第2章 地球儀を俯瞰する外交 2 サブサハラ・アフリカ地域情勢 (1)東部アフリカ地域 東部アフリカ地域 ア 南スーダン 南スーダンでは、与党スーダン人民解放運動(SPLM)内の派閥抗争が激化し、2013年12月15日、首都ジュバにおいて大統領警護隊同士で衝突が発生した。政府側(キール大統領派)と反政府勢力側(マシャール前副大統領派)が対立する構造の下、衝突は地方へと拡散した。2014年1月、東アフリカの地域経済共同体である政府間開発機構(IGAD)は、南スーダン安定化に向けた調停協議の仲介を開始した。以降、同調停協議において当事者は敵対行為の停止や国家統一暫定政府の設立に合意したが、未だ完全な履行には至っていない。12月時点で、国内避難民・難民数は約191万人に上る。 2014年5月、日本は、第1回TICAD V閣僚会合の機会に、「南スーダン情勢に関する関係国会合」を開催した。南スーダン及び周辺4か国(エチオピア、ケニア、ウガンダ、スーダン)の閣僚と共に、事態解決に向けた連携を確認した。 南スーダン情勢に関する関係国会合に出席する岸田外務大臣(5月4日、カメルーン・ヤウンデ) イ ジブチ ジブチは、ヨーロッパから地中海、スエズ運河、紅海を経由し、インド洋、アジアを結ぶ重要な海上交通路の要衝に位置している。2014年5月には、アル・シャバーブによるテロ事案がジブチ市内で発生したものの、ジブチ政府の迅速な対応もあり、同国は引き続き安定した情勢を維持しており、ソマリア情勢を始めとする不安定要素の多い「アフリカの角」地域にあって、安全保障上の拠点として重要である。 日本は、ソマリア沖・アデン湾に2009年から海賊対処部隊を派遣し、同海域における海賊等事案の発生件数の減少に大きく貢献している。2013年の日・ジブチ両国首脳の相互往来に続き、2014年も両国の要人往来が実現するなど、二国間関係の更なる深化が図られた。 エリトリアのアスマラで市内視察をする城内外務副大臣(9月16日、エリトリア・アスマラ) ウ ケニア ケニアでは、2013年に発足したケニヤッタ大統領とルト副大統領のジュビリー連合政権による安定した政権運営が行われ、2010年の新憲法の柱である地方分権化に向けた大胆な改革も進められている。なお、12月には、国際刑事裁判所(ICC)において2007年の総選挙後の暴動に関して行われていたケニヤッタ大統領の訴追が取り下げられた。 ケニアは、日本にとってサブサハラ・アフリカ地域で最大のODAパートナーである。東部アフリカ地域の政治的・経済的けん引役であるケニアとの関係を様々な面で強化しており、日・ケニア投資協定の締結に向けた交渉も継続中である。 エ ソマリア ソマリアでは、内戦からの再建に向けた取組が進められており、国際社会は、ニューヨークやデンマークでの閣僚級会合を通じ、2016年の総選挙に向けた政治プロセスや国内の治安改善に向けた支援の実施を確認した。イスラム過激派組織のアル・シャバーブの活動は継続しており、その脅威はケニアを含む周辺諸国に及んでいるものの、ソマリア国軍とアフリカ連合ソマリア・ミッション(AMISOM)により、安定化に向けた取組が進んでいる。 日本は、3月にハッサン大統領を招へいし、安倍総理大臣から、約4,000万米ドルの追加支援パッケージ、二国間の草の根・人間の安全保障無償資金協力の再開、人材育成支援の強化を含め、ソマリア国民一人ひとりに裨益(ひえき)する支援を着実に実施するというメッセージを伝達した。 日・ソマリア首脳会談においてハッサン・ソマリア大統領と握手する安倍総理大臣(3月13日、東京 写真提供:内閣広報室) オ エチオピア エチオピアでは、2010年に開始した5か年国家開発計画の下で経済構造改革と工業化が順調に進展している。国連アフリカ経済委員会報告書によると、2008年から2013年の5年間でアフリカ54か国中第1位の実質経済成長率を実現した。 日・エチオピア関係では、2014年1月の安倍総理大臣のエチオピア訪問後、8月にアフリカ貿易・投資促進官民合同ミッションが同国を訪問するなど、経済関係の深化に向けた取組が進められた。