10耳マーク平等・無差別と合理的配慮条約の第2条(「障害に基づく差別」の定義)や 第5条(平等及び無差別)の規定に関して、日本では、2011年の障害者基本法の改正時に、同法の「基本原則」に「差別の禁止」が規定され、障害者が社会的 障壁の除去を必要とし、そのための負担が過重で ない場合は、その障壁を除去するための措置が実施されなければならないことが定められました。意思決定過程における障害当事者の関与日本では、条約の第33条(国内における実施及び 監視)を念頭に2011年に障害者基本法が改正され、 障害者、障害者の自立・社会参加に関する事業の 従事者及び学識経験者から構成される「障害者 政策委員会」が設置されました。この規定を具体化する法律が「障害を理由とする 差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」 です。この法律は、全ての国民が障害の有無によって 分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、障害を理由とする差別を解消することを目的としています。 この法律では、障害を理由とする差別を「不当な差別 的取扱い」と「合理的配慮の不提供」の二つに整理しています。「不当な差別的取扱い」とは、障害がある というだけで、商品やサービスの提供を拒否する 委員は内閣総理大臣により任命されますが、 その構成については、同委員会が様々な障害者の 意見を聴き障害者の実情を踏まえた調査審議が 行えるよう配慮されることが定められています。 同法では、政府は障害者施策の総合的かつ計画的な 推進を図るため、障害者基本計画を策定することを 定めています。障害者政策委員会は、この障害者基本計画の 作成・変更について調査審議を行い、必要に応じて 内閣総理大臣又は関係各大臣に対して意見を述べることとされています。また、同委員会は障害者ような行為をいい、国の行政機関や地方公共団体、事業者の区別なく禁止されています。また、障害者等から何らかの配慮を求める意思の表明があった 場合に、その実施が負担になりすぎない範囲で「合理 的な配慮」を行うことも求められており、この合理的な配慮を欠くことで障害者の権利利益が侵害される場合は、これも差別に当たるとされています。 具体的に何が不当な差別に当たり、どのようなこと が合理的な配慮として求められるのかは、個々の 状況で判断されるため、この法律では、対応要領や 対応指針で具体例を示すことにしています。2021年 5月には、改正障害者差別解消法が成立し、改正後の 障害者差別解消法に基づき、2023年3月、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針を改定しました。基本計画の実施状況を監視し、必要に応じて内閣総理大臣又は内閣総理大臣を通じて関係各大臣に勧告を行うこととされています。どちらの場合も、 同委員会は関係行政機関の長に対して、資料の 提出等の協力を求めることができます。2023年3月には同年4月から5年間を計画期間 とする「障害者基本計画(第5次)」が閣議決定されました。同基本計画は、政府において障害者政策委員の意見を聴いて案を作成し、パブリックコメントを経て策定されたものです。条約に関する日本の取組
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