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□●□ ODAメールマガジン □●□ 2003年12月11日発行 第32号
 いよいよ師走に入りましたが、東京地方は温暖のためか分厚いコートを着る人もまだあまり見受けられません。皆様の地域ではいかがでしょうか?さて、今回のメルマガでは、南太平洋に浮かぶソロモン諸島から「小さな『草の根・人間の安全保障無償資金協力』は大きな戦力」と中米に位置するメキシコから「日系社会を通じたメキシコ社会への協力」の2話をお届けします。

ODAホームページ http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index.html


 ○● トピックス ●○

 ○小さな「草の根・人間の安全保障無償資金協力」は大きな戦力
  (原稿執筆: 在ソロモン日本大使館 臨時代理大使 高浜 清さん)
 ○「日系社会を通じたメキシコ社会への協力」
  (原稿執筆: 在メキシコ日本大使館 一等書記官 田中 豪一さん)
 ○日ASEAN特別首脳会議の開催などについて
 ○[New!!]ODAホームページ新着情報



 ◇◆ 小さな「草の根・人間の安全保障無償資金協力」は大きな戦力  
(原稿執筆:在ソロモン日本大使館 臨時代理大使 高浜 清 さん) ◆◇ 


(ソロモンのモダンスタイルである)Tシャツ、七分ズボン、ビーチサンダル、タスキがけしたソロモンライスの空袋をバック代わりにして、彼(女)は大使館にやってきた。「ハロー、ハウ?」の挨拶から始まり、約30分に及んだミーティングは、ようやく本題に入ってきた。。。。(注:「彼(女)」は時として酋長であったり、政府高官であったり、ビジネスウーマンであったりします)

 ここソロモン諸島国は、人口約45万人、南太平洋に浮かぶ100を超える緑豊かな島々からなる群島国家。その島々には、黒褐色の肌をしたメラネシア系の人々が住み、それぞれが異なった言語と風習を維持しています。小さい島々ながら、様々な民族が住む多民族国家とでもいえるのではないでしょうか。「ソロモン諸島」といってもピンとこない人にとっても、「ガダルカナル」といえば、聞いたことがあるという人が多いでしょう。ここは太平洋戦争において日本が敗戦の道を歩むにいたる米軍との間の戦闘が行われた激戦地であり、実際に当時多くの日本兵の方々が、戦闘に加えてマラリア、飢餓という非戦闘要因とも戦わなければならなかった地でもあります。1943年にガダルカナルから撤退できたのは約1万人、ガダルカナルで命を落とした日本兵は2万人に上り、その3分の2は、飢餓によるものでした。そんな事情もあり、幸運にも生還されて日本へ戻られた方々やご遺族が慰霊団として毎年この地を訪れます。

 冒頭ミーティングの情景のように、ソロモン諸島の人々は、どこか日本人と似通った面があります。即ち、コミュニケーションの取り方が、お互いにズバズバと意見を言い合うというよりも、どこか遠回りな言い方をする点です。そんなこともあって、ここで御紹介する「草の根・人間の安全保障無償資金協力」を進める際にはまずプロジェクトについての話し合いを行いますが、その際にも担当者とのミーティングはしばしば長くなることがあります。何が必要なのかためらっていてなかなか本題に入らない。これも何となく恥の文化と言えるのかもしれません。

 1978年にソロモン諸島が英国より独立して以来、日本政府は無償資金協力を通して、同国の経済開発に協力してきました。しかし2000年に部族抗争が激化し、治安が悪化したため、一般無償援助の停止、JICA/JOCVの撤退を余儀なくされた中で、「草の根・人間の安全保障無償資金協力」は、在ソロモン日本大使館の大きな仕事の一つとなってきました。

 草の根レベルのコニュニティが直接裨益するこの援助のしくみは、当国政府のみならず、市民団体やNGOグループ、他のドナーからも大きく評価されており、連日のようにメディアに大きく報道されています。在ソロモン日本大使館としては、平成14年度において、小学校校舎建設、医療診療所建設、医療器具供与、水供給など19件(約7,000万円)の草の根案件を実施してきました。このソロモンでは、インフラ整備の需要は大変高いものがあり、一番多い要請は小学校建設ですが、学校や医療診療所建設は、地元の経済効果向上にも役立っており、地域の方に日本の援助を目のあたりにしてもらえる点、その効果は抜群です。反面、一部の人々の利潤追求の手段にならないように気をつける必要も あります。