また、10月には、アバデュラ人民代表議会議長一行や、1964年東京オリンピック男子マラソン金メダリストの故アベベ・ビキラ選手の家族が来日するなど、様々なレベルでの交流が行われた。 カ タンザニア タンザニアは2014年に連合共和国樹立50周年を迎えた。同国は、安定した政治と経済成長、東部アフリカの玄関口の1つとしての地理的重要性などから、近年、有力な貿易・投資先として日本を含む諸外国の注目を集めている。 日・タンザニア関係では、1月に三ツ矢外務副大臣が訪問し、5月にビラール副大統領が訪日され、7月に秋篠宮同妃両殿下が御訪問になり、友好協力関係の一層の増進が図られた。また、8月にはアフリカ貿易・投資促進合同ミッションがタンザニアを訪問し、さらに12月に日・タンザニア投資協定交渉第1回会合が開催されるなど、貿易・投資関係強化に向けた取組も進展した。 (2)南部アフリカ地域 南部アフリカ地域 ア 南アフリカ 南アフリカでは、2014年5月の総選挙で与党アフリカ民族会議(ANC)が勝利し、第2次ズマ政権が発足した。近年は経済成長が鈍化傾向にあるものの、サブサハラ・アフリカにおける経済大国として、多くの外国企業から、投資先として、またサブサハラ地域へのビジネス展開の拠点として引き続き注目されている。 11月にオーストラリアで開催されたG20首脳会合の機会に、安倍総理大臣とズマ大統領が会談し、戦略的協力関係強化、国際場裏の課題への協働を確認した。ズマ大統領からは、インフラ、エネルギー分野への支援や日本企業の参加に対する期待が表明された。 日・南アフリカ首脳会談におけるズマ南アフリカ大統領と安倍総理大臣(11月14日、オーストラリア・ブリスベン 写真提供:内閣広報室) イ モザンビーク モザンビークは、豊富な天然資源を背景に、近年高い経済成長を遂げている。2014年10月には総選挙が実施され、与党フレリモ党が勝利し、同党のニュシ候補が大統領に当選した。 1月に安倍総理大臣が同国を訪問した際、両国首脳による共同声明でハイレベル政策対話及び官民合同対話の枠組の設置が表明された。これに基づき、7月に三ツ矢外務副大臣が、首都マプトにおいて第1回目となる対話を実施した。同対話を通じ、二国間関係を維持・強化するとともに、日本からはモザンビークのビジネス環境整備や更なる投資促進円滑化に向けた働きかけを行った。また、8月にはサブサハラ・アフリカ諸国との間で初めてとなる日・モザンビーク投資協定が発効した。 ウ ザンビア ザンビアでは、主要輸出品である銅の価格の回復により年6%台の経済成長を維持し、現在は産業構造の多角化及び外国投資の誘致を最優先の経済政策として掲げている。内政も独立以降概ね安定し、2014年に独立50周年を迎えた。 ザンビアには6月に秋篠宮同妃両殿下が御訪問になり、両国間の友好協力関係の増進が図られた。また、10月には中根外務大臣政務官が独立50周年式典出席のため訪問し、貿易・投資の促進に向けた取組も行われた。さらに、日本政府は、サタ大統領の逝去に伴い2015年1月に実施された大統領補欠選挙に対し、選挙支援のための緊急無償資金協力を実施した(約64万米ドル)。 エ マダガスカル マダガスカルでは、2009年に生じた政変後、政情不安が続いていたが、2013年末に民主的な大統領選挙が実施され、2014年1月にラジャオナリマンピアニナ新大統領が選出された。 日本は、同国の民主化を後押しするため、大統領選挙実施のための資金支援や選挙監視を実施した。また、2014年1月に実施された大統領就任式に、石原宏高外務大臣政務官が特派大使として出席し、新大統領との会談において、引き続き両国間の関係を強化して行くことを確認した。その後、日本は、2009年政変以降中断していた新規二国間経済協力を4月に再開した。 オ ナミビア ナミビアは、豊富な海洋・鉱物資源や南部アフリカ地域の大西洋側の物流の玄関口となり得る地理的条件を有している。これを背景に、特に資源開発やエネルギー分野での貿易・投資の拡大が見込まれている。11月には総選挙が実施され、与党「南西アフリカ人民機構」のガインゴブ首相が当選し、独立以来の一党優位体制を一層強固にした。 7月に三ツ矢外務副大臣が訪問し、インフラ整備や人材育成に対する協力などを通じて、ナミビアの発展を積極的に支援していくことを伝達した。 