第3章 国益と世界全体の利益を増進する外交 第2節 日本の国際協力(開発協力と地球規模課題への取組) 1 開発協力(ODA等) (1)開発協力大綱とODAの戦略的活用 日本が1954年に政府開発援助(ODA)1を開始してから60年以上が経過した。ODAを含む日本の開発協力政策は、長きにわたり国際社会の平和と安定及び繁栄、ひいては日本自身の国益の確保に大きく貢献してきた。 一方、世界が直面する課題は多様化・複雑化し、グローバル化の進展とも相まって、国境を越えて広範化している。さらに、昨今のODA以外の公的・民間資金や新興国による支援の役割の増大を踏まえ、先進国のみならず開発途上国を含む各国の知恵や行動、中央政府以外の多様な力(企業、地方自治体、NGOなど)を結集することが一層重要となっている。この新たな時代に、日本が平和国家としての歩みを堅持しつつ、開発協力を国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の一環と位置付け、ODAを戦略的に活用して開発課題や人権問題に対処していくことは、日本の国益の確保にとって不可欠となっている。こうした認識に基づき策定された開発協力大綱(2015年2月閣議決定)の下、先進国を含む国際社会全体の開発目標である「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた取組を着実に実施していく必要がある。また、2018年に河野外務大臣の下で開催されたODAに関する有識者懇談会による提言も踏まえて、NGO、民間企業を始めとする多様な主体が、開発課題の解決に一層取り組んでいけるよう、ODAの実施の在り方についても不断に検討していく必要がある。さらに、現地で国際協力に携わる日本人の安全を確保すべく、万全の態勢を構築することが引き続き不可欠である。 日本にとって開発協力は外交政策の最も重要な手段の一つであり、特に、2018年には「自由で開かれたインド太平洋」の維持・促進に向けた各国とのODAを活用した連携が進展し、9月の日米首脳会談、10月の日印首脳会談の機会に具体的な協力の例が示された。また、アジアを中心に膨大なインフラ需要が存在する中、インフラの整備に当たっては、2016年5月のG7伊勢志摩サミットで採択された「質の高いインフラ投資の推進のためのG7伊勢志摩原則」に含まれる、ライフサイクルコストから見た経済性や被援助国の債務持続可能性等の諸要素に加え、インフラの開放性や透明性等を確保し、これらの国際スタンダード化を目指すことが不可欠である。日本は、ODAも積極的に活用しながら質の高いインフラの整備を行う中で、引き続き国際社会の平和と繁栄に貢献していく。 また、開発途上国の発展を通じて日本経済の活性化を図り、共に成長していくことも重要な国益である。「未来投資戦略2018」(2018年6月改訂)や「インフラシステム輸出戦略」(2018年6月改訂)でも言及されているとおり、日本企業等の海外展開を一層推進していくため、ODAを戦略的に活用していく必要がある。 日本のこうした取組は国際社会からも高い評価と信頼を得ており、日本が世界の責任ある主要国として国際社会を主導し、日本の国益にかなった国際環境や国際秩序を確保していくためにも、今後とも継続・発展させていくことが重要である。 (2)ODAの現状 ア 2018年度開発協力重点方針 開発協力は、国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の立場から、国際社会の平和と安定及び繁栄の確保により一層積極的に貢献し、日本の外交政策を推進していく上で、最も重要な手段の一つである。開発協力大綱に基づくとともに「自由で開かれたインド太平洋」等の外交政策や持続可能な開発目標(SDGs)及び日本としてのその実施指針等の方針も踏まえつつ、戦略的かつ効果的な開発協力を推進するため、外務省は以下(ア)から(ウ)までを2018年度の重点と位置付け、様々な主体との連携の強化を図りつつ取り組んでいる。 (ア)国際社会の平和・安定・繁栄のための環境整備及び基本的価値の共有 「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、法の支配や航行の自由等を確保するため、海上保安能力の強化や法制度整備等の分野で協力を行う。太平洋からインド洋に至る地域内外の「連結性」を向上させ、地域全体の安定と繁栄を確保する。人道支援と開発協力の連携を強化しつつ、平和構築、難民等の支援、テロ・暴力的過激主義対策等の協力を通じ、国際社会の平和と安定の実現に積極的に貢献する。また、開発途上国によるテロ対策・治安状況の改善への協力等を通じて、海外で活躍する日本人の安全を確保する。 (イ)SDGs達成に向けたグローバルな課題への対処と人間の安全保障の推進 SDGsの達成に向け、各国と保健、食料、女性、教育、防災・津波対策、水・衛生、気候変動・地球環境問題等の分野において、国家戦略や計画の策定から個別案件の実施に至るまでの協力を推進する。