 ソロモン諸島は、マラリア汚染地区であることはよく知られていますが、このマラリア対策にまつわるプロジェクト(草の根無償)をここで紹介しましょう。当館は、平成14年度案件の中で、「僻地顕微鏡検査士のための顕微鏡計画」を実施しました。昭和61年に一般無償資金援助で建設されたマラリア研修研究センターにおいて、1999年まで、ベクターボーン疾病対策プログラム(Vector Borne Disease Control Programme:VBDCP)により、僻地にあるコミュニティ毎にマラリアにかかっているかどうかを診断する顕微鏡検査士を養成してきました。彼等のお陰で、マラリア感染件数も全体的に減少傾向にありましたが、過去3年間におよぶ部族抗争のため、このプログラムのトレーニングを修了した検査士に、顕微鏡を提供することができなくなり、それに呼応するかのように、2000年、2001年のソロモンにおけるマラリア感染件数は再び上昇に転じました。そのため、日本は、マラリアの早期発見と適正な治療が可能となるよう、検査 士にマラリア診断用顕微鏡44台とトレーニング用顕微鏡10台を提供しました。中央政府の中でも比較的「しっかりもの」の保健省が、顕微鏡がソロモン諸島に到着しても支払いをなかなか行わないなどのハプニングがありハラハラドキドキの場面もありましたが、なんとか支払いも終了し、現在は顕微鏡検査士の訓練も順調に行われ、来年には顕微鏡も地方へ発送が開始される予定です。

 このプロジェクトには、実は、日本兵の遺骨収集事業にも一役買うことにもなりました。ここソロモンでは、未だ多数の日本兵の遺骨が眠っているため、厚生労働省や民間レベルでの遺骨収集団が毎年のようにソロモンを訪問しています。しかし、この遺骨収集に当たっては、収集場所の地主との間で収集許可を得るための交渉が行われますが、これが一筋縄ではいきません。しかし、今回、厚生労働省による遺骨収集団が訪れたマサマサ島(ソロモン諸島最西端にあり、かつての日本海軍の水上機基地)の地主に44台の顕微鏡のうちの1台が同地域に寄贈されることが知れると、彼等より感謝の意が表明されると共に遺骨収集の交渉がスムーズにいきました。

 2001年度までの当館の草の根無償案件は、首都のホニアラに偏りがちでした。地方に行けば行くほど状況把握が難しくなる(国内線といっても軽飛行機とボートに乗り外海の荒波にもまれながら目的地に行かざることを得ないことや通信施設が未発達であるため)反面、プロジェクトが成功すれば、その分、波及効果は大きいものがあります。ソロモン諸島全体の人口の8割以上の人達が地方に住んでおり、その人々のためのプロジェクトを実施していかないことには、草の根・人間の安全保障無償資金協力本来の意義が薄れることになると言っても過言ではないでしょう。在ソロモン日本大使館では、(苦労は多くとも)これからもソロモン諸島の地方の人々のためになる地方案件の実現に向けて積極的に取り組んで行きたいと考えています。


 ◇◆ 「日系社会を通じたメキシコ社会への協力」  
(原稿執筆: 在メキシコ日本大使館  一等書記官
田中 豪一さん) ◆◇ 


写真  メキシコは、近年一人当たり国民所得が6,000ドルを超える一方で、人口1億人のうち約50%は依然貧困状態にあると言われています。地域的には、米国と国境を接し比較的経済開発の進んだ北部諸州やメキシコシティ周辺部に比べて、中米に近い南東部の地域は社会開発が遅れているのが現状です。このように地域的にも社会的にも多様性に富んだメキシコに対し、当館としても各地域社会の特性に合わせた支援を行うよう心がけています。その中で、今回のメールでは、メキシコにおける日系社会を通じた協力についてご紹介したいと思います。
 中南米における他の国々と同様、ここメキシコにも日系人の方々がおられます。メキシコでの日系移民の歴史は、中南米諸国の中でも最も古く、百年以上 の歴史を数え、いわゆる日系人と呼ばれる方々は約1万5,000人を超えると言われています。現在、当館では、「メキシコで長年に亘り苦労と努力を重ねた日系社会が、恩恵を受けたメキシコ地域社会に貢献する」というテーマの下、日系人や日系企業の方々が、地域の保健医療、基礎教育、環境保全などのためのコミュニティレベルのプロジェクトを発掘・形成し、当館が草の根・人間の安全保障無償資金協力のプログラムを活用してそのプロジェクトの実現を応援するという取組を進めています。
写真  このような取組を通じて、メキシコにおいて大きな存在である日系社会が、引き続き力強く、かつ、より深くメキシコ社会に根を張って、存在感をもって精力的に様々な活動を展開していくことに寄与することにより、日・メキシコ友好関係の一層の発展、維持強化を図ることが当館の狙いです。そのような取組の中から、本年度の草の根・人間の安全保障無償資金協力によるチアパス州アカコヤグア町における「日系移民百周年中学校の教室建設プロジェクト」を実施することになりました。

