12「有効利用されていない縞タコの加工・衛生管理技術の普及・実証事業」2015年12月〜2017年8月 あ印営業グループ菅野 和樹氏そこで注目したのがインドネシア産の縞タコ(注1)です。インドネシアは縞タコの漁獲量が多いだけでなく、人口2億5千万人の大きなマーケットが控えています。近年では日本食ブームが起こり、タコの刺身やタコ焼きなども食べられるようになっています。また、同国政府が「海洋国家構想(注2)」を掲げ、水産業の振興に力を入れていることも事業展開の追い風となっていました。こうした背景から当社は、2014年に中小企業基盤整備機構の支援を受け、インドネシアでの海外事業化可能性調査を実施。その後、より大規模かつ緻密な実証活動を行うために、JICAの民間連携事業などに応募し、2015年より普及・実証活動を行いました。インドネシア沿岸部では、小舟を使用した漁業が営まれている。縞タコ料理の試食会では、日本ならではのメニューに加えインドネシア風の味付けも提供された。現地で水揚げされた縞タコ。近年の日本食ブームにより需要が期待されていた。タコやイカ、エビなどの水産物の加工および商品開発や、冷蔵・冷凍食品の企画販売を展開する株式会社あ印。長年にわたり培ってきたその技術とノウハウはODA事業を通じて海を渡り、インドネシアにおける水産業の振興に貢献しています。茨城県 株式会社あ印海洋国家構想を掲げるインドネシア当社は、1963年に日本で初めて西アフリカ産マダコのボイル加工を開始して以来、タコの食感と風味を引き出す独自の加工技術を強みに事業を拡大してきました。しかし、世界的なタコの需要によって西アフリカ産のタコの原料価格がこの15年で約3倍に高騰し、西アフリカに代わる新たな仕入れ先の確保が急務となっていました。上流から下流までのすべての工程に関わる本事業の応募前は、現地での加工と日本への輸出をメインに考えていましたが、現地日本料理店のオーナーの方から「上流から下流までのすべての工程に関わらなければ、十分な品質を確保することは難しい」との助言をいただき、急遽、バリューチェーンの構築に取り組むことにしました。バリューチェーンとは、生産、冷蔵、加工、販売、物流(輸出)等、すべてのプロセスを価値の鎖として捉える考え方です。そこで同国海洋水産省や国営企業参加の水産会社などの協力のもと、漁場開拓から、普及・実証プラントへの機材搬入、技術指導や試験製造、展示会や試験販売の実施まで、バリューチェーン構築に必要な全プロセスに取り組みました。IBARAKI05“価値の鎖”で インドネシアの 水産業に貢献する
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