特に、日本が課題先進国として培ってきた経験を開発途上国の指導的人材に共有することを通じて、将来の親日派・知日派を育成するとともに、国際的な課題に対し、各国と共に一層戦略的に取り組んでいくことを可能とする。 (ウ)開発途上国と共に「質の高い成長」を目指す経済外交・地方創生への貢献 開発途上国の「質の高い成長」の実現に向けた協力を行い、その協力を通じて、開発途上国と共に日本も成長し、日本の地域活性化にも貢献する。特に、地方自治体や中小企業等の海外展開の支援や対外直接投資に向けたビジネス環境整備を行うとともに、省エネインフラ、ICT(情報通信技術)や次世代自動車など日本が強みを有する技術・制度・ノウハウ等の日本方式の普及を含め、「質の高いインフラ」の国際展開を一層推進する。また、開発途上国の産業人材育成とそれを通じて築いてきたネットワークも最大限活用する。 上記重点(ア)から(ウ)に取り組むに当たっては、二国間協力及び国際機関を通じた協力を有機的に連携させるとともに、日本の民間企業、地方自治体、大学・研究機関、NGO・市民社会組織(CSO)等の参画を得た「日本の顔の見える協力」を推進する。また、開発途上国を支援することへの国民の理解を深めるための国内広報に努めるとともに、開発協力を通して、日本の魅力や取組を積極的に対外発信する。加えて、国際協力事業関係者の安全対策を強化する。 イ 国際協力事業関係者の安全対策 2016年7月にバングラデシュの首都ダッカで発生した襲撃テロ事件では、ODAに携わっていた7人の日本人の尊い命が奪われ、1人の日本人が負傷した。政府は、テロに屈することなく、開発途上国を支援し続けていく決意であるが、その一方で国際テロ情勢は厳しさを増している。現地で国際協力に携わる日本人の安全を確保すべく、改めて万全の態勢を構築することが不可欠となっている。 このような問題意識に立って、外務大臣の下に「国際協力事業安全対策会議」を発足させ、多くの関係省庁の参加も得た5回の会合を経て、2016年8月末に国際協力事業関係者のための新たな安全対策を策定した最終報告を公表した。最終報告では、①脅威情報の収集・分析・共有の強化、②事業関係者及びNGOの行動規範、③ハード・ソフト両面の防護措置、研修・訓練の強化、④危機発生後の対応及び⑤外務省・国際協力機構(JICA)の危機管理意識の向上・態勢の在り方の五つの柱に沿って、外務省及びJICAが関係者と連携して取り組むべき安全対策を示した。以後、外務省とJICAでこれを着実に実施してきている。 日本は責任ある大国として、引き続き国際協力事業関係者の安全を確保しながら、国際社会の平和と安定及び繁栄に積極的に貢献していく。 (3)日本の開発協力実績と主な地域への取組 ア 日本のODA実績 2017年の日本のODA2実績は、支出総額ベースで対前年比9.8%増の約184億6,000万米ドルとなった。これは経済協力開発機構・開発援助委員会(OECD/DAC)加盟国中では、米国及びドイツに次いで第3位である。また、国際比較において通常用いられている支出純額ベースでは対前年比10.0%増の約114億6,000万米ドルとなり、米国、ドイツ及び英国に次ぐ第4位である。なお、支出純額ベースでの対国民総所得(GNI)比は0.23%となり、DAC加盟国中第19位となっている。 イ 主な地域への取組 (ア)東南アジア 東南アジア地域の平和と安定及び繁栄は、同地域と密接な関係にある日本にとって重要である。日本はこれまで、開発協力を通じ、同地域の経済成長や「人間の安全保障」を促進することで、貧困削減を含む様々な開発課題の解決を後押しし、同地域の発展に貢献してきた。 2017年の二国間ODA総額に占めるアジア地域の割合は59.7%に上り、その多くが東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国向け支援である。日本は、ASEANが抱える課題の克服や統合の一層の推進に向けた努力を支援するとともに、域内連結性強化や産業基盤整備のための質の高いインフラ整備及び産業人材育成支援を重視している。例えば、2015年11月の日・ASEAN首脳会議(マレーシア)で発表した、3年間で熟練技術者、エンジニア、研究開発人材等4万人の産業人材の育成を行う「産業人材育成協力イニシアティブ」に続き、2018年11月の日・ASEAN首脳会議(シンガポール)では、次の5年を見据え、「産業人材育成協力イニシアティブ2.0」として、AI等のデジタル分野を含め、新たに8万人規模の人材を育成すると発表した。また、技術協力を通じてASEANの一体性・中心性の強化に貢献するため、日・ASEAN外相会議の機会に日ASEAN技術協力協定の実質合意を確認した。さらに、自由で開かれた国際秩序を構築するため、日本のシーレーン上に位置する東南アジア各国に対し、巡視船や沿岸監視レーダーを始めとする機材供与、長期専門家派遣による人材育成等を通じて海上法執行能力構築支援を積極的に実施している。