 アカコヤグア町の日系移民百周年中学校は、メキシコの中でも貧困州の一つであるチアパス州(州民一人当たり年間GDPは2,700ドル前後でオアハカ州と並ぶ最貧州)内でも、貧困状態や保健医療、基礎教育分野等で特に他地域との格差が大きいとされる州南部のソコヌスコ地域に位置します。同地域は、日系移民縁の地(1897年に榎本開拓移民団が上陸したプエルト・マデロ港を擁し、アカコヤグア町はその最初の入植地)であり、現在でも3,000名を超える数の日系人の方々が生活しています。

写真  同中学校については、在墨日系人(二世)の代表的な実業家の一人であるカルロス・春日氏(メキシコ・ヤクルト社長)による援助(毎年卒業生90人前後をメキシコシティ修学旅行に招待するなど)や、本年メキシコ連邦政府によるE-MEXICO計画(教育・研究機関などを衛星通信網によるインターネットにより連結し、連邦政府が教育情報、学術文化情報等を提供するもの)の対象校として認定されたことなどから、近年その高い教育レベルにより近隣の父兄及び生徒から高い評価を得ており、アカコヤグア周辺の他の町村からも入学希望者が集まるなど、生徒数が増加傾向にあります。(三学年を合わせた生徒数は、昨就学年度498名に対し本就学年度('03年9月以降) 533名に増加。)
 しかしながら、図書室には極めて少数の蔵書しかない上、閲読スペースがなく、図書室と併設された製図室や講堂を一般の教室に充てているほか、簡素な屋根をかけただけの屋外スペースをも教室として仮利用せざるを得ないなど、生徒数に比較して教室等が逼迫している状態にあります。
 本プロジェクトは、このようなアカコヤグア周辺住民の就学ニーズを踏まえるとともに、直接の裨益対象者を日系社会に限定せず、むしろ日系社会が大使館とカルロス・春日氏による支援を活用してメキシコ社会に貢献するものとして、同中学校の4つの教室の建設工事を支援するものです。(カルロス・春日氏は、建設費用に係る付加価値税相当分、約10万ペソ=120万円相当を贈与。)

写真  2003年11月25日、本プロジェクトのための資金供与の贈与契約締結後、当館の西村大使とカルロス・春日氏が揃ってお祝いのため日系移民百周年中学校を訪問したところ、学校では校長先生、町長、教員、全校生徒約500人が待ち受けており、生徒達は大使一行の歓迎のための歌や踊りなど様々なショーを披露し、数多くの生徒や学校関係者からの感謝の言葉が寄せられ、さながら町民全体を挙げてのお祭りのような一日となりました。このプロジェクトでは、来年11月末までに4つの教室を建設することとなっており、これにより、更に多くのアカコヤグアの子供達がより高いレベルの教育を受け、将来のチアパス州およびメキシコの発展のための貴重な人材として巣立っていくことが望まれています。

 当館としては、こうして日系移民と縁の深いアカコヤグア町で社会の発展に役立つプロジェクトを実行できたことで、日本とメキシコ両国の親善が益々深まることにつながった以外に、日系人の方々が、メキシコ地域社会に対してより協力的な、開かれた存在となり、またその立場を向上させることにもつながったものと確信しています。


 ◇◆ 日ASEAN特別首脳会議の開催などについて ◆◇ 

 日本ASEAN交流年2003の締めくくりとして、12月11日、12日の2日間にわ たり日ASEAN特別首脳会議が東京で開催されます。小泉総理をはじめAS EAN各国首脳が出席し、日本とASEANの更なる関係強化及び「共に歩み 共に進む」率直なパートナーとしての将来の基本的方向性を打ち出すことを予 定しております。また、関連行事として、両日、東京国際フォーラムにて交流 年事業「虹の舞」も開催予定で、多くの皆様のご来場をお待ちしております。 概要につきましては、外務省ホームページをご覧下さい。

URL: http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_koi/asean_03/index.html


 ◇◆ [New!!] ODAホームページ新着情報 ◆◇ 

◆月刊広報誌「国際協力プラザ」 2003年11月号

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/k_plaza/kp2003_11/index.html

◆第3回ODA評価東京ワークショップの開催結果概要

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/hyoka/oda_ws3_i.html

◆ODAタウンミーティング in 日比谷公園(議事概要)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/seisaku/kondankai/2/hibiya03_mg.html

◆ODAタウンミーティング in 水戸(議事概要)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/seisaku/kondankai/2/mito_mg.html

◆無償資金協力 (平成15年度の交換公文締結日別)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou/siryo_5_17.html


 【ODAメールマガジン】

 編集・発行 外務省経済協力局(〒105-8519 港区芝公園2-11-1)

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