(7)  第35回OECD閣僚理事会コミュニケ(仮訳)

(96年5月22日、パリ)

  1. OECD閣僚理事会は、1996年5月21日及び22日に開催された。議長はオーストリアのフランツ・フラニッキー首相及びヴィクトル・クリーマ大蔵大臣が務めた。副議長はポルトガルのアントニオ・ルシアーノ・ソウザ・フランコ大蔵大臣、フランシスコ・マヌエル・セイシャス・ダ・コスタ外務省欧州問題担当長官及び米国のジョセフ・スティグリッツ経済諮問委員会委員長が務めた。会合に先立ち、議長は、OECDの経済産業諮問委員会(BIAC)及び労働組合諮問委員会(TUAC)との協議を行った。両諮問委員会は、閣僚の検討のため、声明書を提出した。閣僚は、科学技術、教育、環境、行政管理者及び開発協力に関する最近のOECD大臣会合の結論を支持した。
  2. 閣僚は、前回1995年に会合して以来のチェッコ及びハンガリーのOECD加盟を歓迎した。
  3. 閣僚は、事務総長ジャン・クロード、ペイユ氏の過去12年間にわたる力強いリーダーシップ並びにOECD及び国際的な経済協力に対する際立った献身に対して深甚なる感謝の意を表明した。閣僚は、同氏の将来の活躍を期待した。OECD閣僚理事会は、1996年6月1日より同氏の後任となるドナルド・ジョンストン氏を歓迎した。
  4. 閣僚は、いくつかの国では最近予期せぬ経済活動の停滞があったが、多くのOECD諸国における好調なファンダメンタルズがより良い経済成長の見通しを強めていることを考慮した。インフレは一般的に低く、金利は大幅に低下してきた。主要通貨の為替相場の大筋の動きはインフレなき成長の見通しを改善してきた。しかし、深刻な課題がある。ほとんどの国が巨額の財政赤字及び公的債務に真剣に取り組んでいるが、これらは引き続き枢要な問題となっている。多くのOECD諸国経済において、失業は依然として受け入れ難いほど高い。いくつかの国においては、所得の不平等な分配が懸念されている。構造的硬直性は変化に対する強靭性及び適応力を弱める。OECD諸国の状況は複雑に非加盟国の実態及び状況に結びついていることを認識して、閣僚は、より多くの雇用を創出し、貧困と疎外を削減し、環境を保護し、信頼性を高めることにより、OECD及びそれ以外の国々における持続的な発展及びインフレなき成長を生み出すため協力することを決意する。
  5. 経済のグローバル化は貿易と技術進歩の相互作用の産物である。それは、全ての国に対し世界の発展に加わる可能性を与え、また全ての消費者に対し、生産者間のますます活発な競争から裨益することを保証する。このような生活条件の改善及び進歩の展望を利用するため、個人、企業及び各国は迅速な調整及びたゆまぬ技術革新が可能であることを示さなければならない。これが特に加盟国にとっての課題である。
  6. 閣僚は、この課題に共同で、合意した戦略に基づいて、取り組むため、特に、分析の実施と政策提案の策定に係るOECDの能力に頼ることとしている。この戦略は次の主要な要因からなる。

    1.  社会的一体性を維持しつつ、可能な限り高い水準の持統的経済成長を探究すること。  
    2.  グローバル化した経済が適切に機能するために必要な多角的ルールの体制を継続的に強化すること。  
    3.  非加盟国との多様な相互作用。
  7. 閣僚は、OECD各国政府による以下の行動計画及びOECDの作業の指針を採択した。

