14「ゴマ加工品の生産管理技術の普及・実証事業」 2016年1月〜2018年2月わだまんサイエンス代表取締役深堀 勝謙氏JICAの第1回中南米民間連携調査団への参加を通じてパラグアイの現状を知った当社は、同国のゴマ産業をもう一度復活させ、小規模農家が豊かに暮らしていける方法はないかと考えました。そこで思いついたのが、生ゴマに付加価値をつけることです。実はパラグアイではゴマはほとんど食べられていません。ゴマは「鳥の餌」としか認識されていなかったのです。もし栄養価の高いゴマを商品化し、食品として普及させることができれば、輸出だけでなく、内需の拡大にもつながり、ゴマ産業の発展に貢献できるのではないかと考え、JICAの普及・実証事業への応募を決意しました。幸い、JICA事業は比較的スムーズに進みました。当初は熱心に耳を傾ける人は少なかったものの、ゴマの生産を続けたいというパラグアイの農家の方々の思いと、ゴマで世の中を良くしたいという私たちの気持ちが通じ合い、徐々に理解してもらえるようになりました。また、意見交換も積極的に行われるようになり、ゴマは美容に良いという点が受け、女性の参加者も増えました。国立アスンシオン大学と一緒に作った7つの試作品も非常ゴマに関する知識についてのアンケートを実施。現地のゴマに対する認識の把握に取り組んだ。ODA事業で導入・ 使用されたゴマ焙煎機。ワークショップがきっかけで開発されたゴマシュガーなどの加工品は、農牧省主催の展示会でも紹介された。「ゴマで世界平和」を企業理念に掲げる株式会社わだまんサイエンスは、ゴマ製品の企画提案や研究・開発、販路開拓を通じた途上国支援に力を入れています。「ゴマ農家の力になりたい」という熱意を胸にパラグアイでのJICAの民間連携事業に挑戦した同社の深堀勝謙社長に参画の経緯や思いをうかがいました。京都府 株式会社わだまんサイエンス安いアフリカ産で苦境に立たされるゴマ栽培農家パラグアイは、かつて日本にとって最大の白ゴマ輸入相手国でしたが、安いアフリカ産の拡大などにより、対日輸出は急激に落ち込みました。同国のゴマ産業は低迷し、ゴマを主要生産物とする小規模農家(注)は苦境に立たされていました。大人気だったゴマシュガー初めての海外展開だったので分からないことばかりでしたが、それでもあまり不安は感じませんでした。「できるか、できないか」という気持ちよりも、「世界に貢献したい」という思いの方が強かったからです。KYOTO06「作るのもの」から「食べるもの」へゴマが開くパラグアイの新たな食文化
元のページ ../index.html#16