第4章 国民と共にある外交 第1節 世界とのつながりを深める日本社会と日本人 3 地方自治体などとの連携 外務省は、内閣の最重要課題の一つである地方創生にも積極的に取り組み、地方との連携による総合的な外交力を強化するための施策を展開している。 日本国内では、駐日外交団や商工会議所、企業関係者などを外務省の施設である飯倉公館に招き、レセプションの開催やブースでの展示を通じて地方の多様な魅力を内外に広く発信する「外務大臣及び知事共催レセプション」を実施している。2月に群馬県、3月に長野県、10月に富山県との共催でレセプションを実施し、駐日外交団を始めとする参加者と各県との更なる交流の促進につながる機会となった。群馬県との共催レセプションでは、岩屋外務大臣の代理として出席した藤井比早之外務副大臣から、日本の「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことに触れつつ、群馬県の地酒を始め日本産酒類の魅力を世界に発信するため、最大限努力していくと述べた。同レセプションでは、県産品である農林水産物や地酒、伝統工芸品、県内各地の温泉を始めとする観光などを紹介するブースを設けるとともに、ステージでは地元の高校生ダンス部によるダンス・パフォーマンスも行われた。長野県との共催レセプションでは、岩屋外務大臣から、飯倉公館や在外公館の施設を最大限活用し、地方自治体と連携しながら、日本産の酒や農産物の販路拡大、インバウンドの誘致も含め、地方創生に取り組んでいると述べるとともに、長野県が誇る食や伝統工芸品などの魅力が世界に発信されるよう、協力を求めた。同レセプションでは、長野県の観光、食品、伝統工芸品、健康長寿などに関する取組を紹介する様々なブースを設けるとともに、ステージでは蕎麦(そば)打ちの実演及び戸隠(とがくし)流忍者のパフォーマンスも行われた。富山県との共催レセプションでは、岩屋外務大臣から、飯倉公館や在外公館を活用し、地方自治体と連携しながら、日本産の酒や食品の輸出拡大に力を入れていると述べるとともに、寿司を始めとする富山県が誇る食や伝統工芸品などの魅力が世界に発信されるよう、協力を求めた。同レセプションでは、富山県の食品、日本酒、観光、伝統工芸品のほか、ウェルビーイング(幸福度)、震災からの復旧・復興などに関する取組を紹介する様々なブースを設けるとともに、ステージでは「おわら風の盆」のパフォーマンスも行われた。 群馬県知事との共催レセプション(2月19日、東京・外務省飯倉公館) 長野県知事との共催レセプション(3月18日、東京・外務省飯倉公館) 富山県知事との共催レセプション(10月15日、東京・外務省飯倉公館) このほか、外務省は地方自治体などとの共催で、各国の駐日外交団や商工会議所、関連企業などの関係者に対して各地域の地元産品、観光や産業、投資などの施策や魅力を発信する「地域の魅力発信セミナー」を実施している。1月20日には、東京都内で、大阪府堺市、沖縄県、栃木県日光市及び徳島県上勝町との共催でセミナーを開催した。また、11月10日には、福井県、島根県益田市、島根県浜田市、長野県軽井沢町との共催でセミナーを開催した。セミナーでは、プレゼンテーションを通じた地域の魅力の発信、参加者との交流会における各地域の特産品、観光スポット、産業などの紹介、伝統芸能の実演などが行われた。セミナーは、東京に居ながらにして地方の魅力を直接体験できる貴重な場であるとして参加者から好評を得るとともに、地方自治体と駐日外交団などの参加者との交流の促進にも資するものとなった。 1月20日に行われた「地域の魅力発信セミナー」における、第一部プレゼンテーションの様子 11月10日に行われた「地域の魅力発信セミナー」における第二部交流会の様子 また、外務省は地方自治体との共催で、駐日外交団に地方の多様な魅力を現地で直接体験してもらうことを目的に「駐日外交団による地方視察ツアー」を実施している。7月9日及び10日には、関西広域連合との共催で「自然と文明の共生を巡る関西の旅」をテーマに徳島県、兵庫県及び京都府へのツアーを実施し、自然と共存する先進的取組や技術の視察を通じて、関西の多様な魅力を紹介した。9月30日及び10月1日には、「アジフライの聖地・水中考古学の聖地 魅力体験ツアー」をテーマに長崎県松浦市へのツアーを実施し、同市の多様な地域資源を「見て・体験して・味わう」機会を駐日外交団に提供した。10月30日及び31日には、「時を超えた職人技に触れる旅」をテーマに岡山県備前市及び瀬戸内市へのツアーを実施し、備前焼や備前刀の関連施設等の視察を通じて、両市の観光、歴史、食、特産品などの多様な魅力を紹介した。 