第2章 地球儀を俯瞰する外交 2 地域機構 中南米地域にはラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)やアジア中南米協力フォーラム(FEALAC)のほか、以下のような地域枠組みが存在し、様々な課題について政策調整を行っており、日本も連携強化に取り組んでいる。 (1)太平洋同盟 メキシコ、コロンビア、ペルー及びチリから成る太平洋同盟は、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド及びシンガポールとの間で包括的自由貿易協定の締結を目指しており、早期の妥結に向け交渉中である。7月の首脳会合では、韓国及びエクアドルから交渉参加への関心が表明された。 日本は、基本的価値を共有するグループとして、太平洋同盟との連携を重視しており、9月には、米国・ニューヨークにおいて河野外務大臣が日・太平洋同盟閣僚級会合を開催し、具体的な協力の在り方を検討することで一致した。 (2)南米南部共同市場(メルコスール:MERCOSUR) メルコスールは、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、ボリビア1及びベネズエラ2から成る関税同盟であり、1995年1月から域内関税は一部の品目を除き原則として撤廃されている。 日本は、2012年以来「日・メルコスール経済関係緊密化のための対話」を計4回開催しており、双方の貿易政策や経験等について意見交換を行っている。 (3)カリブ共同体(カリコム:CARICOM) カリコムは、カリブ地域の14か国による経済統合や外交政策の調整等を目的に設立され、国際場裏で協調行動を取ることで存在感を示している。カリコム諸国は比較的所得水準が高い国が多い一方で、毎年のようにハリケーンによる甚大な被害を受けるなど、自然災害の脅威にさらされているほか、人口・経済規模の小ささから生じる小島嶼(とうしょ)国特有の脆弱(ぜいじゃく)性を抱えている。 日本は、安倍総理大臣が2014年に表明した対カリコム協力の三本柱(小島嶼国特有の脆弱性克服を含む持続的発展に向けた協力、交流と友好の絆の拡大と深化、国際社会の諸課題の解決に向けた協力)に基づいた外交を実施しており、所得水準の高い国に対しても各国の開発ニーズや負担能力に応じて必要な協力を行っている。9月には、第6回日カリコム外相会合を開催したほか、8月の日・セントビンセント及びグレナディーン諸島首脳会談や11月の日・セントクリストファー・ネービス外相会談等の機会を捉え、カリコム諸国との関係を一層発展させていくことを確認した。 第6回 日・カリコム外相会談(9月24日、米国・ニューヨーク) 1 2012年12月加盟議定書に署名し、各国議会の批准待ち 2 2018年12月現在、加盟資格停止中