第1章 国際情勢認識と日本外交の展望:歴史の転換点にある世界へのメッセージ ― 人間の尊厳 ― 2 日本外交の展望 ロシアによるウクライナ侵略が継続し、既存の国際秩序が重大な挑戦に晒される一方で、「グローバル・サウス」と呼ばれる途上国・新興国の台頭により国際社会の多様化が進んでいる。こうした中、国連を中心とした多国間主義は一層困難に直面している。一方、気候変動を始めとする地球規模課題や、サイバー攻撃や偽情報を含む情報操作等の新たな脅威など、国境や価値観を超えて対応すべき課題は山積しており、国際社会の協調がかつてなく求められる時代でもある。 日本は、この歴史の転換点にある国際社会において大きな変化の流れを掴(つか)み取り、自国及び国民の平和と安全、繁栄を確保し、自由、民主主義、人権、法の支配といった価値や原則に基づく国際秩序を維持・強化し、平和で安定した国際環境を能動的に創出しなければならない。そのためには、「人間の尊厳」という最も根源的な価値を中心に据え、世界を分断や対立ではなく、協調に導く外交を展開する必要がある。 日本は、戦後一貫して平和国家としての道を歩み、アジア太平洋地域や国際社会の平和と安定、繁栄に貢献し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に取り組んできた。また、各国の多様性を尊重しながら、あらゆる国との間で、同じ目線に立って共通の課題を議論し、相手が真に必要とする支援を行うきめ細かな外交を展開してきた。さらに、多角的貿易体制の下、自由貿易の旗振り役としてルールに基づく自由で公正な経済秩序を推進し、同時に、人間の安全保障の理念に立脚した開発途上国への協力を行い、能力構築支援などを通じて持続可能な開発目標(SDGs)の達成も含めた地球規模課題に取り組んできた。核軍縮・不拡散や国際的な平和構築の取組にも積極的に貢献してきた。 こうした努力により世界から得た日本への信頼や期待は、今日の日本外交を支える礎となっている。世界が歴史の転換点を迎える中、(1)日本の国益をしっかりと守る、(2)日本の存在感を高めていく、(3)国民の声に耳を傾け、国民に理解され、支持される外交を展開するという3点を基本方針として外交を展開していく。また日本自身、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、国民生活の安全と繁栄を確保し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化するため、国家安全保障戦略を着実に実践していく。 2024年は世界各地で重要な選挙が控えており、ウクライナ、中東を始め国際情勢は重要な局面を迎えると予想される。このような中、日本は、第10回太平洋・島サミット(PALM510)、アフリカ開発会議(TICAD)6閣僚会合など重要な国際会議を開催する予定である。また、「国際協力70周年」という節目の年であるため、最も重要な外交ツールの一つであるODA(政府開発援助)の意義や展望について積極的に発信し、国民の理解を一層深める機会とする。日本として、国際社会と緊密に連携し、山積する国際社会の課題の解決を主導するため取り組んでいく。 (1)法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化 法の支配は、全ての国の平和と繁栄の基礎を成すものである。日本は、対話と協力に基づき、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けた外交を包括的に進める。 (ア)法の支配に基づく「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)7」の推進 法の支配に基づく「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現は日本外交の最優先課題の一つである。3月、岸田総理大臣は、訪問先のインドにおいて、「インド太平洋の未来─『自由で開かれたインド太平洋』のための日本の新たなプラン─“必要不可欠なパートナーであるインドと共に”(The future of the Indo-Pacific-Japan's new plan for a “Free and Open Indo-Pacific”- “Together with India, as an Indispensable Partner”)」と題する政策スピーチを行い、FOIPの新たなプランを発表した。この中で、「自由」と「法の支配」の擁護、「多様性」、「包摂性」、「開放性」の尊重といった中核的な理念は維持した上で、新たに、「対話によるルール作り」、各国間の「イコールパートナーシップ」、「人」に着目したアプローチを重視していくことを明確にしている。 この新たなプランでは、新型コロナウイルス感染症やロシアによるウクライナ侵略などにより顕在化した新しい課題にも取り組むため、FOIP協力の新たな「四つの柱」を打ち出している。第1の柱は、平和を守るという最も根源的な課題への対処の在り方として、法の支配を重視することである。