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□●□ ODAメールマガジン □●□ 2003年1月30日発行 第12号
 ODAメールマガジンは、ODA政策や様々な情報をタイムリーにお届けします。また、外務省ホームページODAコーナーでは、新着情報を続々と更新しておりますので、是非ご覧下さい。

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 ○● トピックス ●○

 ○世界の屋根の補修(?)
  (JICAネパール村落振興・森林保全計画 II
   チーフアドバイザー 牧野 利信)
 ○モンゴルにおける障害児療育事情
  (青年海外協力隊員(養護)派遣地:モンゴル国 国立第10治療幼稚園
   派遣期間:2001年7月~2003年7月 浦 真由美)
 ○[New!!]ODAホームページ新着情報



 ◇◆ 世界の屋根の補修(?)
JICAネパール村落振興・森林保全計画 II    
チーフアドバイザー 牧野 利信 ◆◇ 


 ナマステ(こんにちは)、ネパール王国は世界最高峰のサガルマータ(英語名ではエベレスト)をはじめとする8,000mを越える山々が多数あり、世界の屋根と呼ばれているほどの山岳国です。国土は、北緯26度22分~30度27分(注意:ネパールを熱帯国だと思っている人がいますが、北回帰線より北なので熱帯国ではありません)、東経80度4分~88度12分に位置し、東西約880km、南北160kmのほぼ長方形の14万7千平方kmです。
 この国の地形を簡単に説明しますと、北にサガルマータ(エベレスト)をはじめとするヒマラヤ山脈(ヒマラヤとは現地語で常に雪をかぶっていて白く見える山と言う意味)を中心とした北部山岳地帯、その南にカトマンズや我がプロジェクトのあるポカラなどの多くの人が住んでいる中部丘陵盆地地帯、最南部が「テライ」と呼ばれる南部低地地帯に大別されます。
 このため一応北部へ行くほど寒く、雪も降ることとなりますが、ネパール人は一般に気温や降雪は緯度よりも標高によるものと考えるため、「東京でも雪が降る。」と言うと、「東京は標高が3,000m以上あるのか?」と言ってきます。
 気候は緯度的には亜熱帯に属しますが、降水量は6~9月のモンスーン期間に集中し、その対極である11月~2月は冬季で、まったくと言って良いほど降水がありません。我がプロジェクトの位置するポカラは、降水量が多いことで有名です。年降水量は6,000mmと日本の約3~4倍降りますが、その大部分が雨季に集中して降るため、雨季の降り方は尋常ではなく、文字どおり滝のような降雨が毎日続きます。
 このように、ネパールは土砂災害が発生する二大要因(急傾斜、大降水量)が揃っている国です。これに加えて、ネパールは世界最貧国のひとつであるとともに、その人口は過去60年間で4倍近くに増加しています。もともと災害多発地域である上に、貧困や人口増加に起因する森林の農地への転用や、過度の薪炭採取等の人為的要因による森林の減少・劣化が急速に進んだことから、山腹崩壊や土石流といった災害、土壌浸食や水源の枯渇、薪炭材の不足と、山間地域の住民にさらなる苦難と貧困がもたらされている状況にあります。
 当プロジェクトは、森林を主体とする自然環境の改善を目指していますが、行政の力が十分に行き渡っていないネパールの山間地域では、こうした取り組みは、どうしても、相当な部分を住民自身の努力に委ねざるを得ません。ところが、担い手はたる住民は、極めて貧しく、日々の生活に追われていることから、簡単には行きません。
 このため、住民の生活向上も視野に入れた間接的なアプローチが不可欠ですし、結局はそれが最も効果的な森林回復・保全につながります。つまり、森林や林業に係る狭い分野だけに着目しても住民の理解は得られませんし、効果も上がりません。高い人口圧力の下では、住民のための植林ひとつ取っても、「植林を実施すると、森林面積は増加するが、農地・放牧地面積は減少して、農産物収穫量・家畜頭数が減少し、住民生活を圧迫する。」といったマイナスの波及効果が直ちに生じます。したがって、短絡的に緑化に行かず、住民に目に見えるメリットを示しつつ、「村落振興から森林・流域保全へ」という基本方針で実施しております。
 実際の進め方は、次の通りです。まず、村の下に位置付けられる「集落」(平均では世帯数約80、人口数百人)の中に、公式の既存自治組織である集落委員会(公選・五名)に、社会的公正(男女、カースト等)への配慮等に基づく追加メンバーを加えた「集落保全委員会」を形成します。この委員会の主導で、住民は、村にある資源(土地、森林、水源等)の現況と課題を再認識し、将来の望ましい大雑把な将来計画を立てます。
 次に、緊急性・重要性・実現可能性を踏まえて当面の三年間の「やるべきこと」を選び三年計画を立て、その後、各単年度ごとの「年間活動計画」を策定します。これに従って、集落とプロジェクト関係者との間で合意を締結し、計画に基づき、プロジェクトからの支援(技術、資金等)を受けて、資源管理に係る事業(植林、森林保全、小規模な治山、給水施設等)を三年間実施、集落単位の住民参加型総合的資源管理を実現し、それを通じての村落振興と森林・流域保全を進めて行きます。また、この三年間の活動全体がOJT(On The Job Traininig )として住民の能力向上を図り、プロジェクト終了後の住民自身による持続的活動を期待しています。
 プロジェクトからの支援(資金、資材等)は、全てニューズレター、村落の掲示板、地方紙等で随時公開し、不正・不公正が発生しないようにしています。
 私見ではありますが、この既存の行政組織を通じての支援は、単なるプロジェクト実行やプロジェクトの目的達成のみならず、国としての行政組織の育成にも寄与し、国造りに役立っていると考えております。


