カタル

基礎データ
英語名称:  State of Qatar
首  都: ドーハ(Doha)
面  積: 1.1万km2
人  口: 54万人(人口増加率4.5%)
言  語: アラビア語
民  族: アラブ人
宗  教: イスラム教
略史:18世紀にクウェイトの部族の一部がカタルに移住したのが始まり。1916年に英国の保護下に入るが、1971年英国がスエズ以東から軍事撤退をしたことにより、同年9月3日、独立を達成。
政  体: 首長制
元  首: シェイク・ハマド・ビン・ハリーファ・アル・サーニ(Sheikh Khalifa bin Hamad Al-Thani、首長)
首  相: 首長が兼任
外  相: シェイク・ハマド・ビン・ジャースィム・ジャボル・アル・サーニ(Sheikh Hamad bin Jasim bin Jabor Al-Thani)
軍事力: 総兵力ε11,800人(陸8,500、海ε1,800、空1,500)96年予算3.3億ドル
G N P: 78.1億ドル[一人当たり14,540ドル]
経済成長率: ▲2.7%(1995年)、n. a.%(1994年)、2.8%(1993年)
物価上昇率:  1.2%(1995年)、1.3%(1994年)、▲0.9%(1993年)
失 業 率: n. a.
通   貨: カタル・リアル(1ドル=3.64カタル・リアル)
対日輸入:  297百万ドル・機械、金属品、繊維品等
対日輸出: 1,975百万ドル・石油等
我が国の政府開発援助: 0.80百万ドル(2位)
    無償資金協力: ----百万ドル
      技術協力: 0.80百万ドル
     政府貸付等: ----百万ドル
日本からの直接投資: 780万ドル
在 留 邦 人 数: 255名

 ハマド政権が誕生して1年半が経過し、この間、現政権は、クーデター未遂事件など困難な局面を無難に乗り切り、国外にある前首長との和解の進捗、息子ジャーシム皇太子の任命、新内閣発足、省庁統廃合、世代交代人事など、近代化を目指す政府機構改革を通じて一層その体制を固めた。国内政治の自由化、民主化も進められている。内政を動揺させるような過激派や原理主義の動きは特段見られていない。国内経済は大きな構造的変化は見られず、大幅な石油増収を除き経済成長は物価動向を含めほぼ横這いであった。石油から天然ガス依存経済への移行のため天然ガス開発が着実に推進され、対日LNG輸出も始まった。そのほか豊富な天然ガスを利用した重工業開発、国内経済の活性化、カタル人雇用促進等が図られている。しかし、緊縮財政ゆえに高度福祉行政が行き詰まり、公共料金の有料化に着手している。
 対外面では、米国及びサウディ・アラビアとの関係に細心の配慮を払いつつも、引き続き積極的、現実的な自主独立・全方位外交を展開した。GCC内で孤立が深まる場面もあったが、ドーハGCC首脳会議開催までこぎつけることができた。サウディとは国境問題で急進展があった一方、バハレーンとは領土紛争を背景に関係が悪化し、バハレーンによるドーハGCC首脳会議の全面ボイコットに至った。対イラン、イラク関係では宥和外交を継続し、要人往来等が見られた。中東和平関連では、ペレス首相の来訪や在カタル通商代表部の開設など引き続きGCC内で突出した対イスラエル接近を強めていたが、リクード政権誕生後は関係増進を凍結している。安全保障上重要な欧米との関係も着実に進展した。
 日本との間では、アティーヤ・エネルギー工業大臣の訪日のほか、日本より輸銀、石油公団両総裁、経済界要人の来訪など、経済分野を中心に要人の交流が見られた。特に、天然ガス開発で日本企業が全面的に関与するカタルガス計画の対日LNG輸出が96年末に開始され、石油・ガスの最大顧客である日本の経済的プレゼンスはますます増大した。