第3章 国益と世界全体の利益を増進する外交 4 軍縮・不拡散・原子力の平和的利用8 (1)核軍縮 日本は、唯一の戦争被爆国として、「核兵器のない世界」の実現に向け、国際社会の取組をリードしていく責務がある。 近年、北朝鮮の核・ミサイル開発を始めとする国際的な安全保障環境が悪化する中、核軍縮の進め方をめぐっては、核兵器国と非核兵器国の間でのみならず、核兵器の脅威にさらされている非核兵器国とそうでない非核兵器国の間でも立場の違いが顕在化している。このような厳しい状況の下、現実的に核軍縮を進めていくためには、非核兵器国のみならず、核兵器国の協力を得ながら、現実的かつ実践的な取組を粘り強く進めていく必要がある。 核軍縮における国際的な動向として、2017年に国連において核兵器禁止条約の交渉が行われ、7月7日に同条約が賛成多数で採択された(賛成122、反対1、棄権1)。同条約交渉には、核兵器国やNATO諸国等の同盟国等は参加せず、日本も交渉冒頭に出席して日本の立場を述べて以降、参加しなかった(特集「核兵器禁止条約と日本政府の考え」157ページ参照)。 日本は、「核兵器のない世界」の実現のため、後述する「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」の開催や国連総会への核兵器廃絶決議の提出、軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)の枠組みを通じ、核兵器国と非核兵器国の橋渡しの役割を果たし、核兵器不拡散条約(NPT)や包括的核実験禁止条約(CTBT)、核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)といった核兵器国も参加する現実的かつ実践的な取組を積み重ねていくことで、核軍縮に粘り強く取り組んでいく考えである。 ア 核兵器不拡散条約(NPT) 日本は、国際的な軍縮・不拡散体制の礎石であるNPTの維持・強化を重視している。条約の目的の実現及び規定の遵守を確保するために5年に1度開催される運用検討会議では、1970年の条約発効以来、その時々の国際情勢を反映した様々な議論が行われてきたが、2015年に開催されたNPT運用検討会議では、中東非大量破壊兵器地帯等の問題をめぐって議論が収斂(しゅうれん)せず、合意文書案を採択することなく終了した。こうした状況の中で、条約発効50周年となる2020年NPT運用検討会議に向けた取組の重要性が高まっている。 5月にウィーンにおいて開催された2020年NPT運用検討会議第1回準備委員会には、岸田外務大臣が出席し、核兵器国と非核兵器国の信頼関係の再構築の必要性を訴えるとともに、透明性、安全保障環境、被爆の実相の認識の「3つの向上」を提案し、日本の核廃絶に向けた道筋を表明した。 イ 核軍縮の実質的な進展のための賢人会議 5月、日本は、2020年NPT運用検討会議第1回準備委員会において「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」の設立を表明した。同会議は、座長を含む日本人有識者6人のほか、核兵器国、中道国、核兵器禁止条約推進国の外国人有識者10人の合計16人から構成され、11月に、広島で第1回会合を開催した。今後、2018年春の第2回会合を経て、核軍縮の進展に向けた具体的な提言を得て、その提言を同年4月の2020年NPT運用検討会議第2回準備委員会へインプットする考えである。 ウ 軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI) 2010年に日本とオーストラリアが主導して立ち上げた地域横断的な非核兵器国のグループであるNPDIは、メンバー国の外相自身による関与の下、現実的かつ実践的な提案を通じ、核兵器国と非核兵器国の橋渡しの役割を果たし、軍縮・不拡散分野での国際社会の取組を主導している。 2017年5月のNPT運用検討会議第1回準備委員会には、透明性に関する作業文書など合計6本の作業文書を提出し、具体的に議論に貢献した。また、9月には、河野外務大臣が、ニューヨークで第9回NPDI外相会合をドイツと共催した。NPDIとしての2020年NPT運用検討会議に向けた連携・協力を確認するとともに、北朝鮮の核実験・ミサイル発射等を強く非難する声明を発出した。 第9回軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)外相会合(9月21日、米国・ニューヨーク(ドイツ国連代表部)) エ 国連を通じた取組 (ア)核兵器廃絶決議 日本は、1994年以降毎年、その時々の核軍縮に関する課題を織り込みながら、全面的な核廃絶に向けた具体的かつ実践的な措置を盛り込んだ核兵器廃絶決議案を国連総会に提出してきている。2017年度の同決議案は、核軍縮を実質的に前進させるべく、全ての国々の信頼関係を再構築し、立場の異なる国の橋渡しを行い、国際社会が一致して取り組むための共通の基盤を提供することを目指した。その結果、同決議案は、12月の国連総会において、合計156か国の幅広い支持を得て採択された。