 ◇◆ モンゴルにおける障害児療育事情 
青年海外協力隊員(養護)    
         派遣地:モンゴル国 国立第10治療幼稚園    
         派遣期間:2001年7月~2003年7月 浦 真由美 ◆◇ 



 言葉は不自由だけど、僕の言葉には意思がある。
 手足は不自由だけど、僕の知性ははっきりしている。

  脳性麻痺といわれるけど、僕の頭脳は健康だ。
  まわりの子供たちにあって僕にないのは2つだけ。
  他に足りないものはない。

 自分の知恵で考えることができる。
 自分の知恵で創造できる。
 自分の知恵で想像することだってできる。
  (国立第10治療幼稚園 ムンフトルガ:13歳 男児2002年11月22日)

 私の配属先である国立第10治療幼稚園は、モンゴル唯一の肢体不自由者教育施設で脳性小児麻痺の2歳から17歳の約60人の子供さんが通園しています。人口240万人のモンゴル国において肢体不自由者だけでも約6000人いると言われています。(脳性小児麻痺児のモンゴルでの平均寿命は10代後半と言われています。)モンゴル国内の肢体不自由者のわずか1%のみが教育や治療を受けていることになります。障害と一括りにしても様々です。私の配属先は、身体的機能損傷による動きに障害のある子供さん達が対象ですから、知的障害や聴覚、視覚障害とは異なります。
 活動については、幼稚園の資格を持つ先生やリハビリに対する若干の知識を持った人達と共に仕事をしています。モンゴルでは教員育成機関でも、障害児に関する情報や知識を得るカリキュラムが無いために、現場に入って障害児を初めて目にするという人がほとんどです。ですから、障害児との関わり方を中心とした活動が主になります。障害児は健常児に比べ、日常生活の習慣が身に付きにくいものです。そこで、ねばり強く何度でも同じことを指導することがポイントとなります。生活リズムを確立しにくい障害児に対し、朝の洗面や身支度、食事などを通して生活リズムを身につけていくように指導します。
 他にも心理的なサポートも見落とされがちです。脳性小児麻痺児は身体的な障害なので多くは知的に遅れのない子供さんです。そんな彼らは思春期になると、自分だけがどうして障害を負わなければならないのか、などといったことに悩むケースが多く見られます(冒頭に紹介した詩は私の教え子の作品を翻訳したものです)。そういった時に近くで気持ちを分かち合えるのも先生として大切な仕事です。ただ一日を無事に生きるのではなく、人間として生まれた限り、彼らも人と出会い、教育を受ける権利があることを多くの先生達に理解してもらうために、時折区役所や教育局から一般の幼稚園教諭や障害児の両親を対象にしたセミナーも行っています。
 リハビリについてもなかなかその結果が現れるまで時間と忍耐が必要なこともあり、また親御さんも健常児になるために薬や手術を探し歩いているという現状が重なり、リハビリと教育を持続することが習慣になっていません。そこで私は障害が完治することはないが、毎日の積み重ねが必ず発達を促すことを理解してもらうようにしています。
 そんな中で赴任当初から私の支えでもあり、ライバルでもあるモンゴル人女性が居ます。時には気持ちを共有し、時には熱い議論になることもあります。しかし、彼女のように障害児のことを中心に考えられる人こそが、現在のモンゴル障害児療育に必要な人間だと思っています。我々協力隊員が1人で出せる力には限界がありますが、人間が居てこそなされる協力もあると感じています。
 彼女との議論での争点はいつも同じです。それは今、学童期の障害児に教育をして、このモンゴルでその子供が大人になったときそれは意味があることなのか、ということです。私の答えは決まって同じです。どんな子供でも、民族や国や親を選べるわけではありません。ですから生まれてきた限り、たくさんの愛情をもらい、精一杯の教育を受けるべきだと考えています。
 私が来たことによって、政治や教育システムが大きく変わったわけではありませんが、問題意識をもってくれるモンゴル人がたくさんいてくれることに喜びを感じています。日本の知識を押しつけても、異文化の人々が理解に苦しむのは当然です。しかし、子供と私の根気強い関わりを見てくれているモンゴル人はたくさんいます。ボランティアで来て、自分たちの国の為に働いてくれていると感じてくれている先生方がたくさんいてくれることに、私が逆に励まされることもしばしばです。
 私はこの活動が2年の任期で終わるとは考えていません。隊員としては1代目ですし、花を育てることに例えるなら、種まきをする前に土を耕しているのです。そこに種をまき、水をやる人が続くことにより、小さくても大地にしっかりと根を張った花が咲くのだと思います。


 ◇◆ [New!!] ODAホームページ新着情報 ◆◇ 

◆ ラオスにおけるジェンダ-関連ODAに対する有識者評価(概要)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/report/raos2.html

◆ タンザニア・援助実施体制評価(概要)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/report/tanza4.html

◆ エジプト・水供給に関する有識者評価(概要)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/report/egypt3.html

◆ 平成15年度ODA政府予算

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/yosan/seifu15/index.html

◆ 「ODA総合戦略会議」第7回会合の開催について

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/seisaku/kondankai/senryaku/senryaku_7.html

◆ 日本NGO支援無償資金協力 (平成14年度の交換公文締結日別)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/zyoukyou/ngo_m14_11.html


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 編集・発行 外務省経済協力局(〒105-8519 港区芝公園2-11-1)

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