また、日本企業支援や邦人保護などの観点から、2015年1月に在ナミビア日本国大使館を開設した。 (3)中部アフリカ地域 中部アフリカ地域 ア 中央アフリカ 中央アフリカでは、2013年に武力で政権を奪取したジョトディア暫定大統領が2014年1月に辞任し、首都バンギのサンバ・パンザ市長が暫定国民評議会にて後任に選任された。7月には、イスラム系武装勢力連合セレカとキリスト教自警団アンチ・バラカが停戦合意し、9月からは、国連中央アフリカ多面的統合安定化ミッション(MINUSCA)が展開している。今後、2015年8月までに大統領選挙などが実施される予定であるが、停戦違反や各勢力の内部衝突が頻発するなど、情勢は依然流動的であり、人道状況も改善していない。 日本は、国連諸機関やアフリカ連合(AU)などを通じ、同国の安定化や人道状況改善に向けた支援を行っている(2014年には約1,000万米ドルの支援実施)。 イ サントメ・プリンシペ サントメ・プリンシペでは、2014年10月12日に国民議会選挙、地方議会選挙及びプリンシペ島自治州選挙が平和裏に実施された。 日本は、同選挙にあたり、民主主義の強化に向けた協力の一環として、同国政府の要請を受け、選挙監視要員(在ポルトガル大使館書記官)を派遣した。 (4)西部アフリカ地域 西部アフリカ地域 ア サヘル地域 「サヘル」とはサハラ砂漠の南に位置する広範囲な地域のことで、一般にセネガル、モーリタニア、マリ、ニジェール、ブルキナファソ、チャド、ナイジェリア、カメルーンが位置する地域を指す。北アフリカとサブサハラ・アフリカの結節点となっている同地域では、干ばつなどの自然災害に加え、貧困などの不安定要素、テロや麻薬・武器などの違法取引の脅威が深刻化している。 マリでは、2013年の新政権成立以降、2014年も引き続き国際社会の支援を得ながら、テロとの闘いや国内における南北和平交渉が進められている。また、ブルキナファソでは、大統領の3選を可能にするための憲法改正への動きに対する国民の反発が暴動に発展し、11月に、27年続いたコンパオレ政権が終焉(しゅうえん)を迎え、暫定政権成立の下、新たな民主的な政権発足に向けたプロセスが進行中である。ナイジェリアでは、同国北東部を中心にイスラム過激派組織「ボコ・ハラム」によるとみられるテロ行為が多発している。なお、日本は、モーリタニアとの友好関係を重視し、また、漁業分野を中心とする日本との緊密な協力関係を踏まえ、2014年8月に実施された大統領就任式に北村誠吾衆議院議員を特派大使として派遣した。 日本は2013年のTICAD Vで打ち出したサヘル地域の平和と安定、開発・人道支援などを着実に実施している。2014年11月には同地域を専門とする海外・国内のパネリストの参加を得て、「サヘル地域に関する日・アフリカ貿易・投資フォーラム」(於:東京)を開催した。同フォーラムには、日本企業関係者など約130人が参加し、同地域の治安情勢や今後のビジネス展開にかかる議論が交わされた。 サヘル地域に関する日・アフリカ貿易・投資フォーラム(11月12日、東京) イ その他 (1)ギニアビサウ 独立以来度重なる騒擾(そうじょう)を経験したギニアビサウでは、2012年、大統領選挙中に一部軍人によって有力候補が拘束される事案が発生した。その後、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)などの仲介により暫定政権が成立していたが、2014年4月から5月にかけて大統領選挙が実施され、ヴァス大統領が選出された。 日本は、大統領選挙が有権者の過半数を大きく上回る国民の参加の下で平和裏に行われたことを歓迎するとともに、8月、2012年の事案を受けて中断していた同国に対する新規の二国間経済協力の再開を決定した。 (2)エボラ出血熱の流行 西アフリカのギニアで2014年3月に感染が確認されたエボラ出血熱は、5月にシエラレオネ、6月にリベリアに感染が拡大し、その後7月にナイジェリア、8月にセネガル、9月に米国、10月にはマリ及びスペイン、12月には英国でも感染が確認された。同年12月31日時点で、ギニア、リベリア、シエラレオネの3か国で感染者数は2万171人、死者数は7,890人を数える。 