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□●□ ODAメールマガジン □●□ 2004年4月9日発行 第40号
 日中はすっかり汗ばむ陽気になってきましたが、皆さんゴールデンウィークの予定は決まりましたか?
 さて、今回のメルマガでは、インドネシアから「心と心でコミュニケーション(会話)する」と、コスタリカから「障害者の『人生の質』向上を目指して~25年間の協力隊派遣を通じて~」の2話をお届けします。

 ODAメールマガジンは、ODA政策や様々な情報をタイムリーにお届けします。また、外務省ホームページODAコーナーでは、新着情報を続々と更新しておりますので、是非ご覧下さい。

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 ○● トピックス ●○

 ○心と心でコミュニケーション(会話)する
  (原稿執筆: 在インドネシア青年海外協力隊員 森川 薫さん)
 ○障害者の「人生の質」向上を目指して~25年間の協力隊派遣を通じて~
  (原稿執筆: 在コスタリカ青年海外協力隊
         15年度シニア 石橋陽子さん
         14年度1次隊  五味美智代さん
         14年度2次隊  引野里絵さん)
 ○[New!!]ODAホームページ新着情報



 ◇◆ 心と心でコミュニケーション(会話)する  
(原稿執筆: 在インドネシア青年海外協力隊員 森川 薫さん) 
 配属先: 社会省聴覚障害者施設メラティー 
 派遣期間: 2001年12月3日~2004年6月30日 ◆◇ 


 ここはインドネシアの首都ジャカルタ。日本から飛行機で7時間、スカルノハッタ国際空港から車で高速道路を南へ1時間走ると私が活動するメラティー聴覚障害者施設が見えてきます。街中の高層ビルが立ち並ぶ様相とは対照的に、施設の周りはまだまだ自然がたくさん残っています。季節になるとバナナやランブータンなどの木々にはたくさんの果実がなり、野原ではヤギや牛が草を食む光景がそこここで見られ、ここが一国の首都なのかと目を疑うことがしばしばあります。
 私の活動は、この緑で囲まれた施設で、耳が聞こえない子供たちに洋服つくりを指導することです。施設で寮生活する子供たちは年齢が15歳から33歳、出身地がジャワ島、スマトラ島、宗教もイスラム教徒、クリスチャンと、いろんな点で異なる文化を持つ者が、ひとつ屋根の下でみんな力をあわせて技術訓練に励んでいます。
 赴任当初の一番たいへんだったことがコミュニケーションをとることでした。インドネシア語を勉強して間もない私にとって、施設のスタッフと授業内容を考えたり、洋服つくりのために必要な技術のことを話し合ったりして、自分の伝えたい事を理解してもらうためには多くの時間を必要としました。授業が終わり自分の部屋に帰ってからも、スタッフが話していたあの言葉は何だったかな、自分が喋った言葉は正しかったかな、などと辞書を使って調べる日々が続きました。また、生徒たちとコミュニケーションをとることは施設のスタッフとのそれとは比べられないほど難しいことでした。施設のスタッフは私のつたないインドネシア語でも我慢強く聞いてくれますが、耳が聞こえない生徒たちには、私が覚えたインドネシア語も意味を持たないのです。子供たちとコミュニケーションをとるには手話も勉強しなければならないのです。今度は子供たちに自分の伝えたいことを理解してもらうために、施設から手話の辞書を借り勉強する日が続きました。
 施設で活動して半年が過ぎたころ、まだまだ十分ではありませんが施設のスタッフとはインドネシア語でコミュニケーションがとれるようになりました。しかし、生徒たちと手話でコミュニケーションをとることはなかなか思ったように進まないのです。なぜならば、多くの生徒たちはこの施設で訓練をする以前に、一度も教育機関で勉強したことがないからです。貧富の差が激しく失業率の高いこの国で、障害を持つ生徒たちが今までに教育の機会を得られなかったのは当然なのかもしれません。
 手話もインドネシア語も理解できない、簡単な足し算引き算もできない生徒たちに洋服つくりの楽しさを伝えられる方法が何かないかなと考えていたある日の夕方、教室から生徒たち同士が仲良くベンチに座ってコミュニケーション(会話)しているのを見ていました。特に何をしているわけでもなくずっと向き合ったまま、たまに手話を使って何かを相手に伝えているという感じなのです。1時間、2時間たってもその場から離れずにずっとそうしているのです。このときに、やっと何かヒントを得たような気がしました。生徒たちは時間をかけて、心と心でコミュニケーション(会話)しているのだなと。インドネシア語や手話を理解することももちろん大切なことですが、生徒たちひとりひとりの性格を知り、何を考えているのかを理解するほうがもっと大切なことだったのだと分かりました。
 それ以来、授業中であっても、どんな些細なことでも、私と生徒お互いが理解しあえるまで十分に時間を取り、生徒と心で通じ合えることを第一に活動することを心がけました。私の活動期間は限られたものなので、このままでは私の洋服つくりに関する知識をすべて生徒たちに伝えることはできないかもしれません。しかし、心と心で洋服つくりの楽しさを伝えることができれば、私がこの施設を去った後に、生徒たちは自身の力で知識や技術をきっと習得することができるはずだと思います。

