ODABOOK_vol1
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24「リマ市における有機性汚泥の乾燥処理技術を活用した バイオマス燃料の製造に係る案件化調査」 「リマ市における有機汚泥の乾燥処理技術を活用した 再生燃料の製造に係る普及・実証事業」 2014年11月〜2015年10月2018年10月〜2021年6月アース・コーポレーション環境技術部 班長平田 毅氏案件化調査の完了後は、引き続き普及・実証事業に応募しました。案件化調査で手ごたえを感じていたので、同事業もすんなりと行くのではと期待していました。ところが、普及・実証事業の採択後に想定外の出来事が起きてしまいました。突然、大統領が代わってしまったのです。これには愕然としました。再び各地区の下水局などへの説明から始まり、すべての人の承諾を得て、その上の人、さらに上の人へと話を進めていかなければならなくなりました。ほとんど一からのやり直しになったのです。実証機材設置予定地での周囲測定の様子。乾燥前(左)の汚泥と乾燥後(中央)の汚泥。悪臭が減少し、燃料(右)として用いることができる。竣工式には両国の関係者が出席し、ODA事業で導入された機材の完成を祝った。産業廃棄物などの汚泥から、バイオマス燃料や肥料、建築用資材などを生成(注1)する株式会社アース・コーポレーション。同社はJICA民間連携事業を通じ、ペルーの環境保全に貢献しています。その最前線で活躍する同社の平田毅さんに話をうかがいました。富山県 株式会社アース・コーポレーション国を挙げて環境保全に取り組むペルー中南米のペルーは、経済発展の一方で、その首都リマ市では、増え続ける人口の速度に汚水処理施設の浄化能力が追いつかず、放流水の水質悪化や汚泥の増加が問題となっています。ペルー政府も「国家衛生計画(注2)」を策定し、汚水処理などの環境保全対策に積極的に取り組んでいました。創業当初から「地球環境」を意識していた当社は、その情報を得て同国での案件化調査に応募しました。ペルーの国家的な取り組みという追い風もあり、調査は順調に進展、同国の環境省や保健省、リマ上下水道公社などの反応も上々で、民間の産廃処理業者や飲料会社、製紙会社、繊維会社、セメント会社なども大きな興味を示してくれました。一からのやり直しを余儀なくされるペルーではトップが代われば、その下の人たちも多数代わります。そのため、前政権下で「今度ペルーに来た時に契約書にサインしましょう」というところまで進んでいた話が白紙に戻ってしまったのです。TOYAMA11汚泥が燃料や肥料に生まれ変わるペルーの環境保全への貢献

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