8「福祉・保健医療向上に向けたICT技術を活用した『みまもりシステム』にかかる案件化調査」 「介護支援ロボット『みまもりシステム』活用による地域福祉・保健医療の向上に向けた普及・実証事業」 2017年12月〜2020年2月エイビス介護事業海外事業部JICA事業リーダー久保 雅紀氏2016年6月〜2017年5月海外展開についても早くから意識していましたが、具体的に動き出したのはアジア最大規模の「国際福祉機器展」に出展してからです。これを機に、JICAの事業説明会に参加するなど、本格的な海外展開の検討を始めました。最初に選んだ相手国はタイです。こうした状況に、当社の「みまもりシステム」が貢献できるのではないかと考え、JICAの「中小企業・SDGsビジネス支援事業(案件化調査)」に応募しました。当社で初めての海外展開だったので多くの不安がありましたが、それを上回る期待がありました。ベッド下にシート状の機材を設置することで、患者・要介護者の体調を測定、リアルタイムで確認することができる。事業終了セレモニーでの集合写真。本事業で導入された「みまもりシステム」は今も現地の医療・福祉に役立てられている。現地看護師を対象とした「みまもりシステム」導入研修の様子。タイ人ケアギバー(介護従事者)による通知機能の説明。緊急時にはシステムから担当者・家族あてに通知が届く。「絆」と「社会貢献」を経営理念の根幹に据える株式会社エイビスは、介護・看護を支援する「みまもりシステム」を通じて、その輪を海外に広げています。同社の久保雅紀さんはその活動の最前線に立ち、さまざまな問題の解決に奔走しました。大分県 株式会社エイビス介護ビジネス展示会を機に海外展開を検討当社の「みまもりシステム(注)」は、ICTを用いて要介護・要看護者の行動をモニタリングし、転倒・徘徊などの防止や介護従事者の負担軽減に貢献する製品です。2015年にリリースして以来、介護施設や病院、在宅介護・看護、一人暮らしの親と離れて暮らすご家族など、多くの皆さまからご支持をいただいています。高齢化社会を迎えたタイに貢献したい2014年に高齢者が全人口の15%を超えたタイは、国家計画のもとに長期介護ケア支援制度を展開し、高齢者の在宅介護を進めています。経済成長にともなう高齢単身者の増加や核家族化の進行で看護・介護の担い手が減り、家族を中心とする従来の看護・介護体制を維持することが困難になってきたためです。自ら現地へ足を運び、市場調査を実施しかし、最初の応募では不採択となってしまいました。理由は準備が不十分ということでした。担当の方からの「本当にタイのことを理解できていますか」という指摘にショックを受けたことを覚えています。自分では十分に準備したつもりでも、机上の知識だけでは事業は成せないというこOITA03ICTでタイの介護・看護を“見守る”
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