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(1) 国連平和維持活動(PKO)
[PKOを巡る議論]
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国連平和維持活動(PKO)
[日本の協力]
また、「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(国際平和協力法)」
は、95年8月に施行後3年を迎えたため、同法附則に基づきいわゆる法律の見直しの
検討作業が開始されており、9月に行われた橋本総理大臣に対する報告では、特に法
改正について早急に結論を出すべき事項として、(イ)武器の使用について指揮官の判
断にかからしめることができるようにすること、(ロ)国連PKOとしての選挙監
視活動に類する国際的な選挙監視活動に対しても円滑・適切な協力が行えるようにす
ること(ハ)人道的な国際救援活動に対する物資協力につき停戦合意が成立していない
場合でも実施できるようにすることが挙げられている。関係省庁では過去の教訓・反
省を参考にしつつ、結論を得るべく引き続き検討作業を行っている。 |
(2) 難民問題
[問題の所在]
96年現在、世界の難民は約3,000万人存在する。 5月末にジュネーヴで開催された「CIS諸国等の人口移動等に関する地域会 議」においては、旧ソ連地域に存在する潜在的な難民・避難民などの問題につき予防 外交の観点から討議が行われ、これらの問題への取組の指針となる行動計画が採択さ れた。他方、過去20年以上にわたり懸案であったインドシナ難民問題が終息しつつあ ることに伴い、これまでこの問題の解決のために関係各国及び国際機関が協調して実 施してきた包括的行動計画(CPA : Comprehensive Plan of Action)が6月 末に終了し、難民と認定されないままアジア各国に滞留していたヴィエトナム人ボー ト・ピープルの多くが本国に送還されるに至った。アフリカでは、11月、ザイール内 戦の勃発をきっかけに94年以来同国に滞留していた100万人を越えるルワンダ難民の 多くが帰還を開始し、その後タンザニアに滞留していたルワンダ難民も本国に帰還し 始めている。
[日本の貢献] |
(3) 中東和平 [和平を巡る動き]
5月のイスラエル総選挙では、右派リクード党のネタニヤフ党首が現職のペレス首 相を破り当選したが、新政権は、和平プロセスを進めるとしつつもイスラエルの安全 保障を強調し、パレスチナ独立国家の樹立の否定、入植地の存続、ゴラン高原及びエ ルサレムにおける主権の維持など、それまでの労働党政権と異なる立場を主張したため、和平当事者間の話合いは中断し、和平プロセスは停滞した。9月 下旬には、アラブ側の焦燥感の高まりと封鎖による経済悪化を背景とし、イスラエル によるエルサレム旧市街のトンネル開通問題が契機となって、西岸及びガザの諸都市 でパレスチナ人とイスラエル軍との間で衝突が発生し、双方に多数の死傷者が発生す る事態となった。この事件を受け、クリントン大統領の呼びかけにより、10月にワシ ントンでネタニヤフ首相とアラファト議長の間の首脳会談が行われ、米国の仲介を得 つつ、ヘブロン問題を始めとする暫定自治合意の実施に関する協議が当事者間で行わ れることとなった。(その後、97年1月に交渉がまとまり、いわゆるヘブロン合意が 結ばれた。)
[日本の役割] |
(4) 旧ユーゴー問題
[旧ユーゴー和平を巡る情勢]
今後は、難民・避難民の帰還・再定住の促進、移動の自由の確保、市町村議会選挙 の実施など、民生面での和平履行における残された重要課題に国際社会がいかに協力 していくかが焦点となる。 [旧ユーゴー和平に対する日本の立場]
ボスニア和平はようやく緒についたばかりであり、日本は、PIC運営委員会 の一員として、引き続き民生面での和平合意の履行のための国際社会の支援努力に積 極的に参画していく必要がある。
[セルビア地方選挙を巡る情勢] |