第2の柱は、気候変動、食料安全保障、国際保健、サイバーセキュリティなど、幅広い分野をFOIPの中に取り込み、インド太平洋流の現実的かつ実践的な協力を推進することである。第3の柱は、多層的な連結性の強化により、皆が裨(ひ)益する形での経済成長を目指すことである。第4の柱は、海だけでなく、空も含めた安全保障・安全利用の取組を強化することである。 FOIPの下での協力を拡充するに当たっては、ODAのより一層の戦略的・効果的な活用を推進していくことも重要である。例えば、日本の強みをいかした魅力的なメニューを作り、提案するオファー型協力を推進していくなど、官民が連動する形で各国のニーズに応えていく。 (イ)同盟国・同志国との連携 法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の推進には、同盟国・同志国との連携が不可欠である。 国際社会が歴史的な転換点にある中で開催されたG7広島サミットでは、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くことを主要な視点として議論を行い、G7の揺るぎない結束を改めて確認した。また、広島サミットでは、G7、招待国、ウクライナの首脳間で世界平和と安定に関する議論を行い、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の堅持や、主権や領土一体性の尊重といった国連憲章の重要性について、認識を共有した。 日米豪印については、2024年、日本が外相会合の議長を務めるに当たり、FOIPの実現に向けた地域の国々に真に裨益する実践的協力を一層推進していく。 日韓関係の改善が軌道に乗る中、日米韓協力も着実に進展しており、8月のキャンプ・デービッド(米国)における首脳会合などの成果も踏まえ、日米韓協力が地域の平和と安定に貢献するものであることを示していく。さらに、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分であり、欧州諸国、EU及びNATOとの連携も強化していく。 (ウ)ウクライナ侵略への対応 ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙である。また、ロシアによる核兵器による威嚇、ましてや使用はあってはならない。ロシアが侵略をやめ、ウクライナに公正かつ永続的な平和が訪れるよう、引き続き、G7を始めとする国際社会と連携し、対露制裁とウクライナ支援を強力に推進していく。 さらに、2024年2月19日にシュミハリ首脳の出席も得て開催した日・ウクライナ経済復興推進会議の成果も踏まえ、官民一体となったウクライナの復旧・復興を更に強力に推進するため、取組を進めていく。 (2)安全保障上の課題への対応 日本が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、外交を通じて、日本の領土・領海・領空や国民の生命・財産を守り抜いていく。 (ア)日本自身の取組 国家安全保障戦略では、日本の安全保障に関わる総合的な国力の要素として、まず外交力を挙げている。外交と防衛を連携させながら、強い経済や高い技術力、豊かな文化など、日本が誇る様々なソフトパワーを有機的・効果的に結び付け、総合的に外交・安全保障政策を進めていく。また、新たに創設した政府安全保障能力強化支援(OSA)8の着実な実施や、サイバー安全保障、経済安全保障の推進に積極的に取り組んでいく。 偽情報等の拡散を含む情報操作などを通じた、認知領域における国際的な情報戦に対しては、様々な角度から情報の収集・分析を行い、戦略的な発信につなげ、情報セキュリティ基盤の構築・強化にも取り組んでいく。 (イ)日米同盟の一層の強化 日米同盟は日本の外交・安全保障の基軸であり、インド太平洋地域の平和と繁栄の礎である。日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化、拡大抑止9の信頼性・強靱(じん)性の維持・強化のための努力、日本における米軍の態勢の一層の最適化に向けた取組を進め、同時に、普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺(へ)野古移設を進めるなど、地元の負担軽減と在日米軍の安定的駐留に全力を尽くしていく。 また、11月に開催した日米経済政策協議委員会(経済版「2+2」)第2回閣僚会合の議論なども踏まえ、引き続き、戦略的観点から経済分野での日米協力を拡大・深化させていく。 (ウ)同盟国・同志国との連携強化 抑止力の強化のためには、日米同盟に加えて、同盟国・同志国間のネットワークを重層的に構築し、それを拡大していくことも重要である。そのために、日米韓、日米豪などの枠組みを活用しつつ、オーストラリア、インド、韓国、欧州諸国、ASEAN諸国、カナダ、NATO、EU、太平洋島嶼(しょ)国などとの安全保障上の協力を強化する。 オーストラリアとは、日豪部隊間協力円滑化協定が8月に発効し、その下で共同訓練が行われるなど、インド太平洋地域の平和と繁栄の確保に向け、引き続き安全保障分野の協力を着実に強化・拡大させている。 