その1
アメリカ大統領の陣頭指揮で
自然災害は世界各地で、絶え間なく起こっている。それに加えて人為的な災害としての戦争、内戦も起こっている。 日本には、他の先進国同様に、国際緊急援助隊があり、消防、警察といった政府の職員の他に、医師、看護婦など民間からも登録がなされ、幅広く国民が参加して国際貢献の一翼を担うようになってきていることは喜ばしい。

そしてこれまでも世界各地で起こっている地震など自然災害では、この日本からの援助隊が活躍し、大いに感謝されているのである。
今を去る70余年前、1923年9月に起こった関東大震災では、日本に世界の多くの国々から援助の手が差しのべられたのである。
その中でも、その迅速さといい、その規模といい、抜きんでいたのがアメリカからの支援であった。
その時の様子を同年9月5日付ニューヨーク・タイムズ紙は一面トップで詳細に報じている。
「〈大見出し〉 日本で約30万人死亡、地震は収まらず、しかし炎は下火、アメリカは日本救援に数百万ドルを募金。
〈本文〉大統領の行政命令により、フィリピンのマニラに寄港中のアメリカ艦隊は救援物資を満載し日本救援のため横浜へ急行、ク-リッジ大統領は政府の陣頭にたって救援活動を指揮、アメリカ赤十字総裁と協議し、市民に500万ドルの募金を要請。その結果予定を大きく上回り、525万ドルに達す。」
この日本救援活動は、ハ-ディング大統領死去により、副大統領から大統領に昇格してわずか1カ月後の、ク-リッジ大統領の初の重大外交案件であった。
アメリカは官民挙げて自発的に(つまりボランタリーとして)日本の救援のために行動してくれたのである。
この発想が国際協力における民間の個人としてのボランティア活動や組織化されたボランティア(NGO)の活動へと結び付いてくるのである。
ボランティア先進国と言われるアメリカの官民挙げての、日本にとってはまことに有難い救援活動であった。
その2
遠い国クロアチア、セルビアなどからも救援物資
関東大震災の際は、アメリカをはじめ多くの国から義援金、救援物資、救助隊などが続々と日本に送られてきた。
先進工業国は言うに及ばず、中国、タイ、キューバなど現在開発途上国と言われる国々からも心のこもった支援を受けた。
その数は50数ケ国にのぼり、当時、世界に存在した全ての独立国57カ国のほとんどの国々が救援の手を差しのべてくれた。
その中に、現在国際的に注目を浴びている旧ユーゴのクロアチア、セルビア、スロベニアの名前があった。当時独立国であったこれらの国々は、日本からは遥か遠い東欧に位置しながらも、東アジアの島国に起こった未曾有の大災害を見過ごすことなく、救援物資や義援金を送ってくれたのである。
現在このような国々が傷つき苦しんでいるのを知りながら、“日本はアジアの国、東欧の国への支援は西欧など近隣諸国に任せておけばよい”などと、仮にでも思うことがあったとすれば、それは国際社会の一員としてははずかしい事ではないだろうか。