行動計画
  1. 閣僚は以下のとおり決意する。
    1.  潜在的成長力を高め、雇用創出を増大させ、インフレを低水準に維持し、持続的発展を促進するような、相互に補強し合うべきマクロ経済政策及び構造政策を実施すること。
    2. 失業は特に、未熟練者、若年者及び長期の失業者に影響を及ぼし、社会的及び地域的格差を拡大する危険性を有しているので、最も緊急な課題として引き続きこれと闘うこと。このため固い決意をもってOECD雇用戦略の提言を実施する。いくつかの加盟国においては、この戦略と合致した政策の前向きな成果が現れ始めている。  
    3. 成長見通しを改善し、将来の社会経済の変化に備えることを容易にするため、適切な場合には支出を制限することにより、財政赤字を削減し、健全な公共財政を回復し、公的部門の管理を改善すること。  
    4. 健全な金融政策を追及し、これにより、物価の安定確保と、投資及び消費の決定にとってより好ましくかつ予見可能な環境を創出することに貢献すること。  
    5. 経済政策及び為替相場に関する協力を継続し、もって、持続的成長のためのファンダメンタルズの改善、金融資本市場の一層の安定の促進、及び国際貿易と投資の継続的な拡大への貢献を助けること。  
    6. 銀行及びノン・バンク金融機関の健全性確保のための適切な監督、並びに金融資本市場における透明性の向上及び情報提供を一層促進すること。  
    7. グローバル化及び技術進歩の有益な影響を最大限に利用し、中小企業等にとって好ましいビジネス環境を創り出すために、構造改革を強化すること。  
    8. 技術革新のシステムを促進し、情報及び通信技術の潜在力を十分活用すること。  
    9. あらゆる人々が生涯学習の健全な基礎を有し、変化しつつある労働市場及び知識に立脚した社会において、雇用可能性を高めるのに必要な資格及び技能を持つかまたは習得できるよう確保すること。  
    10. 特に規制の質を改善し、より一層競争的な市場への移行を容易にし、もって差別的でない方法で貿易及び投資機会の増大を促進することにより、規制制度改革を推進すること。  
    11. 環境と経済その他の制作の統合を推進すること。  
    12. 機会均等を社会の優先的な目標として強調し、労働市場における女性の役割を高めること。


  2. 閣僚は、開かれた、ルールに基づく多角的体制を強化することが、進行中の多角的貿易自由化努力に新たな弾みを与え、持続可能な実質成長、雇用及び開発を支える多角的貿易体制の将来の方向を描くことになると強調する。閣僚はこの目標のため、次のとおりコミットする。
       
    1. 効果的かつダイナミックな多角的貿易体制に非常に高い優先度を与えることを再確認すること。これは特に以下により行う。
      • 世界貿易機関(WTO)のルール及びOECDのコードに反する貿易・投資措置の実施を避けることにより、また、意見の相違が生じた際には、適用可能な協議及び紛争処理規定を使用し、遵守することによって、多角的体制の信認及び信頼性の強化にとり組む。
      • WTOのルールを遵守し、あらゆる形態の保護主義的圧力に抵抗し、通報義務を含め、合意されたタイムテーブルに従ったコミットメントの十分かつ効果的な実施を確保し、幾つかのサービス分野や非特恵原産地規則の残された交渉の成功裡の終結を達成するために重点的努力を払う。
      • WTO地域貿易協定委員会その他の適当なフォーラムの利用を通じ、地域統合と開かれた多角的貿易体制との整合性を確保・強化する。
      • 体制全体の一体性を守りつつ、合意された条件でWTO加盟国を拡大すべく作業すること。その関連で、モノとサービスの効果的な市場アクセスおよび知的所有権の効果的な保護は極めて重要である。
       
    2. 開発途上国及び移行経済国を含めたあらゆるWTO加盟国の利益を反映するバランスのとれた、コンセンサスに基づく指針を通じて、ウルグァイ・ラウンドのモメンタムを確固たるものとし、これを基礎として、第1回WTO閣僚会議の成功に向けて行動すること。  
    3. レヴュー、追加的作業又は交渉のためのビルト・イン・アジェンダの進展を確かなものとするよう以下の作業を含め積極的に協力すること。
      • WTOの様々な委員会及び作業部会で既に進んでいる継続的準備作業。
      • マラケッシュ閣僚会議のマンデートに従い、この問題について実質的な進展を見るようWTO貿易環境委員会の報告書及び勧告のレヴュー。
      • ビルト・イン・アジェンダがまだ定義されていない分野においては、その準備と探究のために作業プログラムの設定。
       
    4. 多角的貿易体制を更に発展させる必要が高まっていることについて、次のとおり対処すること。
      • 情報技術協定に向けての現行の作業に留意し、貿易を一層自由化する全ての可能性を探究する。新分野(注)に関するOECDの作業を想起し、これら分野をどうとり進めていくかを決定するため更に検討を行う。

         (注)閣僚は次の報告書を受け取った:
            貿易と投資に関する報告書、MAI交渉グループの報告書、貿易と競争に関する報告書、貿易委員会と競争法・政策委員会の共同報告書、貿易、雇用と労働基準に関する報告書、貿易委員会と教育・雇用・労働・社会問題委員会を共同報告書及び事務総長の責任で秘指定解除することとなっている事務局の分析レポート。