 “心と心でコミュニケーション(会話)する”
 生徒たちから大切なことを教わったような気がします。


 ◇◆ 障害者の「人生の質」向上を目指して
          ~25年間の協力隊派遣を通じて~  
(原稿執筆: 在コスタリカ青年海外協力隊: 
15年度シニア 石橋陽子さん     
14年度1次隊  五味美智代さん    
14年度2次隊  引野里絵さん) ◆◇ 


はじめに
 コスタリカ=人権・平和・教育・エコツーリズム等のイメージが一般に思い浮かぶのではないでしょうか。確かに、中米においてコスタリカは社会開発が進んでおり、社会的弱者支援が国の重点分野としてもあげられています。障害者支援に関しても、機会均等法が制定されており、分野ごとに包括的な規律が定められています。しかし、法律・政治が現場での実践に十分結びついていないのが現状です。

リハビリテーションセミナーの開催
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セミナー分科会の様子
 1979年から44名の青年海外協力隊員が同分野に派遣されてきました。うち26名が理学・作業療法士であり、リハビリテーションという言葉がまだ知られていなかった時から、その発展に貢献してきました。「障害者を中心としたチームワークの不足」は、彼らが共通して定義してきた問題点です。共通目標もなくコーディネートもない状態で各専門職の人がそれぞれのアプローチをとるため、効率が悪く、リスク管理もできない上、障害当事者や家族のニーズがリハビリに反映されない状況の中、隊員達は個人の活動だけでは解決できないというジレンマを抱えてきました。
 2002年、国際協力機構(JICA)とコスタリカ国家リハビリテーション特殊教育審議会の共同開催として「チームワーク」をテーマとしたリハビリテーションセミナーが実施され、退院が抱えてきた課題への具体的な取り組みが始まりました。昨年11月には第2回セミナーが実施され、JICAが新しく導入した広域研修制度により、7か国からの参加者32名を含む150名が出席しました。コスタリカ全体、さらにはコスタリカを拠点とした中米カリブ地域でのリハビリテーションの質改善を目指したーの展開をきっかけとし、協力隊員を含めた障害者支援関係者の意識及び意欲の向上が感じられます。

