ODABOOK_vol1
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4「慢性腎臓病患者の食事療法用低たんぱく米導入のための普及・実証事業」(普及・実証・ビジネス化事業) 2016年1月〜2018年2月バイオテックジャパン代表取締役社長江川 穰氏低たんぱく米飯を海外にも広めたい。模索の途上で、ターゲットに据えた国がフィリピンでした。日本以上に米食文化が発達している同国は慢性腎臓病患者数が急増しており、医療費負担の軽減や食生活でのケアに当社の製品が生かせるのではないかと考えたのです。決して順風満帆な道のりではありませんでしたが、本事業を通じて現地法人のパートナーを得られたことは勿論、現地米から製造された慢性腎臓病患者用低たんぱく米飯「ECHIGO」。現地法人での試験製造の様子。植物性乳酸菌による発酵の力を利用して、様々な食品開発を手掛けるバイオテックジャパン。同社はJICAの「中小企業・SDGsビジネス支援事業」の「普及・実証・ビジネス化事業(旧:普及・実証事業)」を通じて、フィリピンで現地米を活用した低たんぱく米飯の製造や普及に取り組みました。参加への経緯や思いを、同社の江川穰代表取締役社長にうかがいました。新潟県 株式会社バイオテックジャパン米の消費量は日本の2倍以上植物性乳酸菌を利用した食品の開発受託を手掛けるバイオベンチャーである当社は、乳酸菌と米加工をキーワードとした製品として、慢性腎臓病の患者さん向けの低たんぱく米飯を開発しました。自社工場での製造と手間暇をかけた発酵技術により実現した食味は、多くの利用者からの評価をいただいています。現地での飛び込み交渉を経てパートナーシップを形成当社初の海外展開を試みるにあたり活用したのがJICAの「中小企業・SDGsビジネス支援事業(普及・実証・ビジネス化事業)」でした。ODA事業実施にあたっては、対象国の公的機関との共同実施が求められており、当社もフィリピン国内で事業パートナーを見つける必要がありました。そこで、当社の代表が現地に出向き、社内での情報収集とJICAからのアドバイスをもとに、飛び込みによる研究機関の訪問を重ねました。手探り状態の営業を続ける中で「あなたたちと事業ができそうな機関がある」と紹介を受けたのがフィリピン国立稲作研究所「フィルライス(注1)」です。フィルライスの設立にはJICAが関わっていたため、当社や当社の事業計画を好意的に受け止めてもらうことができました。NIIGATA米どころならではの技術でフィリピンの健康維持に貢献

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