こうした観点から、2017年11月の東アジア首脳会議(EAS)(フィリピン)で発表したフィリピン南部及びスールー・セレベス海の治安改善のため包括的なアプローチによる2年間で150億円規模の支援を着実に実施している。そのほか、域内及び国内格差是正のための支援や、防災、環境・気候変動、エネルギー分野等、持続可能な社会の構築のための支援についても着実に実施している。 2018年10月に東京で開催された第10回日・メコン首脳会議において、3年前の日・メコン首脳会議で採択された「新東京戦略2015」及び「日・メコン連結性イニシアティブ」の成果を総括しつつ、今後の日・メコン協力の指針「東京戦略2018」に沿って、メコン地域への協力を更に進めていくと発表した。日本は「質の高いインフラ」の推進を含むハード面、デジタル分野での協力を含むソフト面、投資促進や経済特区の開発を含む産業面の3面からの連結性の強化を通じ、引き続きメコン地域における「生きた連結性」の実現に貢献していく。 ワッタイ国際空港 国際線の運営 運用中の空港ビル建設の円借款プロジェクト引渡式を終えて 日本工営(株) 海外事業本部 交通都市事業部 港湾空港部 高橋正昭 ラオスの首都空港であるビエンチャン・ワッタイ国際空港において、急激な需要増加に対応するため、2014年に90.17億円の円借款貸付契約が締結され、国際線旅客ターミナルビルの拡張、国内線旅客ターミナルビルの新設及び周辺施設(駐車場、構内道路、誘導路灯)の整備が開始されました。実施機関はラオスの公共事業運輸省航空局(DCA)。コンサルタントは、日本工営(株)、(株)梓設計及びLao Consulting Group。工事請負者は(株)安藤・間で2015年12月に工事が開始されました。私は、コンサルタントの幹事会社としてプロジェクトマネージャーとしての役割を担っていました。本工事を行うに当たっては空港運営の継続と同時に、ステークホルダーの利便性・効率性・安全性の向上を図りながら慎重に進めていくことを基本方針としました。プロジェクトマネージャーを一言で表現すれば本工事の総監督・プロデューサーです。2017年後半は工事の最盛期であり、昼夜を問わず、24時間工事が行われ、工事関係者の合計が最大1,200人にも達しました。既設ビル改修工事では、2階の改修部分から水が漏れ、真下の1階のエアライン事務所の一部が水浸しになって、工事業者はもとよりコンサルタントも管理責任が問題となるなど、円滑な工事の実施のため、気の抜けない日々が続きました。地道な工事のコントロールのほかに、コンサルタントのプロジェクトマネージャーとして、要人への説明も大きな仕事の一つでした。主立った要人としては、2018年だけでも河野外務大臣(4月7日)、越川JICA副理事長(5月16日)、そして、8月9日に行われた引渡式では、出席された中根外務副大臣、ソムディー副首相兼財務相、ブンチャン公共事業運輸相に対して、工事の概要説明を行いました。各要人から工事の感想を聞け、感謝やねぎらいの言葉をかけていただいたのが何事にも代えがたいうれしさでした。今後も当社の更なる海外空港事業拡大に顧客の評価、社会の評価を上げることに寄与できるように展開していきたいと思います。 本事業の工事範囲(赤い点線が工事範囲 2014年)(写真提供:(株)安藤・間) 引渡式後の現場視察。ソムディー副首相兼財務相に説明する筆者(写真提供:(株)安藤・間) グローバル・スタンダードな国際空港を目指して Lao-Japan Airport Terminal Services Co.,Ltd(L-JATS) 副社長 林 甲士 ラオスの首都に位置するビエンチャン・ワッタイ国際空港の国際線旅客ターミナルを運営しているL-JATSは、ラオス政府と日本企業の合弁会社として1999年に設立され、約20年にわたり同ターミナルの運営を続けております。この事業は日本企業が取り組む初の海外空港ターミナル運営民営化プロジェクトであり、さらに2019年3月から2029年3月までの10年間の運営契約延長に基本合意しております。今回の空港拡張プロジェクトは年々増え続けている同空港の旅客の需要増加に対応するためのものであり、L-JATSとしてはラオスの首都空港として誇れる立派でかつ快適な国際空港にするためにも、今後ますますの施設の充実と旅客サービスの向上に努めて参りたいと思います。 具体的には、レストラン/カフェ/バーなどの飲食店、免税店/コンビニ/土産物店などの大規模なリニューアルや、ラウンジ新設、新たな駐車場整備によるターミナルビル前の混雑の緩和など、来年に向けて順次取り組んで参ります。近い将来に日本からの直行便が開設され、一日でも早くラオス観光の魅力を多くの日本の皆様に知っていただく機会が増えることを願ってやみません。 (イ)南西アジア 南西アジア地域は、東アジア地域と中東地域を結ぶ海上交通の要衝として戦略的に重要であるとともに、インドを始め大きな経済的潜在力を有する国があり、輸出先・投資先として日本企業の関心が高まっている。