ウィーン代表部

   (1) 国連ウィーン本部
[国連薬物統制計画(UNDCP)]
 麻薬問題は今や地球規模の問題となっており、UNDCPは国際協力の中心として、覚せい剤対策、原料物質規制強化、資金洗浄対策に取り組んでいる。また、98年の国連総会特別会期に向け、麻薬対策の更なる強化が期待される。日本は、UNDCPの世界第2位の拠出国であり、覚せい剤対策や海上薬物取締協力等にも積極的に貢献している。

[国連犯罪防止刑事司法部(CPCJD)]
 国際組織犯罪、テロ犯罪、銃器犯罪など、犯罪の国際的な増加傾向を背景に、国連犯罪防止刑事司法部は、犯罪防止、刑事司法強化における国際協力の中心としてその重要性を高めている。日本は、銃器規制プロジェクトの推進など積極的な協力を行っている。

[宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)]
 宇宙空間の探査・開発上の大きな問題である宇宙破片につき検討する3か年計画が96年より開始された。COPUOS機構改革に関する議論も開始され、日本も積極的に取り組んでいる。

[パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)]
 約330万人のパレスチナ難民の支援にあたるUNRWAは、7月、本部事務局をウィーンからガザ、アンマンに移転した。

   (2) 国連工業開発機関(UNIDO)
 96年、UNIDOは、改革を推進しつつも、12月に入り、英国及び豪州が脱退を表明したことから、活動分野の絞り込みを含む更なる改革が求められている。日本は、米国脱退後の最大分担金拠出国となることから、活動分野の絞り込みを強く働き掛けるとともに、予算執行レビュー、分担金支払い促進策などの政策決定面で積極的なリーダーシップを発揮した。5月、イ・カンポス事務局長が外務省賓客として訪日し、池田外務大臣からはUNIDO改革継続への支持を伝達した。

   (3) 国際原子力機関(IAEA)
 イラク及び北朝鮮の核兵器開発問題を契機として、IAEA保障措置制度の強化・効率化が重要な課題となっており、93年より、この課題に応えるべく「93+2計画」の検討が開始された。現行保障措置協定の中でIAEAが実施し得る方策(パート1方策)については、既に実施に移されつつある。また、現行保障措置協定の中でIAEAが実施し得ない方策(パート2方策)については、モデル議定書を起草する委員会が設立され、早期合意を目指した協議が進められている。
 北朝鮮の核兵器開発問題については、IAEAは北朝鮮に査察官を常駐させ、核関連施設の凍結の監視を行うとともに、過去の核開発疑惑に関する査察に関係する情報の保全措置をはじめとする未解決の問題に関して、IAEA側と北朝鮮側の専門家による話し合いを継続している。
 原子力安全条約は10月24日に発効したが、放射性廃棄物管理の安全に関する条約の新規作成や原子力損害賠償条約の改正に関する検討が進められ、合意成立に向け前進がみられた。

   (4) 原子力供給国会合(NSG)
 NSGには、現在34ヶ国が加盟し、核関連物資・技術の輸出管理を通じた核不拡散努力を継続・強化してきている。在ウィーン日本政府代表部がその事務局機能を遂行している。

   (5) ワッセナー・アレンジメント(WA)
 冷戦終了後の不安定な国際社会に対応するため、通常兵器及び関連汎用品・技術の移転、蓄積に関する多国間協議の場として、ワッセナー・アレンジメントが7月、ウィーンにおいて発足した。