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国連・地球規模問題

我が国の環境ODAの取り組み

(1)経緯

  我が国は「政府開発援助大綱」において、環境の保全を我が国援助の基本理念と位置づけ、途上国の「持続可能な開発」の実現に向けた努力を積極的に支援している。

 89年のアルシュ・サミットにおいては、89年度より3年間で環境分野の援助を3000億円を目途として拡充・強化する旨表明し、これを達成した。

 さらに、92年6月の国連環境開発会議(UNCED)において、92年度より5年間で環境分野の援助を9000億円から1兆円を目途として大幅に拡充・強化する旨総理より発表している。                           

(2)実績

 (イ)92年度から95年度までの4年間で約9800億円となり、UNCEDの際に表明された目標額は、1年前倒しで達成された。

 (ロ)我が国の環境ODAの具体的な対象分野としては、居住環境改善(上下水道、ゴミ処理等)、防災(洪水防御等)、森林保全、公害対策(大気汚染防止、水質汚染防止等)、省エネルギー、自然保護等が挙げられる。また、途上国の環境問題対処能力の向上を重視しており、タイ、インドネシア、中国、メキシコ、チリにおいて環境研究研修センターの設置等を通じた人造りを行っている。

 (ハ)援助実施に際しての環境配慮については、政府において援助に関する年次協議等様々な機会に相手国に環境配慮を重視する我が国の姿勢を伝えるとともに、個別プロジェクトの採択、実施、評価のあらゆる段階において環境配慮に留意してきている。例えば、途上国の排出基準の規制基準を遵守すること、また途上国の国内法に基づき指定された自然保護区の外で実施されなければならないことなどである。

 また援助実施機関では様々な形で環境配慮の強化に務めており、JICAやOECFでは、環境配慮を早期かつ効果的に実施するため、事前調査の段階における「環境配慮のためのガイドライン」を作成し、プロジェクトを実施する際に予想される自然・社会環境への影響について様々な角度から調査を実施している。

 (ニ)我が国は、環境に関する政策対話調査団(環境ミッション)の派遣を89年より実施しており、これまで中南米、東南アジア、東アフリカ、南西アジアの計10カ国に派遣している。

 中国に対しては95年に、橋本恕元中国大使を団長とする環境ミッションを派遣したほか、昨年5月には日中環境総合フォーラムの第1回会合を実施。

(3)今後の方針

 (イ) 途上国では、環境分野での人材不足が見られるので、各種プロジェクトへの協力とともに、今後も上記環境研究研修センターのような人材育成面での協力が必要。

 (ロ)環境保全の重要性についての途上国の認識は高まっているが、具体的案件の要請にまでつなげるためには、我が方からの積極的な働きかけが必要であり、環境ミッション等による政策対話は有効な手段のひとつ。

 (ハ)環境ODAの内容としては、従来、居住環境改善(上下水道、ゴミ処理等)、防災(洪水防御等)のシェアが大きいが、今後は、右分野とともに、公害対策、森林保全、自然保護、省エネルギーについての協力も強化したい。

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