一方、同地域は、依然としてインフラの未整備や貧困などの課題を抱えており、日本は、日本企業の投資環境整備や「人間の安全保障」も念頭に、ODAを通じ、課題の克服に向けた様々な支援を行っている。 インドに関しては、2018年10月にモディ首相が訪日した際に、ムンバイ・アーメダバード間高速鉄道建設やインド北東部での橋梁(きょうりょう)建設等を含む計7件の円借款供与のための書簡の交換が行われた。また、モディ首相から日本のODAへの感謝が表明されるとともに、安倍総理大臣からは、主要な質の高いインフラ案件と能力開発を通じたものを含め、インドの社会産業開発のための取組を引き続き支援していく意図を表明した。 署名式・文書交換式(10月29日、首相官邸 写真提供:内閣広報室) バングラデシュに関しては、ミャンマー・ラカイン州北部からの短期間の大規模な避難民の流入により、避難民キャンプでの人道状況が悪化するとともに、周辺のホストコミュニティーの生活環境にも深刻な影響を及ぼしている。この状況を受けて、日本は、国際機関及びNGOを通じて、水・衛生、保健・医療、教育や環境保全といった分野における支援を実施した。その他、「ベンガル湾産業成長地帯(BIG-B)」構想の下、連結性強化や投資環境の改善等の協力を積極的に実施している。 スリランカに関しては、3月にシリセーナ大統領が訪日した際に、安倍総理大臣から、連結性強化や海洋分野での協力を強化し、港湾、運輸及びエネルギー等の分野で「質の高いインフラ」整備を通じてスリランカの発展を全力で支援していくとともに、スリランカの国民生活に根ざした支援を実施することを表明した。また、高度医療機材等の供与に係る円借款供与のための書簡の交換を行った。 (ウ)中央アジア・コーカサス 中央アジア・コーカサス地域は、ロシア、中国、南アジア、中東及び欧州に囲まれている地政学的に重要な地域であり、その安定と発展は、日本を含むユーラシア地域全体の安定と発展にとっても重要である。日本は、中央アジア・コーカサス地域の「開かれ、安定し、自立した」発展を支え、地域・国際の平和と安定に寄与する日本外交を掲げ、アフガニスタンやパキスタンなど近接地域を含む広域的な視点も踏まえつつ、この地域の長期的な安定と持続的発展のため、人権、民主主義、市場経済、法の支配といった基本的価値が根付くよう国造りを支援している。 また、河野外務大臣は、9月にコーカサス3か国(アルメニア、ジョージア、アゼルバイジャン)を訪問した際、日本がアジアと欧州をつなぐゲートウェイとして重要な役割を担うコーカサス地域の自立的な発展のための協力を進めたいとの考えの下、国造りのための人造り支援と、インフラ整備やビジネス環境整備を通じた魅力的なコーカサス造りの支援を柱とする「コーカサス・イニシアティブ」を発表した。 日・ジョージア外相会談(9月4日、ジョージア・トビリシ) (エ)中南米 中南米は、日本と長年にわたる友好関係を有し、約210万人の日系人が在住するなど、歴史的なつながりが深い。また、資源・食料の一大供給地域であると同時に、約5兆米ドルを超える域内総生産を有する有望な新興市場である。一方で、国内における所得格差や農村・山岳部の貧困などの問題を抱えている国が少なくないため、日本は、各国の特殊性も勘案した上で、様々な協力を行っている。例えば、ボリビアとの間では、道路舗装率8.5%の同国における物流改善のため8月に「オキナワ移住地」道路整備の無償資金協力の書簡の交換を行った。エクアドルとの間では、9月、米州開発銀行(IDB)との再生可能エネルギー及び省エネルギー分野向け協調融資(COREスキーム)により、国家送配電網の拡張・増強及び省エネルギー促進に係る法的・制度的枠組みの構築等を支援するためのドル建て借款に関する書簡の交換を行った。スリナムやセントビンセント及びグレナディーン諸島との間では、水産業の持続的な発展に寄与するための水産関連機材の無償供与の書簡の交換(10月)、パラグアイとの間では、保健医療サービス向上のための医療機材の無償供与の書簡の交換(12月)を行った。 また、中南米は、自然災害に対する脆弱(ぜいじゃく)性が高く、その克服のための取組が課題となっている。例えば、近年大規模なハリケーン被害に直面したキューバ及びハイチとの間では、ハリケーン被害からの復興・復旧及び同国の災害対策能力向上に寄与するべく、それぞれ2月及び10月に日本で製造された街路・公園等の整備関連機材の無償供与のための書簡の交換を行った。チリとの間では、防災分野等に関する三角協力に係る「日本・チリ・パートナーシップ・プログラム(JCPP)2030」に基づく、「KIZUNA(キズナ)」プロジェクト(「中南米防災人材育成拠点化支援プロジェクト」)を通じ、中南米域内の防災に資する人材育成を目指している(目標4,000人)。 「中南米防災人材育成拠点化支援プロジェクト」における 「都市救急救助技術」研修(チリ、写真提供:JICA) (オ)中東 地政学的要衝を占める中東・北アフリカ地域の平和と安定の確保は、日本のエネルギー安全保障のみならず世界の安定においても重要である。