核兵器国である米国及び前年の同決議を棄権した英国が共同提案国となり、フランスも賛成した。また、核兵器禁止条約に賛成した122か国中、95か国が賛成するなど幅広い国々の支持を得た。国連総会には、日本の核兵器廃絶決議案に加えて、ほかにも核軍縮を包括的に扱う決議案が提出されているが、日本の決議案はそれらの決議案と比較して最も賛成国数が多く、また、20年以上にわたって国際社会の立場の異なる国々から幅広く支持され続けてきている。 世界の核弾頭数の状況(2017年):総数 (イ)国連軍縮会議 国連軍縮会議は、国連が主催し、地方自治体及び外務省が協力する形で1989年からほぼ毎年日本で開催されてきており、2017年は、11月に第27回国連軍縮会議が広島で開催された。同会議には、中満泉国連軍縮担当上級代表等の国連関係者に加え、各国の政府高官、有識者、非政府組織(NGO)関係者、メディア関係者等、2国際機関及び12か国から60人が出席した。外務省を代表して岡本外務大臣政務官が開会セッションでスピーチを行い、本会議開催当日未明に北朝鮮が弾道ミサイルを発射するなど、現下の厳しい安全保障環境を踏まえつつ、核軍縮・不拡散に関する日本の取組と考え方について述べた。同会議では、被爆地である広島と長崎及び市民社会から「核兵器のない世界」の実現に向けた思いが発信されたほか、被爆の実相の次世代への継承のための軍縮・不拡散教育、核兵器禁止条約の採択を受けた核軍縮・不拡散の現状と今後の展望等のテーマが議論された。 大量破壊兵器、ミサイル及び通常兵器(関連物質などを含む。)の軍縮・不拡散体制の概要 オ 包括的核実験禁止条約(CTBT) 日本は、核兵器国と非核兵器国の双方が参加する現実的かつ実践的な核軍縮措置としてCTBTの早期発効を重視している。日本は、2015年9月から2017年9月までの2年間、カザフスタンと共に発効促進共同調整国として条約の早期発効に向けた取組を主導してきた。2017年3月には、核実験の国際監視制度(IMS)の検知能力強化のために包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)へ約2億9,000万円の任意拠出を行った。また、7月には、東京で、アジア・太平洋地域におけるCTBTの発効促進に関する地域会合を開催した。8月には、長崎で、河野外務大臣がゼルボCTBTO事務局長と会談を行い、CTBT早期発効に向け引き続き緊密に協力していくことを確認した。さらに、9月には、河野外務大臣がニューヨークで開催された第10回CTBT発効促進会議に出席し、北朝鮮による核実験について国際的な軍縮・不拡散体制に対する重大な挑戦であると非難するとともに、前共同調整国としてCTBT発効促進に向けた国際社会の努力を引き続き主導していく決意を述べた。 第10回包括的核実験禁止条約(CTBT)発効促進会議(9月20日、米国・ニューヨーク(国連本部)) カ 核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT:カットオフ条約)9 FMCTは、核兵器用の核分裂性物質(高濃縮ウラン、プルトニウム等)の生産そのものを禁止することにより、新たな核兵器国の出現を防ぐとともに、核兵器国による核兵器の生産を制限するものであることから、軍縮・不拡散双方の観点から大きな意義を有する。しかしながら、長年にわたりジュネーブ軍縮会議(CD)において交渉開始の合意に至っていない。こうした状況を受け、2016年12月には、第71回国連総会でFMCTハイレベル専門家準備グループの設置が決定され、2017年及び2018年に条約の実質的な要素についての勧告を検討・作成することとなった。2017年8月には、ジュネーブにおいて、同グループの第1回会合が開催され、日本からも専門家を派遣した。今後、同会合での議論を踏まえ、2018年に開催される第2回会合で報告書を作成し、同年の第73回国連総会に提出することとなっている。 キ 軍縮・不拡散教育 日本は、唯一の戦争被爆国として、軍縮・不拡散に関する教育を重視している。具体的には、被爆証言の多言語化、国連軍縮フェローシップ・プログラム10を通じた各国若手外交官の被爆地研修の実施、在外公館を通じた海外での原爆展の開催支援11、被爆体験証言を実施する被爆者に対する「非核特使」の名称付与等を通じ、被爆の実相を国内外に伝達するべく積極的に取り組んでいる。 被爆者の高齢化が進む中で、広島及び長崎の被爆の実相を世代や国境を越えて語り継いでいくことが重要となっている。こうした観点から、2013年から国内外の若い世代を「ユース非核特使」として委嘱してきている。2017年11月には、ユース非核特使の活動の活性化を図るとともに国内外のユース非核特使経験者のネットワークを強化するため、広島で第3回ユース非核特使フォーラムを開催し、日本及び海外のユース非核特使経験者等が参加した。 また、各種招へい事業を通じた広島・長崎招致にも取り組んでおり、2016年度は2,400人以上が広島及び長崎を訪問した。 