平成29年版外交青書(外交青書2017)巻頭言 2016年は、日本外交にとって大変重要で、責任の大きい1年でした。G7議長国として伊勢志摩サミット(5月)や広島外相会合(4月)を主催し、8月には初のアフリカ開催となる第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)をケニアで開催しました。また、5年ぶりに国連安保理非常任理事国となり、北朝鮮問題を始めとする世界の平和と安定に係る様々な議論に積極的に貢献しました。 日米関係では、5月にオバマ大統領が現職の米国大統領として初めて被爆地・広島を訪問したことは、「核兵器のない世界」に向けた国際的機運を再び盛り上げる歴史的な機会となり、それと同時に、戦後70余年の間築き上げられてきた日米同盟、「希望の同盟」の強さを象徴するものになりました。さらに、12月の安倍総理大臣のハワイ真珠湾訪問では、日米の和解の力を国際社会に示すことができました。 また、近隣諸国との関係でも、ロシアとの平和条約の締結に向けた重要な一歩となる12月のプーチン大統領の訪日など重要な動きがありました。 平成29年版外交青書(外交青書2017)では、第1章で日本を取り巻く国際情勢と日本外交の展開について概観し、第2章では地球儀を俯瞰(ふかん)する外交、第3章で国益と世界全体の利益を増進する外交について、それぞれ2016年の重要な出来事を説明しています。また、第4章「国民と共にある外交」では世界とのつながりを深める日本社会と日本人を後押しするための外務省の支援、外交実施体制の強化、海外における日本人の安全確保の取組等について説明しています。読者の皆様の理解促進のお役に立てるよう、図表や地図による解説を活用するとともに、外交をより身近に感じていただくため、テーマごとの「特集」や外交の現場からの声を伝える「コラム」を多く掲載しました。 日本として力強い外交を展開していくためには国民の皆様の御理解と御協力が不可欠です。この外交青書が最新の日本外交、国際情勢等について、皆様の理解を深める一助となるとともに、世界の平和と繁栄のためにグローバルな課題にもしっかりと汗をかく日本の「正しい姿」を発信する機会となることを心から期待します。 外務大臣