巻頭特集 新型コロナウイルス感染症との闘い2021 新型コロナウイルス感染症との闘い2021 2021年、日本そして世界は引き続き新型コロナウイルス感染症(以下「新型コロナ」という。)の影響を大きく受けた。この未曽有の危機に際し、外務省は、海外において危機にさらされた日本人の保護に引き続き取り組むとともに、「誰一人取り残さない」という考えの下、開発途上国を含めたワクチン、診断薬、治療薬への公平なアクセスの確保のための支援や、将来のパンデミックへの国際的な備えと対応を強化し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成するための取組を行ってきた。本巻頭特集では、2年目を迎えた、新型コロナとの闘いを振り返る。 1 2021年の新型コロナの感染状況 2021年の新型コロナの感染状況は、ワクチン接種の進展に伴い、感染の減少傾向が見られた時期・地域もあったが、強い感染力を持つ変異株の発生により、世界的な感染拡大が続いた。4月上旬、インドではデルタ株の感染が拡大し、5月には、1日当たりの新規感染者数は約40万人に達した。その後、ワクチン接種率が比較的高い米国や欧州でも感染の再拡大が見られる中、11月24日に南アフリカから世界保健機関(WHO)へ最初に感染例が報告されたオミクロン株の出現により、12月以降、欧州や北米、中南米、中東、アジアなど世界各地で新規感染者数が急増した。このような状況を受け、各国・地域は追加的な(3回目)ワクチン接種の促進や、感染予防対策と経済社会活動との両立に苦慮するなど、引き続き困難な舵(かじ)取りを迫られている。 日本もまた例外ではなく、2021年を通じ、感染拡大と収束が繰り返されることとなった。それに伴い、感染拡大や医療保健体制への影響が顕著となった多くの自治体に対し、まん延防止等重点措置や緊急事態措置が適用された(東京都への緊急事態措置の適用は1月8日から3月21日及び4月25日から9月30日まで)。特にデルタ株への置き換わりなどにより7月から8月にかけ感染が急拡大し、8月20日には全国で1日当たり2万5,975名の新規感染者を記録した。その後、感染者は急速に減少したが、12月以降のオミクロン株の世界的な流行により、2022年1月になると新規感染者数がかつてないペースで全国的に急増し、全国の34都道府県でまん延防止等重点措置が適用されたが、2月以降1日当たりの新規感染者数は緩やかに減少し、3月21日にはまん延防止等重点措置が全国で解除された。 3月11日時点で世界の累積感染者数は約4億5,097万人(日本国内では約561万人)、累積死亡者は約601万人(同約2万5,700人)を超えている。 新型コロナウイルス 国・地域別新規感染者数(7日平均)の推移