こうした観点から日本は、同地域の平和と安定に向け、2016年のG7伊勢志摩サミットの機会に表明した、中東安定化のための総額約60億米ドルの包括的支援を着実に実施している。 内戦の続くシリアに対し、河野外務大臣は、9月の国連総会の機会に、シリアの人道危機に対処するため、約1,000万米ドルの保健分野強化のための支援を発表したほか、12月には、国連開発計画(UNDP)を通じた人道的復旧のための支援を決定した。また、将来のシリア復興を担う人材を育成するため、2017年以降、シリア人留学生を57人日本に受け入れている。 多くのシリア難民を受け入れるヨルダンの安定を支援するため、2018年5月の安倍総理大臣のヨルダン訪問の機会に、難民の保健衛生環境改善支援及び廃棄物処理改善のための支援を表明し、11月のアブドッラー2世・ヨルダン国王訪日時には、同国の財政状況改善のための支援の実施に合意した。 日本は、パレスチナの経済・社会の自立化を目的とし、日本、イスラエル、パレスチナ、ヨルダンの四者協力による「平和と繁栄の回廊」構想の下、「ジェリコ農産加工団地(JAIP)」の発展に取り組んでおり、2018年4月に河野外務大臣の下開催された四者閣僚級会合では、和平の当事者からこのような取組に高い評価が示された。また、5月には安倍総理大臣もJAIPを訪問し、操業する企業の製品等を視察した(特集「日本のパレスチナ支援(JAIP・CEAPAD)」124ページ参照)。 中長期的な中東安定化のためには人材育成が不可欠であり、対中東政策の基本方針である「河野四箇条」においても、「人」への投資を掲げている。2018年2月には、エジプトにおいて日本式教育の導入を推進するための円借款の供与を決定した。9月以降、日本式教育が導入されたエジプト・日本学校が新規開校しており、このような協力は、10月のシュクリ・エジプト外相訪日時にも高く評価された。 エジプト・日本学校で学級会を開く児童たち (エジプト・カイロ 写真提供:JICA) 危機が続くイエメンに対しては、国際機関と連携して、食料援助等の人道支援を実施している。また、日本は、復興に取り組むアフガニスタンに対して、自立的な経済成長や貧困削減のための支援を実施しており、11月に開催された「アフガニスタンに関するジュネーブ閣僚級会合」には、佐藤外務副大臣が出席し、2018年も農業・灌漑(かんがい)支援や保健支援を実施したことを紹介しつつ、干ばつ被害に対処するため、新たに1,300万米ドルの緊急無償資金協力を決定したと発表した。 (カ)アフリカ アフリカは、2014年前後の資源価格急落による経済低迷からも徐々に回復し、豊富な天然資源と急増する人口を背景に、引き続き、潜在的市場として国際社会の注目と期待を集めている。日本が1993年から四半世紀にわたり取り組んでいるアフリカ開発会議(TICAD)プロセスは、日・アフリカ関係を一層強化するものであり、アフリカ諸国から高い評価を得ている。2016年8月のTICAD VIでは、①経済の多角化・産業化、②強靱(きょうじん)な保健システム促進及び③繁栄の共有に向けた社会の安定化の三つを優先分野として、官民総額300億ドルの未来への投資を発表し、支援の実施を進めている。 例えば、経済の多角化・産業化のための「質の高いインフラ」投資の観点から、日本は、TICAD VIで発表した三つの重点地域の一つである西アフリカ「成長の環」広域開発戦略のマスタープラン策定を支援し、2018年1月には、関係国やドナーを集めたセミナーをコートジボワールのアビジャンで開催した。さらに同地域に対する具体的な支援として、12月には、アクフォ=アド・ガーナ大統領訪日時にガーナの主要幹線道路改修のための支援に合意したほか、コートジボワールに対して、アビジャンの交通円滑化のための支援に合意した。このような西アフリカ「成長の環」に関する日本の支援については、11月のカボレ・ブルキナファソ大統領訪日時に発表された日・ブルキナファソ共同声明及び12月の日・ガーナ共同声明においても言及され、その重要性が認識されている。 人材育成の観点では、「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(ABEイニシアティブ)」を通じ、同イニシアティブを開始した2014年から2018年までに、JICAを通じて1,200人を超える研修生を日本に受け入れている。 強靱な保健システム促進の観点からは、2018年4月、ウガンダの地域中核病院改善のための支援を決定したほか、同年12月のルング・ザンビア大統領訪日時には、ザンビア大学獣医学部への支援で合意した。 社会安定化の観点からは、紛争やテロ等により難民や国内避難民が多数発生しているサヘル地域、南スーダン、ソマリア及び周辺国等に対する食料援助、治安対策機材の供与、国際機関と連携した支援を実施したほか、2018年12月には、UNDPと連携してギニアビサウの選挙支援を決定した。 2019年8月に横浜で開催予定のTICAD7に向けて、2018年10月には東京でTICAD閣僚会合が開催された。