8月8日には世界保健機関(WHO)が「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態」を宣言し、9月18日には国連安全保障理事会が更なる支援を提供するよう要請する決議第2177号を全会一致で採択するなど、エボラ出血熱の流行は国際社会の重要な関心事となった。 日本政府は、渡航者、在留邦人への情報提供や注意喚起を行うとともに、流行国を中心に、流行の拡大阻止や治療のみならず、予防や保健システムの再構築といった視点から、幅広い支援を切れ目なく実施している(詳細については134ページの特集参照)。 西アフリカにおけるエボラ出血熱の流行 エボラ出血熱の流行 〜国際社会の平和と繁栄への脅威に対する日本の対応〜 〈エボラ出血熱の流行〜国際社会の平和と繁栄に対する脅威〜〉 2014年、エボラ出血熱はギニア、リベリア、シエラレオネの3か国を中心に多数の命を奪い、そのかつてない規模の流行は、ナイジェリア、セネガル、マリといった周辺国への感染拡大や、治療に当たっていた医療従事者への二次感染の発生(スペイン、英国、米国)といった問題を引き起こし、国際社会における主要な人道的、経済的、政治的な課題となりました。 3か国での感染が急増する中、世界保健機関(WHO)は8月、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。9月18日には、感染症に関するものとしては3例目となる国連安保理決議(第2177号)が採択され、日本も共同提案国となりました。同決議では、「エボラ出血熱の流行の影響は、国際の平和と安全に対する脅威を構成する」と記されています。さらに、 11月のAPECやG20といった各国首脳が集まる重要な機会においても、国際社会は流行の終息に向けて行動する決意を繰り返し表明しました。 また、エボラ出血熱の流行によるアフリカへの深刻な経済的影響も懸念されました。IMFは9月、流行国の主要産業である農業、サービス業、鉱業が打撃を受けているとして、経済成長率の低下を予想しました。世界銀行が10月に発表した報告書では、封じ込めに失敗し流行が拡大すれば、2015年末までに約326億米ドルの経済的損失が生じると推計されました。さらに、いわゆる「風評被害」による人の往来や交易の縮小に加え、折からの原油価格の低下などもあいまって、21世紀に入ってから高い経済成長を遂げてきたアフリカは、経済面でも大きな試練に直面しました。 〈日本の対応〉 このようなエボラ出血熱の流行に対し、日本は世界の平和と繁栄にこれまで以上に積極的に貢献する「積極的平和主義」の立場から、流行に対応する国際社会の中で主要な役割を担ってきています。 (1)支援 〜流行の終息から保健システムの再構築へ〜 日本は、2014年4月にギニアに対していち早く緊急援助を実施して以降、流行国や国際機関に対し、様々な支援を切れ目なく実施しています。各国が支援を表明する中で、日本が重視したのは、表明した支援を一刻も早く目に見える形で実施していくことでした。9月25日、安倍総理大臣は、国連総会の場で、それまで行ってきた様々な支援に加え4,000万米ドルの追加支援を発表しましたが、11月7日までにその全ての使い道を決定し、全事業を実施中です(2015年1月現在)。 国連エボラ出血熱流行対応ハイレベル会合で演説する安倍総理大臣(9月25日、米国・ニューヨーク(代表撮影)) また、流行を終息させるためには、エボラ出血熱の患者に特化して集中的に治療する施設に様々な資源を投入することだけでは十分とはいえません。一般の保健センターや総合病院、あるいは地方など、エボラ出血熱に対する備えが脆弱(ぜいじゃく)な場所に目を向けて、このような場所での感染を未然に防ぐための対策を強化するなど、きめ細やかな対策で感染の拡大を防ぐことが重要です。日本は、安倍総理大臣が国連総会の場で表明した個人防護具(PPE)の供与を、そのような場所での感染を予防するために実施しています。また、緊急のニーズに応えて、PPE2万セットを自衛隊機で国連エボラ緊急対応ミッション(UNMEER)の拠点であるガーナの首都アクラまで搬送しました。 