第4章 国民と共にある外交 3 海外移住者や日系人との協力 日本人の海外移住の歴史は2014年で146年となる。北米・中南米を中心として、全世界に約319万人(推定)以上ともいわれる海外移住者や日系人が在住している。移住者や日系人は、政治、経済、教育、文化を始めとする各分野において各国の発展に寄与するとともに、日本と各在住国との「架け橋」として各国との関係緊密化に大きく貢献している。 安倍総理大臣は2014年7月から8月にかけて中南米諸国(メキシコ、トリニダード・トバゴ、コロンビア、チリ及びブラジル)を訪問し、日系人と積極的に交流した。外務省は国際協力機構(JICA)と共に、約178万人(推定)の日系人が在住している中南米諸国において、移住者の高齢化に対応する福祉支援、日系人を対象とした日本国内への研修員受入れ、現地日系人社会へのボランティア派遣などの協力を行っている。安倍総理大臣はブラジル訪問時に、日系社会次世代育成研修員数及び日系社会ボランティア派遣数の大幅増員など、日本と中南米の日系社会との関係を強化するための様々な施策を講じていく意向を表明した。 全国メキシコ日系人大会に出席する岸外務副大臣 (5月2日、メキシコ・シナロア州) また、北米や中南米においては、各国・地域の様々な分野で指導的立場にいる日系人を日本に招へいするプログラムが実施されている。これらの地域では、例えば日系人指導者と在外公館長との間で二国間関係強化の方法を話し合う会合を開催したり、日本からの要人訪問の機会に日系人との接点を積極的に設けるといった取組を通じて、日系人との関係強化を図っている。 10月、東京において、23の国・地域から約140人の移住者や日系人の代表者を迎え、公益財団法人海外日系人協会の主催による第55回海外日系人大会が盛大に開催された。歓迎交流会には皇太子殿下が御臨席になられたのを始め、中山外務副大臣、関係各省の大臣政務官を含む多数の政府関係者が同大会に出席し、移住者や日系人との交流を深めた。 今後も移住者や日系人に対する支援を行うとともに、若い世代との協力を推し進め、これらの人々と日本の間の絆を強めていく考えである。