(3)  クリントン米大統領訪日関係

  (イ) 橋本総理とクリントン大統領から日米両国民へのメッセージ(仮訳)

~21世紀への挑戦~

  • 日米両国は、共通の価値観、共通の関心、共通の希望を持ちながら、同盟国そしてパートナーとして、21世紀に向かって進んでいます。日米関係は、日米両国、この地域、そして世界にとり重要な関係です。両国は、これまで長年にわたり、試練を乗り越え、経験を共有し、協力関係を発展させてきました。そして今、将来へのさまざまな挑戦に立ち向かっています。
  • 我々の同盟関係は、アジア太平洋地域の平和、安定及び繁栄にとり中心的な重要性を持っています。また、日米安全保障体制は、日米両国にとり極めて重要です。
  • 両国の経済活動により、両国国民の日常生活は強く結びついています。両国間の大きな貿易、投資、金融の流れは、両国自身の繁栄と世界経済の健全さのためにも、大変重要です。
  • 日米両国が外交問題で協力してきたことで、困難をかかえる地域に平和をもたらし、テロリズムと闘い、核の危険を減少し、国連の機能を強化し、そして世界中で民主主義と開発を進めてきました。
  • 我々は、アジア太平洋地域で協力を進め、コミュニティ精神を高めてきました。コモン・アジェンダの下で、環境保護といった、一国では解決できない深刻な地球的規模の問題に手を取りあって取り組んできております。
  • ひとりひとりの日本人とアメリカ人が友情と心の交流を育むことは、信頼感と理解を深め、両国をさらに近づけます。
     今日、私たち日米両国の首脳は、これまでの日米関係の発展を振り返り、世界の大きな変化と、前途にある挑戦について話し合い、また、より平和で繁栄した太平洋地域と世界を築くために、両国が積極的にかつ協力してどのような役割を果たすことができるかということについて、改めて語り合いました。そして、我々は、将来の我々の協力のために次のとおり宣言いたします。
  1. 日米両国政府は、過去一年余、変わりつつあるアジア太平洋地域の政治及び安全保障情勢並びに両国間の安全保障面の関係の様々な側面について集中的な検討を行ってきた。そしてこの結果を、「日米安全保障共同宣言 21世紀に向けての同盟」としてまとめた。
  2. この検討の結果、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」を基盤とする両国間の安全保障面の関係が、共通の安全保障上の目標を達成するとともに、21世紀に向けてアジア太平洋地域において安定的で繁栄した情勢を維持するための基礎であり続けることが再確認された。
  3. 両国政府は、これまで世界の平和、繁栄及び民主主義に貢献してきた外交問題に関する協議及び協力を、引き続き緊密に行う。特に、両国政府は、朝鮮半島の平和及び安定を推進するための大韓民国との間の三か国による協力を確認する。また、両国政府は、中東において平和を建設するために緊密に協力する。両国政府は、それぞれの政府が旧ユーゴースラヴィアにおける人道支援及び復興に対し相当の貢献を行っていることに満足する。
  4. 両国政府は、また、すべての人々が自由及び効果的な法制度の利益を享受できるよう、民主主義の普及、法の支配、そして基本的人権の保障のために協力する。
  5. 両国政府は、国際連合をより実効的なものとするため、財政改革、経済社会及び開発プログラムの改革及び安保理改革を含む、国連システムの意味のある改革を実現するよう協力する。両国政府は、1996年秋までに改革の大枠が形成されるよう他の国連加盟国とともに努力する。この文脈において、米国は、日本を常任理事国として安全保障理事会に加えることを強く支持する。
  6. 両国政府は、全面核実験禁止条約(CTBT)の本年秋までの署名という目標に向け、同条約交渉の妥結を早期に実現するために協力する。両国政府は、CTBTの発効までの間、最大限の自制を行うとの昨年のNPT再検討・延長会議における核兵器国のコミットメントの重要性を再確認した。両国政府は、核不拡散条約への普遍的参加を引き続き求めるとともに、核兵器の廃絶という究極的な目標に向けた、世界的に核兵器を削減するための体系的かつ漸進的な努力を支援する。両国政府は、化学兵器を禁止し、化学兵器が戦争又はテロリズムの手段として使用される脅威を減少させるために、化学兵器禁止条約を可能な限り早期に発効させることの重要性を強調した。両国政府は、米国及びその他の同条約の署名国の早期批准の必要性について意見の一致をみた。