      • 地域協力のモメンタムを生かすことを含めて、無差別な多角的自由化とルールの策定に新たな推進力を与える。
      • 貿易自由化の場を提供するとのWTOのプライオリティーと、ビルト・イン・アジェンダのマンデートの将来の期限に留意しつつ、シンガポール以降を見渡し、包括的な多角的貿易自由化のプロセスが来世紀に亘って続いていくことを確保するための様々な可能性と方法を探求する。
       
    5. WTOにおける貿易と投資に関する検討を開始し、交渉の可能性を含み得るコンセンサスに向けて作業を行うこと。  
    6. 多数国間投資協定(MAI)のこれまでの交渉の成果を更に前進させること。
      • 1997年の閣僚理事会までに、高い水準の投資自由化・保護及び効果的な紛争処理手続きを含む合意に達し、より高いレベルの自由化の達成を目指す。
      • 特にMAIへの加入に関心のある非加盟国との強化された対話を行う。
    7. OECD移転価格ガイドラインについての作業のモメンタムを維持し、有害な租税競争がもたらしている問題に対する共通のアプローチの構築に向けて作業を行うこと。  
    8. 航空セクターがOECD諸国及び世界全般の経済発展に十分貢献することを確保するべく、全ての人の利益のために、二国間及び多数国間の枠組みにおける国際航空運送の自由化の作業を促進すること。
    9. 加盟国の残存資本規制の撤廃を引き続き促すこと。
    10. 外国公務員に対する贈賄を税制上の控除の対象とすることについて、これを禁止していない加盟国においては、禁止することを意図して、再検討をすること。その際、かかる禁止は、外国公務員に対する贈賄を不法行為として取扱い趨勢によって容易になり得ることを認識する。また、国際的商取引における贈賄と闘うために、効果的かつ調整のとれた形でかかる贈賄を犯罪化し、その為に、犯罪化を容易にする方法及び適当な国際的手段について更に研究し、1997年に提案を検討すること。
    11. 世界全体におけるコア労働基準の促進に向けて、作業を継続すること。閣僚は、貿易、雇用と労働基準に関するOECD報告書の結論を、この問題に対する理解に重要な貢献をするものとして歓迎した。閣僚は、加盟国政府に対し、更なる行動を検討する目的で、同報告書の結論と、この問題に関する事務局の分析レポートを、より広範囲の非加盟国と共に討議することを促した。この討議は、今秋に予定されている活力ある非加盟経済(DNMEs)との政策対話の一環として開始し得る。
    12. 「輸出信用アレンジメント」の全ての参加国の作業、特にプレミアム設定のためのガイディング・プリンシプル及び農産物に関するアウトライン了解に係る作業のモメンタムを、1997年の閣僚理事会までに合意を達成すべく、維持すること。
    13. 「造船協定」が1996年7月15日までに効力を生ずるためにすべての参加国が合意した期間内に同協定を批准するようあらゆる努力を払うこと、及び他の国が同協定の締約国となるよう奨励すること。
    14. OECDの諸原則に沿い、またウルグァイ・ラウンドのコミットメントを完全に実施することにより、農業政策改革のプロセスを進めるととも、環境、農村経済、及び食料安全保障等に関連する政策目的を取り扱うための新しくかつより的を絞った方法を開発すること。また、次回OECD農業大臣会合に向けた準備作業を行うこと。


  3. 閣僚は、開発途上国の持続可能な発展が、グローバルにより重要となってきており、開発途上国と先進国との関係は、相互に強化し合い、開発を支えるものであるべきことを認識する。閣僚は、新たなグローバル・パートナーシップの精神に従い、次のとおり合意する。

    1. グローバル化する世界経済への開発途上国の統合を促進し、世界の援助システムの効率と協調性を最大化するために、二国間援助の実施国間において、また多数国間開発機関とともに、共同で取り組んでいくこと。
    2. 開発援助委員会(DAC)上級会合で承認された長期開発戦略を支持し、特に、その成果重視型の開発目標の達成に向けて開発途上国が先進国と共に努力するよう呼びかけること。
    3. 開発援助の量を拡大する必要性を認識しつつ、可能な限り多くの二国間及び多数国間の公的資金、特に十分ばレベルの政府開発援助を動員し、私的資金と投資の流れを促進し、また、開発途上国の自助努力を強化しつつ、これら全ての資金の効率的かつ効果的な使用を促すこと。


