第2章 地球儀を俯瞰する外交 第2節 北米 総論 〈米国〉 日米両国は、基本的価値及び戦略的利益を共有する同盟国である。日米同盟は、日本の外交・安全保障の基軸であり、アジア太平洋地域のみならず世界の安定と繁栄にも大きな役割を果たしている。日本は、米国のアジア太平洋重視政策(リバランス)を地域の安定と繁栄に資するものとして歓迎しており、両国は秩序形成に主体的役割を果たすべく緊密に協力していく。 4月に、9年ぶりとなる安倍総理大臣の米国公式訪問が実施された。この訪問に際して、日米両首脳は「日米共同ビジョン声明」、「核兵器不拡散条約(NPT)に関する日米共同声明」及び「より繁栄し安定した世界のための日米協力に関するファクトシート」を発出し、日米同盟がアジア太平洋地域や世界の平和と繁栄の確保に、引き続き主導的な役割を果たしていくことで一致した。また、日本の総理大臣として初めて連邦議会上下両院合同会議での演説を行い、21世紀において、基本的価値を共有する日米両国が、その強い絆を生かして、世界の平和と繁栄を創り上げていくビジョンが示された。 日米首脳会談におけるオバマ大統領と安倍総理大臣(4月28日、米国・ワシントンDC 写真提供:内閣広報室) 2015年には、安倍総理大臣の訪米に加え、アジア太平洋経済協力(APEC)(於:フィリピン)における日米首脳会談、2度にわたる日米外相会談(4月の外相会談、8月の外相会談)、日米安全保障協議委員会「2+2」など、日米要人間で緊密な意思疎通が行われた。また、日米が主導して交渉を推進した環太平洋パートナーシップ(TPP)協定が2016年2月に署名に至ったことは、日米同盟を一層強化することとなった。こうした機会を通じ、日米両国は、アジア太平洋地域での協力とともに、気候変動、感染症対策といった地球規模の課題への対応においても緊密に協力し、国際社会の喫緊の課題に日米が連携して対処する姿を強く印象付けた。 〈カナダ〉 日本とカナダは、基本的価値を共有するアジア太平洋地域におけるパートナーであると同時に、共にG7のメンバーであり、政治、経済、安全保障、文化など幅広い分野で密接に協力している。 11月に、安倍総理大臣はトルドー首相と日・カナダ首脳会談を実施し、安全保障分野やTPP協定、カナダからの対日液化天然ガス(LNG)輸出計画、科学技術分野を含む二国間関係や東アジア情勢、気候変動問題について意見交換を行った。また、同じく11月に岸田外務大臣はディオン外相と日・カナダ外相会談を実施し、G7会合や核軍縮、地域と国際社会の平和と安定及び繁栄、TPP協定、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)、法の支配といった分野での協力を確認した。また、2016年2月、岸田外務大臣は、カナダを訪問し、ディオン外相と会談を行い、G7及びアジア太平洋地域の課題等について、国際社会を共にリードしていくことを確認した。