  7. 両国政府は、通常兵器並びに機微な汎用品及び技術の移転によりもたらされる危険に対処するための初めてのグローバルな体制であるワッセナー・アレンジメントの機能の早期開始が実現するよう協力する。両国政府は、特定通常兵器使用禁止・制限条約の地雷の使用に関する議定書を強化するための現在の努力を支持し、対人地雷の生産、貯蔵及び移転を管理するための更なる国際的な努力を奨励する。両国政府は、国連軍備登録制度にできるだけ多くの国が参加することを呼びかける。
  8. 両国政府は、化学的手段、生物的手段及び核の手段によるテロリズムの脅威に対抗するための多国間のメカニズムを強化するよう協力する。両国は、諸国間のより広範な法執行の協力を支援するよう努力する。両国は、すべての国が、テロリズム対策関連の国際的な条約及び協定を締結し、これらを遵守するよう努力することを奨励する。加えて、両国政府は、テロリストを抑止し、発見し、逮捕するための技術の研究及び開発を強化する。
  9. 世界の二大経済大国として、日米両国は、世界経済の効果的な運営及び多角的な自由貿易制度の強化に対する重要な責任を再確認する。両国政府は、本年12月にシンガポールにおいて開かれる第1回世界貿易機関(WTO)閣僚会議の成功に向け協力する。
  10. 両国政府は、世界貿易機関、世界銀行、国際通貨基金といった機関の実効性を確保することを含め、国際経済システムを強化するために進展している作業における協力を進める。
  11. 両国政府は、バランスのとれた相互の利益となる経済関係並びに新たな経済パートナーシップのための枠組み及びその目標を含む同枠組みの基本目的に対するコミットメントを再確認する。日米包括経済協議の目標とは、市場開放及びマクロ経済分野での措置を通じて競争力のある外国の製品及びサービスのアクセス及び販売を相当程度増大させ、投資を増加させ、国際的競争力を増進するとともに、日米二国間の経済面での協力を進めるため、構造的及び分野別問題を取り扱うことである。
  12. 両国政府は、過去2年余、日米包括経済協議を始めとする種々の協議を通じ、国際的に重要な経済・貿易問題を成功裡に、かつ、国際ルールと整合的に取り組んできた。これらの取極や措置は、十分に実施され、両国政府は、日米包括経済協議の残っている作業に優先的な注意を払い、生じ得るいかなる経済・貿易問題についても迅速に解決するために協力する。
  13. 両国政府は、米国における財政赤字削減及び日本の経常収支黒字の削減を含む、日米包括経済協議の下でマクロ経済分野でこれまでみられた進展を歓迎する。両国政府は、持続的な成長の基礎を強化するための努力を継続する必要性を認識し、このために引き続き協力する。
  14. APECは、アジア太平洋地域において広範な経済協力を推進する上での中核である。昨年大阪で採択された「行動指針」は、1994年のボゴール宣言で発表されたアジア太平洋における自由で開かれた貿易及び投資並びに経済・技術協力の推進という目標の実現に向け、長期的かつ包括的な道筋を提供している。両国政府は、APECの目的を更に推進し、本年11月のフィリピン会合の成功を確実にするために緊密に協力する。
  15. 日米両国がアジア太平洋地域及び世界の将来を改善するために重大な地球的規模の課題に協力して取り組む上で、コモン・アジェンダは重要な例である。コモン・アジェンダの案件は、エイズの拡散の防止、麻薬の生産及び不法取引との闘い、人口増加の抑制、アジアにおけるポリオの根絶、女子教育機会の拡大、太平洋における珊瑚礁保全、技術協力の推進並びに人的資源の開発に寄与している。
  16. コモン・アジェンダは、感染症対策、地球的な食料供給の改善、開発途上国及び新たに誕生しつつある国における市民社会の強化及び民主化の支援、自然災害の被害の軽減、教育における技術の使用の拡大並びにテロリズムとの闘いといった分野に新たに拡大される。また、両国政府は、21世紀における自然や環境と共生する経済・社会開発のあり方に関するコモン・アジェンダの下で新たな協力分野についての機会を探究する。両国政府は、民間政府がコモン・アジェンダを支援するよう促すとともに、第三国がコモン・アジェンダの計画に参加することを歓迎する。
  17. 両国政府は、両国の若者の間の相互の交流事業を更に推進する。この観点から、米国政府は、米国の高校生、大学生、学部卒業生、教職員、若手研究者、若手芸術家等を対象とした日本について学ぶ機会を提供するための日本国政府による包括的取組みを大いに評価する。また、両国政府は、日米文化教育交流会議(カルコン)が、日米間の幅広い交流に貢献し続けることを期待する。両国政府は、また、米国平和部隊と日本の青年海外協力隊の隊員との間の交流を推進させる。
 日米関係は、共通の価値と共通の関心、そして、ひとりひとりの日本人とアメリカ人が長年にわたり育んできた友好と信頼の上に成り立っております。この協力と友好の関係を大事にしながら、我々は、決意を新たに両国関係を一層深めていく所存です。

