会員規約


□●□ ODAメールマガジン □●□ 2003年10月10日発行 第28号
 先週末の4日(土)、5日(日)の両日、東京の日比谷公園で「国際協力フェスティバル」が開催されました。このフェスティバルは、今年で13回目をむかえ、外務省、JICA、JBIC、(特活)国際協力NGOセンターが主催しました。会場ではNGO、国際機関、在京公館等約200団体が活動紹介等のブースを出展したほか、外務省も「ODAタウンミーティング」、「ODA民間モニター報告会」、「ODAとNGOの連携事例の紹介」などの各種イベントも実施しました。両日の入場者数は、約69,000人に上り、楽しみながら国際協力の意義をお考え頂く機会になったと思います。
 さて、今回のメルマガは、モロッコから日本の四輪駆動救急車が活躍しているお話と、マダガスカルから緑の島再生についての2話をお届けします。

 ODAメールマガジンは、ODA政策や様々な情報をタイムリーにお届けします。また、外務省ホームページODAコーナーでは、新着情報を続々と更新しておりますので、是非ご覧下さい。

ODAホームページ http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index.html


 ○● トピックス ●○

 ○「アトラスを走る日本の四輪駆動救急車」
  (原稿執筆: 在モロッコ大使館員 大竹 庄治さん)
 ○「緑の島マダガスカル」の再生
  (原稿執筆: JICA専門家(市民保護・消防防災・名古屋市消防局 
         緑川 久雄さん)
 ○[New!!]ODAホームページ新着情報



 ◇◆ アトラスを走る日本の四輪駆動救急車  
(原稿執筆: 在モロッコ大使館員 大竹 庄治さん) ◆◇ 


 モロッコ中央部、標高4,000m級の山々が連なるオート・アトラス山脈、アイト・ボウリ村(人口約10,000人、標高約2,500m)は、その山間部にあります。この地域に住むベルベル民族(モロッコの約半数以上を占める原住民)は、自給自足的な小規模農業を営みながら細々と生活していて、この辺りは何処となく懐かしくなる生活風景が存在するところでもあります。
 2001年6月、草の根無償に係る現地調査のために、この村を訪れた時のことです。首都ラバトより約5時間かけてようやく県庁所在地であるアジラル市に到着、山間の澄み切った空気に満天の星空を眺めながらここで1泊し、その翌日に、同市より幹線道路で80km更に山奥(約3時間)に入りました。そこから更に約20kmの細道を進むとこの村があるのですが、この日は、村の手前数kmのところで道路工事が行われていました。この道路を迂回するために、道路横の川を上って同村に入らざるを得なくなりましたが、あまりの悪路のためついに日本製四輪駆動車が川の真中で立ち往生してしまいました。この数kmの道路を迂回するために、実に3時間も悪戦苦闘を重ねて、やっとアイト・ボウリ村へ到着しました。
 この村には、新設したばかりの保健センターがあり、医師及び看護師が常駐し、毎日約60人の住民に対して診察や治療等の保健医療サービスを行っています。
 患者の中には、サソリに刺されたり、谷に落ちて大怪我をしたり、更には妊婦の異常分娩等で県総合病院へ救急移送しなければならない住民も多くいます。このような場合は、村から細道を下った幹線道路で患者を乗せることのできる車輌(トラックの定期便等)が通るのを待ち続けざるを得ないのですが、患者にとっては、まさに命取りとなりかねない時間です。このような状況を踏まえて、2001年9月、当館では、村のNGO団体に対して、草の根無償(3,336,153円)による四駆の救急車輌購入のための資金供与を行いました。
 そして、2002年3月、この村の保健センターにおいて、同車輌の引渡し式が華やかに執り行われました。引渡し式には、背中には赤ん坊や大きな薪を背負う婦人やすっぽりと身を覆い隠す伝統的な衣装を纏う女性、また山から下りてきた子供たちなど数千人が集まり、住民からは、「今まで救急移送に6時間もかかっていましたが、4時間も短縮して約2時間で県総合病院へ移送できるようになります。」との挨拶があり、大喜びの歓声があがり、日本政府及び日本国民に対するシュコラン(アラビア語で「ありがとう」)の大合唱が聞かれました。
 現在、この村では、この救急車が妊産婦死亡率等の減少に大きく貢献しています。そして、救命業務の使命を持つ救急車の活躍が、地域保健医療改革にも高い成果をもたらしています。
 今日も日本の四駆の救急車が、救命のため、この村の急病人を乗せてアトラス山脈を駆け抜けています。


 ◇◆ 「緑の島マダガスカル」の再生  
(原稿執筆: JICA専門家(市民保護・消防防災・名古屋市消防局
緑川 久雄さん) ◆◇ 


 マダガスカル共和国は、アフリカ大陸の南東に位置しています。地理的には、アフリカに属しますが、先祖の多くはインドネシア等からインド洋を渡ってきたと言われています。そのため、人びとはとてもアジア的です。日本では、バオバブの木、アイアイ、輪尾キツネザル等、多くの貴重な固有種が生存する自然豊かな国として紹介されていることと思います。

