18「感染症予防を目的とした全自動医療器具洗浄消毒器導入に関する普及・実証事業」 2013年12月〜2016年11月サラヤ海外事業本部 アフリカ開発室 室長北條 健生氏こうした問題の解決に、当社の医療器具洗浄消毒ノウハウが役立てるのではないかと考え、JICAの民間提案型普及・実証事業に応募しました。当社は2010年より、ユニセフが進める手洗い促進活動に参画し、ウガンダで「100万人の手洗いプロジェクト(注2)」や「病院での手の消毒100%プロジェクト」を展開しています。JICAの普及・実証事業は、その活動の延長線上にあるものといえます。そこで行ったのが、講習会や研修などによる啓発です。JICAのサポートを受けながら、病院関係者を対象とした感染管理セミナーやメンテナンス講習会を何度も開催し、医師や看護師の疑問や不安の解消に努めました。また、保健省や地域中核病院の管理者・感染管理担当者を対象とする教育コースを設けるとともに、病院の経営管理者に対しても日常のメンテナンス指導や感染管理に関する研修を実施しました。これらを繰り返し行った結果、試験導入した4病院医療従事者を対象とした、洗浄消毒機器の現地指導の様子。TICADⅥ出展ブースでの記念写真。ODA事業完了後も、ウガンダの医療衛生への貢献を継続している。事業実施前の病院の設備。種類別のバケツによる消毒・洗浄が行われていた。世界の“衛生、環境、健康”への貢献(注1)を掲げ、国内外で石鹸や消毒液の製造・販売を展開するサラヤ株式会社。同社はウガンダにおいて、感染症予防を目的とした「全自動医療器具洗浄消毒機器」導入のJICA民間連携事業に取り組みました。事業参加への経緯や思いを、同社の北條健生さんにうかがいました。大阪府 サラヤ株式会社乳幼児の10人に1人が亡くなるウガンダ東アフリカの熱帯地域に位置するウガンダは、マラリアなどの感染症の発生地となっており、5歳未満児の年間死亡数(2018年)は約74,000人に上っています。そのためウガンダ政府は、医療・保健サービスの改善を喫緊の課題としていました。医療現場の疑問と不安の解消に努めるしかし、同事業の実施には大きな問題がありました。ウガンダでは、医療器具洗浄のガイドラインは定められているものの、資材や人材の不足、担当者の知識不足などにより、ほとんど守られていないのが実情でした。その解決策として、洗浄消毒機器の導入を提案しましたが、現地の医師や看護師からは「今の方法では駄目なのか」「面倒だ」「仕事が増える」といった消極的な反応が多数返ってきました。道具の使い方を伝える前に、まず洗浄・消毒の大切さを理解してもらう必要があったのです。OSAKA08持続可能な社会貢献でウガンダの医療現場を支える
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