欧州諸国及びEU、NATOとは、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分であるとの認識の下、安全保障に係る連携を強化している。EU、NATOを始め欧州諸国もインド太平洋への関心を高めており、こうしたことを背景に、4月には、NATO外相会合に林外務大臣が、7月には、NATO首脳会合に岸田総理大臣が出席した。また、10月に日英部隊間協力円滑化協定が発効したほか、12月には日本、英国及びイタリアの3か国が、次期戦闘機の共同開発に関し「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)10政府間機関の設立に関する条約(GIGO設立条約)」に署名した。引き続き、欧州諸国及びEU、NATOによるインド太平洋への関与拡大に向けて具体的協力を進めていく。 (3)経済外交の新しいフロンティアの開拓 厳しさと複雑さを増す今の時代において、強くしなやかな経済力で世界に存在感を示すため、官民連携を重視し、スタートアップ企業を含むあらゆるステークホルダーを巻き込みながら、経済外交の新しいフロンティアを開拓していく。これからの日本は、グローバル・サウスと呼ばれる途上国・新興国の成長を取り込みながら、経済を強く成長させていかなければならない。地域ごとの課題や特性なども十分踏まえた上で、きめ細かで、戦略的な経済外交を推進していく。 (ア)ルールに基づく自由で公正な経済秩序の維持・拡大 多角的貿易体制の一層の強化のためのWTOの改革、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)11のハイスタンダードの維持、地域的な包括的経済連携(RCEP)12協定の透明性のある履行の確保、インド太平洋経済枠組み(IPEF)13を通じた地域の持続可能で包括的な経済成長の実現、AIや「信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)14」を含む新興課題の分野での国際的なルール作りなど、課題は山積している。 こうした中、経済協力開発機構(OECD)加盟60周年を迎える2024年、日本は5月のOECD閣僚理事会の議長国を務める。このような機会を捉え、同盟国・同志国とも緊密に連携しながら、ルールに基づく自由で公正な経済秩序の維持・拡大に向けてリーダーシップを発揮していく。 (イ)経済安全保障の取組 安全保障の裾野が経済まで広がる中、経済の自律性、技術などの優位性・不可欠性を確保すること、すなわち経済安全保障も新しい時代の外交の重要な柱である。日本の経済安全保障を確保するため、サプライチェーンの強靱化や経済的威圧への対応を含む経済安全保障上の諸課題に、同盟国・同志国との連携を一層強化しつつ、ODAも活用し、官民で緊密に連携しながら、取組を強化していく。 (ウ)社会・環境の持続可能性と経済との連結、一体化 今や社会・環境の持続可能性と経済との連結、一体化を統合的に目指すことが当たり前に求められる時代である。環境や人権、ジェンダー平等といったSDGsの推進に企業が積極的に関与し、日本が経済成長を実現することで、企業の利益が社会に還元される好循環を実現するための取組を進めていく必要がある。 例えば、民間企業を含む様々な主体を巻き込み、開発協力を実施していく。具体的には、日本の強みをいかしたオファー型協力や民間資金動員型ODAなどを実施し、開発途上国の質の高い成長を実現するとともに、日本の成長にもつなげていく。また、日本企業の海外展開、日本産食品の輸出拡大を積極的に後押しするため、在外公館が現地に進出する日本企業を強力にバックアップしていく。加えて、日本経済の生産性向上・成長を後押しするためには、海外から質の高い人材、先進技術、豊富な資金を呼び込み、イノベーションや雇用を創出することが不可欠である。このような観点から、在外公館を活用した対日直接投資の推進に積極的に取り組んでいく。 さらに、魅力ある日本文化や科学技術・イノベーションなどソフトパワーを積極的に活用していくことも重要である。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)、2027年国際園芸博覧会は日本の強くしなやかな経済力を示す重要な機会であり、成功に向け、引き続き力強く取り組んでいく。 12月の日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議で打ち出した「次世代共創パートナーシップ─文化のWA2.0─」を始め、対日理解の促進と戦略的な対外発信を更に推進していく。「佐渡島(さど)の金山」の世界遺産登録に向け、その文化遺産としての素晴らしい価値が評価されるよう、国際社会に対して説明するとともに、関係国と丁寧な議論を行いつつ、しっかりと役割を果たしていく。 また、ALPS処理水15放出の安全性については、引き続き国際原子力機関(IAEA)と緊密に連携し、科学的根拠に基づき、高い透明性をもって国内外に丁寧に説明していく。 (4)近隣諸国などとの外交 日本及び地域の平和と繁栄を維持するため、近隣国などとの難しい問題に正面から対応しつつ、安定的な関係を築いていく。 (ア)日中関係 日本と中国の間には、様々な可能性とともに、尖(せん)閣諸島を含む東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試みや、中露の連携を含む日本周辺での一連の軍事活動を含め、数多くの課題や懸案が存在している。また、台湾海峡の平和と安定も重要である。さらに、中国の人権状況や香港情勢についても深刻に懸念すべき状況にある。 同時に日中両国は、地域と世界の平和と繁栄に対して大きな責任を有している。「戦略的互恵関係」を包括的に推進するとともに、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案も含め、対話をしっかりと重ね、共通の諸課題については協力する、「建設的かつ安定的な日中関係」を双方の努力で構築していくことが重要である。 (イ)日韓関係 重要な隣国である韓国とは、多様な分野で連携や協力の幅を広げ、パートナーとして力を合わせて新しい時代を切り拓(ひら)いていくため、様々なレベルでの緊密な意思疎通を重ねていく。 インド太平洋の厳しい安全保障環境を踏まえれば、両国の緊密な協力が今ほど必要とされる時はない。日韓関係の改善が軌道に乗る中、グローバルな課題についても連携を一層強化していく。竹島については、歴史的事実に照らしても、かつ、国際法上も日本固有の領土であるとの基本的な立場に基づき、毅(き)然と対応していく。 (ウ)日中韓協力 日中韓協力は、大局的な視点から、地域及び世界の平和と繁栄にとって重要である。11月に約4年ぶりに開催された日中韓外相会議の議論を踏まえ、早期で適切な時期のサミットの開催に向け、議長国としての韓国の取組を後押ししていく。 (エ)日露関係 日露関係は、ロシアによるウクライナ侵略により引き続き厳しい状況にあるが、政府として、北方領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持していく。その上で、例えば、漁業などの経済活動や海洋における安全に係る問題のように、日露が隣国として対処する必要のある事項については、日本の外交全体において何が日本の国益に資するかという観点から適切に対応していく。 また、北方四島交流等事業の再開は日露関係における最優先事項の一つである。ロシア側に対し、今は特に北方墓参に重点を置いて事業の再開を引き続き強く求めていく。 (オ)北朝鮮 北朝鮮との間では、日朝平壌(ピョンヤン)宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指していく。 とりわけ、拉致被害者御家族も御高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題である。全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するため、全力で果断に取り組む。 北朝鮮による弾道ミサイルなどの発射は、日本の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威である。地域及び国際社会全体の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できない。 日本としては、米国及び韓国を始めとする国際社会とも協力しながら、累次の関連する安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の完全な廃棄を求めていく。 (5)地域外交の課題 グローバル・サウスと呼ばれる途上国・新興国が急速に発言力を高め、世界のパワーバランスが大きく変化する中、国際社会を分断や対立ではなく協調に導き、また、国際社会が直面する諸課題への解決を共に創り出していく上では、多様性や包摂性を重視したアプローチで、各国・各地域の事情や特性を踏まえつつ、きめ細かく関与していくことが重要である。 インド太平洋の要であるASEANの安定と繁栄は、日本、そしてインド太平洋地域全体にとり極めて重要である。日本は、12月の日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議で打ち出した、次の50年に向けた新たな協力のビジョンと幅広い具体的協力を着実に実行し、ASEAN各国との関係をより一層強化していく。 インドは、基本的価値と戦略的利益を共有する、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けた重要なパートナーである。日印両国は、アジアの民主主義国家という共通項の下、インド太平洋地域、そして世界の平和と安定に大きな責任を共有している。世界が分断と対立を深める中、欧米各国とは異なる文化的、歴史的背景を有しつつも、確固たる民主主義の歴史を有する日印両国が果たせる役割は大きい。このような背景も踏まえ、日印両国は、「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」の下、経済、安全保障、人的交流など、幅広い分野における協力を一層推進していく。 