核兵器禁止条約と日本政府の考え 1 概要・経緯 核兵器禁止条約は、核兵器の非人道性に関する議論を主導してきたメキシコ、オーストリアといった国や市民社会の取組を踏まえ、国連の下での2回の交渉会議(2017年3月及び同年6月及び7月)を経て、2017年7月7日に賛成多数で採択されました。 核兵器禁止条約交渉会議の様子 (7月7日、 米国・ニューヨーク 写真提供:毎日新聞社) 同条約は、2017年9月20日に署名のため開放され、今後、50か国の批准後90日で発効することになります。2018年2月28日現在56か国が署名、うち5か国が批准しています。 2017年12月10日には、核兵器禁止条約を推進した国際NGOの核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)にノーベル平和賞が授与されました。河野外務大臣は談話を発出し、これを契機として国際社会の核軍縮・不拡散に向けた認識や機運が高まることは喜ばしく、広島・長崎の被爆者の方々が長年にわたり被爆の実相を世界に伝える活動に取り組まれてきた努力に敬意を表するとともに、核兵器国もしっかり巻き込む形で核軍縮のための現実的かつ実践的な取組を粘り強く進めていく考えを示しました。 2 核兵器禁止条約における禁止の内容 核兵器禁止条約は、第1条において、(a)核兵器その他の核爆発装置(以下「核兵器」という。)の開発、実験、生産、製造、取得、保有又は貯蔵、(b)核兵器又はその管理の直接的・間接的な移転、(c)核兵器又はその管理の直接的・間接的な受領、(d)核兵器の使用又は使用の威嚇、(e)この条約が禁止する活動に対する援助、奨励又は勧誘、(f)この条約が禁止する活動に対する援助の求め又は受入れ、(g)自国の領域又は管轄・管理下にある場所への核兵器の配備、設置又は展開の容認等を禁止することについて規定しています。 3 日本政府の考え 日本は唯一の戦争被爆国であり、政府は、核兵器禁止条約が目指す核兵器廃絶という目標を共有しています。一方、北朝鮮の核・ミサイル開発は、日本及び国際社会の平和と安定に対するこれまでにない、重大かつ差し迫った脅威です。北朝鮮のように核兵器の使用をほのめかす相手に対しては通常兵器だけでは抑止を効かせることは困難であるため、日米同盟の下で核兵器を有する米国の抑止力を維持することが必要です。 核軍縮に取り組む上では、この人道と安全保障の二つの観点を考慮することが重要ですが、核兵器禁止条約では、安全保障の観点が踏まえられていません。核兵器を直ちに違法化する条約に参加すれば、米国による核抑止力の正当性を損ない、国民の生命・財産を危険に晒(さら)すことを容認することになりかねず、日本の安全保障にとっての問題を惹起(じゃっき)します。また、核兵器禁止条約は、現実に核兵器を保有する核兵器国のみならず、日本と同様に核の脅威に晒(さら)されている非核兵器国からも支持を得られておらず、核軍縮に取り組む国際社会に分断をもたらしている点も懸念されます。 日本政府としては、国民の生命と財産を守る責任を有する立場から、現実の安全保障上の脅威に適切に対処しながら、地道に、現実的な核軍縮を前進させる道筋を追求することが必要であり、核兵器保有国や核兵器禁止条約支持国を含む国際社会における橋渡し役を果たし、現実的かつ実践的な取組を粘り強く進めていく考えです。 (2)不拡散 ア 大量破壊兵器などの拡散防止の取組 日本は、不拡散体制の強化にも力を入れている。国際原子力機関(IAEA)については、指定理事国12としてその活動に人的・財政的貢献を行っており、2009年以降、IAEA事務局長を務めている天野之弥(ゆきや)氏が2017年の3月IAEA理事会において全会一致で再任(3期目)され、9月総会において承認された(任期は2017年12月から2021年11月末まで)。天野事務局長は、「平和と開発のための原子力(Atoms for Peace and Development)」を掲げ、保障措置の実施、イランの核問題に関する最終合意である「包括的作業計画(JCPOA)」13履行や北朝鮮の核問題への対応に加えて、原子力を利用した開発課題への対処にも力を入れてきた。天野事務局長のリーダーシップによるこれらの取組は、各国から高い評価を得ている。また、日本は、国際的な核不拡散体制の中核的な措置であるIAEAの保障措置について、より多くの国が追加議定書(AP)14を締結するよう、IAEAが主催する地域セミナーへの人的・財政的支援や、様々な協議の場を活用した各国への働きかけを進めている。4月にスーダン及びエチオピアにおいてAPの締結促進のためのナショナル・ワークショップを開催したほか、9月には日本原子力研究開発機構(JAEA)核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)のホストにより開催されたイランに対する保障措置実施に係るトレーニングコースを実施した。これらは核不拡散基金15を通じた資金支援を通じて実施したもので、東南アジア及び中東アフリカ地域におけるAP締結促進に貢献している。 日本は、核兵器、生物・化学兵器、ミサイル16及び通常兵器それぞれについて、兵器やその関連汎用品及び技術の供給能力を持ち適切な輸出管理を支持する国々による協調のための枠組みである輸出管理レジームに参加している。