第2章 地域別に見た外交 第4節 中南米 3 中南米各国 (1)メキシコ 2024年10月に発足したシェインバウム政権は、前政権に引き続き汚職撲滅、格差是正、治安改善等の内政を重視した。6月には、最高裁判所の全9ポストを含む裁判官選挙が実施された。 日本との関係では、8月に、英利アルフィヤ外務大臣政務官がメキシコを訪問し、第14回ビジネス環境整備委員会の日本側議長を務めるとともに、メルカド筆頭外務次官等と会談を行った。9月には、国連総会出席のためニューヨークを訪問した岩屋外務大臣が、デ・ラ・フエンテ外相と会談を行った。 経済関係では、ニアショリング(消費地の近くに供給源を設けること)の流れの中で日系企業の進出が続いており、中南米地域で最多の約1,600社に達している。8月のメキシコ訪問に際し英利外務大臣政務官は、グティエレス通商担当次官との間で、ビジネス環境整備委員会の定期的な開催の重要性に加え、日本とメキシコの経済関係の一層の強化に連携していくことを確認した。 第三国との関係では、メキシコは伝統的に対米関係を重視し、中南米諸国と協調する方針を維持している。米国との間では、複数回にわたり首脳電話会談が実施された。シェインバウム大統領は、4月、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)首脳会合に出席した。また、同大統領は、6月のG7カナナスキス・サミット(カナダ)に招待され、カナダ、EU、インド及びドイツと首脳会談を実施した。8月にはグアテマラでアレバロ大統領と首脳会談を実施し、両国国境におけるインフラ整備等の分野で協力することで一致した。 (2)エルサルバドル 大幅な治安改善等の成果を背景に、2024年に国民の高い支持を受けて再選したブケレ大統領は、日本を含む諸外国からの投資促進等を通じた経済対策や人材育成に注力している。 日本との関係では、外交関係樹立90周年に当たり、両国で様々な記念行事が行われた。日本ではエルサルバドルのアーティストや学生による両国友好を記念した作品の展示会等が行われ、またエルサルバドルの首都サンサルバドルでは日本祭の一環としてプロジェクション・マッピングが実施されるなど、両国交流を深めた。 (3)キューバ キューバは、主要産業の観光業を始め国内経済の悪化が極めて深刻であり、大規模停電や断水、自然災害等により、国民生活は一層厳しさを増した。 日本との関係では、5月にハバナにおいて第17回日・キューバ政策対話が開催され、両国で、長年にわたる二国間の友好関係を確認するとともに、国際場裡における協力等について意見交換を行った。7月には、大阪・関西万博のキューバ・ナショナルデー参加のためにマルティネス副首相が訪日し、同副首相出席の下、第4回日本・キューバ官民合同会議が東京で開催された。 (4)グアテマラ グアテマラは、中米最大の人口・経済規模を有し、2024年に発足したアレバロ政権は、汚職との闘い、貧困対策、格差是正等に取り組んだ。 日本との関係では、外交関係樹立90周年に当たり、1月の第1回日・グアテマラ政策協議の開催を皮切りに、6月には大阪・関西万博グアテマラ・ナショナルデーの機会にアレバロ大統領及びマルティネス外相が訪日し、それぞれ石破総理大臣及び岩屋外務大臣と会談を行った。首脳会談において両首脳は、日・グアテマラ関係を新たに「戦略的パートナーシップ」に位置付けることで一致し、日・グアテマラ共同声明に署名した。 (5)コスタリカ コスタリカは、2022年に発足したチャベス政権下、中米随一の福祉制度と高い教育水準を背景に、近年は医療機器の輸出が急成長し、安定的な経済成長を維持している。また、2025年はOECD閣僚理事会議長国を務めた。 日本との関係では、外交関係樹立90周年に当たり、4月にアンドレ外務・宗務相及びトバール貿易相が訪日し、岩屋外務大臣と外相会談を行うとともに、日・コスタリカ政策協議立上げに係る覚書に署名を行った。また9月の国連総会ハイレベル・ウィークの際に、日・コスタリカ外相会合が行われた。 