インドを含む南西アジアは、日本と中東・アフリカ地域を結ぶシーレーン上の要衝に位置する戦略的に重要な地域であり、また、域内で約19億人の人口を有し、高い経済成長率を維持していることから、日本企業にとって魅力的な市場・生産拠点である。南西アジア各国は伝統的な親日国であり、日本は長年にわたって安全保障、経済、経済協力、人的交流などの幅広い分野においてこの地域の国々との関係を深めてきた。こうした基盤を活用しながら、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けた重要なパートナーである南西アジア各国との関係を一層深化させていく。 太平洋島嶼国地域は、FOIPの実現の観点からも非常に重要な地域である。2024年2月の太平洋・島サミット(PALM)中間閣僚会合などを踏まえ、同年7月の第10回太平洋・島サミット(PALM10)や二国間での対話を通じ、同志国とも連携しつつ、各国のニーズに寄り添う形で太平洋島嶼国の発展やその一体性を力強く支えていく。 中東は、国際社会にとり主要なエネルギー供給源の一つであり、日本も原油輸入の約9割をこの地域に依存している。したがって、航行の安全の確保を含む同地域の平和と安定は、エネルギー安全保障や日本を含む世界経済の安定と成長にとっても極めて重要である。一方、同地域には歴史的に様々な紛争や対立が存在し、現在も不安定な緊張状態や深刻な人道状況が継続している。近年では、イスラエルと一部のアラブ諸国との国交正常化を始め、域内で関係改善に向けた情勢の変化が見られていたが、10月に発生したハマスなどによるイスラエルに対するテロ攻撃を発端とする一連の動きにより、イスラエル・パレスチナ問題をめぐり地域の不安定性が再び顕在化した。日本は米国と同盟関係にあり、同時に中東各国と伝統的に良好な関係を築いている。中東地域を含む法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向け、「日・アラブ政治対話」や「日・GCC16外相会合」などの様々な対話の枠組みを通じ各国の問題意識やニーズを十分に踏まえた上で、関係国とも緊密に連携しながら、中東の緊張緩和と情勢の安定化に資する外交努力を、積極的に展開していく。 2050年に世界の人口の4分の1を占めるといわれるアフリカは、若く、希望にあふれ、ダイナミックな成長が期待できる大陸である。日本は1993年に、アフリカ開発会議(TICAD)を立ち上げて以降、30年間以上にわたり、アフリカ自らが主導する開発を後押ししていくとの精神で対アフリカ協力に取り組んできた。2024年には東京でTICAD閣僚会合を、2025年には横浜でTICAD 9を開催予定である。日本としては今後ともTICADプロセスも通じ、アフリカ各国と共に様々な課題に取り組むことによって、日・アフリカ関係を一層深化させていく。 中南米諸国の多くは自由、民主主義、法の支配といった価値と原則を共有し、国際場裡(り)でも存在感を有する重要なパートナーである。また、脱炭素化のために重要な鉱物資源やエネルギー、食料資源を豊富に有し、サプライチェーン強靱化や経済安全保障の観点からも重要性が増している。また、中南米に存在する世界最大の約310万人から成る日系社会は、日本と中南米の伝統的な友好関係の基礎となっている。2024年は、ブラジルでG20が、ペルーでアジア太平洋経済協力(APEC)が開催されるなど世界の注目が中南米に集まるほか、カリブ諸国との間では日・カリブ交流年を迎える。こうした機会を捉え中南米諸国との更なる関係強化を図る。 中央アジア・コーカサス諸国は、ロシアと歴史的、経済的に緊密な関係にある中で、ロシアによるウクライナ侵略の影響を大きく受けている。日本は、「中央アジア+日本」対話などの枠組みも活用しながら、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化するためのパートナーとして、協力を推進していく。 (6)地球規模課題のための協力 気候変動、環境問題、食料・エネルギー問題、感染症を含む国際保健課題、人口問題、難民問題、海洋の持続可能な利用など、地球規模課題は山積しており、人類は一致してこれらの課題に取り組まなければならない。 そのためにも国連が本来の役割を果たすことがますます重要になっている。安保理改革を含め国連の機能を強化するため、日本が先頭に立って取り組んでいく。日本が安保理議長を務める2024年3月には、国際社会が直面する重要な課題について活発な議論を行う。 2024年9月には国連「未来サミット」が予定されている。今後数十年を見据え、国連を中核に置いた強く実効的な多国間主義を強化する機会として、「人間の尊厳」という原点に立ち返り、法の支配を推進し、人間の安全保障の理念に基づく「人間中心の国際協力」を主導していく。また、2030年までのSDGsの包括的な達成に向けた国際的取組に積極的に貢献していく。国際機関で日本人が職員として更に活躍できるための取組も推進する。 