欧州連合(EU)

基礎データ
英語名称:  European Union
欧州委員会所在地: ブリュッセル(Brussels)
面  積: 323.5万km2(加盟15カ国統計)
人  口: 約3億7,050万人(加盟15カ国統計)
公 用 語: 英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語、オランダ語、ポルトガル語、デンマーク語、ギリシャ語、フィンランド語、スウェーデン語
略史:52年のECSC条約及び58年のEEC条約、ユーラトム条約が起源。67年の3共同体統合条約、87年の単一欧州議定書により発展。92年末に単一共同市場発足。93年11月に発効した欧州連合条約により、共通外交・安全保障政策、司法・内務分野の協力等を包摂する「より緊密な連合」創設を目指す。
政  体: 欧州連合条約(マーストリヒト条約、93年11月発効)に基づく統合体
構成国: 独、仏、伊、蘭、ベルギー、ルクセンブルグ(原加盟国)
英、アイルランド、デンマーク(73年1月加盟)
ギリシャ(81年1月加盟)
スペイン、ポルトガル(86年1月加盟)
オーストリア、スウェーデン、フィンランド(95年1月加盟)
欧州委員会委員長: ジャック・サンテール(Jacques Santer、ルクセンブルグ人)
G D P: 7兆3,130億ドル[一人当たり1.97万ドル]
経済成長率: 2.5%(1995年)、2.8%(1994年)、▲0.5%(1993年)
物価上昇率: 2.9%(1995年)、2.9%(1994年)、 3.7%(1993年)
失 業 率: 10.9%
通   貨: ECU(1997年1月末現在、1ドル=0.84ECU)
対日輸入: 758億4百万ドル
対日輸出: 420億58百万ドル

 96年前半(伊が議長国)、狂牛病問題に端を発する英国の非協力政策により多くの主要案件の審議が停止するなど、欧州統合プロセスは一時困難に陥ったが、サンテール欧州委員会委員長の努力もあり、6月のフィレンツェ欧州理事会で妥結がはかられた。後半(アイルランドが議長国)は、99年1月1日の経済通貨統合(EMU)第3段階移行(単一通貨「ユーロ」の導入)に向けた所要措置が合意されたほか、マーストリヒト条約見直しのための政府間会合(IGC)についても議長国による条約改正素案の有用性が確認されるなど、統合の深化・拡大の道筋は年末に至りより明確になった。EU経済は、95年春の為替市場の変動等の影響もあり、96年後半こそ回復の兆しが見られたものの、年間実質GDP成長率は1.6%(前年2.5%)と落ち込む見込みであり、また、失業率もEU全体で10.9%と依然高水準である。IGCの作業は97年6月のアムステルダム欧州理事会で完了することが合意されており、また、99年1月からのEMU第3段階の移行は97年の各国の経済状況にかかっているため、97年はEU統合にとり決定的重要性を有する年となろう。
 EU拡大では、マルタの加盟申請は取り下げられたが、現在申請中の中・東欧6か国、バルト3国、スロヴェニア、サイプラスとは97年のIGC終結6か月後に加盟交渉を開始することが事実上確認されている。96年は、ASEMの発足や11月のEU韓国基本協定の正式署名など、アジア諸国との関係も前進した。対米関係は、米の対キューバ及び対イラン・リビア制裁法案に対しEU側が強い反発を示す場面もあったが、概ね良好に推移した。また、EUよりKEDOへの資金拠出の決定がなされた。
 日本との関係では、第5回日・EU定期首脳協議(9月、東京)、第21回、22回日・EUトロイカ外相会議(各3月、9月)、第7回日・EU閣僚会議(4月、ブラッセル)など様々なレベルで協議が行われたが、特に10月にサンテール欧州委員会委員長、12月にヘンシュ欧州議会議長がそれぞれ公式に訪日するなど、より高いレベルでの交流が実現した。