日・コスタリカ外相会談(9月26日、米国・ニューヨーク) (6)ドミニカ共和国 2024年に発足した第2期アビナデル政権の下、主要産業である観光業を中心に好調な経済成長を見せた。一方、隣国ハイチからの不法移民問題が引き続き大きな問題となっており、政府は国際社会による関与を呼びかけるとともに国内における対策を強化している。 日本との関係では、4月にサントドミンゴ市内で発生したナイトクラブ天井崩落事故に対し、岩屋外務大臣からアルバレス外相に対し、弔意メッセージを発出した。また、8月の大阪・関西万博ドミニカ共和国・ナショナルデーの機会に、パリサ大統領府相が訪日し、林芳正官房長官への表敬を行ったほか、東京において日本企業向けに投資促進セミナー等が開催された。 パリサ・ドミニカ共和国大統領府相による林官房長官表敬 (8月20日、東京) (7)ニカラグア 2月の憲法改正によって共同大統領制が導入され、オルテガ大統領とムリージョ大統領の2人体制となった。また、共同大統領制の導入と共に、これまで5年であった大統領の任期が6年に延長された。 日本との関係では、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会時にホストタウンを務めた群馬県甘楽(ら)町の町長一行が、11月にニカラグアを訪問した際、現地日本大使館の協力の下、空手を通じたスポーツ交流や現地地方自治体との交流等を実施した。 (8)ハイチ ハイチでは、2021年の大統領暗殺以降、行政及び立法が十分に機能しておらず、また、首都圏を中心に武装集団(ギャング)が勢力を拡大しており、治安が極度に悪化している。これを受け、2024年6月、ハイチ政府の要請に応じ、国連安全保障理事会(国連安保理)決議に基づく多国籍治安支援(MSS)ミッションが活動を開始した。さらに、2025年9月、国連安保理は同ミッションのギャング制圧部隊(GSF)への移行を承認した。日本としても、ハイチの安定化に向けて、治安、ガバナンス、人道分野を中心とした支援を実施している。 2025年10月、大阪・関西万博ハイチ・ナショナルデーの機会にサン=シル暫定大統領評議会(CPT)議長が訪日し、石破総理大臣と首脳会談を行った。同会談において、サン=シル議長から日本による長年の二国間支援及びハイチの安定化に向けた取組について謝意が述べられた。 日・ハイチ首脳会談(10月9日、東京 写真提供:首相官邸ホームページ) (9)パナマ パナマは、2024年に発足したムリーノ政権の下、財政健全化、経済活性化、社会保障改革、非正規移民対策強化等に取り組んだ。外交面では、ルビオ米国国務長官及びヘグセス同国防長官の訪問受入れを含め米国と緊密に対話するとともに、EUやメルコスールとの関係強化に取り組み、国際場裡においては、2025年から国連安保理非常任理事国を務めている(任期:2025年から2026年まで)。 日本との関係では、7月に英利外務大臣政務官がパナマを訪問し、マルティネス=アチャ外相表敬等を行った。9月には大阪・関西万博パナマ・ナショナルデーの機会にムリーノ大統領及びマルティネス=アチャ外相等が来日し、それぞれ石破総理大臣、岩屋外務大臣と会談を行い、両国は、幅広い分野における二国間関係の更なる強化で一致した。 (10)ベリーズ 3月に行われた下院総選挙での勝利により、2期目に突入したブリセーニョ政権は、最低賃金の引上げ、犯罪防止、教育へのアクセス向上に取り組んでいる。 日本との関係では、5月に英利外務大臣政務官がベリーズを訪問し、ブリセーニョ首相及びフォンセカ外相を表敬したほか、8月には大阪・関西万博ベリーズ・ナショナルデーの機会にブリセーニョ首相が来日し、石破総理大臣と首脳会談を行い、両首脳は、経済協力、人物交流等、様々な分野で二国間関係を発展させていくことで一致した。 (11)ホンジュラス 2022年に同国史上初の女性大統領として就任したカストロ大統領は、保健・教育・インフラ整備の各分野に積極的に取り組んだ。