同時に、「核兵器のない世界」の実現、日本らしい人権外交、平和構築、テロ・国際組織犯罪対策などを積極的に推進していく。特に、核軍縮・不拡散については、5月のG7広島サミットで発出した「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」を強固なステップ台としつつ、「ヒロシマ・アクション・プラン」17の下での取組を一つ一つ実行していくことで、「核兵器のない世界」に向けた現実的で実践的な取組を継続・強化していく。具体的には、核戦力の透明性向上や、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効や核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の即時交渉開始といった効果的な核軍縮措置に向けた取組を積み重ねていく。また、「核兵器のない世界」に向けた国際賢人会議18などの取組を通じて、核軍縮に向けた国際的な機運を高める取組を進め、「核兵器のない世界」の実現に向け、一歩一歩近づいていく。 さらに、「女性・平和・安全保障(WPS)」について、主要外交政策の一つとして力強く推進し、その重要性を発信していく。このため、2024年1月、外務大臣の下にタスクフォースを設置した。今後、ODAを含むあらゆるツールを用いてWPSを推進していく。 (7)総合的な外交・領事実施体制の強化 「外交の要諦は人」であり、これらの取組で着実な成果を上げるためには、外交・領事実施体制を強化することが不可欠である。 在外職員などの勤務環境改善や生活基盤強化、人的体制の強化、財政基盤の整備、デジタル・トランスフォーメーション(DX)や働き方改革の推進など、外交・領事実施体制の抜本的強化に取り組む。緊急事態に際し、邦人保護を始め迅速かつ機動力のある危機対応が可能となるよう、在外公館の強靱化を推進し、人的体制を含む即応体制を充実させていく。 特集ウクライナの復旧・復興に向けた日本の取組 ロシアによるウクライナ侵略が長期化する中、戦争の被害は、エネルギー・交通インフラ、住宅、学校など、人々の生活を支えるインフラや施設にも及んでおり、ウクライナの人々は厳しい状況に置かれています。侵略が継続する中であっても、ウクライナの人々が、短期・中長期的な未来を思い描けるよう、日本としてウクライナに寄り添った復旧・復興支援を行っていくことは、待ったなしの課題です。 日本は、戦後の荒廃や度重なる深刻な自然災害を経験してきましたが、その度に、国際社会から支援を得つつ、めざましい復興を成し遂げてきました。日本には、困難を乗り越える中で培ってきた、復旧・復興に関する経験や知見があります。また、ウクライナ側には、長期にわたるウクライナ復興に向けて、日本の持つ経験や技術に対する期待があります。政府として、こうした経験と知見をいかしつつ、ウクライナの復旧・復興に貢献するため、人道支援から生活再建・復旧支援、そして経済復興・産業高度化のフェーズに至るまで、特に七つの分野で重点的な取組を進めます。具体的には、喫緊の支援として、(1)復旧・復興の前提となる地雷対策・がれき処理、(2)人道状況の改善や生活再建支援の二つの分野に取り組むとともに、ウクライナの経済復興及び産業の高度化のため、(3)ウクライナの主要産業である農業・畜産業の生産性向上、(4)バイオなど新たなものづくり、(5)IT人材雇用を見据えたデジタルやIT/ICT産業の発展の三つの分野で取組を進め、(6)電力や交通インフラなどの生活基盤の整備、(7)汚職対策・ガバナンス強化という二つの分野におけるウクライナの努力を支援することにより、持続可能な復興を実現するための基盤整備を支えます。 日・ウクライナ経済復興推進会議首脳セッションで基調講演を行う岸田総理大臣(2024年2月19日、東京 写真提供:内閣広報室) 特に、地雷や不発弾の処理は、住民の安心・安全の確保に不可欠であるのみならず、生活、農業、産業の再建にも欠くことができない復旧・復興の前提です。日本は、地雷・不発弾処理に当たるウクライナ非常事態庁(SESU)1に対し、不発弾対策のクレーン付きトラック、地雷探知機などの機材の供与を実施しています。1月には、日本が20年以上にわたり地雷・不発弾対策を支援してきたカンボジアとの協力の下、SESU職員に対して、日本の技術を活用した地雷探知機ALIS2(エーリス)の使用訓練・研修を実施し、7月には、カンボジアに加えてポーランドの協力も得て、ウクライナの土壌に近いポーランドで供与済みのALISを使ったフォローアップ訓練も行いました。さらに11月には、ALISの50台追加供与及び車両40台の供与も行いました。 また、ロシアが発電施設などのエネルギー・インフラへの集中的な攻撃を行ったことを踏まえ、人々の生活を支えるため、9月には、エネルギー・インフラ分野における復旧・復興のための支援として、ウクライナのキーウ市において約50万人が裨(ひ)益する大型変圧施設2基を、国連開発計画(UNDP)経由で供与しました。さらに2024年1月に、500万人以上の裨益が見込まれる大型変圧器7基の輸送支援並びにUNDP及び独立行政法人国際協力機構(JICA)を通じた日系企業製を含むガスタービン発電機5基の供与を行いました。 