 しかしながら現実は、放牧や焼畑、薪炭採取のために行われる無秩序な「火入れ」のため、森林原野の大半は焼き尽され、既に国土の80%に及ぶ自然林が焼失しています。私が赴任する前年の1999年には、全国土の2%に相当する128万haもの面積が1年間で消失しました。その結果、森林原野火災を起因とする災害が多発し、自然環境破壊のみならず、住民の生命・財産にも多くの被害を及ぼしていました。特に、保水能力を失った山の崩落によって引き起こされる大規模な土砂災害は、田畑に深刻な影響を与えていました。

 モデル消防防災体制構築地域の一つであるアンカゾベ郡(首都アンタナナリボの北西約100km)は、76万haもの広大な面積を有し、全住民の約80パーセントが農民です。2000年に内務省の担当者を伴われてこの地を初めて訪れたときには、見渡す限り真っ黒に焼き尽くされた大地が広がり、予想を遙かに超える惨状に「このまま日本に帰ろう」とさえ考えたほどでした。繰り返し田畑を襲う土砂災害のため、1日2食しか食事が摂れず、子供達の多くは、足が細く下腹が出た栄養失調状態でした。
 農民達の願いは、家族で3食ごはんを食べること、学校に先生を迎えること、医者に常駐してもらうこと等でした。そして、田畑を土砂災害から守ることが出来れば、その願いが実現すると考えていました。
 しかし、住民にとって「火入れ」は生活上必要なものであり、当初、政府が掲げていた「火入れ一律禁止」に納得せず、「環境問題は敵」とさえ言っていました。私は、寝食を共にして、住民と率直な意見交換を行い、なぜ生活が豊かにならないのかについて徹底的に議論しました。その結果、田畑をだめにする土砂災害は無秩序な火入れに原因がある、という結論を住民自身が導き出しました。同時に、「火入れ」はコントロール出来るものであることを、実践を通して理解してもらうことが出来ました。また、政府関係省庁とも協議を重ね、山林原野火災に対する予防政策を練り上げ、国、自治体、及び住民が一体となり、住民生活向上のために火のコントロールを行うこととしました。

 マダガスカルには、伝統的に住民の自治組織である「フクタン」があります。これは、出生届や死亡届、身分証明書の発行等や住民生活に共通する問題を解決する機関でもあります。さらに、フクタンは「ディナ」という自治立法権をも持っています。「掟」と考えると理解できます。
 アンカゾベ郡には192のフクタンがありますが、その全てにおいて、火災予防の「ディナ」を決定するに至りました。その内容は、無秩序な火入れは禁止する牛や畑のために火入れを行う場合は他に延焼させない処置を行う、火入れする場合はフクタン会議で決定し県知事の同意を得る等でした。
 その結果、森林原野火災対策構築前には、アンカゾベ郡だけで全国の約半数の60万haもあった焼損面積が、2002年には87haまで激減しました。2年の間に緑が大幅に回復し、土砂災害が激減し、水量が豊かになってきたこともあり、米の収量は15%増加しました。土砂災害が最も深刻であったアンボロタラケリィ市長府では実に100パーセントの増収となりました。生活にゆとりが生まれ、医者と教師の常駐、食事の改善等、住民の願いが実現しています。

 アンカゾベ郡内にある自然保護区では、この3年間森林火災による被害が発生していないため、森の周辺の広い範囲に無数の苗が育ち、急速な森の拡大が始まっています。また、この地域を水源とする大河ベチボカ河は、土砂流入が激減し、水の色も変わってきたと言われています。
 マダガスカル政府は、この教訓を全国に広げるよう動き始め、2002年には森林原野火災が38万haにまで減少してきました。「緑の島マダガスカル」の再生に向け、徐々にではありますが、着実に対策が動き出しています。


 ◇◆ [New!!] ODAホームページ新着情報 ◆◇ 

◆対インドネシア円借款ロングリスト

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/sonota/longlist/indonesia.html

◆平成15年度 ODA民間モニター報告書の提出(第I期派遣)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/monitor/teishutu_15_1.html

◆平成15年度 ODA民間モニター報告書

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/monitor/15m_hokoku/index.html

◆平成16年度 ODA政府予算

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/yosan/seifu16/index.html

◆東アジア開発イニシアティブ(IDEA)福岡シンポジウム(議長サマリー)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/doukou/kaigi/idae_fukuoka_sm.html


 【ODAメールマガジン】

 編集・発行 外務省経済協力局(〒105-8519 港区芝公園2-11-1)

 ODAメールマガジンをご利用いただきありがとうございます。
 本サービスの登録、削除及び電子メールアドレス変更は、下記の画面にて受け付けております。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/mail/index.html





バックナンバートップへ戻る
Copyright(C): JAPAN Official Development Assistance