1996年4月17日
東京
日本国内閣総理大臣アメリカ合衆国大統領
橋本龍太郎(署名)ウィリアム・J・クリントン(署名)


  (ロ) 日米安全保障共同宣言―21世紀に向けての同盟―(仮訳)

  1.  本日、総理大臣と大統領は、歴史上最も成功している二国間関係の一つである日米関係を祝した。両首脳は、この関係が世界の平和と地域の安定並びに繁栄に深甚かつ積極的な貢献を行ってきたことを誇りとした。日本と米国との間の堅固な同盟関係は、冷戦の期間中、アジア太平洋地域の平和と安全の確保に役立った。我々の同盟関係は、この地域の力強い経済成長の土台であり続ける。両首脳は、日米両国の将来の安全と繁栄がアジア太平洋地域の将来と密接に結びついていることで意見が一致した。
     この同盟関係がもたらす平和と繁栄の利益は、両国政府のコミットメントのみによるものではなく、自由と民主主義を確保するための負担を分担してきた日米両国民の貢献にもよるものである。総理大臣と大統領は、この同盟関係を支えている人々、とりわけ、米軍を受け入れている日本の地域社会及び、故郷を遠く離れて平和と自由を守るために身を捧げている米国の人々に対し、深い感謝の気持ちを表明した。
  2.  両国政府は、過去一年余、変わりつつあるアジア太平洋地域の政治及び安全保障情勢並びに両国間の安全保障面の関係の様々な側面について集中的な検討を行ってきた。この検討に基づいて、総理大臣と大統領は、両国の政策を方向づける深遠な共通の価値、即ち自由の維持、民主主義の追求、及び人権の尊重に対するコミットメントを再確認した。両者は、日米間の協力の基盤は引き続き堅固であり、21世紀においてもこのパートナーシップが引き続き極めて重要であることで意見が一致した。
地域情勢
  1.  冷戦の終結以来、世界的な規模の武力紛争が生起する可能性は遠のいている。ここ数年来、この地域の諸国の間で政治及び安全保障についての対話が拡大してきている。民主主義の諸原則が益々尊重されてきている。歴史上かつてないほど繁栄が広がり、アジア太平洋という地域社会が出現しつつある。アジア太平洋地域は、今や世界で最も活力ある地域となっている。
     しかし同時に、この地域には依然として不安定性及び不確実性が存在する。朝鮮半島における緊張は続いている。核兵器を含む軍事力が依然大量に集中している。未解決の領土問題、潜在的な地域紛争、大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散は全て地域の不安定化をもたらす要因である。
日米同盟関係と相互協力及び安全保障条約
  1.  総理大臣と大統領は、この地域の安定を促進し、日米両国が直面する安全保障上の課題に対処していくことの重要性を強調した。
     これに関連して総理大臣と大統領は、日本と米国との間の同盟関係が持つ重要な価値を再確認した。両者は、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」(以下、日米安保条約)を基盤とする両国間の安全保障面の関係が、共通の安全保障上の目標を達成するとともに、21世紀に向けてアジア太平洋地域において安定的で繁栄した情勢を維持するための基礎であり続けることを再確認した。