さらに、戦争において女性や子どもたちが特に脆(ぜい)弱な立場に置かれる中、こうした人々を守り、「人間の尊厳」が確保されることが必要です。こうした認識の下、日本は、初期の緊急人道支援から中長期的な生活再建、復興・産業高度化のフェーズに至るまで、女性や子どもを含むウクライナの人々に寄り添い、「女性・平和・安全保障(Women, Peace and Security:WPS)」の視点(245ページ 第3章第1節8参照)を組み込んだ様々な具体的な取組を行っています。WPSの理念を形にした具体的な取組として、2023年度補正予算には、喫緊の課題である女性の保護のため、保健医療、シェルター整備やジェンダーに基づく暴力の被害者保護に関する取組が含まれました。また、女性のエンパワーメントを通じて人道支援・復興への女性の参画を促し、未来のリーダーへの投資として子どもたちへの教育に係る支援を行うことで、短期から長期まで見据えた活動を行っていきます。 ウクライナが示している復興需要は莫大であり、民間セクターの積極的な関与を得て、支援を行っていくことが不可欠となっています。官民一体となった復旧・復興の実現に向けた取組を加速させるため、政府として取組を進めています。 具体的取組として、関係省庁の緊密な連携を図るため、関係省庁局長級から構成されるウクライナ経済復興推進準備会議を設置し、5月15日には、会議の冒頭に岸田総理大臣の出席を得て、木原誠二官房副長官を議長とした第1回会合を開催しました。さらに、6月19日には木原官房副長官を、10月5日及び2024年1月30日には村井英樹官房副長官をそれぞれ議長として会合を開催しました。 さらに、6月21日から22日、英国とウクライナの共催によりロンドンで開催されたウクライナ復興会議において、林外務大臣は、官民を挙げてウクライナの復旧・復興を力強く後押しするため、日・ウクライナ経済復興推進会議を東京で開催することを発表しました。 ウクライナ復興会議でスピーチを行う林外務大臣(6月21日、英国・ロンドン) その後、同会議の成功に向け、ウクライナ側のニーズを直接聴取し、具体的な支援の案件形成に向けた重要な機会とするため、民間企業を伴ったウクライナ訪問も実施されました。9月9日、林外務大臣が日本企業関係者と共にウクライナを訪問し、11月20日には、辻󠄀清人外務副大臣及び岩田和親(ちか)経済産業副大臣が、ウクライナの復旧・復興に関心の高い複数のスタートアップを含む日本企業の参加を得て、経済ミッションとしてウクライナを訪問しました。また、2024年1月7日、ウクライナを訪問した上川外務大臣は、これらの成果を踏まえ、ゼレンスキー・ウクライナ大統領や特に日・ウクライナ経済復興推進会議に出席するシュミハリ・ウクライナ首相との間で、民間の関与を得て同会議を成功させ、ウクライナの復興につなげていくことを確認しました。 経済ミッションによるスヴィリデンコ・ウクライナ第一副首相兼経済相への表敬 (11月20日、ウクライナ・キーウ) 上川外務大臣によるゼレンスキー・ウクライナ大統領への表敬 (2024年1月7日、ウクライナ・キーウ) その上で、同年2月19日、同首相の参加も得て、日・ウクライナ経済復興推進会議が開催されました。日本及びウクライナの多数の企業が参加する中、岸田総理大臣は、ウクライナ支援は両国及び世界の「未来への投資」であると指摘の上、三つの原則(包摂性、パートナーシップ、知見・技術)に基づき、五つの行動(租税条約の署名・投資協定改正の交渉開始、国際金融機関を通じた支援、政府開発援助(ODA)による官民連携事業・JICAの海外投融資、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)キーウ事務所の設置・NEXI3の新たなクレジットライン設定、数次査証の緩和措置など)を通じて、日本の民間投資を促進し、ウクライナでの雇用を生み出していくと述べつつ、官民一体となって「日本ならではの貢献」を行っていくことを表明しました。あわせて岸田総理大臣は、ウクライナの復興を支える国際社会の連帯もまた、一層強固なものにしていかなければならず、ウクライナが復興を成し遂げることは日本そして国際社会全体の利益であると述べました。同会議においては、具体的成果として、日・ウクライナ両国政府で調整された共同コミュニケのほか、同日に署名された租税条約を含め、官民合わせて56本の協力文書が発表されました。また、ウクライナの復旧・復興にWPSの視点をいかに組み込んでいくべきかを考える「WPSセッション」を上川外務大臣の主催で開催し、政府、ビジネス、市民社会の視点から、活発な議論が行われました。同セッションで上川外務大臣は、ウクライナにおける、家族、コミュニティ及び国民全体の「再統合」の必要性とこれに向けた日本の考え方に言及し、ウクライナの復旧・復興におけるWPSの国際的取組を前に進めることを表明しました。このように、日・ウクライナ経済復興推進会議の開催を通して、対ウクライナ支援の継続の必要性に関する力強いメッセージを国際社会に向けて発出することができました。 