16「地すべり遠隔監視システム普及のための案件化調査」 2015年10月〜2016年11月「地すべり遠隔監視システム普及・実証事業」 2017年11月〜2020年9月そうした状況の中で支えとなったのが、JICAの現地ネットワークと、JICA民間連携事業の枠組みによるコンサルタントのサポートです。JICAスリランカ事務所とコンサルタントの協力により実現した国家建築研究所および関連する行政機関との意見交換では、日本では分からなかった地すべり対策の実情や現地職員の負担状況、システム運用における要望などを詳しく聞くことができ、システム構築のヒントとなりました。事業実施のためのボーリング工事は、現地業者との協業により行った。地すべりの前兆を計測するため高台に設置されたばらまき型傾斜計。今日も麓の商店を守っている。集落の広場中央に設置した警報器。地域のお祭りの飾りをつけてもらった。国内だけでなく、ODA事業などを通じて海外にも斜面防災機器を提供し、各国の災害対策にも貢献している株式会社オサシ・テクノス。JICA民間連携事業を活用して、同社にとって海外初事例となる斜面防災システムの構築・運用に挑戦しました。その経緯や展望について同社の西野由香さんにうかがいました。高知県 株式会社オサシ・テクノス土砂災害が頻発するスリランカ脆弱な地質や急峻な地形に加え、急速な開墾・開発が進むスリランカでは、気候変動による豪雨の影響で、地すべりや土砂崩れが頻発し、深刻な問題となっています。土砂災害の対策や警報の発出は同国の国家建築研究所が担っていますが、警報発出に繋がる監視システムは雨量計のみの対応であり、豪雨時欠測の課題もあること、地表伸縮計などの斜面防災計測機器は遠隔監視未対応で、職員が現地に赴いてデータ回収する必要があることから、斜面の状況をリアルタイムに把握しつつ、速やかな避難指示を行うことは困難な状況でした。以前からアジア・アフリカ諸国で防災対策を実施するODA事業へ計測機器を提供していた当社は、スリランカの状況を知り、当社が国内で展開する「地すべり遠隔監視システム(注)」の仕組みが貢献できるのではないかと考え、JICA民間連携事業への応募を決めました。現地の声をもとに、 現地に即したシステムを構築とはいうものの、海外での遠隔システム構築は初めてでしたので、はたしてスリランカでも観測データの遠隔通信を実現できるのか、日本式の防災に対する考え方や仕組みを理解してもらえるのか、不安なことや分からないことが多々ありました。KOCHI07地すべりの危険を遠くから見守り、リアルタイムで知らせる
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