。
 ウクライナは、1991年に旧ソ連邦の崩壊に伴い独立した15の国家の内の一つですが、人口は約5千万人、面積はロシアを除いて欧州で最大(日本の1.6倍)で、欧州と中央アジア、ロシアと中東地域に近隣する地政学上重要な地位を占めています。日本でウクライナと言えば、チェルノブイリ原発事故、そして豊かな黒土地帯がまず思い出されます。独立後のウクライナは、一貫して市場経済に基づく民主的な国家を目指してきましたが、独立に伴う経済的混乱、人材の不足やインフラの老朽化のため新しい国造りには多くの困難が伴いました。日本は、このようなウクライナの国造りに対して多面的な支援を行っていますが、その支援の内容は大きく次の3つに整理することができます。
 第一に、チェルノブイリ被災者向けに実施される医療分野の支援があります。原因は異なるものの、被曝は日本とウクライナの共通の体験です。2000年、キエフ中心部にあるウクライナ最大のオフマディット母子病院に約7億3000万円の医療機材を供与しました。ここには、チェルノブイリ事故で被害を受けた当時の子供たちのうち、最も深刻な症状を抱える患者が通院しています。また、2002年からは草の根無償資金協力により、チェルノブイリ被災者にとって最も身近な村や地区の診療所に対しても医療機材を供与しています。先日も、ウクライナ北部のジトーミル州にある27か所の診療所に対するプロジェクトの実施を決定しました。核汚染の状況は徐々に改善されているものの、チェルノブイリの被害は決して過去のものではありません。例えば、汚染地域の森林火災などにより現在も汚染が拡大する可能性も残っています。更に、チェルノブイリ原発の閉鎖に伴い多くの技術者が失業しましたが、こうした人々に対する再就職のための職業訓練も重要な課題です。チェルノブイリ被害に対する支援は、今 後も日本とウクライナの政府関係者やNGOが一体となって取り組んでいくべき重要な課題と言えるでしょう。
 第二に、ウクライナの市場経済化支援が挙げられます。ウクライナは、かつてソ連において重工業の中心地であり高い技術を有していました。それにもかかわらず、市場経済への移行の中でそれらの技術が十分に活かし切れていません。外国からの投資を得ることによって科学技術の潜在能力を活かそうとしても、投資を呼び込むための法律整備が十分でなくノウ・ハウもありません。他方、EUの東方拡大によって、日本企業も労働力の安いウクライナ経済に魅力を感じ始めています。2004年6月、グリシチェンコ外相の訪日に際して川口外務大臣との間で技術協力・無償資金協力協定が署名されました。日本が旧ソ連諸国との間で技術協力協定を締結したのはこれまでのところウクライナが唯一で、日本が無償資金協力をも含めた包括的協定を締結したのはこれが初めてです。この協定によって日本の専門家、技術者の派遣が円滑に進められるようになり、市場経済において中心的な役割を果たし、日本・ウクライナ関係の将来を担う人材育成に一層力を注ぐことが出来るようになります。中でも、ビジネス・スクールや経済交流、技術交流の拠点となる「日本センター(仮称)」の設置が現在計画されています。
 第三の分野は、文化無償資金協力です。これまで、ウクライナにおいて5つのプロジェクトを実施しました。その内の一つ、音響機材を供与したイワン・フランコ劇場は、国内におけるウクライナ語文化の中心的存在です。旧ソ連時代、ウクライナにおいても民族共通語としてのロシア語の使用が奨励されました。時に、ウクライナ語は弾圧の対象ですらありました。民族のシンボルである言語文化の復興は、国造りにおいても重要な要素です。また、この劇場は日本との交流の拠点としても新たな地位を獲得しました。プロジェクト完成を記念して開かれた日本の和太鼓演奏会は、各方面から好評を博しました。
 ウクライナは独立から10年以上を経てようやく経済成長を取り戻し始めています。先に述べた技術協力・無償資金協力協定をはじめ日本からの支援も新たな段階に入っています。人道的支援、人材育成と経済交流推進、文化面での復興など、総合的アプローチで国造りに協力する日本からの支援に対しては、ウクライナ国民の間でますます期待が高まっています。


 ◇◆ [New!!] ODAホームページ新着情報 ◆◇ 

◆パンフレット「沖縄感染症対策イニシアティブ」

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/pamphlet/okinawa.html

◆対インドネシア国別評価調査(概要・全文)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/report/indness7.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0446_5.html

◆日本NGO支援無償資金協力 (平成16年度の交換公文締結日別)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou/ngo_m16_06.html

◆政策評価法に基づく事前評価書(無償資金協力)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0446_4.html

◆無償資金協力(平成16年度の交換公文締結日別)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou/siryo_5_21.html

◆月刊広報誌「国際協力プラザ」2004年6月号

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0446_3.html

◆ヨルダン国別評価報告書(概要・全文)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/report/jordan2.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0446_2.html

◆パプアニューギニア・インフラ整備分野の支援評価(概要・全文)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/report/png2.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0446_1.html





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