自衛隊機によって輸送された個人防護具の引渡し(12月8日、ガーナ・アクラ 写真提供:防衛省) 人的貢献という視点からも、日本は、WHOを通じて専門家を派遣してきており、主に医療現場における感染予防に貢献しています。さらに日本は、医師免許を有する外務省職員をUNMEERに派遣しました。同職員はUNMEERにおいて、国連事務総長特別代表(SRSG)のシニア・アドバイザーとして感染予防対策を担当しています(2015年1月現在)。 今回の流行発生の背景には、流行地域の不十分な保健システムがあると考えられます。11月7日に発表した最大1億米ドルの追加支援は、感染の予防に加えて保健システムの再構築といった分野にも役立てることとしています。日本はこれまでも保健分野における国際協力を重視しており、全ての人々が基礎的な保健医療を必要な時に負担可能な費用で受けられること、すなわちユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進を掲げ、西アフリカの保健システムの強化に継続的に取り組んできました。今後も、2013年の第5回アフリカ開発会議(TICAD V)で表明したアフリカ地域の保健分野に対する5億米ドルの支援、12万人の人材育成支援を活用して、中長期的な取組を進めていきます。 このほかにも、日本は、日本企業が開発した、感染後の治療に効果が見込めるとされる候補薬品を一定の条件の下で提供する用意があることを表明し、同企業によるフランス国立保健医学研究所(INSERM)、ギニア政府と国境なき医師団などとの臨床試験(2015年1月)を側面支援しました。また、流行周辺国に対し供与した、人体に触れずに体温測定を可能とする日本製の赤外線サーモグラフィーカメラは、空港などでの安全な検疫に寄与するとともに、エボラ出血熱の流行による風評被害防止にも役立てられています。さらに、感染者や感染の疑いのある患者を迅速かつ安全に治療・隔離センターに搬送するために、日本の自治体から無償で提供された救急車等の輸送を支援しました。このように日本は、財政的支援にとどまらない形で、民間セクターとも協力しながら、様々な支援を実施してきています。 平成26年度草の根・人間の安全保障無償資金協力を活用した対リベリア、シエラレオネ両国向けエボラ出血熱対策支援出発式典(10月28日、成田空港) 西アフリカにおけるエボラ出血熱の流行に対する日本の支援 (総額約1億5,500万米ドル)(2015年2月10日現在) (1) 緊急無償資金協力:約4,202万米ドル (2) 緊急援助物資供与:約92万米ドル (3) 国際機関への拠出金等:約215.7万米ドル (4) 専門家派遣:WHOを通じて延べ14人の日本人専門家を派遣。 (5) 草の根・人間の安全保障無償資金協力:約80万米ドル (6) 個人防護具(PPE)の供与:約70万セット (7) 保健システムの再構築などへの追加支援:最大1億米ドル (2)風評被害対策 〜流行国を孤立させないために〜 エボラ出血熱の流行による国際社会への悪影響は、感染の広がりが国際社会の課題として認識されるにつれ、流行国、ひいては感染者が出ていないアフリカ諸国への旅客数の減少や、域外諸国企業によるアフリカへの投資・ビジネスの縮小という形でも表れています。流行国から地理的に離れている東部、南部アフリカの諸国でさえ旅客数が減少し、G20ブリスベン・サミットの場において、サル・セネガル大統領から、アフリカ全体がエボラ出血熱流行の影響を受けているかの印象を与える「不当な一般化」による経済への打撃について問題提起がありました。 流行国が孤立し、経済的な悪影響が生じてしまうことは避けるべきであり、今後もTICADの基本理念に基づいて、アフリカと手を携えてアフリカの開発を進めていくことが重要です。このため、日本政府は、正確な情報を積極的に発信しつつ、客観的な事実に基づいて合理的に行動することの必要性を呼びかけています。 日本は、国際社会の平和と繁栄に積極的に貢献する国家として、さらにはG8プロセス、TICADプロセスなどを通じて国際保健分野の議論を主導してきた国家として、これからもエボラ出血熱の流行終息、再発防止に向けた主要な役割を担っていきます。