  4. かつてない数の国が市場経済、多元的民主主義と人権尊重を取り入れ、また、世界経済がグローバル化し、国際機関全体の構図が変化するのにつれ、OECDはより一層迅速に対応しなければならない。OECDは、その有用性と有効性の基盤となる共有の価値と特色を保持しつつ、国家間及び国内の双方において、新たな問題に取組、新しいパートナーに働きかけていかねばならない。

  5. 加盟のプロセスが順調に進んでいる三カ国に加えて、他のいくつかの非加盟国がOECD条約への加盟の希望を表明している。これらのうち何カ国かは、OECDの種々の委員会に参加している。閣僚はこれらの国の関心を歓迎し、OECDは同じ価値観を共有する国々に対して開かれている一方で、選択的であり、加盟国の高い水準の伝統を維持しなければならないことを再確認する。OECDの加盟国の範囲は、変化する世界と加盟国の利益に沿って展開し続けなければならない。OECDが、その効率性と有用性を維持しつつ、将来の拡大に備えるためには、現状を踏まえ、必要となるであろう変革を定め、導入する必要がある。閣僚は、この問題に関する報告が1997年に行われることを期待する。

  6. 閣僚は、いくつかの新興で活力ある市場経済および移行経済との間で質の高い対話と協力が確立されたことを喜ばしく思う。閣僚はこれらの活動を強く支持し、これらが引き続き一貫した形で展開し、相互利益を効果的かつ多様な形で実現することを確保する。

  7. 閣僚は、OECDが多角的体制の不可欠な構成要因であることで一致する。閣僚が合意した行動計画は、民主主義を強化し、自由市場の価値とダイナミズムを示す上でOECDが果たす枢要な役割を強調している。閣僚は、制約された予算環境を念頭に置きつつ、事務総長に対し、加盟国と共同で、OECDを、更に一層焦点を絞った、効率的かつ効果的な機構としつつ、21世紀に導いていくとの挑戦に取り組むよう要請する。


    OECDの作業のためのガイドライン

  8. 閣僚は、そのコミットメントの実態を促進する為、新たな作業は、中心的な優先事項に専念することにより、制約された予算の範囲内に収めなければならないことを念頭に置きつつ、OECDに次のとおり要請する。
成長と雇用
    1. 特に共通関心事項や重要な国際的波及効果のある問題について、分析を行い、マクロ経済及び構造政策を監視し、インフレなき高い持続的成長のための勧告を行うこと。
    2. 報告書「戦略ある前進」に要約された、G7閣僚が要請した事項を含む雇用研究をフォローアップし、次のとおりその勧告のより迅速な実施を支援すること。
      • マクロ経済政策と構造改革の相互作用について更に作業を行うこと。
      • 経済調査による国別の問題及び政策の分析及び監視を継続し、1回目のレビュー・サイクルを通じて明らかになった共通の課題と教訓について1997年に閣僚に報告する。
      • 加盟国と共同で、調整のとれた水平的な形で技術、生産性及び雇用創出に関する報告書の結果を実施するための実際的な政策、戦略及びプログラムを見出し、技術革新及び技術普及政策における「最善の慣行」を明らかにする新たな作業を策定し、1997年までに中間報告を閣僚に提出し、更に、貿易と技術の相互作用の分析を継続する。
      • 若年者に関するものを含む労働市場、教育及び訓練に関する政策のレビューを継続し、また、企業家精神及び雇用創出をテーマとする作業を完成する。
      • 最も弱い集団を保護し、それらの集団がより一層職場と社会に参加し、将来生活水準を高めていく能力を強化することについて、引き続き問題点を分析し、政策を特定する。これは社会保護政策の影響とそのマクロ経済・構造政策との関係のレヴューを含む。
    3. 公共サービスを、ダイナミックで、かつ政府が直面する課題に応え、公共政策を効果的・効率的に良く実施し得る体制にするためのアプローチに関し、前向きの作業を遂行すること。
    4. 世界情報インフラストラクチャーと、これに関連する製品及びサービスの一層の発展を促進する包括的な政策の枠組みについての作業を深めること。これには、この分野における安全を高め、知的所有権を保護する暗号化政策ガイドラインの策定を含む。又、経済及び社会に対する影響を分析すること。
    5. 規制制度改革に関する作業計画を支持すること。その際、基礎がしっかりした改革は経済の効率性及び成長を改善し、技術革新を促進し、消費者の利益となり、国際貿易及び投資を支え、政府をより効果的にすることを念頭に置く。
    6. 人口高齢化の政策的意味合いに関する第一回報告書の配布し、年金、保健及び長期医療といった重要な政策分野における課題の分析を一層進展させ、1998年に報告すること。
    7. 国際移民に関する作業を継続すること。
    8. 既存のデータに基づき人的資源投資についての当初の指標セットを策定し、国際的に比較可能データに関し相当の格差が残る部分について分析し、新規措置及びパフォーマンス指標の開発及びデータ収集の経費を明らかにし、1998年に閣僚に報告すること。
    9. 環境(又は「緑」)に税制改革の可能性の更なる検討及び環境に有害な補助金の撤廃又は改革の分析を行い、1997年及び1998年に夫々閣僚に報告すること。
    10. 都市及び農村地域向けのものを含む地域政策についての作業を続けること。


