第2章 地球儀を俯瞰する外交 第7節 サブサハラ・アフリカ 総論 サブサハラ・アフリカは、49の多様な国々に約10億人の人口を擁し、高い潜在性を持つ市場と豊富な天然資源により、国際社会の関心を集めている。こうした背景もあり、国際社会における合意形成にサブサハラ・アフリカ諸国が及ぼす影響力は拡大している。 その一方で、サブサハラ・アフリカでは、政情不安や深刻な格差・貧困といった以前からの課題が残るほか、近年は新たに保健システムの脆弱(ぜいじゃく)性や暴力的過激主義の台頭等の課題も顕在化している。また、新興国経済の減速や資源価格の下落の影響で、経済成長は一時に比べ減速している。これらの課題は、国境を越えて影響を及ぼすことから、サブサハラ・アフリカ諸国がこうした困難を克服し、安定的な成長を遂げることは、アフリカのみならず日本を含む国際社会全体の平和と安定にとっても重要である。 日本が主導して8月にナイロビ(ケニア)で開催された第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)では、@経済の多角化・産業化、A強靱(きょうじん)な保健システムの促進及びB社会安定化促進を優先分野とし、アフリカ諸国及び国際社会と共にこれらの課題に取り組んだ。TICAD VIにおいて、安倍総理大臣は、TICAD VIの優先分野を踏まえた日本としての取組を発表するとともに、「自由で開かれたインド太平洋戦略」(特集「自由で開かれたインド太平洋戦略」15ページ参照)を打ち出し、自由で開かれたインド太平洋を介してアジアとアフリカの連結性を向上させ、地域全体の安定と繁栄を促進するとともに、アフリカ諸国に対し、開発面に加えて政治・ガバナンス面でも、押し付けや介入ではなく、オーナーシップを尊重した国造り支援を行うという日本の対アフリカ政策の方針を発表した。 日本は、TICADで打ち出した取組も踏まえ、様々な側面からアフリカとの関係強化に取り組んでいる。平和と安定の分野では、南スーダンにおける国連平和維持活動(PKO)への要員派遣、アフリカ各国のPKO訓練センターや国連主催のPKO要員の訓練コースへの支援を通じた能力強化等を引き続き行った。 経済面では、TICAD VIに向けて官民一体となった取組を進める観点から、2015年10月から2016年7月にかけて全4回のTICAD VI官民円卓会議を実施した。また、3月には木原外務副大臣を団長とするアフリカ貿易・投資促進官民合同ミッションをコートジボワールに派遣した。さらに、内閣官房副長官の下に設置されたアフリカ経済戦略会議において、西アフリカ「成長の環」、東アフリカ・北部回廊及びナカラ回廊の三大重点地域における総合広域開発を始めとする具体的施策について、政府一丸となって検討を行った。 アフリカ連合(AU)及び地域経済共同体(RECs)との協力強化にも引き続き取り組んだ。さらに、米・英・仏・インドなどの第三国とは、TICAD VIの機会やアフリカに関する二国間政策協議などを通じて対アフリカ政策における協力を強化した。 アフリカ地域経済共同体(RECs)