平成28年版外交青書(外交青書2016)の刊行に当たって 2015年は、戦後70年の節目の年に当たり、戦後の日本の平和国家としての歩みを振り返るとともに、国際社会の平和と繁栄に一層貢献していく決意を新たにする年となりました。4月には、天皇皇后両陛下が、先の大戦により亡くなられた人々を慰霊し平和を祈念するため、パラオ共和国を御訪問になり、8月には終戦70年に当たっての内閣総理大臣談話が発表されました。 日米関係については、4月に、新たな日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)の発表、安倍総理大臣の米国連邦議会上下両院合同会議での演説、日米地位協定の環境補足協定の締結など、日米同盟の更なる強化に向け具体的成果を積み重ねました。また、日米がリードしたTPP協定が10月に大筋合意されたことは、日本経済の成長を後押しするための重要な動きであったと考えています。 近隣諸国との関係では、2015年には、日中韓外相会議・サミットの開催、日韓首脳会談の開催、慰安婦問題に関する日韓外相間での歴史的な合意など大きな進展がありました。 2015年には平和安全法制が成立しました。厳しさを増す安全保障環境の中で、万が一の備えとして国民の命と平和な暮らしを守るとともに、地域の平和と安定及び繁栄に一層貢献していくためものであることを、引き続き、丁寧に説明してまいります。 平成28年版外交青書(外交青書2016)では、第1章で2015年の国際情勢と日本外交の展開について概観し、第2章では地球儀を俯瞰する外交、第3章で国益と世界全体の利益を増進する外交について、それぞれ2015年の重要な出来事を説明します。また、第4章「国民と共にある外交」では、世界とのつながりを深める日本社会と日本人とそれを後押しする外務省の支援、外交実施体制の強化、海外における日本人の安全確保の取組等について説明します。読者の皆様の理解促進に資するよう、図表や地図による解説を活用するとともに、外交をより身近に感じていただくため、テーマごとの「特集」や外交の現場からの声を伝える「コラム」を多く掲載しました。 力強い外交を展開するためには、国民の皆様の御理解と御協力が不可欠です。この外交青書が、最新の日本外交、国際情勢等について、皆様の理解を深める一助となるとともに、世界の平和と繁栄のために積極的に貢献する日本の「正しい姿」を広く発信する機会となることを心から期待いたします。 外務大臣