    1.  総理大臣は、冷戦後の安全保障情勢の下で日本の防衛力が適切な役割を果たすべきことを強調する1995年11月策定の新防衛大綱において明記された日本の基本的な防衛政策を確認した。総理大臣と大統領は、日本の防衛のための最も効果的な枠組みは、日米両国間の緊密な防衛協力であるとの点で意見が一致した。この協力は、自衛隊の適切な防衛能力と日米安保体制の組み合わせに基づくものである。両首脳は、日米安保条約に基づく米国の抑止力は引き続き日本の安全保障の拠り所であることを改めて確認した。
    2.  総理大臣と大統領は、米国が引き続き軍事的プレゼンスを維持することは、アジア太平洋地域の平和と安定の維持のためにも不可欠であることで意見が一致した。両首脳は、日米間の安全保障面の関係は、この地域における米国の肯定的な関与を支える極めて重要な柱の一つとなっているとの認識を共有した。
       大統領は、日本の防衛及びアジア太平洋地域の平和と安定に対する米国のコミットメントを強調した。大統領は、冷戦の終結以来、アジア太平洋地域における米軍戦力について一定の調整が行われたことに言及した。米国は、周到な評価に基づき、現在の安全保障情勢の下で米国のコミットメントを守るためには、日本におけるほぼ現在の水準を含め、この地域において、約10万人の前方展開軍事要員からなる現在の兵力構成を維持することが必要であることを再確認した。
    3.  総理大臣は、この地域において安定的かつ揺るぎのない存在であり続けるとの米国の決意を歓迎した。総理大臣は、日本における米軍の維持のために、日本が、日米安保条約に基づく施設及び区域の提供並びに接受国支援等を通じ適切な寄与を継続することを再確認した。大統領は、米国は日本の寄与を評価することを表明し、日本に駐留する米軍に対し財政的支援を提供する新特別協定が締結されたことを歓迎した。
日米間の安全保障面の関係に基づく二国間協力
  1.  総理大臣と大統領は、この極めて重要な安全保障面での関係の信頼性を強化することを目的として、以下の分野での協力を前進させるために努力を払うことで意見が一致した。

    1.  両国政府は、両国間の緊密な防衛協力が日米同盟関係の中心的要素であることを認識した上で、緊密な協議を継続することが不可欠であることで意見が一致した。両国政府は、国際情勢、とりわけアジア太平洋地域についての情報及び意見の交換を一層強化する。同時に、国際的な安全保障情勢において起こりうる変化に対応して、両国政府の必要性を最も良く満たすような防衛政策並びに日本における米軍の兵力構成を含む軍事態勢について引き続き緊密に協議する。
    2.  総理大臣と大統領は、日本と米国との間に既に構築されている緊密な協力関係を増進するため、1978年の「日米防衛協力のための指針」の見直しを開始することで意見が一致した。
       両首脳は、日本周辺地域において発生しうる事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合における日米間の協力に関する研究をはじめ、日米間の政策調整を促進する必要性につき意見が一致した。
    3.  総理大臣と大統領は、「日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間の後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」が1996年4月15日署名されたことを歓迎し、この協定が日米間の協力関係を一層促進するものとなるよう期待を表明した。
    4.  両国政府は、自衛隊と米軍との間の協力のあらゆる側面における相互運用性の重要性に留意し、次期支援戦闘機(F-2)等の装備に関する日米共同研究開発をはじめとする技術と装備の分野における相互交流を充実する。
    5.  両国政府は、大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散は、両国の共通の安全保障にとり重要な意味合いを有するものであることを認識した。両国政府は、拡散を防止するため共に行動していくとともに、既に進行中の弾道ミサイル防衛に関する研究において引き続き協力を行う。