政府としては、同会議の成果も踏まえ、官民一体となったウクライナの復旧・復興を更に強力に推進するため、引き続き取り組んでいきます。 1 SESU:State Emergency Service of Ukraine 2 ALIS:Advanced Landmine Imaging System 3 NEXI:Nippon Export and Investment Insurance 特集日本のパレスチナ・ガザ地区における取組 日本は、10月7日以降のパレスチナ・ガザ地区をめぐる情勢を受け、国際機関を通じた緊急人道支援や補正予算による追加的な人道支援のほか、独立行政法人国際協力機構(JICA)を通じた同地区への物資支援を実施しています。 11月8日には、第1弾としてテントや毛布などの支援物資をエジプトのエル・アリーシュ空港に輸送し、エジプト及びパレスチナ赤新月社などの協力によりガザ地区内に届けました。それらの物資はその後避難所で使用されています。12月1日には、第2弾として、包帯、ガーゼ、手術用グローブなどの医療消耗品を同空港に輸送し、エジプト及びパレスチナ赤新月社の協力によりガザ地区に届けました。この時は、在エジプト日本国大使館及びJICAの職員が、エジプト赤新月社への支援物資の引渡しに立ち会ったほか、空港からラファハ検問所(エジプトとガザ地区の境界にある検問所)までの支援物資の搬送の流れや搬入のボトルネックについて現地調査を実施しました。届けられた医療消耗品は、ガザ地区内の病院や保健センターなどの医療施設に配布され、随時使用されています。 また、12月25日より(2024年1月下旬まで)JICAを通じて、ガザ地区における緊急人道支援・保健医療分野におけるニーズを調査するため、隣国のエジプト(カイロ)に医師などから構成される調査チームを派遣しました。同チームは、医療資源を適切に配分するために現地で緊急医療支援の調整に当たる世界保健機関(WHO)と連携し、日本の災害緊急援助のノウハウを活用した医療データ管理分野の調整業務支援を実施したり、エジプト保健省と協力してパレスチナの人々の緊急人道支援ニーズの確認をしました。 日本は、ガザ地区の人道状況改善や事態の沈静化に向けて粘り強い外交努力を継続しつつ、関係諸国との協力の下、国際機関やJICAを通じた支援を引き続き行っていきます。 ガザ地区で使用されている支援物資のテント (12月、パレスチナ・ガザ 写真提供:JICA) エル・アリーシュ空港に到着した支援物資 (12月、エジプト 写真提供:JICA) 5 PALM:Pacific Islands Leaders Meeting 6 TICAD:Tokyo International Conference on African Development 7 FOIP:Free and Open Indo-Pacific 8 OSA:Official Security Assistance 9 ある国が有する抑止力をその同盟国などにも提供すること 10 GCAP:Global Combat Air Programme 11 CPTPP:Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership 12 RCEP:Regional Comprehensive Economic Partnership 13 IPEF:Indo-Pacific Economic Framework for Prosperity 14 DFFT:Data Free Flow with Trust 15 ALPS処理水とは、ALPS(多核種除去設備(Advanced Liquid Processing System))などにより、トリチウム以外の放射性物質について安全に関する規制基準値を確実に下回るまで浄化した水。ALPS処理水は、その後十分に希釈され、トリチウムを含む放射性物質の濃度について安全に関する規制基準値を大幅に下回るレベルにした上で、海洋放出されている。 16 Gulf Cooperation Council 湾岸協力理事会:1981年にサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、オマーン、カタール、クウェートによって設立。防衛・経済をはじめとするあらゆる分野における参加国間での調整、統合、連携を目的としている。 17 岸田総理大臣が2022年8月のNPT運用検討会議で提唱したもの。「核兵器のない世界」という「理想」と「厳しい安全保障環境」という「現実」を結び付けるための現実的なロードマップの第一歩として、核リスク低減に取り組みつつ、(1)核兵器不使用の継続の重要性の共有、(2)透明性の向上、(3)核兵器数の減少傾向の維持、(4)核兵器の不拡散及び原子力の平和的利用、(5)各国指導者などによる被爆地訪問の促進、の五つの行動を基礎とする。 18 2022年1月に岸田総理大臣が施政方針演説で立上げを表明。核兵器国と非核兵器国の双方からの有識者が、現職・元職の政治リーダーの関与も得て、「核兵器のない世界」の実現に向けた具体的な道筋について議論する国際会議。2023年は4月に東京にて第2回会合、12月に長崎にて第3回会合を開催した。