第2章 地球儀を俯瞰する外交 3 南部アフリカ地域 (1)アンゴラ 2017年のロウレンソ大統領の就任以降、アンゴラ政府は、国際的信頼の回復、財政規律強化、金融システムの健全化等の経済改革を積極的に推進している。また、豊富な天然資源に依存したこれまでの経済構造から脱却すべく、経済の多角化・安定化に取り組んでいる。 2018年10月のTICAD閣僚会合にはアウグスト外相が出席し、河野外務大臣と日・アンゴラ外相会談を行った。 (2)ザンビア 豊富な鉱物資源を有するザンビアは、近年、鉱物依存のモノカルチャー(単一産品)経済から脱却するため、経済の多角化に取り組んでいる。7月には、堀井学外務大臣政務官を団長とするアフリカ貿易投資促進官民合同ミッションがザンビアを訪問したほか、10月のTICAD閣僚会合には、マランジ外相と河野外務大臣との間で外相会談が行われた。また、12月には、第2回日・ザンビア投資協定交渉を実施した。 さらに、12月には6年ぶりの二国間公式訪問が実現した。ルング大統領が実務訪問賓客として訪日し、ルング大統領の日本滞在中、日・ザンビア首脳会談が行われ、共同声明が発出されたほか、安倍総理大臣主催夕食会、河野外務大臣によるルング大統領表敬、日本・ザンビアビジネスフォーラム等の行事が行われた。今回の訪問を受け、これまで築き上げられた二国間関係の更なる深化が期待される。 日・ザンビア首脳会談(12月19日、東京 写真提供:内閣広報室) (3)ジンバブエ 1980年の独立以来実権を握ってきたムガベ大統領が2017年11月に辞任し、ムナンガグワ前副大統領が大統領に就任したジンバブエでは、7月、新政権発足後初の総選挙が実施された。選挙自体は比較的平和裏に実施されたが、選挙の数日後、野党支持者のデモに治安部隊が出動し、死傷者が生じる事態となった。 3月にモハディ副大統領の大統領特使としての訪日や、8月のムナンガグワ大統領就任式典への田中和德総理大臣特使(衆議院議員)の出席の機会をとらえ、日本はジンバブエにおける民主主義及び経済開発の推進の重要性を大統領を始め同国政府関係者に直接訴え続けている。ムナンガグワ大統領及び同政権による民主主義の促進及び経済改革の確実な実施が期待される。また、10月のTICAD閣僚会合にはコンバーバッハ外務国際貿易大臣補佐官が出席し、辻外務大臣政務官と会談を行った。 (4)南アフリカ 南アフリカは、アフリカで唯一のG20構成国であり、アフリカにおける経済大国として、また、ビジネス展開の拠点として、日本企業を含む外国企業から引き続き注目されている。2月には、ズマ前大統領が任期途中で辞任し、ラマポーザ副大統領が後任の大統領に就任した。 5月にヨハネスブルクで開催された日・アフリカ官民経済フォーラムにはラマポーザ大統領も出席し基調講演を行ったほか、9月には大統領特使率いる投資ミッションが訪日するなど、二国間経済関係は引き続き活発に推移した。 また2月には、安倍総理大臣とラマポーザ大統領との間で電話会談を実施したほか、5月のG20外相会合の際には、河野外務大臣とシスル国際関係・協力相との間で外相会談を行うなど良好な二国間関係の進展が確認された。 (5)モザンビーク モザンビークはナカラ回廊地域を中心に豊富な天然資源を有しており、民間セクターからの関心が引き続き高い。2018年8月に、マプト・ガス複合式火力発電所の竣工(しゅんこう)式が、また10月には、ナカラ港整備プロジェクトの起工式が実施されるなど、二国間を代表する政府開発援助(ODA)案件の記念式典が複数開催された。 また、モザンビークからの活発な要人訪問は継続しており、2月にはマカモ国民議会議長が訪日し、安倍総理大臣及び衆参両院議長との面談等が行われた。また、10月のTICAD閣僚会合の際にはパシェコ外務協力相が出席し、外相会談が行われた。 (6)ボツワナ ボツワナでは、カーマ前大統領の任期満了に伴い、4月、マシシ副大統領が大統領に就任した。マシシ大統領の就任式に新藤義孝総理大臣特使(衆議院議員)が出席し、2013年にアフリカで初めて地上デジタル放送日本方式(ISDB-T方式)を採用した国であるボツワナと日本との友好関係を再確認した。 中高所得国であるボツワナ政府は、ダイヤモンド依存型経済の脱却及び産業の多角化を重視する中、日本は、技術支援や人材交流等を通じて同国の取組を後押しするとともに、国連安保理改革等、国際場裏においても同国と連携を続けている。また、10月のTICAD閣僚会合にはダウ外務国際協力相が出席し、外相会談が行われた。