第2章 地球儀を俯瞰する外交 3 中部アフリカ地域 (1)ガボン 1960年の独立以来、内戦や紛争を経験していないガボンでは、41年間大統領を務めたオマール・ボンゴ前大統領の逝去後、2009年8月に大統領選挙が平和裏に行われ、前大統領子息のアリ・ボンゴ現大統領が当選した(2016年に再選)。石油を始めとする天然資源に依存する経済構造の改革が喫緊の課題であり、産業の多角化を図るとともに一次産品の現地加工を通じて付加価値を高める努力が進められている。 (2)カメルーン 1982年以降、ビヤ大統領の下で安定政権が続いていたカメルーンでは、2016年、ナイジェリアと国境を接する英語圏の北西州と南西州で不満が高まり、一般市民もデモに参加するなどして次第に衝突が先鋭化、連邦制の復活や英語圏の独立を求める政治運動に発展した。ビヤ大統領は治安部隊への攻撃をテロリスト集団によるものと非難、あらゆる措置を採るとの姿勢を示している。 (3)コンゴ共和国 1960年にフランスから独立したコンゴ共和国では、輸出の8割を石油関係に依存している。そのため、原油価格下落により経済が低迷しており、経済の多角化が課題となっている。2015年に公布された新憲法の下で2016年3月に大統領選挙が実施され、サス・ンゲソ大統領が3選を果たして以降、国内情勢は安定的に推移している。反政府武装勢力はプール県内に拠点を置いて活動していたが、12月に主要反政府勢力であるントゥミ牧師派が和平合意に署名した。同派は民兵「ニンジャ」の武装解除に協力し、プール県内における国家権力の回復を妨害しないと約束したことが発表され、同県内の情勢は安定に向かっている。 (4)コンゴ民主共和国 1960年にベルギーから独立したコンゴ民主共和国は、コバルト等の世界有数の天然資源産出国である。1998年に勃発した紛争後の停戦監視等のため、翌年設立された国連ミッションは、2010年に国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)に名称を変更し、同国の復興及び東部地域での反政府勢力への対応に当たっている。 カビラ大統領の2期目の任期は、2016年12月に満了したものの、選挙が行われず同大統領が職にとどまったため緊張が高まった。2017年中に選挙を実施するための準備が進められていたが、投票日は2018年12月23日に延期された。 (5)赤道ギニア アフリカにおいて唯一スペイン語を公用語とする赤道ギニアは、90年代初頭までは農業(カカオ及び木材)に依存する最貧国の一つであったが、ンゲマ大統領による39年間の長期政権の下、1992年より原油生産を開始し、現在ではサブサハラ・アフリカ屈指の産油国に成長している。急速な経済成長を受け、道路網や公共建築物等の経済インフラの整備が進む一方、教育、医療、保健等の社会インフラや貧富の格差の是正が慢性的な課題となっている。 赤道ギニアは、2018年1月から2年間、国連安保理非常任理事国を務める。