特に、原子力供給国グループ(NSG)については、在ウィーン国際機関日本政府代表部が事務局の役割を果たしている。 また、日本は拡散に対する安全保障構想(PSI)17の活動に積極的に参加しているほか、アジア不拡散協議(ASTOP)18やアジア輸出管理セミナー19を開催し、アジア諸国を中心に不拡散体制への理解促進と地域的取組の強化を図っている。さらに、中央アジアなどで大量破壊兵器やその運搬手段の研究開発に関与していた科学者などを国際科学技術センター(ISTC)を通じて平和的な目的の研究に従事させることにより、大量破壊兵器に関する知識・技能の拡散防止と国際的な科学協力にも貢献している。 非国家主体への大量破壊兵器及びその運搬手段(ミサイル)の拡散防止を目的として2004年に採択された国連安保理決議第1540号20の履行強化のために、日本は約100万米ドルを拠出した。同拠出金は主にアジア諸国の不拡散体制強化に関する取組の支援に活用される。 イ 地域の不拡散問題 北朝鮮の核・ミサイル開発は、国際社会の平和と安全に対する重大なかつ差し迫った脅威であり、核兵器不拡散条約(NPT)を中心とする国際的な核不拡散体制に対する重大な挑戦である。 北朝鮮は、2016年からの2年間で3回の核実験及び40発もの弾道ミサイルを発射した。国連安保理は、2016年3月に決議第2270号を、同年11月に決議第2321号をそれぞれ採択し、2017年も安保理決議第2356号、2371号、2375号及び2397号を採択したが、北朝鮮はその後も一連の安保理決議を遵守しておらず、非核化に向けた真剣な意思と具体的な行動を示していない。 2017年8月に発表されたIAEAの事務局長報告では、北朝鮮の核開発の状況について、IAEAが観察した期間を通して、寧辺(ヨンビョン)の5MWe黒鉛減速炉の運転について、水蒸気の排出及び冷却水の流出など運転の兆候を確認したと述べている。また、同報告書では、再処理施設であるとされる施設については運転の兆候は見られなかったものの、燃料加工施設内にあるとされる濃縮施設については使用したと見られる兆候があると述べている。また、報告書内では、北朝鮮の核問題に対応する新たなIAEA内のチームの立ち上げが発表され、関係国間で政治的合意が成され、IAEA理事会による承認と北朝鮮による要請があれば、IAEAは即時に北朝鮮に復帰する準備があると述べられた。 日本としては、引き続き米韓を含む関係国と緊密に連携しつつ、北朝鮮に対し、核・ミサイル計画の放棄に向けた措置を着実に実施するよう強く求めていく。また、各国が国連安保理決議で義務付けられた制裁を厳格かつ全面的に履行するため、アジア地域を中心とした輸出管理能力の構築も進めていく(2-2-1(1)参照)。 一方で、イランの核問題については、2015年7月に、EU3(英仏独及びEU)+3(米中露)とイランが、「包括的共同作業計画(JCPOA)」に合意した。JCPOAでは、イランの原子力活動に制約をかけつつ、それが平和的であることを確保した上で、イラン側の措置の実施に伴い、これまでに課された制裁が解除される手順が明記された。また、JCPOAを承認し、IAEAに必要な検証・監視活動を行うよう要請するなどの内容を含む国連安保理決議第2231号が採択された。 イランとIAEAは、イランの核問題に関する軍事的側面の可能性21について規定された「イランの核計画に関する過去及び現在の未解決の問題の解明のためのロードマップ」に基づいて検証作業を行い、2015年12月にIAEA事務局長による最終評価報告22が発出された。 さらに、2016年1月には、イランがJCPOAで約束した一部の措置を履行したことがIAEAにより検認された。これにより、国連安保理決議第2231号に基づき、過去の関連する国連安保理決議によって課された制裁の一部が終了した。イランの核活動やミサイルなどに関連する移転活動には引き続き制約が課されている。 日本は、JCPOAを支持し、その履行遵守の継続が重要であるとの立場の下、2015年10月の岸田外務大臣のイラン訪問時に、原子力安全やIAEA保障措置・透明性措置の分野で協力を行っていく意図を表明した。さらに、2016年12月7日の日・イラン外相会談に合わせ、核合意の継続的遵守の支援を目的として、IAEAを通じた原子力安全分野の協力のために55万ユーロ、保障措置分野の協力のために150万ユーロの支援を決定した。また、2017年9月25日から29日まで、イランに対する保障措置実施に係るトレーニングコースを日本で開催した(IAEAが主催、核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(JAEA/ISCN)がホストとなった。)。 シリアによるIAEA保障措置の履行については、シリア危機の影響もあって事態は進展していないが、シリアがIAEAに対して完全に協力し、事実関係が解明されるためにも同国が追加議定書を署名・批准し、これを実施することが重要である。 ウ 核セキュリティ 近年、核物質その他の放射性物質を使用したテロ活動を防止するための「核セキュリティ」についても、IAEAや国連、有志国による各種の取組を通じて国際協力が強化されてきている。