フィリピン

基礎データ
英語名称:  Republic of the Philippines
首  都: マニラ(Manila)
面  積: 29.9万km2
人  口: 6,619万人(人口増加率2.1%)
言  語: フィリピノ語、英語他
民  族: マレイ系、中国系、スペイン系等
宗  教: キリスト教(カトリック)、イスラム教他
略史:1521年マジェランの比到着。1571年スペイン統治の開始。1898年アギナルドの反乱と独立宣言。1899年米西戦争(米の比統治開始)。1935年比連邦政府(独立準備政府)の発足。1943年日本軍政の下ラウレル政権発足。1946年比共和国成立。
政 体: 立憲共和制
元 首: フィデル・ラモス(Fidel V. Ramos、大統領)
大統領: フィデル・ラモス(Fidel V. Ramos)
外 相: ドミンゴ・シアゾン・ジュニア(Domingo L. Siazon Jr、外務長官)
軍事力: 総兵力ε10.8万人(陸6.8万、海ε2.3万、空1.7万)96年予算11億ドル
G N P: 633.1億ドル[一人当たり960ドル]
経済成長率: 4.8%(1995年)、4.4%(1994年)、2.1%(1993年)
物価上昇率: 8.1%(1995年)、9.0%(1994年)、7.6%(1993年)
失 業 率: 8.4%(1995年)、8.4%(1994年)、8.9%(1993年)
通   貨: ペソ(1ドル=26.29フィリピン・ペソ)
対日輸入: 6,367百万ドル・輸送機器、機械類、通信家電等
対日輸出: 2,760百万ドル・電子機器、えび類、バナナ等
我が国の政府開発援助: 416.13百万ドル(1位)
    無償資金協力: 121.08百万ドル
      技術協力: 114.43百万ドル
     政府貸付等: 180.62百万ドル
日本からの直接投資: 7億1,790万ドル
在 留 邦 人 数: 4,175名

 フィリピンにとって96年は、4年目を迎えたラモス政権下で、政治、経済両面とも全体として安定的に推移した一年であった。特に、9月、代表的なイスラム武装反政府勢力であったMNLF(モロ民族解放戦線)と比政府との間で和平合意が成立し、ミンダナオ島を中心とする南部フィリピンの安定化に向け大きな前進が図られたのは画期的であった。経済面も堅調に推移し、96年は6.8%のGNP実質成長率を達成した(95年は4.8%)。再選を認めない現行憲法の下でラモス大統領は98年6月に退陣することになっているが、ラモス政権がそれまでに包括的税制改正等の課題にどのような成果を収めるか、次期大統領候補がどのように絞られてゆくか、さらには、次期大統領がラモス政権の政策をどのように継承していくのかについて国内の関心が高まっている。
 対外関係では、経済発展とAPEC議長国としての役割を背景に、国際場裏での活躍が目立った。11月にAPEC首脳会議が開催されたことは、フィリピンの外交上画期的な出来事であり、また、実質面でも「マニラ行動計画」のとりまとめなどに大きな役割を果たした。中国との間では江沢民国家主席がAPEC会合参加に引き続き中国元首として初めて公式訪問し、南沙問題については平和的解決を図ることが確認された。
 日本との関係については、エストラーダ副大統領の訪日(3月)、ラモス大統領の非公式訪日(5月)、橋本総理大臣のAPEC首脳会議出席(11月)などの要人往来を通じて日比関係は緊密の度を増している。日本の工場のフィリピン輸出加工区への進出が続いたほか、経済協力では、日本はフィリピンに対するトップ・ドナーの地位を継続しており、特に12月、2年連続で東京で開催された対比援助国会合で、日本が総額約1200億円にのぼる第21次円借款を含む援助計画を明らかにするとともに、ミンダナオを含む南部地域の開発努力を積極的に支援する旨声明したことは、フィリピン側から高く評価されている。慰安婦問題では、8月、「アジア女性基金」による「償い金」支給事業が開始された。