ODABOOK_vol1
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22「北海道フード特区・フードバレーとかち 海外展開支援を兼ねた東南アジア食産業人材育成」 2014年3月〜2016年3月 とかち製菓代表取締役駒野 裕之氏い2つのハードルがありました。その一環として、帯広商工会議所は「食産業の海外展開と人材育成」をテーマにしたJICA草の根技術協力事業を推進。十勝が強みとする「畜産」「菓子」「乳製品」の3分野で互いの国の地域特性を活かした地域産業の振興を目指してきました。そうした中で商工会議所の方から声をかけていただいたことが、本事業のきっかけです。創業時より海外展開を強く意識していたので、二つ返事で参画させていただきました。マレーシアを対象国としたのは、日本に近く、かつ大きな可能性を感じた未開拓の市場があったからです。ひとつは価格の問題です。現地での売価は、諸経費を加えると日本の2.5〜3倍になってしまいます。試しにそのままの価格で販売しましたが、全く売れませんでした。やはり原料の現地調達、現地生産でなければ難しいことを実感しました。そこで、現地企業数社に当社の考え方や計画を理解してもらい、その中からパートナーとして菓子メーカー1社を選びました。まずは担当者を日本に招き、和菓子の作り方を指導。以後、毎月現地へ足を運んで和菓子作りを指導し、翌月のテーマを与えて帰ってくることを毎月繰り返し行いました。マレーシアでは、とかち製菓のODA事業をきっかけにハラルの大福への注目が高まっている。現地で製造された大福の試食会の様子。マレーシアの人々の好みを反映した味がふるまわれた。ODA事業では、マレーシアの担当者を自社工場に招き、和菓子の作り方指導なども行った。ODA事業完了後の2018年には、大福などの8商品でマレーシアのハラル認証を取得した。北海道で和菓子の製造・販売を行う「とかち製菓」は、JICAの草の根技術協力事業に参画し、マレーシアで大福の製造・販売にチャレンジしました。その狙いや経緯について、同社代表取締役の駒野裕之さんに話を聞きました。北海道 株式会社とかち製菓大きな可能性を秘めたマレーシア市場北海道帯広市は、十勝19市町村が協力し、十勝の魅力を国内外に発信するため、食と農林漁業を柱にした地域産業政策「フードバレーとかち(注1)」を展開しています。指導と宿題の繰り返しによる人材育成現地で本事業を進めていく上で乗り越えなければならなHOKKAIDO10マレーシアに“大きな福”をもたらす和菓子の製造・販売

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