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□●□ ODAメールマガジン □●□ 2004年5月26日発行 第43号
 「国際協力50周年」については、前回のメルマガでもお知らせしましたが、この度ODAホームページ上に、参加募集のご案内を出しましたので是非ご覧下さい。「国際協力50周年記念事業」へは、地方自治体、民間団体、NGO等の積極的な参加を歓迎致します。共通ロゴマークを使用することで、国際協力に参加する全ての機関、団体、個人が一体となって国際協力を推進していくという雰囲気づくりに少しでも貢献できればと考えています。さて、今回のメルマガは、マレーシアから「日本への留学を夢見るマレーシアの若者達と日本人教師の姿」と、アルゼンチンから「エコテクノロジー-排水装置工事を終えて」の2話をお届けします。

 ODAメールマガジンは、ODA政策や様々な情報をタイムリーにお届けします。また、外務省ホームページODAコーナーでは、新着情報を続々と更新しておりますので、是非ご覧下さい。

ODAホームページ http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index.html


 ○● トピックス ●○

 ○日本への留学を夢見るマレーシアの若者達と日本人教師の姿
  (原稿執筆: 文部科学省マラヤ大学日本人教師 教科長
         中村 一治さん)
 ○エコテクノロジー-排水装置工事を終えて
  (原稿執筆: アルゼンチン共和国ブエノスアイレス州
         ラプラタ私立自然公園配属 シニア海外ボランティア
         水野 恵子さん)
 ○[New!!]ODAホームページ新着情報



 ◇◆ 日本への留学を夢見るマレーシアの若者たちと日本人教師の姿  
(原稿執筆:文部科学省派遣マラヤ大学日本人教師 
 教科長 中村 一治さん) ◆◇ 


 常夏の国マレーシア。緑豊かな近代都市である首都クアラルンプールには、マレーシアを代表する国立マラヤ大学があります。その広大なキャンパスの一角に日本のODAによって「マラヤ大学予備教育部・日本留学特別コース」(通称AAJ)が設置されています。今回は日本への留学を夢見てAAJで 学ぶマレーシアの学生たちと、彼らを親身に指導する日本人教師の姿を紹介したいと思います。

1.ルックイースト政策
 昭和56年マハティール・モハマド首相(当時)は「ルックイースト政策」を国策として採用し「職業倫理と技術そして文化」を、日本を手本として学ぶことを宣言しました。政策の具体化にあたり日本とマレーシアの両国協議の結果、マレーシア全土から選抜された優秀な若者を「マレーシア政府派遣国費留学生」として日本の大学に留学させることが決定されました。この留学前の予備教育を実施する機関がAAJであり、現在に至っています。過去21年間に日本の大学に留学した学生数は2,245名を数え、主に国立大学の工学部に入学をしています。卒業後はマレーシアに帰国し、マレーシアの産業社会の中枢を担って活躍をしています。

2.日本の協力
AAJの正面ロータリー
AAJの正面ロータリー
 AAJは日本のODAによって援助されています。教室などの施設は日本政府がマラヤ大学構内に合計7.7億円の無償資金援助を行って建設されたものです。学生は日々、恵まれた環境の中で学習をすることができます。
 またAAJで予備教育を行うために32名の日本人教師が日本から派遣されています。日本語を教える教師13名は国際交流基金から、また数学・物理・化学を教える教師19名は文部科学省から2年の任期で派遣されています。これは世界でも類を見ない画期的な支援ということができます。