2016年にワシントンDC(米国)で開催された核セキュリティ・サミットやIAEAの主催により開催された「核セキュリティに関する国際会議」によって高められた気運を維持するために、2017年6月に日本は「核テロ対策国際会議(核テロリズムに対抗するためのグローバル・イニシアティブ(GICNT)全体会合)」を東京で開催した。74か国及び4国際機関から約220人の政府高官らが参加した。日本からは、薗浦外務副大臣が基調講演を行い、日本政府は、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、日本とIAEAが核テロ対策において協力することで合意しており、大規模公共行事の核テロ対策を強化していくこと、また、人材育成を中心として国際社会の核セキュリティ強化に貢献していく考えを表明した。 2018年2月には、河野外務大臣及び天野IAEA事務局長の立会いの下、「東京2020年オリンピック・パラリンピック競技大会の機会における核セキュリティ措置の実施支援分野における日IAEA間の実施取決め」の署名が行われた。 (3)原子力の平和的利用 ア 多国間での取組 原子力の平和的利用は、核軍縮・不拡散と並んでNPTの三本柱の一つとされており、核軍縮・不拡散を進める国が平和的目的のために原子力の研究、生産及び利用を発展させることは「奪い得ない権利」であるとされている。 国際的なエネルギー需要の拡大や地球温暖化問題への対処の必要性などから、原子力発電23の拡充や新規導入を計画する国は多く、東京電力福島第一原子力発電所(福島第一原発)の事故後も、原子力発電は国際社会における重要なエネルギー源となっている。 一方、原子力発電に利用される核物質、機材及び技術は軍事転用が可能であり、また一国の事故が周辺諸国にも大きな影響を与え得る。したがって、原子力の平和的利用に当たっては、①保障措置、②原子力安全(原子力事故の防止に向けた安全性の確保など)及び③核セキュリティの「3S」24の確保が重要である。また、福島第一原発事故の当事国として、事故の経験と教訓を世界と共有し、国際的な原子力安全の向上に貢献していくことは、日本の責務である。この観点から、IAEAと協力し、2013年に福島県に「IAEA緊急時対応能力研修センター(IAEA・RANET・CBC)」を指定しており、2017年には、5月(2回)、7月、8月及び10月に、国内外の関係者を対象として、緊急事態の準備及び対応の分野での能力強化のための研修を実施した。 福島第一原発の廃炉・汚染水対策、除染・環境回復は着実に進展しているが、世界にも前例がない困難な作業の連続であり、世界の技術や叡智(えいち)を結集して取り組んでいる。IAEAとは事故直後から協力しており、2017年は、海洋モニタリング専門家の受入れ(10月)や除染に関する専門家会合(4月及び11月)を実施した。また、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)は、2014年に福島第一原発事故による放射線のレベル及び影響に関する報告書を公表して以来、福島県において同報告書についての説明を行っている(2017年は10月)。 また、国際社会の正しい理解と支援を得ながら事故対応と復興を進めるためには、適時適切な情報発信が必要である。この観点から、日本は、福島第一原発の廃炉作業・汚染水対策の進捗、空間線量や海洋中の放射能濃度のモニタリング結果、食品の安全といった事項について、IAEAを通じて包括的な報告を定期的に公表しているほか、外交団に対する説明会の開催や在外公館を通じた情報提供などを行っている。 原子力は、発電のみならず、保健・医療、食糧・農業、環境、工業適用等の分野でも活用されている。これら非発電分野での原子力の平和的利用の促進と開発課題への貢献は、開発途上国がNPT加盟国の大半を占める中で重要性が増してきている。IAEAも、天野事務局長が「平和と開発のための原子力(Atoms for Peace and Development)」を掲げて開発途上国への技術協力を重視している。 日本は、平和的利用イニシアティブ(PUI)等を通じてこれを積極的に支援しており、2015年4月、NPT運用検討会議で、日本はPUIに対し、5年間で総額2,500万米ドルの拠出を行うことを表明した。2017年には、PUIを通じ、開発途上国における感染症対策、自然災害対策等のプロジェクトに対して支援を行った。 イ 二国間原子力協定 二国間原子力協定は、原子力の平和的利用の推進と核不拡散の確保の観点から、原子炉のような原子力関連資機材等を移転するに当たり移転先の国からこれらの平和的利用などに関する法的な保証を取り付けるために締結するものである。 また、日本は、「3S」を重視する観点から、最近の原子力協定では、原子力安全面に関する規定も設けており、原子力安全に関する国際条約の遵守について相互に確認しているほか、同協定下での原子力安全分野の協力を促進することも可能となっている。 福島第一原発の事故後も引き続き諸外国から日本の原子力技術に対する期待が表明されている。