外務省の障害者権利条約
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12教育条約の第24条(教育)に関して、障害者を包容 する教育制度(いわゆるインクルーシブ教育システム)とは、障害のある児童がその潜在能力を最大限に発達させ、自由な社会に効果的に参加できる ようにするという教育理念のもと、障害のある 児童と障害のない児童とが可能な限り一緒に教育を 受けられるよう配慮することと考えられています。日本では、条約の内容を踏まえ、2011年に障害者基本法が改正され、「可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮」すること等が新たに規定されました。労働・雇用日本では、条約の第27条(労働及び雇用)の趣旨を踏まえ、2013年6月に障害者雇用促進法が一部改正され、雇用分野における障害者差別の禁止や、 精神障害者を障害者の法定雇用率の算定基礎に 加えること等が盛り込まれました。国や地方公共団体では、知的障害者等を非常勤 職員として雇用し、一定の業務経験の後に企業への 就職を目指す「チャレンジ雇用」が進められています。障害者の雇用に伴う事業主の負担を軽減する ため、障害者雇用納付金制度が設けられ、法定雇用 率を未達成の企業からは納付金を徴収し、法定 雇用率を超えて障害者を雇用している企業には 障害者雇用調整金が支給される等様々な助成が 行われています。2013年に、学校教育法施行令が改正され、従来、一定の程度以上の障害のある児童生徒は特別支援学校への就学が原則とされ、小中学校への就学は例外だったものが、障害の状態等を踏まえ、総合的な観点から就学先を決めるようになりました。さらに、一人ひとりのニーズに応じたきめ細かな 指導を行うため、通級による指導体制の充実や 通常の学級等における合理的配慮の提供、特別支援 教育支援員の経費に対する地方財政措置が行われています。また、障害のある児童等に対する個別の 教育支援計画や個別の指導計画の作成が進められているほか、視覚障害のある児童等のための拡大 教科書等の普及促進、教育・医療・福祉・保健・労働 といった関係機関の連携等による、発達障害を 含む障害のある児童に対する支援に必要な様々な施策が進められています。学校卒業後も障害の有無にかかわらず、生涯に わたって学び続けることができるよう、地方自治体 における支援体制の整備や多様な実施主体による学習プログラムの開発などを推進しています。2013年4月からは、障害者優先調達推進法の 制定を受け、国や地方公共団体、独立行政法人等の公的機関による障害者就労施設等からの優先的な 購入も行われています。このほか、全国障害者技能 競技大会「アビリンピック」の開催を通じて、広く 社会の障害者に対する理解と認識が深められ、 雇用の促進が図られています。条約に関する日本の取組

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