第2章 地球儀を俯瞰する外交 2 南部アフリカ地域 (1)アンゴラ アンゴラはエネルギー・鉱物資源が豊富な資源国で、2002年の内戦終結後、高い経済成長を遂げてきた。近年の一次産品価格の下落により、経済が停滞していることから、アンゴラ政府は産業の多角化を重視している。 8月に実施された総選挙では、38年ぶりとなる大統領交代が平和裏に行われた。9月に開催されたロウレンソ新大統領の就任式典には、佐藤外務副大臣が総理大臣特使として出席し、ロウレンソ大統領との間で日・アンゴラ関係の更なる強化に向けた協力を確認した。 (2)ザンビア 1964年の独立以来政治的安定を維持しているザンビアは、近隣諸国の和平への仲介、難民受入れ等、地域の平和と安定に積極的に貢献している。6月に武井外務大臣政務官がザンビアを訪問し、カラバ外相との会談において、二国間投資協定の交渉開始を確認し、12月には、日・ザンビア投資協定第1回会合が開催された。 (3)ジンバブエ ジンバブエでは、2000年以降の政治・経済情勢の混乱等を受けて、経済が低迷しているが、高い識字率、豊富な鉱物資源、農業、ヴィクトリアの滝を始めとする観光資源などの高い潜在性を有している。11月、軍の介入を契機として、1980年の独立以来実権を握ってきたムガベ大統領が辞任し、憲法に基づき、ムナンガグワ前副大統領が大統領に就任した。新政権の下での民主主義及び経済改革の進展が望まれる。 (4)ナミビア ナミビアは、豊富な海洋・鉱物資源を有しており、南部アフリカ地域の大西洋側の物流ハブとして、資源開発やエネルギー分野における貿易・投資の拡大が期待されている。6月には武井外務大臣政務官がナミビアを訪問し、クーゴンゲルワ=アマディーラ首相及びムシェレンガ国際関係・協力副大臣との間で会談を行い、経済協力を始めとする二国間関係の一層の強化を確認した。 (5)マラウイ マラウイは、1964年の独立以来、安定した内政を維持している。労働人口の約8割が農業に従事し、農産品が全輸出の8割を占める。外貨獲得手段の確保のため、国内の付加価値産業の育成が課題である。青年海外協力隊の派遣累計数が1,780人以上と世界最多であるほか、一村一品運動をアフリカで初めて展開するなど、日本との草の根交流は深い。 (6)南アフリカ共和国 南アフリカ共和国は、アフリカで唯一のG20メンバー国でありアフリカにおける経済大国として、またビジネス展開の拠点として、日本企業を含む外国企業から引き続き注目されている。12月の与党アフリカ民族会議(ANC)党大会では、10年間総裁を務めてきたズマ大統領に代わり、2015年に訪日したラマポーザ副総裁が新総裁に選出された。 8月のTICAD閣僚会合の際に、河野外務大臣がズマ大統領を表敬し、ヌコアナ=マシャバネ国際関係協力相との間で会談も行った。 河野外務大臣のズマ南アフリカ共和国大統領表敬(8月25日、モザンビーク・マプト) (7)モザンビーク インド洋に面し、アジア、中東、欧州等と南部アフリカを結ぶ天然の良港を有するモザンビークは、「自由で開かれたインド太平洋戦略」上の重要国である。豊富な天然資源を背景に、日本の民間企業の関心及び投資意欲も高い。 日・モザンビーク首脳会談後の署名式に立ち会う両首脳(3月15日、東京 写真提供:内閣広報室) 2017年は日・モザンビーク外交関係樹立40周年であり、要人往来が活発であった。3月には、ニュシ大統領夫妻が訪日し、首脳会談が行われたほか、バロイ外務協力相と岸田外務大臣との間でも会談が行われ、両国関係の一層の発展が確認された。また、8月にはTICAD閣僚会合がモザンビークで開催され、その機会に河野外務大臣はニュシ大統領を表敬し、また、バロイ外務協力相との間で会談を行った。 (8)ボツワナ 独立以来安定した政情の下、ボツワナは、世界第2位の産出量を誇るダイヤモンドを基幹産業とし、中高所得国として発展を遂げている。政府は、ダイヤモンド依存経済からの脱却を目指し、産業の多角化と貧困撲滅に力を入れている。また、2013年にアフリカで初めて、地上デジタル放送日本方式(ISDB-T方式)を採用した。 1月にマシシ副大統領が訪日し、萩生田官房副長官、あかま二郎総務副大臣ほかの日本政府関係者と会談を行った。