多角的体制の強化
    1. 現時点では多角的貿易ルールの適用を全く又は十分には受けない分野において、将来多国間で議論・交渉し、貿易規律を作成することがあり得べき重要な貿易問題を特定するため、OECDの分野横断的分析能力を最大限に利用して、多角的貿易体制の一層の発展の将来の方向性を探究すること。
    2. 多角的体制への影響を含め、地域及び地域間の動向の監視を継続すること。
    3. 特に貿易と競争の相互作用に焦点を当てつつ、市場アクセスと、市場の存在及び投資の新しい局面に関する理解を深めること。
    4. コーポレート・ガヴァナンス及びその枠組みの条件に関する作業を発展させること。
    5. OECD移転価格ガイドラインの実施を監視し、その適用を拡大し、また有害な租税競争が投資と融資の決定に与える歪曲的効果及び国の税収基盤にもたらす影響に対抗する措置を分析・開発し、1998年に報告すること。

21世紀に向けての開発協力
    1. 来世紀に向けての開発協力の戦略的方向性についての精力的な検討をフォローアップし、包括的なアプローチ及び政策の一貫性の分野における一層の精力的取り組みを支える作業計画を策定すること。
    2. 1997年までに、紛争、平和及び開発協力に関する援助国の政策のあり方、並びに開発途上国の過度の軍事支出と、開発援助の有効性、平和及び世界の安全保障への影響に関する政策指針を完成させること。
    3. DACがエンドースした、二国間及び多数国間の援助調達のための腐敗防止提案に関する勧告が与えられた効果をフォローアップすること。

OECDの将来の展望
    1. ポーランド、韓国及びスロヴァキアの各国がOECD加盟国としての全ての責任を果たす準備と能力を整え次第、これらの国の加盟手続を早期かつ満足のいく形で完了させること。
    2. OECDが変化し、非加盟国との関係がより多様化するのに伴い、今や必要となりつつある措置を明らかにし、実施すること。
    3. 包括的で一貫した効率的な戦略の基礎に立って、非加盟経済との対話と協力の様々な形態を発展させ、合理化すること。この枠組みの中で移行経済諸国の一層の改革努力を支援し、ロシアとの協力を強化し、活力ある非加盟経済(DNMEs)及びより一般的に新興市場経済との対話を発展させ、世界の様々な地域における主要国との協力を強化すること。
    4. 「2020年に向けたグローバル化とリンケージ:OECD諸国の課題と機会」に関する研究を完成させ、1997年に報告を提出すること。


  1. 閣僚は、使用可能な予算・人員の範囲内で、OECDの関連性、効率性及び有効性を更に高めるため、特に、より厳格な優先度の設定を行い、管理・運営と作業手法を策定・改革することにより、OECDの構造改革プロセスを加速するよう要請する。閣僚は、これに照らし、事務総長に対し、これらの問題を取り上げ、特にOECDの予算の状況と見通しを検討するための特別理事会を可能な限り早期に召集するよう要請する。
    * * *
  2. 閣僚は、OEECとその後継機関であるOECDは、ジョージ・マーシャルが50年近く前にハーヴァードで行ったスピーチの中で示したヴィジョンにその起源があることを想起した。閣僚はこの記念日を来年の閣僚理事会の際に祝う意向である。閣僚は、将来に目を向け、OECDのグローバルな性格を想起し、OECDが引き続き国際経済協力と開発の触媒及び開拓者としての役割を果たしていくことへの期待を表明した。