共同議長を務めた河野外務大臣は、債務持続可能性等の国際スタンダードに基づく援助の重要性を確認しつつ、アジアとアフリカをつなぐ「自由で開かれたインド太平洋」の実現のためにも、「質の高いインフラ」整備等を通じた連結性強化や、アフリカ連合(AU)の「アジェンダ2063」に示されたアフリカの経済構造転換を支援していくと述べた。 戦後最大の人道危機への対応 ~データ、ハイテク技術、開発協力の実績をいかした効率的・効果的支援~ 現在、世界の難民・国内避難民などの数は6,850万人と第二次世界大戦後最大規模となり、人道支援のニーズは増加の一途をたどっています。そうした中、日本は、データやハイテク技術を駆使した効率的な支援を推進しているほか、長年の開発協力の蓄積をいかし、受入れ地域の安定と発展にも貢献する支援を行っています。 難民支援もデータが重要! ニーズ調査に基づく効果的な難民及び受入国支援 国際協力機構(JICA)平和構築・復興支援室 特別嘱託 勝又俊宜 世界各地で難民・国内避難民などの数が急増する中、受入国・地域の負担を軽減するため、同地域における課題やニーズを調査、分析することが今まで以上に重要となっています。 その一例が、JICAのウガンダ北部難民受入地域におけるニーズ調査です。2000年代初めから北部地域に対する開発支援を実施してきたJICAは、大規模な南スーダン難民のウガンダへの流入状況(2018年末時点で、約80万人)を受けて、2017年7月にウガンダ北部地域における基礎情報収集・確認調査を開始しました。 ウガンダ北部ユンベ県の保健医療施設位置図。地域人口と施設所在地だけでなく、難民居住区情報を加えて、支援ニーズが高い施設を特定(写真提供:JICA) JICAは調査開始時から緊急人道支援のみならず、中長期的な開発の視点を含めた対応が必要と考えたことから、北部難民受入地域における社会インフラの現状を確認し、支援ニーズを調査しました。また、現地自治体や関係省庁とのつながりを活用し、各機関・地域に分散する難民と受入地域双方の状況・ニーズを包括的に収集、分析、統合し、地理情報システム(GIS)として地図データ化や具体的な支援案件の形成も実施しました。 難民と受入地域の両方を統合したデータはそれまでほとんどなく、JICAの調査結果や地図データは利用価値が高いものとして、現地政府や自治体、国際機関、NGOなどの多くの関係者に歓迎され、難民受入地域の現場関係者が連携・調整しながら同国を支える基礎情報として活用されています。また、日本としても今後様々な事業の展開を検討しています。日本は深刻な難民問題に対して、当事国だけの課題とせず、国際社会全体として取り組むよう支援しています。 ブロックチェーンが難民支援に ~人道支援の最前線での最先端技術の活用~ 国連世界食糧計画(WFP)日本事務所代表 焼家直絵 国連世界食糧計画(WFP)は、世界最大級の人道支援機関として、2017年には飢餓に苦しむ9,000万人の人々に対し80か国以上で、約70億米ドル規模の支援を実施しています。 紛争や気候変動の影響で世界の飢餓人口が増加する中、食料支援は、国際社会の安全保障にとって重要なものです。生命を救うための支援だけでなく、その国の未来を救うために、学校給食やコミュニティーの自立を促す生計・防災支援などを各国政府やNGO、また民間セクターと連携しながら実施しています。 さらには、より一層の支援の効率化を目指し、革新的な最先端技術を飢餓ゼロへ向けた取組に活用するための研究・開発施設をドイツ・ミュンヘンに設立。国連WFP職員のみならず、民間セクターから広くアイデアを募っています。 この仕組みを通じて国連WFPは、ブロックチェーン※を活用したキャッシュ支援プラットフォームを、ヨルダンの難民キャンプに導入しました。これによって、これまでの銀行取引にかかる経費を削減し、支援を受ける難民の食料購入データを安全で透明性の高い方法で管理することが可能となりました。この成功を基に、同技術の幅広い展開に加え、ITアプリを活用した小規模農家の市場アクセス支援、水耕栽培技術を活用した栄養価の高い農産物の研究・開発、AIとドローンを組み合わせた自然災害の早期モニタリングシステムを活用した支援の効率化に向けた取組を続けています。 ヨルダンの難民キャンプにてブロックチェーンを活用したキャッシュ支援プラットフォームを活用するシリア難民(写真提供:WFP@Shaza Moghraby) ※ インターネットなどオープンなネットワーク上で、高い信頼性が求められる重要データのやり取りなどを可能にする「分散型台帳(データベース)技術」。この技術を活用することで、コストのかかる第三者機関(仲介役)を介さずに偽装や改ざんを防ぐことが可能になる。 開発協力の蓄積が効果的な人道支援を可能に ~ミャンマーからの避難民に安全な水を~ 国際協力機構(JICA)バングラデシュ事務所 企画調査員 勝木龍一 2017年8月に起こったミャンマー・ラカイン州における情勢悪化を受け、バングラデシュのコックスバザール県南部に70万人以上の人々が流入し、以前からの避難民を含めるとその数は100万人以上に達しています。 