協力隊員の活躍
 現在、コスタリカでは9名の協力隊員が障害者支援分野で活動しています。今回は2人の隊員の活動を紹介します。

■五味美智代(14年度1次隊 理学療法士)
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五味隊員
 私はカルタゴ県にある養護学校で勤務しています。当校には0~22歳の身体障害者や知的障害を持つ約5000人の生徒が登校しています。
 私は、週一回担当の教員と各家庭を訪問し、リハビリ指導を行っています。これは、「通学困難な子に学校教育・リハビリ指導を」と言う校長の希望により始められました。しかし、家庭訪問対象児の場合、経済困難で学校までの交通費が出せない、障害が重く家から出る事が出来ない、家が山の中にあり交通手段がない等の他にも様々な問題を抱えていることから、現地の理学療法士(PT)は訪問リハビリ指導に参加したがりません。すぐにリハビリ指導の効果が見える子を担当したい現地PTには、訪問対象児の抱えている問題は大きすぎるのかもしれません。訪問対象児のリハビリ指導で何ができるか考え、「この子に何が必要なんだろう?」と質問した私に、「Calidad de vida」(人生の質)と現地PTは答えました。その答えには2つの意味があるように感じました。1つはPTのできる事は何もない、せめて神のご加護をという意味。もう1つは、その子の人生で何が必要かを考え、その人生を少しでも楽しめるようにという意味です。後者を行うのは障害者福祉策のまだまだ整備されていないこの国では大変な事です。PTとして何ができるか考えるとさらに難しいのですが、担当の教員に助けてもらいながら、少しずつこの仕事の楽しさが分かってきました。
 1人1人の障害者(児)とその家族の「Calidad de vida」が向上すること。また、現地PTがそれぞれの障害者(児)に対する「Calidad de vida」を考えリハビリ指導を行うことを願いながら、私も現地のスタッフと毎日働いています。

■引野里絵(14年度2次隊 作業療法士)
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引野隊員
 私が活動しているCentro Atencion Integral(総合ケアセンター)は、日本でいうと養護学校と教育センターが合体したようなところで、0~18歳を対象としています。日本と大きく異なる点は、地域の普通学校に通うハンディを持った子供達を特殊教育教員が定期的に訪問してフォローするシステムがあることです。しかし、その一方で、地域の学校に通えないような重度の子供達へのフォローが手薄であるのは今後見直していくべき点であると思います。
 私の同僚は特殊教育教員のほか、理学・作業・言語療法士、ソーシャルワーカー、心理、音楽、体育、美術教員と多彩です。また、日本で研修を受けた経験を持つ2人の理学療法士の存在は私にとって心強いものです。残念なことに昨年度の私の活動は、個別セッションをすることに終始せざるを得ず、他職種の同僚たちと仕事上での交流がほとんどありませんでした。今年度は初めて現地人作業療法士が採用され、コスタリカ人中心のチームを組んでサービスを提供する環境が整いました。また、日本で研修を終えたばかりの理学療法士を中心に「チームアプローチをしよう!」という意識が少しずつ高まってきています。彼女たちのやる気と向上心からは私も学ぶことが多いです。また、だからこそ、 この機会を大切にチームアプローチを現実的なものとして、利用者に還元できる様に協力していきたいと思います。

現場に根付く協力を目指して
 25年の間に派遣された隊員や様々な人たちの協力の積み重ねにより、国全体のリハビリテーションのサービスと質の向上をめざした活動が展開できるようになってきました。セミナーを通じて、多くの障害者、リハビリテーション関係者の意欲・知識・技術向上が行われています。そして、隊員たちが配属先においてセミナーで学んだことを現場に浸透させようと現地スタッフと一緒に活動しています。現場に「障害者を中心としたチームワーク」がしっかりと根付くには、まだ時間が必要です。しかし、現場で活動する私達も、チームとなり、同じ目標に向かって一歩一歩前進していきたいと思っています。


 ◇◆ [New!!] ODAホームページ新着情報 ◆◇ 

◆パンフレット:ODA-日本の政府開発援助「地球の未来をつくる」

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/pamphlet/oda.html

◆有償資金協力 (平成15年度の交換公文締結日別)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou/siryo_5_19.html

◆平成16年度NGO専門調査員事業 受入希望団体/NGO専門調査員 募集

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0440_1.html

◆無償資金協力審査ガイドライン(暫定版)に対するご意見募集

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0440_2.html

◆平成15年度ODA民間モニター報告書の提出(第II期派遣)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0440_3.html

◆政府開発援助(ODA)白書 2003年版 概要

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hakusyo/2003.html

◆平成15年度 ODA民間モニター報告書(第II期派遣)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/2004/0440_4.html


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 編集・発行 外務省経済協力局(〒100-8919 千代田区霞が関2-2-1)

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