3.がんばる日本人教師たち
 AAJで教える私たち日本人教師にとって「マレーシアの地でマレーシア人の学生に対して日本語で授業をする。」というおよそ世界で例のないこの仕事が、いかに難しくまた責任のある仕事であるかを痛感する毎日です。学生の人数は2学年合計約360人。彼らは青春のすべてをかけてこのAAJで勉強をしています。しかし日本に留学をするためには最後に文部科学省試験に合格をしなければなりません。この関門に1人の脱落者もださぬために、教師は1時間の授業も欠かすことはありません。授業が終わると宿題を添削して、必ず翌日には返却をして彼らの努力に応えます。来る日も来る日も学生と教師の二人三脚が続きます。
日本語の授業を行う 谷口 正昭 団員
日本語の授業を行う 谷口 正昭 団員
 前期試験が終わると、クラス担任は大忙しになります。学生たちが日本の大学のどのような学部学科を希望しているかなどを、面接を通して把握します。自分の適性を誤って、不本意な留学生活を送ることがないように毎日毎日ねばり強く面談を行い、学生の将来について真剣に話し合う日々が続きます。
 そんな私たちの切実なる願いは、学生の人数に対して教師の人数が少ないので,ぜひ派遣者数を増やして欲しいということです。日本語の授業は1教室あたり23人、数学・物理・化学はそれぞれ1教室あたり30人という人数比になっています。本来優秀な学生であるはずが、言葉の壁のために学習がうまくいかないこともあるので、1人1人に目が届く授業を行いたいというのが私たちの本音です。特に日本語の授業はすべての基本であり、年間を通して習熟度別授業を展開しています。習熟度の低い学生に対してはまさに1対1の指導をしなければなりません。日本語の力がないとすべての科目の定着度が低くなり文部科学省試験の合格は望めません。
 このようなさまざまな困難の中で、私たちは日本から派遣されてマレーシアの学生を教えることに誇りと喜びを感じながら、今日も教え子たちの未来のためにがんばっています。

4.日本留学への夢を語る
 AAJ第2学年で学ぶ学生諸君が日本留学への夢を語ります。この夢を実現させることが、私たちの夢でもあります。彼らの生の声を聞いてください。

ウマルさん顔写真
・ウマル(男) 
 私は高校生の時、外国へ留学することを決心しました。日本は勉強するのにとてもいい所だと聞いたので,日本へ行くことにしました。日本は科学や技術の進歩がとても素晴らしいので、理工学科に進みたいと考えています。帰国してから習った知識を活用して、更にマレーシアを発展させることができると思っています。

ファイズリさん顔写真
・ファイズリ(男)
 大阪大学に入ることが私の夢です。大阪大学では化学工学を勉強したいと思っています。マレーシアでは今、化学の専門分野を学ぶことを奨励しているからです。卒業したら,日本でマレーシアと関係がある会社に勤めたいと考えています。そして日本とマレーシアの関係がこれからも、もっともっと深まるように努力していきたいと思います。

マンさん顔写真
・マン(男)
 私は以前から日本人がとても長生きであることに感心していました。日本は,医学の分野での技術が進んでいます。それで,私は日本では医学を専門に勉強したいと思っています。特に、人工心臓などが作れるような高い技術を身につけたいので、医学と同時に工学の勉強もしたいと考えています。ほかの研究者とも協力して医学を更に進歩させたいと考えています。

ナジハさん顔写真
・ナジハ(女)
 日本の技術は、ほかの外国よりずっと進んでいると思います。だから、私は日本へ行って横浜国立大学で電子工学を勉強したいと思っています。また、日本文化がよく分かるように、できるだけ大勢の友達を作りたいと思います。最後の私の夢は日本での経験を生かして、マレーシアで自分の会社を作ることです。私はその大きな目標を達成するために、今AAJで一生懸命勉強に励んでいます。

5.最後に
スポーツ大会での綱引き
スポーツ大会での綱引き
 平成15年10月にマハティール首相が惜しまれつつ引退をして、アブドラ首相が後任となりました。その後もルックイースト政策は継承され、AAJの入学定員をさらに増加させようとするマレーシアの計画さえ聞こえてきます。日本に寄せる期待がいかに大きいかを身に浸みて感じることができます。マレーシアの若者がその青春時代のすべてをかけて学びたいと思う日本が、いつまでも彼らの手本となりつづけていて欲しいと思います。彼らにとっての「本当の教師」は,私たちではなく日本そのものであるという気がしてなりません。