相手国の事情や意向を踏まえつつ、日本が世界最高水準の安全性を有する原子力関連資機材・技術を提供していくことも可能である。また、二国間の原子力協力として、福島第一原発事故に関する経験と教訓を相手国と共有し、相手国の原子力安全の向上に協力していくことが求められている。原子力協定の枠組みを設けるかどうかは、核不拡散の観点、相手国の原子力政策、相手国の日本への信頼と期待、二国間関係などを総合的に勘案し、個別具体的に検討してきている。2017年末現在、カナダ、オーストラリア、中国、米国、フランス、英国、欧州原子力共同体(EURATOM)、カザフスタン、韓国、ベトナム、ヨルダン、ロシア、トルコ、アラブ首長国連邦及びインドとの間でそれぞれ原子力協定を締結している。 国際原子力機関(IAEA)総会の追加議定書サイドイベントに参加して 日本原子力研究開発機構 核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN) 副センター長 堀 雅人 国際原子力機関(IAEA)の「保障措置」や「追加議定書」を御存じでしょうか。 保障措置は、国際的に原子力の平和的利用が進み、核物質を保有している国が年々増えている中、これらの核物質が核兵器の製造に使われずに、平和利用に限って使われていることを検証するための重要な取組です。 また、湾岸戦争の後、保障措置を受けていたイラクによる秘密裏の核開発が公になったことを受け、IAEAにより多くの権限を与え、保障措置をより信頼性の高いものにするために作られたのが追加議定書です。 私は本年9月、第61回IAEA総会に合わせ、追加議定書の作成から20年が経過したことを受けて日本政府のリーダーシップの下、ウィーンで開催されたイベント「追加議定書20周年とその後」に出席しました。このイベントでは、IAEAや各国から、追加議定書作成の背景や現状についての報告があり、追加議定書の重要性が再認識されました。また、包括的保障措置協定が発効している174か国のうち、2017年5月現在、129か国において追加議定書を発効していますが、発効国を更に増やすための取組、課題についても議論が行われました。 追加議定書が発効すると、より多くの情報をIAEAに提供し、IAEA査察官によるアクセスを、原則的にいつでも、どこでも受け入れる義務が生じることから、国内法の整備、体制整備が必要となります。私の所属するISCNでは、2011年から、アジア地域を中心に各国の政府機関、原子力施設の関係者を対象に、これまでに28のコースで614人の受講生に対して保障措置、追加議定書に関連するトレーニングやセミナーを提供してきました。追加議定書発効に向けて、各国はリソースの不足、知識の不足、議会等のサポートの不足等の共通した課題を有しており、これらの課題についてトレーニングを通じて得られた知見として、このイベントで私から報告し、追加議定書の発効促進のための今後の取組の議論に貢献しました。 トレーニングの開講挨拶(筆者) 追加議定書の発効促進のためには、色々な場面での関係国への働きかけ、支援の提供が必要です。10月30日から釜山(韓国)で開催された、アジア・太平洋保障措置ネットワーク(APSN)会合には17の国と機関が参加し、保障措置の課題等について議論し、ベストプラクティスが共有されました。核不拡散強化のためには、こうした努力の継続が必要であり、ISCNとしても引き続き、外務省、文部科学省、IAEA等と協力して、追加議定書の発効促進等の課題に精力的に取り組んでいきたいと思っています。 保障措置トレーニング(11月29日) (4)生物兵器・化学兵器 ア 生物兵器 生物兵器禁止条約(BWC)25は、生物兵器の開発・生産・保有などを包括的に禁止する唯一の多国間の法的枠組みである。条約遵守の検証手段に関する規定がなく、条約をいかに強化するかが課題となっている。 2006年の第6回運用検討会議以降、履行支援ユニット(事務局機能)の設置や、年2回の会期間会合の開催などが決定され、BWCの実施強化に向けて取組が進んできた。 2016年11月に開催された第8回運用検討会議では、会期間活動に関する交渉が決裂し、締約国会合のみとなったが、2017年締約国会合では、国際協力、科学技術の進展レビュー、国内実施、防護支援及び条約の制度的強化について会合を行うことが合意された。 イ 化学兵器 化学兵器禁止条約(CWC)26は、化学兵器の開発・生産・貯蔵・使用などを包括的に禁止し、既存の化学兵器の全廃を定めている。条約の遵守を検証制度(申告と査察)によって確保しており、大量破壊兵器の軍縮・不拡散に関する国際約束としては画期的な条約である。CWCの実施機関として、ハーグ(オランダ)に化学兵器禁止機関(OPCW)が設置されている。OPCWは、シリアの化学兵器廃棄において、国連と共に重要な役割を果たし、2013年には、「化学兵器のない世界」を目指した広範な努力が評価されノーベル平和賞を受賞した。日本は、シリアの化学兵器廃棄に関するOPCWの活動に対して財政的支援を行った。また、化学産業が発達し、化学工場の数が多い日本は、OPCWの査察を数多く受け入れている。