避難民キャンプではこうした未曽有の流入で急激に高まった水需要を賄うため、数千本の浅井戸が無計画に掘削されました。その結果、井戸の枯渇、大腸菌汚染の蔓延(まんえん)などの問題が生じました。 この状況を改善するため、JICAは、日本政府が無償資金協力で供与した井戸掘削機を利用して、避難民が暮らすキャンプ地で深さ400メートルに及ぶ井戸掘削を行い、安全な水の確保に取り組みました。この深井戸から飲用に適した安全な水が安定的に産出されることも確認されました。 給水管網の整備は国際移住機関(IOM)及びバングラデシュの地方水資源開発を担う公衆衛生工学局が行っており、2019年4月頃までに約3万人の避難民に安全な水が供給される予定です。 バングラデシュの避難民キャンプにおける深井戸掘削(写真提供:JICA) 今回、迅速かつインパクトのある事業に着手できたのは、公衆衛生工学局に技術協力を行っているJICA専門家と同局職員による迅速な現地調査実施、避難民の受入れ・帰還を担当するバングラデシュ防災省に派遣されているJICA専門家による同国政府に対する掘削用地確保のための働きかけ、また、JICAと国際機関との継続的な情報交換などの連携によるものでした。 避難民問題の中長期化が予想される中、JICAは引き続き現地政府が避難民や受入れ地域に対して行っている取組を支援していきます。 (4)適正かつ効果的なODA実施のための取組 ア 適正なODA実施のための取組 ODAの実施では、各段階で外部の意見を聴取し、その意見を踏まえた形で案件を形成することにより、透明性の向上に努めている。ODA実施の事前調査の段階では、開発協力適正会議を公開の形で開催し、外部の有識者との間で検討を行った上で調査の要否を決定している。さらに、案件の実施後には、JICAは2億円以上の全ての案件について事後評価の結果をホームページ上で公表しており、10億円以上の案件については第三者による事後評価も行っている。また、外務省が実施する無償資金協力についても、2億円以上の案件については内部評価を実施の上、その結果を公表し、10億円以上の案件については第三者による評価を行う事後評価制度を2017年度から導入した。こうした事後評価で指摘された事項は、次のODAの案件形成にいかしていく。 イ 効果的なODA実施のための取組 ODAは、相手国のニーズや案件の規模に応じて、無償資金協力、有償資金協力及び技術協力という三つの枠組みにより実施されているが、限られた予算を効率的に活用し、高い開発効果を実現するため、外務省及びJICAは相手国のニーズを踏まえて、国ごとに協力の重点分野を設定し、各枠組みの垣根を超えてそれらの分野に資する案件を形成している。例えば、スリランカではモンスーンの影響で季節的に豪雨が発生し、山岳丘陵地域を中心に急傾斜地の崩壊や地すべり等の土砂災害を引き起こすことが大きな課題となっている。その解決に向けて、日本は、雨量観測能力向上のため、気象観測レーダーシステム整備を無償資金協力により支援するとともに、土砂災害リスクが高い主要国道への斜面対策工事実施を円借款により支援している。また、スリランカの土砂災害対策工事の設計・施工管理能力向上を技術協力により支援してきたほか、2018年3月の日・スリランカ首脳会談では、土砂災害に対する早期警戒体制の構築等、更なる土砂災害対策能力向上を技術協力により支援することを表明した。 ウ ODAの国際的議論に関する取組 日本はODAに関する国際的な議論に積極的に貢献している。OECD開発援助委員会(DAC)では、2014年のハイレベル会合での合意を踏まえ、有償資金協力のODA計上ルールの変更、平和維持・構築のための活動や移民・難民に係る費用のODA計上ルールの策定、民間資金の動員を促進するための取組等のODAの現代化に向けた取組が進められている。日本としてもODAが現代に合った形となるよう、またドナーの努力が的確に反映されるよう取り組んでいる。また、開発協力の効果向上を目的として各国政府のみならず市民社会や民間セクターなど様々な主体が参加する枠組みである「効果的な開発協力に関するグローバル・パートナーシップ(GPEDC)」においても、日本は2015年9月から運営委員を務めるとともに、質の高いインフラ投資や三角協力などの取組を発信している。 エ 開発協力情報公開の推進と質の向上に向けた取組 開発協力の実施に当たっては国民の理解と支持が不可欠であり、このため効果的な情報の発信と開発協力の質の向上を通じて国民の理解促進に努めている。東京のお台場で開催した日本最大級の国際協力イベント「グローバルフェスタJAPAN2018」(9月29日)や、大阪市で開催した「ワン・ワールド・フェスティバル」(2月)等、国民参加型イベントを通じた広報のほか、人気アニメ「秘密結社 鷹の爪」を起用したショートアニメ「鷹の爪団の 行け!ODAマン」を制作し、ASEAN地域の海上保安事業やケニアでの教育支援事業等、世界各地で行われている開発協力案件を分かりやすく紹介し、東京メトロのトレインチャンネルやBSテレビでの放映を通じて、幅広い層の人々に届くことを目指す広報を実施した。