11月に実施された大統領選挙では、国民党のナスリ・アスフラ候補が、地方の開発等を公約に掲げて、国民の支持を得て当選した。 日本との関係では、外交関係樹立90周年に当たり、4月にレイナ外相が、10月に大阪・関西万博ホンジュラス・ナショナルデー行事出席のためブ外相が訪日し、それぞれ岩屋外務大臣と外相会談を行い、二国間関係の一層の強化を確認した。 日・ホンジュラス外相会談(10月8日、東京) (12)アルゼンチン 2023年12月に就任したミレイ大統領は、内政の最優先課題とする経済・財政の立て直しに向け、緊縮財政や規制緩和などに取り組んだ。10月の中間選挙では与党が議席数を大幅に伸ばした一方、少数与党政権としての困難な議会運営は継続しており、貧困率改善、規制緩和の継続、国民が実感できる経済成長の実現などが課題とされている。 日本との関係では、5月にマルソラティ経済副相(産業・商業担当)が訪日した際に、英利外務大臣政務官を表敬し、両者は、価値や原則を共有する重要な「戦略的パートナー」として、日系社会などを通じた二国間関係強化及びメルコスールとの関係強化を進めることを確認した。 (13)ウルグアイ 3月に発足した中道左派のオルシ政権は、前政権の課題とされた治安改善に注力し、比較的高い支持率を維持している。また、民主主義指数(12)では、中南米1位を誇っている。経済政策では、自由貿易主義を堅持し、市場の拡大・開放を重視している。11月に開催されたTPP委員会において、ウルグアイのCPTPPへの加入手続の開始が決定された。 日本との関係では、オルシ大統領の大統領就任式に松島みどり衆議院議員が特派大使として出席し、同大統領に祝意を伝達したほか、大統領との会談では良好な二国間関係を一層強化することで一致した。10月には、スカシ外務次官が訪日し、第4回日・ウルグアイ政策協議及び第2回日・ウルグアイ合同委員会を実施し、幅広い分野について議論が行われた。 (14)エクアドル 4月、ラッソ前大統領から引き継いだ任期の満了に伴い大統領選挙決戦投票が行われ、ノボア大統領が大差で勝利し、再選された。親米、自由主義路線、貿易の多角化を掲げ、国際機関などと連携しつつ、緊縮財政を展開している。 日本との関係では、5月に行われた大統領就任式に英利外務大臣政務官が特派大使として出席し、ノボア大統領及びソメルフェルド外務・移民相への表敬等を行った。7月には外務省賓客としてソメルフェルド外務・移民相が訪日し、岩屋外務大臣との間で外相会談を行い、両国の関係を一層強化させることを確認した。8月にはノボア大統領が訪日し、石破総理大臣との間で首脳会談を行い、広範囲に及ぶ分野での二国間協力の強化につき確認した。 日・エクアドル首脳会談 (8月28日、東京 写真提供:首相官邸ホームページ) 日・エクアドル外相会談(7月23日、東京) (15)コロンビア 2022年8月に発足したペトロ政権は、コロンビア初の左派政権として「変革の政府」を掲げるも、度重なる閣僚交代等政権の求心力低下、連立与党内の対立により厳しい議会運営が続いている。また、国民解放軍(ELN)などの国内武装勢力との和平交渉を継続しているが、全面和平に向けた道筋は立っていない。 日本との関係では、1月に松山政司参議院議員が総理特使としてコロンビアを訪問し、ペトロ大統領と会談し、総理親書を手交しつつ、両国関係の更なる関係強化を確認した。大阪・関西万博を契機に、4月にサラビア外相が訪日し、岩屋外務大臣との間で外相会談を実施し、幅広い分野での協力について意見交換を行った。9月にはペトロ大統領が訪日し、石破総理大臣との間で首脳会談を実施し、両国間の経済・次世代エネルギー、コロンビア和平、国際場裡での連携強化等を確認した。 日・コロンビア首脳会談 (9月4日、東京 写真提供:首相官邸ホームページ) (16)チリ 2022年3月に発足したボリッチ政権は、格差縮小、福祉充実を目指し、年金や税制を始めとする社会保障政策の改革などの推進を掲げた。12月、ボリッチ大統領の任期満了に伴う大統領選挙決選投票が行われた。