第2章 地域別に見た外交 第6節 ロシア・ベラルーシと中央アジア・コーカサス 1 概観 2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵略は2025年も継続したが、米国におけるトランプ新政権発足後、様々な動きが見られた。米国が仲介努力を進める中、ロシア・ウクライナ間の直接交渉が約3年ぶりに実施された。また、米露間の首脳・外相を含む様々なレベルでのやり取りが行われ、8月には約4年ぶりとなる対面での米露首脳会談が米国・アラスカで実施された。一方、事態の終結に向けた具体的な打開は見られていない。 ロシアは欧州との関係が引き続き極めて限定的な中で、中国、北朝鮮や、インドなどのグローバル・サウスと呼ばれる開発途上国・新興国との一層の連携強化を模索した。特に、ロシアが対ドイツ戦勝利80周年記念式典に習近平(しゅうきんぺい)中国国家主席を主賓として招待するとともに、グローバル・サウス諸国を始めとする多数の首脳を招待したことや、北朝鮮との軍事協力を含む一層の連携強化、4年ぶりとなるプーチン・ロシア大統領のインド訪問などが特筆される。ロシアは中国と共に、多極的な世界秩序を構築すると強調している。 ベラルーシは、ロシアの戦術核兵器や新型中距離弾道ミサイル「オレシュニク」のベラルーシへの配備に言及するなど、ロシアと協力する姿勢を維持している。一方、米国との関係では、8月にはルカシェンコ・ベラルーシ大統領とトランプ米国大統領が初めての電話会談を実施し、米国が対ベラルーシ制裁を一部解除するなどの変化も見られた。 中央アジア・コーカサス諸国については、歴史的、経済的にロシアと密接な関係にある中で、ロシアによるウクライナ侵略に対し、中立的な立場を維持する姿勢を示している(ウクライナ支持を表明しているジョージアを除く。)。一方、エネルギーを始めとする貿易品目の輸送路やロシアへの出稼ぎ労働者からの送金などへの影響が生じており、対応に苦慮している。 こうした状況の中で、中央アジア・コーカサス諸国に対する国際社会の注目が集まっている。中央アジア地域については、2025年に欧州連合(EU)、イタリア、中国、ロシア、米国が中央アジア諸国との首脳会合を開催する中、日本は12月に、中央アジア諸国との協力枠組みである「中央アジア+日本」対話の初めての首脳会合を東京で開催した。 コーカサス地域については、アゼルバイジャンとアルメニアの間で、8月、トランプ米国大統領の立会いの下、30年以上にわたる紛争を終結させるための和平に向けた共同宣言が両国首脳によって署名されるなどの進展が見られた。一方、ジョージアについては、2024年11月に同国政府がEU加盟プロセスを2028年末まで開始しないと発表し、EUとの間で緊張関係が続いている。