 ◇◆ 「エコテクノロジー排水装置工事を終えて」  
(原稿執筆:アルゼンチン共和国ブエノスアイレス州 
ラプラタ市立自然公園配属 シニア海外ボランティア
水野恵子 さん(2004年4月帰国)) ◆◇ 


 私の配属先は、200ヘクタールの敷地を有する市立自然公園(1998年開園)で、その公園事務所を拠点にして、周辺地域と200の学校に環境教育を行っている教育者集団です。環境保護・自然エネルギー・河川水質・ごみのリサイクル・有機農法などなど、広範囲にわたるプログラムを年間通し実施してきています。

 この国の環境保護と自然エネルギー活用への意識は大変高いのですが、残念ながら、ごみ処理と生活排水への問題意識は驚くほど低いです。生活排水および工場廃水が水質汚染源となっている点は、2003年11月の北野大・淑徳大学教授と厨川道雄氏JICA産業公害プロジェクトリーダー)による論文『アルゼンチンの産業とエネルギー、環境問題(その1,その2)』(国際コミュニケーション学会、国際経営・文化研究、Vol.8、No.1、pp37-48(その1)、pp49-58(その2))に詳しく、上記論文は都市部の下水道普及率の低さ(ブエノスアイレス市と周辺地区45%)に触れていますが、地方にあたっては更にひどく、深い穴を掘っただけで「垂れ流し」状態であると聞きます。これぞ究極のエコロジーと言いたい所ですが、地下水位が高いために、地下水に雑排水が容易に混入してしまうのです。即ち「味噌」と「糞」が混合し、飲料水に悪影響を及ぼすということです。

 C/P(カウンターパート)達は、早くから生活排水への問題意識を持ち、解決策を提示し、その実施を計画してきていましたが、工事予算確保が困難で何年もの間保留されたままでした。本件の実施は、この国の環境問題への技術移転の上で大変重要なプロジェクトであることから、私としては、着任後直ぐ6月には概算工事費算出に取り掛かりました。臨時現地業務費で建設資材(砂、粘土、セメント、パイプ等)を購入し、配属先から建設機材と労働力を得て実施する計画を検討しました。JICAアルゼンチン事務所には重要性を理解頂き、迅速な判断を下されたことに感謝申し上げます。

 しかし、ここから先は連続的に問題を抱えることとなりました。直ちに申請手続を進めましたが、決裁されてから現実の材料購入に至るまで2か月半を要しました。9月下旬にやっと着工できると関係者一同大喜びしたのも束の間、公園ディレクターは現況把握と工程会議を行っただけで、建設部署へ建設機材・労働力の手配もせずに、バケーションに入ってしまいました。その後も極一部、配管用の穴を掘っただけで現場離脱。何度も催促しJICAからも足を運んで頂いきましたが、返事ばかりが立派で全く行動を伴いません。2か月経っても全く動く気配も無く、さすがに私自らスコップを握って行動に出ようと考えた時、この工法の技術指導に当っているラプラタ大学研究所のラプラタ大学自然科学学部湖沼生物学科長アレハンドロ・マリニェラレナ博士が見かねて「この工法の実現には大きな波及効果が掛かっている。自分に陣頭指揮を取らせて欲しい」と申出てくれました。そして助手を二人連れて現れ、自らも現場作業に取組み始めてくれたのです。

 既に夏を迎えていました。

 ここで少し、どんな工法・装置なのかを簡単に説明しておきます。

 4メートル幅X5メートル長X70センチメートル深さのプールが2つ並んでいるのを想像して下さい。70センチメートルの土手を粘土で盛上げて囲ったプールの内に砂利を敷きつめ、ここに葦(よし)などの水質浄化能力を持つ植物を植込みます。生活雑排水を2つのプールのフィルターを通過させて浄化する工法で、浄化槽と比較して安価なこと、工事が容易である利点が上げられます。日本では多少形体は違いますが、下水道の完備していない山間部の自然公園等で採用している工法です。広大な土地を有するアルゼンチンにとって有効な手立てと言えます。