選挙戦の焦点となったのは、治安問題及び移民問題であり、不法移民の国外追放や大規模な刑務所の建設など、強硬な政策を公約に掲げた野党共和党のカスト候補が、与党統一候補のハラ候補(共産党)を破って当選した(就任は2026年3月の予定)。 日本との関係では、5月にボリッチ大統領が訪日し、石破総理大臣との間で首脳会談を実施し、価値を共有する戦略的パートナーである両国の間で、経済、鉱業、防災、宇宙・天文学など幅広い分野で協力関係を緊密化することなどで一致した。また、大統領に同行して訪日したバン・クラベレン外相と岩屋外務大臣の間で外相会談が行われ、両者は、広範囲に及ぶ分野での二国間協力を今後より一層強化することで一致した。 日・チリ首脳会談(5月11日、東京 写真提供:首相官邸ホームページ) (17)パラグアイ 2023年8月に就任したペニャ大統領は、引き続き、法の支配、人権の尊重などの価値や原則を擁護し、自由で開放的な経済政策を推し進め、投資誘致・雇用創出に力を入れている。 日本との関係では、5月にペニャ大統領が訪日し、石破総理大臣との間で首脳会談を実施した。両首脳は、日・パラグアイ政策協議の立ち上げ及びパラグアイの一般旅券所持者に対する短期滞在査証免除措置に係る文書の署名・交換式に立ち会うとともに、両国関係を「戦略的パートナー」と位置付け、日・パラグアイ投資協定の実質合意を発表した。また、大統領に同行して訪日したラミレス外相と岩屋外務大臣の間で外相会談が行われ、両者は、二国間関係をより強化していくことで一致した。 日・パラグアイ首脳会談 (5月21日、東京 写真提供:首相官邸ホームページ) (18)ブラジル ルーラ政権は、社会保障の強化や税制改革に取り組むとともに、積極的に対外政策を進めている。また、環境・気候変動対策を重要な政策課題として掲げ、11月には国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)をベレンで開催した。 日本との関係では、外交関係樹立130周年に当たり、「日本ブラジル友好交流年」として、3月、新型コロナウイルス感染症流行後初の国賓としてルーラ大統領が訪日した。同大統領は、石破総理大臣と首脳会談を実施し、両首脳は、両国が今後5年間で取り組むべき「日・ブラジル戦略的グローバル・パートナーシップ・アクション・プラン2025-2030」を発表した。 このほか、経済関係では、4月に第13回日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議、9月に第26回日本ブラジル経済合同委員会が開催されるなど、官民双方で経済関係強化に向けた対話が活性化している。 ルーラ・ブラジル大統領を出迎える石破総理大臣 (3月26日、東京 写真提供:首相官邸ホームページ) (19)ベネズエラ 2024年7月に実施された大統領選挙では現職のマドゥーロ大統領が勝利宣言を行ったが、票の集計を含む選挙プロセスの透明性には国内外から疑義が呈された。 2025年1月、ベネズエラ政府が十分な説明責任を果たさないまま、大統領就任式を実施し、マドゥーロ大統領が宣誓を行ったことに対し、日本は、ベネズエラにおける全ての関係者の広範な参加を得て、諸問題が解決され、一刻も早く民主主義が平和裡に回復されることを強く求めるとの外務報道官談話を発出した。同時に、現下のベネズエラの経済・社会状況の悪化により、特に脆弱な状況にあるベネズエラ国民に深刻な影響が及んでいること、及び避難民の流出等により、周辺国を含め地域規模で影響が及んでいることへの懸念を表明した。日本は、人間の安全保障(13)の理念に基づき、避難民を含むベネズエラ国民への民生支援に加え、影響を受けている周辺国に対しても支援を継続している。 2026年1月、米国軍の軍事作戦により、マドゥーロ大統領夫妻の身柄が拘束され、同月、ロドリゲス副大統領が大統領代行に就任した。米国が、ベネズエラの民主化を、石油資金の管理を含む「国の安定化」、市場への公平なアクセス及び和解プロセスの開始を含む「復興」、「政権移行」の3段階で進めるとする中、ロドリゲス暫定政権は米国と協力する考えを示している。 (20)ペルー 10月、治安の悪化を背景にボルアルテ政権の治安対策等への批判が高まり、ボルアルテ大統領が国会で罷免された。憲法の規定に従い新たに就任したヘリ大統領は、自らの政権を移行・国民和解政権と位置付け、犯罪組織との闘い、経済の再活性化、公正かつ透明性のある総選挙の実施を重点分野として表明した。 日本との関係では、2月に英利外務大臣政務官が、前年11月の石破総理大臣のペルー訪問のフォローアップ等のためペルーを訪問し、カミノ外務副相との会談等を行った。8月にはボルアルテ大統領が大阪・関西万博ペルー・ナショナルデー式典に出席するため訪日し、石破総理大臣と首脳会談を実施し、両首脳は、二国間の戦略的パートナーシップ強化のためのロードマップを踏まえ、幅広い分野での協力をより一層深化させていくことで一致した。また、大統領に同行して訪日したシアレル外相は岩屋外務大臣との間で外相会談を実施し、両外相は、引き続き更なる連携を促進していくことを確認した。 日・ペルー外相会談(8月8日、東京) (21)ボリビア 8月に大統領選挙第1回投票、10月に決選投票が行われ、中道・中道右派とされるキリスト教民主党(PDC)のパス候補が勝利し、約20年間続いた左派政権に終止符が打たれた。パス大統領は、就任式の直後、米国との外交関係を全面的に回復することを発表し、世界に開かれた外交方針を強調した。 日本政府は、3月から4月にかけて発生した大雨による洪水被害に対して、人道的観点及びボリビアとの友好関係に鑑み、緊急援助物資を供与した。4月、チョケワンカ副大統領が大阪・関西万博ボリビア・ナショナルデー出席のため訪日し、林官房長官との会談及び日・ボリビア友好議員連盟との会合等を実施した。11月に行われたボリビア大統領就任式には堀井外務副大臣が特派大使として出席し、パス大統領本人に祝意を伝達した上で、両者は二国間関係を一層進展させるため緊密に連携していくことで一致した。 コラム2025年日・中米交流年―太平洋を挟んだパートナー― ■日本と中米の歩み 日本は、北米と南米、太平洋と大西洋を結ぶ中米地域の国々と、長年にわたり、政治、経済、開発協力、文化等の幅広い分野において、友好・協力関係を築いてきました。2025年、日本とエルサルバドル、グアテマラ、コスタリカ、ニカラグア、ホンジュラスの中米5か国の外交関係は、1935年の外交関係樹立から90周年を迎えました。この5か国に、ドミニカ共和国、パナマ、ベリーズを加えた計8か国で構成される中米統合機構(SICA)1の国々と日本は、この節目の年を「日・中米交流年」と定め、様々な事業や活動を通じ、友好・協力関係を深めてきました。 ■「交流年」の機会における「万博外交」の展開 2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の開催は、日本と中米諸国との関係を深める絶好の機会となりました。大阪・関西万博にはグアテマラ、ベリーズ、ドミニカ共和国、パナマ、ホンジュラス等が参加し、それぞれの豊かな自然や多彩な文化と歴史を紹介しました。また、万博のナショナルデー等の機会に合わせて、アレバロ・グアテマラ大統領、ムリーノ・パナマ大統領、ブリセーニョ・ベリーズ首相が訪日したほか、ホンジュラス、コスタリカ、ドミニカ共和国からも閣僚が訪日し、日本との関係を深めました。「交流年」における「万博外交」の展開は、日本と中米諸国との友好関係促進にも大きな役割を果たしました。 日・グアテマラ首脳会談(6月10日) (東京 写真提供:首相官邸ホームページ) 日・ベリーズ首脳会談(8月4日) (東京 写真提供:首相官邸ホームページ) 日・パナマ首脳会談(9月5日) (東京 写真提供:首相官邸ホームページ) ■政策対話や相互理解の促進 要人往来を通じたハイレベル対話に加え、政策対話も進みました。5月、日本とSICA加盟国は、コスタリカのサンホセにおいて、第19回日本・中米「対話と協力」フォーラムを開催し、日本のこれまでの支援への高い評価と謝意が示されたほか、国際情勢に係る認識や国際社会の諸課題に対する協力を含め幅広い意見交換を行いました。 