第4章 国民と共にある外交 3 地方自治体などとの連携 近年、地方自治体や地域で活躍する各種団体は、伝統的な国際交流(姉妹・友好都市交流)のみならず、経済交流(輸出振興、観光誘致)、国際協力など、様々な取組を積極的に行っている。国際的な相互理解、国際社会における日本の地位向上、日本のブランド力強化などの面で、地方の力は外交上重要な役割を果たしている。 外務省としても、オールジャパンでの総合的な外交力強化のため、国際的取組を進める地方自治体などとの連携を強化する各種取組を積極的に実施している。 地方自治体が日本の地方の魅力を発信し、地場産業や地域経済の発展を図るための支援策として、在外公館施設を活用した「地方の魅力発信プロジェクト」を実施している。2014年には、各地方自治体がアジア、北米、欧州地域で10件の地域の物産や観光などの各種PR事業やセミナーなどを開催した。 福岡県PR事業(7月18日、在タイ日本大使公邸) 沖縄県PR事業(9月4日、在米国日本大使公邸) また、各地方自治体と連携して日本の地方の魅力を日本に駐在する各国の外交団に対して発信する「地域の魅力発信セミナー」事業を行っている。2014年には「企業・投資誘致」、「観光」などをテーマとするセミナーを外務省にて3回開催したほか、地方視察ツアー(千葉県、茨城県、千葉市及び和歌山県高野町)を4回実施した。 地方視察ツアー(千葉市) 地方視察ツアー(和歌山県高野町) 2月には、木原外務大臣政務官主催の「復興支援意見交換会(レセプション)」を開催し、被災三県副知事及び県議会議長ほかの出席を得て、食の安全に関する科学的データや県産品などを用いつつ、被災地の正確な情報の発信を行った。さらに、地方自治体の国際的取組支援の観点から、6月に「全国市長会議に際する外務大臣主催レセプション」を開催した。自治体ブース展示、ステージパフォーマンスによる地方の魅力紹介など、駐日外交団とのネットワーク構築や地方に対する諸外国の理解増進に努めている。 復興支援意見交換会(2月4日) 全国市長会議に際する外務大臣主催レセプション(6月4日) 日本の大使や総領事が一時帰国などの機会に地方自治体などを訪問し、外国の最新情報の提供や在外公館と地方自治体との協力などについて協議を行っている。また、国際交流に関する情報の提供も積極的に行っており、2月に東京で「地方連携フォーラム」、10月に大阪で「地方連携関西シンポジウム」を開催した。 地方連携フォーラム(2月10日) 関西シンポジウム(10月2日) 「地方連携フォーラム」では、第1部で「外交政策説明」、第2部では4つのテーマ(「農作物等特産品の輸出促進」、「ASEANからの観光客誘致」、「文化交流の推進」や「日本企業の海外展開支援」)毎に分科会を実施し、自治体職員が外部有識者、関係省庁や外務省職員と意見交換を行った。 「地方連携関西シンポジウム」では、「経済連携と関西経済圏〜関西経済の活性化への期待〜」をテーマとし、経済連携協定交渉の見通し、外務省の中小企業支援の事例などについて活発な議論を行った。さらに、外務省ホームページ内のグローカル外交ネットやメールマガジンの発信により、外務省と地方自治体が連携して実施する各種施策、地方自治体の国際交流、経済交流などの国際的活動について様々な情報を広く提供している。 地方の活性化は内閣の最重要課題であり、政府一丸となって取り組むため、外務省においても、「外務省まち・ひと・しごと創生対策本部」を設置した。同対策本部では、内閣官房の「まち・ひと・しごと創生本部」と連携して、地方創生に関係する外務省の取組について情報を省内横断的に集約・総括し、地方との更なる連携を推進している。