そのほか、加盟国を増やすための施策、条約の実効性を高めるための締約国による条約の国内実施措置の強化など、OPCWに対して具体的な協力を積極的に行っている。 また、日本は、CWCに基づき、中国に遺棄された旧日本軍の化学兵器について、中国と協力しつつ、1日も早い廃棄の完了を目指している。 (5)通常兵器 ア クラスター弾27 日本は、クラスター弾がもたらす人道上の問題を深刻に受け止め、被害者支援や不発弾処理といった対策を実施するとともに、クラスター弾に関する条約(CCM)28の締約国を拡大する取組を継続している。また、ラオスやレバノンなどのクラスター弾の被害国に対し、不発弾処理や被害者支援事業の協力を行っている29。 イ 対人地雷 2017年は、対人地雷禁止条約(オタワ条約)30が成立して20周年に当たる。日本はこれまで、対人地雷の実効的な禁止と被害国への地雷対策支援の強化を中心とした包括的な取組を推進してきた。アジア太平洋地域各国へのオタワ条約締結の働きかけに加え、1998年以降、51か国・地域に対して約710億円を超える地雷対策支援(地雷除去、被害者支援等)を実施している。 2017年12月には、オーストリアでオタワ条約第16回締約国会議が開催され、日本からはこれまでの日本のオタワ条約の普遍化や地雷対策支援の取組及び実績を振り返るとともに、対人地雷のない世界を目指し今後とも積極的な役割を果たすとの姿勢を表明した。 ウ 武器貿易条約(ATT)31 通常兵器の国際貿易を規制するための国際的な共通基準を確立し、不正な取引等を防止することを目的としたATTは、2014年12月24日に発効した。日本は、条約の検討を開始する国連総会決議の原共同提案国の1か国として、国連における議論及び交渉を主導し、条約の発効後は締約国会議等での議論に積極的に貢献してきた。2018年8月、第4回締約国会議を議長国として日本で開催することとしている。 エ 特定通常兵器使用禁止・制限条約(CCW)32 過度に傷害を与える又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用を禁止又は制限するもので、手続事項等を定めた枠組条約及び個別の通常兵器等について規制する5つの附属議定書から構成される。枠組条約は1983年に発効した。日本は、枠組条約及び改正議定書Ⅱを含む議定書ⅠからⅣを締結している。近年のロボットの軍事利用の増加を背景にした国際社会の懸念に対応するため、2017年11月、自律型致死兵器システム(LAWS)に関する初の政府専門家会合が開催された。 オ 小型武器 事実上の大量破壊兵器とも称される小型武器は、その操作の手軽さゆえに、拡散が続いており、紛争の長期化や激化、治安回復や復興開発の阻害などの問題の一因となっている。日本は、1995年以来、毎年、国連小型武器決議を国連総会へ提出しコンセンサスで採択されてきている。また、世界各地において武器回収、廃棄、研修などの小型武器対策プロジェクトを支援している。 8 より詳細な日本の核軍縮・不拡散分野の政策については2016年発行の「日本の軍縮・不拡散外交(第7版)」を参照 9 核兵器その他の核爆発装置製造のための原料となる核分裂性物質(高濃縮ウラン及びプルトニウムなど)の生産を禁止することにより、核兵器の数量増加を止めることを目的とする条約構想 10 1983年以来、軍縮専門家を育成するために国連が実施。同プログラムの参加者を広島・長崎に招待しており、各資料館の視察のほか、被爆者による被爆体験講話等を通じ、被爆の実相への理解促進に取り組んでいる。 11 広島市や長崎市との協力の下、ニューヨーク(米国)、ジュネーブ(スイス)及びウィーン(オーストリア)で常設原爆展が開設されている。また、2017年には、ブダペスト(ハンガリー)及びハノイ(ベトナム)等においても「ヒロシマ・ナガサキ原爆展」が実施された。 12 IAEA理事会で指定される13か国。日本を始めG7などの原子力先進国が指定されている。 13 包括的共同作業計画(JCPOA) イランの原子力活動に制約をかけつつ、それが平和的であることを確保し、また、これまでに課された制裁を解除していく手順を詳細に明記したもの 〈イラン側の主な措置〉 ●濃縮ウラン活動に係る制約  ・稼動遠心分離機を5,060機に限定  ・ウラン濃縮の上限は3.67%、貯蔵濃縮ウランは300㎏に限定等 ●アラク重水炉、再処理に係る制約  ・アラク重水炉は兵器級プルトニウムを製造しないよう再設計・改修し、使用済燃料は国外へ搬出  ・研究目的を含め再処理は行わず、再処理施設も建設しないなど 14 包括的保障措置協定等に追加して、各国がIAEAとの間で締結する議定書。追加議定書の締結により、IAEAに申告すべき原子力活動情報の範囲が拡大され、未申告の原子力核物質・原子力活動がないことを確認するためのより強化された権限をIAEAに与えるもの。2017年9月現在、129か国が締結 15 国際的な核不拡散体制の強化を目的として、我が国がIAEAに対して単独で拠出している特別拠出金。