ODABOOK_vol1
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10「環境配慮型トイレの導入にかかる案件化調査」 2016年6月〜2017年9月「環境配慮型トイレの導入にかかる普及・実証事業」 2018年6月〜2021年12月大成工業大成工業代表取締役代表取締役三原 博之三原 博之氏氏今回のODA事業対象国であるインドでは、トイレ普及率が未だ約50%に過ぎず(注2)、汚水の地下水への浸み込みや、汚物のあふれ出しなどによる水系感染症の増加という大きな問題を抱えていました。そこで、下水道や河川へ放流しない当社の環境配慮型トイレであればこうしたニーズに応えられるのではないかと考え、JICAの案件化調査と普及・実証・ビジネス化事業に応募しました。試験導入先は、汚染が深刻なガンジス川流域の公衆トイレ(使用人数200人/日)と、衛生意識の醸成を目的とした大学の学生寮(同160人/日)でした。また、現地パートナー「TARA」の協力も非常に大きかったと思います。TARAは、持続可能な雇用の創出、貧困の環境配慮型トイレ「TSS」は、下水道や電気設備のない地区や施設でも設置することができる。現地パートナーとのTSS稼働状況確認の様子。トイレの設置は生活環境の向上に加え、雇用創出にも貢献している。大成工業株式会社の「環境配慮型トイレ」は、電気を使わず、処理水も放流しないという特長を持つことから、全国の公園や山岳地など約450か所で活用されています。この確かな実績と有用性をもとに、トイレ普及率が低いインドでのODA事業に挑戦した同社の松本安弘取締役TSS事業部長に経緯や概要についてうかがいました。鳥取県 大成工業株式会社トイレ普及率が未だ約50%のインド当社オリジナルの環境配慮型トイレ「TSS(Taisei Soil System)(注1)」は、自然発酵による殺菌・嫌気性処理と土壌処理を組み合わせたシステムです。これは日本の農業設備である「肥だめ」と「微生物の働き」に着目したもので、下水道や電気が不要で、維持管理も簡単というメリットがあります。これまでも日本国内だけでなく、環境省のモデル事業として、南太平洋のソロモン諸島への導入も行ってきました。優れたパートナーを見つけることが重要結論から言えば、比較的順調に本事業を進めることができたと思っています。その要因のひとつは、非常に高い現地ニーズがあったこと、そしてそれに応える製品を提供できたことです。JICAの支援を受け、首都デリーで開催した「環境にやさしい排水処理システムセミナー」でも、「早く導入してほしい」との要望を数多くいただきました。ニーズとシーズがしっかりマッチングしていること、これが大切だと改めて実感した次第です。TOTTORI04日本古来の技術でインドの感染症を 抑える

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