  2.  総理大臣と大統領は、日米安保体制の中核的要素である米軍の円滑な日本駐留にとり、広範な日本国民の支持と理解が不可欠であることを認識した。両首脳は、両国政府が、米軍の存在と地位に関連する諸問題に対応するためあらゆる努力を行うことで意見が一致した。両首脳は、また、米軍と日本の地域社会との間の相互理解を深めるため、一層努力を払うことで意見が一致した。
     特に、米軍の施設及び区域が高度に集中している沖縄について、総理大臣と大統領は、日米安保条約の目的との調和を図りつつ、米軍の施設及び区域を整理し、統合し、縮小するために必要な方策を実施する決意を再確認した。このような観点から、両首脳は、「沖縄に関する特別行動委員会」(SACO)を通じてこれまで得られた重要な進展に満足の意を表するとともに、1996年4月15日のSACO中間報告で示された広範な措置を歓迎した。両首脳は、1996年11月までに、SACOの作業を成功裡に結実させるとの確固たるコミットメントを表明した。
地域における協力
  1.   総理大臣と大統領は、両国政府が、アジア太平洋地域の安全保障情勢をより平和的で安定的なものとするため、共同でも個別にも努力することで意見が一致した。これに関連して、両首脳は、日米間の安全保障面の関係に支えられたこの地域への米国の関与が、こうした努力の基盤となっていることを認識した。
     両首脳は、この地域における諸問題の平和的解決の重要性を強調した。両首脳は、この地域の安定と繁栄にとり、中国が肯定的かつ建設的な役割を果たすことが極めて重要であることを強調し、この関連で、両国は中国との協力を更に深めていくことに関心を有することを強調した。ロシアにおいて進行中の改革のプロセスは、地域及び世界の安定に寄与するものであり、引き続き慫慂し、協力するに足るものである。両首脳は、また、アジア太平洋地域の平和と安定にとり、東京宣言に基づく日露関係の完全な正常化が重要である旨述べた。両者は、朝鮮半島の安定が日米両国にとり極めて重要であることにも留意し、そのために両国が、韓国と緊密に協力しつつ、引き続きあらゆる努力を払っていくことを再確認した。
     総理大臣と大統領は、ASEAN地域フォーラムや、将来的には北東アジアに関する安全保障対話のような、多数国間の地域的安全保障についての対話及び協力の仕組みを更に発展させるため、両国政府が共同して、及び地域内の他の国々と共に、作業を継続することを再確認した。
地球的規模での協力
  1.  総理大臣と大統領は、日米安保条約が日米同盟関係の中核であり、地球的規模の問題についての日米協力の基盤たる相互信頼関係の土台となっていることを認識した。
     総理大臣と大統領は、両国政府が平和維持活動や人道的な国際救援活動等を通じ、国際連合その他の国際機関を支援するための協力を強化することで意見が一致した。
     両国政府は、全面的核実験禁止条約(CTBT)交渉の促進並びに大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散の防止を含め、軍備管理及び軍縮等の問題についての政策調整及び協力を行う。両首脳は、国連及びAPECにおける協力や、北朝鮮の核開発問題、中東和平プロセス及び旧ユーゴースラヴィアにおける和平執行プロセス等の問題についての協力を行なうことが、両国が共有する利益及び基本的価値が一層確保されるような世界を構築する一助となるとの点で意見が一致した。
結語
  1.  最後に、総理大臣と大統領は、安全保障、政治及び経済という日米関係の三本の柱は全て両国の共有する価値観及び利益に基づいており、また、日米安保条約により体現された相互信頼の基盤の上に成り立っているとの点で意見が一致した。総理大臣と大統領は、21世紀を目前に控え、成功を収めてきた安全保障協力の歴史の上に立って、将来の世代のために平和と繁栄を確保すべく共に手を携えて行動していくとの強い決意を再確認した。
1996年4月17日
  東 京
日本国内閣総理大臣                     アメリカ合衆国大統領