IAEAとの間の取決めに基づき2001年に設置 16 弾道ミサイルに関しては、輸出管理体制のほかにも、その開発・配備の自制などを原則とする「弾道ミサイルの拡散に立ち向かうためのハーグ行動規範」(HCOC)があり、139か国が参加している。 17 大量破壊兵器などの拡散阻止のため各国が国際法・各国国内法の範囲内で共同して取り得る措置を実施・検討するための取組で、2003年5月に発足。2016年12月現在、105か国がPSIの活動に参加・協力している。日本は、PSI海上阻止訓練を2004年及び2007年の2度主催し、2010年11月に東京においてオペレーション専門家会合(OEG)を主催したほか、2012年7月には日本で行うものとしては初のPSI航空阻止訓練を主催した。また、他国が主催する訓練及び関連会合にも積極的に参加しており、2013年5月にポーランドで開催されたPSI創設10周年を記念するハイレベル政治会合や、2016年1月に米国で開催された政治会合(高級事務レベル)に出席するとともに、直近では2017年8月にシンガポールで開催されたOEGや、同年9月に開催されたオーストラリア主催PSI海上阻止訓練「Pacific Protector 17」に参加した。 18 日本が主催し、ASEAN10か国、中国、韓国、インド、米国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド及びフランスが参加して、アジアにおける不拡散体制の強化に関する諸問題について議論を行う多国間協議。最近では2018年1月に開催された。 19 日本が主催し、アジア諸国・地域の輸出管理当局関係者などが参加して、アジア地域における輸出管理強化に向けて意見・情報交換をするセミナー。1993年から毎年東京で開催している。最近では2018年2~3月に開催し、約30か国・地域等が参加した。 20 2004年4月採択。全ての国に対し、①大量破壊兵器等の開発等を試みるテロリスト等への支援の自制、②テロリスト等による大量破壊兵器等の開発等を禁ずる法律の制定及び③大量破壊兵器等の拡散を防止する国内管理(防護措置、国境管理、輸出管理等)の実施を義務付けるとともに、国連安保理の下に国連安保理理事国から構成される「1540委員会」(決議第1540号の履行状況の検討と国連安保理への報告が任務)を設置 21 軍事的側面の可能性(PMD) 2011年11月、IAEAは、イランの核活動に関し、核爆弾開発の兆候について、起爆装置の開発等を含む12項目から成る「軍事的側面の可能性」を事務局長報告として指摘。以降、本件はイランとIAEAとの協議における重要な論点として扱われてきた。 22 イランの核問題の軍事的側面の可能性(PMD)に関するIAEA事務局長の最終評価報告(要旨) 結論として以下の3点について言及 (1)「イランの核計画に関する過去及び現在の未解決の問題の解明のためのロードマップ」で行うことになっていた活動は、全てスケジュールどおりに終了した。 (2)IAEAは、2003年末までにイランで、核爆発装置の開発に関連する活動が組織的に行われ、一部の活動については2004年以降も行われたと評価。同時に、IAEAは、これらの活動は実現可能性・科学的研究並びに一定の関連する技術的知見及び能力の獲得以上に進展しなかったと評価。また、2010年以降に核爆発装置の開発に関連する活動が行われたとする信頼性のある根拠を有していない。 (3)IAEAは、イランの核計画に関する軍事的側面の可能性に関し、核物質の転用についての信頼性のある根拠を何ら発見していない。 23 IAEAによると、2017年12月現在、原子炉は世界中で448基が稼働中であり、59基が建設中(IAEAホームページ) 24 核不拡散の代表的な措置であるIAEAの保障措置(Safeguards)、原子力安全(Safety)及び核セキュリティ(Security)の頭文字を取って「3S」と称されている。 25 1975年3月発効。締約国数は179か国(2017年12月現在) 26 1997年4月発効。締約国数は192か国(2017年12月現在) 27 一般的には、多量の子弾を入れた大型の容器が空中で開かれて子弾が広範囲に散布される仕組みの爆弾及び砲弾のことをいう。不発弾となる確率が高いともいわれ、不慮の爆発によって一般市民を死傷させることなどが問題となっている。 28 クラスター弾の使用・所持・製造などを禁止するとともに、貯蔵クラスター弾の廃棄、汚染地域におけるクラスター弾の除去などを義務付ける条約で、2010年8月に発効した。2017年12月現在の締約国数は、日本を含め102か国・地域 29 クラスター弾対策及び対人地雷対策に関する国際協力の具体的な取組については、開発協力白書を参照 30 対人地雷の使用・生産などを禁止するとともに、貯蔵地雷の廃棄、埋設地雷の除去などを義務付ける条約で、1999年3月に発効した。2017年12月現在の締約国数は、日本を含め164か国・地域 31 武器貿易条約(ATT)の2017年12月現在の締約国は94か国・地域。日本は、署名が開放された日に署名を行い、2014年5月、アジア太平洋で最初の締約国となった。 32 特定通常兵器使用禁止・制限条約(CCW)の2017年12月現在の締約国は125か国・地域