外務省の障害者権利条約
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13国際協力日本はこれまで、障害者施策に関する技術や 経験を数多く蓄積してきました。これらを、政府 開発援助(ODA)の活動を通じて開発途上国の障害者施策に役立てることは、極めて有効であり、重要です。条約の第32条(国際協力)を踏まえ、障害と開発に関する国際協力がこれまで以上に進められています。文化・スポーツ条約の第30条(文化的生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加)を踏まえ、2018年に 成立した障害者による文化芸術活動の推進に関する 法律を受けて、鑑賞や創造、発表の機会を確保する ため、障害者の文化芸術活動の国内外での公演・ 展示の取組への支援、助成採択した映画作品や 劇場・音楽堂等における舞台公演のバリアフリー 字幕・音声ガイド制作への支援、特別支援学校の 具体的には、鉄道建設や空港建設にバリアフリー設計を取り入れる等の有償資金協力、リハビリテー ション施設の整備等の無償資金協力、障害者の社会 参加に関する研修員の受入れや専門家・JICA海外協力隊の派遣等の技術協力が行われています。また、 日本NGO連携無償資金協力や、JICA草の根技術 協力事業を通じた、障害者への職業訓練等の、草の根レベルの支援も行われています。これらの協力においては、障害当事者を中心とする 意思決定や実施が重視されており、日本の協力に生徒による作品の展示や実演芸術の発表の場の 提供等の取組を実施しています。また、国立美術館、国立博物館は、障害者手帳を持つ人について展覧 会の入場料を無料としているほか、全国各地の劇場 や博物館などにおいて、車椅子使用者も利用が できるトイレやエレベーターの設置等障害のある 人に対する環境改善の取組を推進しています。 海外においても、在外公館や国際交流基金などを 通じて、障害者による文化芸術活動を紹介する取組 が行われています。障害者スポーツに関しては、2011年に成立した スポーツ基本法を受けて、障害者スポーツ指導者の 養成、全国障害者スポーツ大会の開催等、障害者 スポーツの裾野を拡大するとともに、パラリンピック やデフリンピック等の競技大会への派遣や、トップ アスリートに対する強化支援等の障害者スポーツにおける国際競技力向上が図られています。よりタイのバンコクに設立された「アジア太平洋障害者センター」、ODA事業として初めて盲ろう 当事者が専門家として派遣された、ウズベキスタン での「タシケント市における盲ろう者のコミュニ ケーション支援」等、様々な事業で約10年間に延べ 100人以上の障害当事者が派遣されています。 こうした直接的な援助のほか、国連における協力や 地域協力として、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)を通じた活動支援等も行われています。

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