さらに、30周年を迎えた「草の根・人間の安全保障無償資金協力」の広報を担当する「草の根大使」としてお笑いコンビ・ペナルティを起用して広報活動を行った。また、引き続きODAホームページを通じた開発協力に関する情報発信にも取り組んでいる。 みんなでO・D・A! グローバルフェスタJAPAN2018(9月、東京) 「鷹の爪団の 行け! ODAマン」 草の根大使・ペナルティ(10月、東京 写真提供:吉本興業) さらに、開発協力大綱では海外広報にも積極的に取り組むとしたことを踏まえ、現地の報道機関による日本の開発協力の現場視察を企画し、現地の報道でも日本の協力が取り上げられる機会を作るよう努めるとともに、英語や現地語による広報資料の作成も行ってきている。 ODAの質を高めるためには、ODAの実施状況とその効果を確認・評価し、評価結果から得られた提言や教訓を次の政策立案や事業実施にいかしていく必要がある。外務省は、主に外部有識者による政策・プログラムレベルの評価を実施しており、その評価結果を関係者間で共有し、活用するとともに、国民への説明責任を果たすため、外務省ホームページ上で評価結果を公表している。また、JICAは、事業の透明性を高める観点から、JICA事業についてJICAホームページ上の「ODA 見える化サイト」で、案件の現状や成果などを公表している。同サイトには、2018年12月末時点で、合計4,322件の案件が掲載されている。 世界で役立つ日本のODAをもっと知ってほしい! 「鷹の爪団の 行け!ODAマン」 O 大いなる! D ダイナミックな! A アシスト!! Oオー Dディー Aエー!! オダではなくてODAオーディ─エー!! Official Development Assistance、政府開発援助です。信長は(おそらく直接的には)関係ありません。 国民の皆様にODAについてもっと知っていただくために、河野外務大臣は2018年9月、アニメ「秘密結社 鷹の爪」の主人公「吉田くん」を外務省の「ODAマン」に任命し、世界で役立つ日本のODAをギャグ満載でご紹介する動画「鷹の爪団の 行け!ODAマン」シリーズが誕生しました。 開発途上国の発展を主に現地で支援する日本のODAを、日本で知る機会はあまり多くありませんから、オダとは読まないまでも「ODAって耳にはするけどイマイチよく分からない…」と思っている方も多いようです。日本政府のお金、つまり税金で外国を助ける必要ってあるのかな? と思うこともあるかもしれません。 でも実は日本も、かつてはODAの助けを借りる側でした。今でも日本を支える重要なインフラである東海道新幹線や首都圏の高速道路、富山県の黒部ダムなどは、終戦後に海外からのODAで造られたものです。こうした支援も受けながら驚異的なスピードで復興を遂げた日本は、1954年にはODAで他の国を助ける側になり、世界の平和と安定に貢献するようになりました。 世界の国々が豊かになって、皆が健康でよりよい生活を送れるようになれば、世界はもっと平和になります。あらゆることは世界とつながっています。日本の平和と繁栄も、世界の平和と繁栄があって初めて可能になります。日本の支援に対する世界の期待に応えていくことは、日本の信頼性や存在感を高めることにもなります。ODAは、開発途上国のためであるのと同時に、日本のためでもあるのです! …と力説されても、すんなりと「Oおお! Dだったのか! Aあーそうか!」とはいかないものですよね。貴重な税金で行われているODA、その意味や目的、重要性をしっかり説明してご理解いただくために、「ODAマン」は生まれたのです。アジア諸国やケニアなど、世界中で行われている日本のODAを紹介する動画シリーズ「鷹の爪団の 行け!ODAマン」は、2018年9月から10月にかけて東京メトロのトレインチャンネルやBS放送で放映されたほか、LINEではマンガ版も配信されました。ほかにも、一日限定の「リアルODAマン」が着ぐるみでイベントに登場するなど、大活躍中です。 「ODAマン」はこれからも、ODAに対する国民の皆様の関心とご理解が深まるよう頑張ってまいりますので、応援をどうぞよろしくお願いします! 国際協力イベント「グローバルフェスタJAPAN2018」に登場したODAマンと、「秘密結社 鷹の爪」の原作者で声優のFROGMAN氏(9月29日、東京) 「鷹の爪団の 行け!ODAマン」の動画・マンガは外務省ホームページで公開中! 1 日本の国際協力については、『開発協力白書 日本の国際協力』参照 2 日本のODAの主な形態としては、二国間の資金贈与である無償資金協力、開発途上地域の開発のための貸付けである有償資金協力、技術協力、国際機関への拠出・出資等があるが、このうち一番大きな額を占めるのが有償資金協力である。有償資金協力による貸付けは通常、金利と共に返済が行われている。