上勝町ゼロ・ウェイストセンターを訪問する外交団(駐日外交団による地方視察ツアー)(7月9日、徳島県上勝町) 松浦市長らと記念撮影を行う外交団(駐日外交団による地方視察ツアー)(9月30日、長崎県松浦市) 旧閑(しず)谷学校を訪れた外交団(駐日外交団による地方視察ツアー)(10月30日、岡山県備前市) さらに、外務省では地方自治体に対し、地域レベルの国際交流活動に密接に関係する最新の外交政策などに関する説明の場として「地方連携フォーラム」を開催しており、2025年度は2026年2月に開催した。 海外での事業については、東日本大震災後の国際的な風評被害対策として、食品輸入規制の撤廃・緩和の働きかけと併せ、地方創生の一環として日本の地域の魅力発信、日本各地の産品の輸出促進、観光促進などを支援する総合的な広報事業として「地域の魅力海外発信支援事業」を実施している。10月から2026年3月にかけて、中国においてオンライン形式での情報発信を含む形で実施した。SNSを活用して多くの人々に日本の観光・文化・食などの地域の魅力を体感してもらうことを目標に、33の日本の自治体がそれぞれの魅力を伝える動画を作成し、在中国日本国大使館の微博(ウェイボー)(中国SNS)アカウントなどで配信した。また、在中国日本国大使館が主催するイベントにおいて、日本の食品関連企業や自治体が食や観光のPRを実施した。こうした取組では、キー・オピニオン・リーダー(KOL)やインフルエンサーも活用することで、より多くの人々に日本の地域の魅力が伝わっている。 地域の魅力海外発信支援事業で在中国日本国大使館のSNSアカウントから発信した自治体のPR動画 また、在外公館施設を活用して地方自治体がその魅力を発信することを通じて、地方産品の販路拡大、インバウンド促進などを目指す「地方の魅力発信プロジェクト」を11件実施した。 加えて、例年天皇誕生日の時期に合わせて開催される「在外公館における天皇誕生日祝賀レセプション」で地方の産品や催事などを紹介・発信する場を設けている。天皇誕生日祝賀レセプションは、2025年には、245の在外公館において対面開催され、そのうち116公館において地方の魅力発信を行った。 このほか、外務省では様々な取組を通じて、日本の自治体と海外との間の各種交流を支援してきた。具体的には、在外公館長や館員が海外の姉妹都市提携先を訪問して、国際交流・経済交流関係担当幹部などと意見交換を行うことや、在外公館長の赴任前や一時帰国の際に地方を訪問し、姉妹都市交流や2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会のホストタウン交流に関する意見交換や講演を行うことで、地方の国際的取組を後押ししている。また、日本の自治体と姉妹都市提携を希望している海外の都市などがある場合は、都道府県及び政令指定都市などに情報提供し、外務省ホームページの「グローカル外交ネット」(6)で広報するなどの側面支援を行っている。 地方連携の取組を紹介する広報媒体としては、「グローカル外交ネット」のほか、毎月1回メールマガジン「グローカル通信」(7)を配信し、加えて「X」(8)による投稿を行っている。これら広報媒体においては、外務省の地方連携事業や地方自治体が進める姉妹都市交流、ホストタウン交流、地方の国際的取組などを紹介している。 また、各地の日本産酒類(日本酒、焼酎、泡盛、日本ワインなど)の海外普及促進の一環として、各在外公館における任国要人や外交団との会食での日本産酒類の提供、天皇誕生日祝賀レセプションなどの大規模な行事の際に日本酒で乾杯するなど日本産酒類の紹介・宣伝に積極的に取り組んでいる。その際には、日本の「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録されている点についても積極的にアピールしている。 さらに、外務省及び独立行政法人国際協力機構(JICA)は、開発協力においても地方自治体と連携しており、上下水道や廃棄物処理など、地域住民向けの公共サービス分野で、日本の地方自治体職員を専門家として派遣したり、施設・機材等を整備する事業の実施において自治体職員に関与してもらったりするなど、地方自治体が有する技術・ノウハウが課題解決に役立つような開発協力に取り組んでいる。 (6) 「グローカル外交ネット」については外務省ホームページ参照: https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/local/index.html (7) 「グローカル通信」については外務省ホームページ参照: https://www.mofa.go.jp/mofaj/ms/lpc/page25_001870.html (8) 地方連携推進室X:https://twitter.com/localmofa