また、年間を通じ、交流年の一環として数多くの記念行事が開催され、相互理解が促進されました。中米各国では、日本人アーティストによるコンサート、日本文化フェスティバル、阿波(わ)踊り公演、映画、文化講演等の広報・文化事業を始め、武道・スポーツ交流事業、自衛隊練習艦隊の寄港、広島及び長崎の経験を学ぶ平和祈念イベントなどが開催されました。日本でも、コーヒーを通じた中米諸国との繋(つな)がりを紹介する事業など、中米諸国との友好関係の促進に資する事業が実施されました。 コスタリカ国立劇場での記念コンサート「J-Pop acustico by しほり」(2月21日、コスタリカ・サンホセ 写真提供:コスタリカ国立劇場) 1 SICA:Sistema de la Integración Centroamericana (Central American Integration System) コラム日本ブラジル友好交流年(日・ブラジル外交関係樹立130周年) 1895年11月5日、日本とブラジルは修好通商航海条約を結び、これをもって、両国の外交関係が開設されました。また、1908年には日本人のブラジル移住が始まり、以降、日本人移住者とその子孫によって、ブラジルには世界最大の日系社会が形成されました。現在、ブラジルには約270万人もの日系ブラジル人が、日本には約21万人の在日ブラジル人が生活しており、この特別な人的交流が、両国の絆(きずな)を強固にしています。さらに、2014年以降、両国は自由、民主主義、法の支配といった価値や原則を共有する戦略的グローバル・パートナーとして、政治、経済、人的交流のみならず治安、防災、刑事司法、環境、教育等、多岐にわたる分野で二国間関係を深めてきました。 このように歴史的に絆が深い日本とブラジルは、2025年に外交関係樹立130周年を迎え、同年を「日本ブラジル友好交流年」と位置付け、文化や観光、スポーツの交流や、交流の基盤になる日本語教育支援等の様々な分野で協力を促進することで一致しました。この節目の年、3月に国賓としてルーラ・ブラジル大統領を日本にお迎えしました。また、6月には佳子内親王殿下がブラジルを御訪問になり、11日間にわたって8都市(サンパウロ、マリンガ、ロランジア、ロンドリーナ、カンポグランデ、ブラジリア、リオデジャネイロ、フォス・ド・イグアス)で現地の方々と交流されました。 佳子内親王殿下のブラジル御訪問 (6月9日、ブラジル・ロンドリーナ) そのほか、「日本ブラジル友好交流年」を記念して、日本では200件以上、ブラジルでは550件以上の行事が開催されました。日本では、2025年で40回目を迎えた浅草サンバカーニバルパレードコンテストが記念行事の一環として開催され、約47万人の参加者を魅了しました。また、ブラジルでは、「日本ブラジル友好交流親善大使」に任命された歌手の相川七瀬氏が第21回ロンドリーナ祭りに参加し、観客を熱狂させるライブパフォーマンスを披露しました。相川氏の曲は、和太鼓をバックにJ-POPのヒット曲を踊るブラジルのオリジナルダンスである「マツリダンス」の楽曲として使用され、広くブラジルで親しまれています。 「日本ブラジル友好交流年」を通じて培われた友情は、地理的な距離を超えて130年にわたり築き上げられてきた両国政府及び両国国民の信頼関係を更に強固なものとしています。この信頼関係を礎に、二国間関係が一層発展していくことが期待されています。 相川七瀬氏に対する「日本ブラジル友好交流親善大使」の委嘱(5月26日、東京) 第40回浅草サンバカーニバルパレードコンテストに 両国外交官も参加(8月30日、東京・浅草) (12) 出典:Economist Intelligence Unit’s Democracy Index 2024 (13) 人間の安全保障とは、個人の保護と能力強化により、恐怖と欠乏からの自由、及び一人一人が幸福と尊厳を持って生存する権利を追求するという考え方