 さて、工程が後半に入った真夏のある日、日頃なら10名前後のスタッフが手狭な事務所にひしめき合って執務中の時間帯なのに、その日は受付スタッフ以外誰一人として姿が見えませんでした。「皆は何処にいるの?」と聞くと、排水装置現場の方向を指差しながら「皆朝から外で作業を手伝っているのよ。私も手伝いたいけど電話を取らなければいけないから」と、とても残念そうに答えました。私は直ぐに外に走り出ました。そこで目にしたのは、陣頭指揮を取るアレハンドロ氏、上半身裸になった男性達、ズボンを捲り上げた女性達が汗みどろになってバケツリレーしている姿でした。日頃は机上で環境教育の教材を作成している教育者集団は、状況に即対応、現場作業員に変身して必死に砂利運びに取り組んでいました。この柔軟性と実行力、そしてその熱意に敬服しました。既に数時間経過した後の暑さに、ホースから水を飲む、着衣の上から水を浴びる、遂には長い髪を水でビショビショにして冷を取りながら作業を続ける女性達の姿までありました。

 重労働しながらも冗談をとばしあい、笑いがあふれ、実に楽しそうに生き生きとして、誇らしげでもありました。程なく昼食時間になりましたが、話題は近隣地域の環境問題ばかり。まさに文武両道の人材の結集は、この国の将来を憂える多くの人達の思いを一掃して余りあるものでした。

 論文『アルゼンチンの産業とエネルギー、環境問題』の「7.結論」の中で、「もうひとつの問題点はこれらの国が先進国の失敗に学ぼうとする態度がない点です。環境よりも経済、まずは物の豊かさを求める考え方です。(引用)」と書かれているとおり、国の政策および経済・産業界は環境問題について無策なのは事実ですが、同論文中の「ライフスタイルについては地道な環境教育が必要であろう。(引用)」は、文武両道の人材群によって既に自然公園を拠点として開始されていると訂正させていただきます。そして、大学等の研究者達も又、予算不足に喘ぎながらも地道な活動を展開していると加えておきます。

 むしろ問題点は、選挙のたびに末端職員にまで及ぶ人事異動によって継続性が断ち切られている事、縁故採用から充分な専門的能力を持たない人が重職に付く社会の在り方にあると思えてなりません。有能な人材の海外流出は自明の理と言えます。

 この状況下にあっても、この国にとどまって、使命感をもって行動し続ける若き人材達に、実力発揮の場が均等に与えられる時代、それこそアルゼンチン復興の時でしょう。
 そんな日が早く来ることを切望してやみません。


 ◇◆ [New!!] ODAホームページ新着情報 ◆◇ 

◆無償資金協力 (平成16年度の交換公文締結日別)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou/siryo_5_21.html

◆パプアニューギニア・インフラ整備分野の支援評価(概要)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/report/png2.html

◆モロッコ水資源開発分野協力評価(全文)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0443_1.html

◆政策評価法に基づく事前評価書(無償資金協力)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0443_2.html

◆政策評価法に基づく事前評価書
 (タイ王国:第二バンコク国際空港建設事業VI))

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0443_3.html

◆草の根・人間の安全保障無償資金協力(約束日別 平成15年度)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou/h_15/gctb_0403.html

◆無償資金協力(入札結果等の公表)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0443_4.html

◆平成16年度NGO事業補助金 募集要項

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0443_5.html

◆平成16年度「NGO相談員事業」委嘱団体募集

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0443_6.html

◆国際協力50周年記念事業について

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/annai/50/kinenjigyo.html





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